斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は、あらかわ元気クラブとして、議案第106号「荒川区民会館の指定管理者の指定」に反対の討論を行います。
 2002(平成15)年の地方自治法一部改正にともない、地方公共団体がすでに委託を行っている公の施設の管理運営を3年以内に直営か、指定管理者かに振り分けることが義務づけられ、指定管理者制度の導入が具体化してきました。
 この第4回定例会に提出された案件は29件、前回までに提出された案件が計6件、これによって荒川区の施設は心障センターと授産場を残して、すべて指定管理者が決定しました。
 一方、直営で管理してきた、図書館、さつき会館、男女平等推進センター、区営運動場、総合スポーツセンターについては、当面このまま区の直営で管理が行われることになります。また、ひろば館4館については、これまで行ってきた管理委託から直営に移行するものです。

 これまで何度も申し上げてきた通り、あらかわ元気クラブは、地方自治法改正による指定管理者制度そのものに反対であります。政府の諮問機関である規制改革委員会が示した数あるメニューの中でいち早く法制化されたこの制度は、全国の地方公共団体が維持してきた膨大な施設管理を民間に移行させることが狙いであります。保育園、学童クラブ、そして学校なども大きなターゲットとなり、公共事業という大きな市場は民間に開放可能になりました。
 効率化とコストダウンを目的とした、これまでの業務委託や管理運営委託でも、契約先の人件費、契約先企業で働く労働者にいくら賃金が支払われているのかは、不明でした。情報公開をして調べても、数字は「丸め」なのでそれが本当に労働者に支払われたものかどうかはわかりません。指定管理者制度はますますその面での不透明さが増すことは間違いありません。
 さらなる効率化を狙う新たな制度が、事業者の適正利益を損ない、労働者の生活できない賃金を生み出さない保障はありません。産業振興条例を制定して勤労者の福祉をうたう荒川区としては、いったいどのようにこの問題に歯止めをかけることができるのか。この間、行われた委員会等の区の答弁の中に、これといった対策はなく、懸念はぬぐいされませんでした。また、募集要項が適切か、選定基準が適当か、指定管理者からの再委託は認めるのか、など未解明、未解決の問題もあります。
 したがって、元気クラブは、今回提案された指定管理者の指定条例については、荒川区民会館など民間事業者を指定するものについては反対、ACCが引き続き管理するもの、特命随意契約によってこれまでの委託と同じ法人等が指定管理者に決定したものについては賛成、ということを基本として賛否の態度表明を致します。

 「民でできるものは民で」とのかけ声で民営化がすすめられていますが、「民にできるもの」でも「公でやらなければならない」事業があり、管理運営があります。アメリカの市場開放圧力と財界の民営化要求はだんだんと露骨になってきました。このまま、歯止めのない民営化、民間開放をすすめることは、わが国の社会のあり方に異変をもたらすことになるのではないでしょうか。
 規制緩和によって建築確認事務を民間開放したことを背景に多発した構造計算書の偽造問題は、その一端であり、危険信号の点滅と見ることもできます。「民にできることは民に」の典型であった建築確認事務の民間開放は、民間による確認がただ早い、というだけでなく、建築紛争や周辺住民の意向に左右されずに建築主が建物を建てられる、という点で建設・不動産企業にとってきわめて有利な面を持っていました。大店法の規制緩和と同様に、アメリカから「日本の裁量行政をやめよ」と圧力をかけられたこの問題。果たしてこれで国民にとっての『安全』と『公正さ』は担保されたのでしょうか。
 先日、月刊エコノミスト12月号に「効率偏重がヒューマンエラーを生む」との立教大学教授の論文が掲載されておりました。その中には、「企業の無理な効率化を社会は喜んで受け入れていないか」という問題提起がありました。今年おこったJR西日本の尼崎事故や、最近の耐震偽造問題は、私たち地方自治体にも警鐘を鳴らしているのではないか、と思います。

 いずれにしろ、荒川区は指定管理者制度で新たな課題を抱えました。指定管理者制度を既成事実としてただ容認するのでなく、引き続き要綱等にもとづくチェックを行い、法令遵守はもとより、適正な運営と労働条件によって区民サービスの質が向上するよう指導されることを求めて元気クラブの反対討論と致します。