河内ひとみのあらかわ日和

2022年1月12日 2022年1月5日

新型コロナ感染症対応の自宅療養者への対策と生活保護の在り方について

あらかわ元気クラブの河内ひとみです。
緊急事態宣言も今月30日までの延期となり長期にわたるコロナ禍のもとで奮闘されている医療関係者、介護従事者や保健所職員の皆さまに心から感謝申し上げます。

一、新型コロナ感染者の自宅療養への対応について質問します。

国内の9月1日時点での療養者は20万人超えました。そのうちの自宅待機者は2万7千6百人です。荒川区内においては205人となっています。
コロナ感染から1年たった今年1月以来、ベッド数の不足や医療崩壊が指摘されていました。
しかし政府は「病床削減法ともいうべき『医療法等改正法』を成立」させています。病床を削減すれば国の消費税財源から給付金を継続的に支給するという内容です。現在の「病床が足りない」「自宅で亡くなっている」「医療従事者が疲弊している」という実態とは真逆の法律です。
厚労省の医療施設動態調査では2019年11月から2020年11月で見ても全国で療養病床を中心に21,350床が削減されており、この法律によってさらなる病床削減が加速されるのです
政府は、国民・都民にワクチン接種と自粛に次ぐ自粛という我慢を強(し)いるだけで実効的な手を打つこともなく、ベッド数の不足を理由に入院すべき症状であるにもかかわらず“軽症”との理由で自宅療養にするという患者見殺しの方針を出す始末です。パラリンピック終了間際(まぎわ)になってから、ようやく酸素ステーションの設置や休眠病棟の活用を言い始めましたが、こうした対策の遅れの理由は何なのでしょうか。

8月に入ってから自宅療養中の感染者が死亡するというニュースが毎日のように報道されています。本来入院すべき症状の人が入院できず、救われたはずの命を落とすことになった自宅療養者の死は、コロナ災害ではなく政治の無策による人災といえます。

すでに医療機関は疲弊しており、区の保健所朝から夜までも頑張って当日中に聞き取りができるようになっているとお聞きしましたが、他区では翌日から4日後になってようやく保健所から連絡がきたという話も聞いております。
8月以降私がかかわった事例をお話しします。
①大田区の50代男性の友人は「酸素飽和度80%になったがどこまで我慢すればいいの? 我慢できるまでと保健所から言われた」。
②千葉県の妊娠6カ月の妊婦の夫は「保健所に電話したら酸素飽和度が90%を切るまで様子を見なさい」と言われ、酸素を自分で用意したが「93%までしか上がらない。日々弱ってきている」。
③埼玉県の知人は「友人が高熱で受診したら熱中症と言われ、いつまでたっても熱が下がらず意識がおかしい」と言うので、私はコロナを疑い、救急搬送してPCR検査をしたら陽性と判明。しかし、重症患者受け入れの病院ではなかったため人工呼吸器の使用もできず、残念ながら数日後亡くなってしまいました。
④神奈川県の友人からは「妻と、認知症の妻の弟が自宅療養中。保健所からパルスオキシメーターが郵送されてきてはいるが使い方がわからない」。
⑤荒川区内の教師からは、「生徒の家族全員が陽性で自宅療養中。高熱の母親の熱が下がらない。せめてホテル療養できないのか」と生徒から学校に連絡が入っていると。
私の身近でもこんな状況が頻発しています。
これまで政府や東京都はベッド数削減や病院の統廃合を推し進め、保健所の統廃合で保健師を減らしてきました。その結果がコロナ感染という非常事態に対処できない状況をつくり、医療難民を生み、助けられる命を失う事態となったのです。これは国や都の医療政策・行政の失敗の結果です。

8月30日、厚労省に対して超党派で多数収容できるホールやイベント会場等に緊急臨時医療施設の設置を求める要望書を届けました。
国の責任で臨時 医療施設 整備の予算を出すこと。都には、医療行為のできる臨時病院の増床を求めるべきですが、都の対応を待っている時間はありません。すでに墨田区のようなモデルもあるのですから、これも参考にして荒川区としての積極的な対応を求めるものです。
深刻な人材不足の中で効率性を考えれば、区内のホールや体育館等公共施設にベッドを準備し24時間見守り、酸素吸入や抗体カクテル療法等の治療ができれば多くは軽症のうちに治ります。重症化を防ぐためにも臨時施設の設置が必要です。
また、家庭内感染で親が重症化しても、感染した子供を預けるところもないのが現状です。私の身内が勤務している都立小児医療センターでは9割がこうした行き場のない子供たちで病床が埋まっています。受け入れ先が見つけにくい妊婦や小児を含め、緊急医療施設整備について区の見解をお聞かせください。

コロナ以前から人材不足が問題で、過重な労働だったところにコロナ禍で入院できない自宅療養者への訪問が増えてきました。訪問件数増によって勤務状態はさらなる過重労働になっています。私の友人のところでも訪問看護師たちは昼の休憩も取れず、夏休みも取れず、24時間携帯当番を行い常に緊張状態の中にいます。保健所の保健師も看護師も同様な状況と聞いております。
感染者と死亡者が増える一方で、さらなる感染拡大が懸念される中で、自粛とワクチンだけで有効な対策を打つことなく国や都はオリ・パラを強行しました。緊迫感のない緊急事態宣言では効果がないといわれているにもかかわらずです。そして、菅首相は根拠もなく「オリンピック開催は感染拡大に関係はない」と言い放ちました。この言葉には多くの人が怒りを覚えました。

PCR検査についてですが、保健所の負担を軽減するために濃厚接触者に限定しました。
職場や友人関係では、接触していても濃厚接触者扱いにはなりません。陽性者と接触しているにもかかわらず、検査対象外とするなら日常生活が感染拡大の要因にもなります。自費検査するなら抗原検査で1万5千円から2万円もの費用がかかります。PCR検査を公費で、希望者に行うお考えはあるのでしょうか。

二、次に、女子医大東医療センター移転に伴う問題について質問します。

これまで、東医療センターにはコロナの重症者の受け入れなど大変地域貢献していただいております。足立医療センターも完成間近です。12月いっぱいで移転となりますが、難病や専門治療等で引き続き通院しなければならない区民が大勢います。三次救急機能の高度救命措置の必要な受け入やコロナ感染症受け入れなどどうなっていくのでしょうか。お聞かせください。

関連して仮称:令和宮前パークサイド病院との協定書についてお伺いします。
先日、委員会で正志会との協定書の原案が話し合われました。とても重要な案件です。240床とはいえ、区内の病床が削減されたもとで、今後の感染症患者の受け入れや、災害や三次救急の必要な受け入れ等ベッド数が減少している中で、入院先が今後も見つからないなど、区民が不安になるのは当然のことと思います。
協定書の中身についてまとめて質問します。
①災害時拠点病院としての機能や感染症を含めた受け入れについて
②出産のできる産科病棟の設置について
③女子医大東医療センターが行ってきた難病や終末期の訪問診療の引き継ぎについて
④開業医との連携を含む後方支援病床の確保について
⑤宮前商店街や地域との交流について
などです。
今後も東医療センターが行ってきたことを継続した中身にすることが協定書に盛り込まれているのでしょうか。
妊婦にとって安心して出産できる病院こそ区民の要望です。通院は新病院、出産はリバーサイド病院では、安心して出産できません。かといって南千住にあるリバーサイド病院に定期健診で通うのは不便です。特に尾久地域の妊婦にとっては負担があります。
そのまま産科病棟を設置することが望ましいと思われますが、いかがでしょうか。

三、最後に生活保護の在り方について質問します。

長期化するコロナ禍で、政府は国民全員に特別低額給付金を支給し、住宅確保給付金、低所得子育て世帯特別給付金、生活困窮者自立支援金と政策を打ち出してきました。
貸し付けについては返済しなければならない緊急小口資金と総合支援資金の貸し付けを行いました。
しかしながら基準は厳しいものです。また、延長措置は取られているものの返済が必要な貸し付けです。コロナやオリンピック後の景気が回復しなければ、たちまち債務に追われてしまいます。

5月のゴールデンウイーク中に、私は反貧困ネットワークやコロナ災害対策 自治体議員の会など40団体が共同主催する大人食堂と専門家による医療・女性・法律相談のお手伝いをしました。大人食堂で用意した弁当は不足し、開催2日間で延べ658人もの行列ができました。
そこに集まったのは、仕事がなく預金も使い果たし住宅を失った人たちです。また、医療相談も過去にない件数で用意した椅子が不足したほどです。
昨年12月31日から1月3日の間につくろい東京ファンドでアンケート調査を行いました。165人でしたが、平均年齢56歳、生活場所は路上公園やネットカフェ等の不安定居住層が全体の54.7%を占めています。
生活が苦しい状況の人が増えている中で、なぜか生活保護受給者が増えてきていません。確かに生保受給に至るまでに、政府もいくらかの支援はしています。しかし期間は限定ですし、給付対象外となった人たちはどうしているのでしょうか?
自殺者増も問題視されています。なぜ困っていても申請しないのでしょうか?
これまでの政治家による生活保護バッシングや8月7日にはDAIGO氏のYouTubeにおけるヘイト発言がありネガティブイメージが強まりました。
YouTubeを見る登録数は250万人にも及び、若者への影響も考えられます。
また、生活保護の申請も厳しく、生活困窮者支援グループ代表からの報告では、窓口に行くと「少しでもお金を持っていたり、働けそうだと思われたりすると、また、家族がいた場合は扶養照会されたり、複雑な事情があってもその人の立場を聞く態度でない担当者の人が多い」「住所がない場合、前泊地がほかの区であれば、そっちの区に行ってくれと追い返して話も聞いてくれない」等々、現状のお話がありました。
生活保護の問題は国や都や区はもちろんのこと、国民も「生きるための権利である」ことを理解しなくては解決することはできませんし、そのための啓発活動が重要です。ぜひ力を入れて取り組んでいただきたいと思います。

扶養照会についてお聞きします。

家庭状況が良好であればそもそも保護申請までは来ないはずです。また、扶養照会をすることによって家族から「恥だ」「縁を切る」と言われ家族崩壊につながったなど、生の声も聞いています。
アンケートでは「親族に知られないのなら利用したい」という結果は48%にものぼっています。
荒川区の最新の令和2年データで扶養照会をした325件のうち金銭援助件数は2件のみです。わずか0.6%しかありません。扶養照会する事務手続きも大変なことです。扶養照会撤廃について区のお考えをお聞かせください。

また、女性やLGBTの方たちのための専用相談室の設置等の配慮について質問します。

LGBTやDV被害者や精神的病気を持っている人や夜の仕事をしていた人など、困っていても「話したくない」「聞かれたくない」人もいます。デリケートな話ができる雰囲気を備えた「女性専用相談室」を設置していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

荒川区の保護のしおりの改善について質問します。

公的な相談窓口を知らない保護制度も知らない若者も多く、ネット検索でようやく相談につながっている状況です。
都や国はセーフティネットの制度を広めるための広報活動を促進する政策が必要です。区の保護のしおりもその一つであり、啓発のための一歩でもあります。ポスター掲示や駅やコンビニ、ネットカフェ等にしおりの設置を行い、多くの区民に広報活動する必要があります。
荒川区の現在の保護のしおりについてですが、厚労省の通達により多少の変更はありましたが、文字が並んでいるだけのわかりにくいもので、訴えるものが伝わってきません。
積極的に保護問題に取り組んでいる行政、例えば滋賀県の野洲市や隣の足立区などでは、イラスト入りでわかりやすいものを作成し掲示板に張り、全戸配布にも取り組んでいます。
韓国では呼び方も生活保護制度から国民基礎生活保障制度に改めました。区民の意識が変わるような生活保障の観点から考えたしおりの見直しが必要と思いますがどうお考えでしょうか。
失業や廃業に追い込まれ生活基盤を失った人たちの最後のセーフティネットとして行政の窓口相談には重大な責任があります。
生活保護の社会的イメージの改善も必要です。「自己決定権を尊重し」さらなる扶養照会 撤廃およびしおりの見直しを求め質問を終わります。

質疑答弁まとめ

〈新型コロナ関連〉
質問1
自宅療養者の重症化を防ぐためにも、区が独自に臨時医療施設を早期設置すべきと考えるが、区の見解を問う。
答弁
臨時医療施設の設置は、国や都が行うものであり、都に対し病床確保を申し入れている。

質問2
受け入れ先が見つけにくい妊婦や小児感染者について、緊急医療施設整備等、受け入れ体制の整備が望まれるが、区の見解を問う。
答弁
公立病院や区独自で病床を確保している医療機関において受け入れており、今後も継続していく。

質問3
濃厚接触者ではなくても、希望する誰もができるPCR検査の無料実施への取り組みが必要と考えるが、区の見解を問う
答弁
濃厚接触者への行政検査に加え、施設等での感染者発生時には範囲を拡大して実施している。

〈生活保護関係〉
質問4
扶養照会を行うことにより様々な弊害が生じているが、その撤廃について、区の見解を問う。
答弁
扶養照会の実施は、保護申請者一人ひとりに対し個々の事情等を考慮し、弾力的に運用している。

質問5
女性やLGBTの方たちがデリケートな話のできる雰囲気を備えた専用相談室の設置等、配慮の必要を考えるが、区の見解を問う。
答弁
全庁的に空きスペースがなく、相談者の状況に応じた工夫により対応しているが、引き続きどのような対応ができるか検討していく。

質問6
区民の意識が変わるような、生活保障の観点から考えたしおりの改善を求めるが、見解を問う。
答弁
より分かりやすい保護のしおりとするため、早期改定に向けた準備を進めている。