河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月26日 2014年11月26日

 私はあらかわ元気クラブとして、議案第5号荒川区組織条例の一部を改正する条例に反対の討論を致します。今回提案された組織改正の内容は
 1.不正防止監を設置する。
 2.政策経営部と総務部を再編し、総合企画部を設置する。
 3.総務課の一部、経理課、営繕課と事業用地課の一部を再編して経理部を新設する。
 4.統計と区税の事務を地域振興部に移す。
 5.産業活性化推進室の名称を産業経済部に改め、経営支援の組織を強化する。
の5点です。
 改正の理由として、『喫緊の課題である、1.区政の透明性の確保、2.議会等との円滑な連携、3.産業振興の推進体制の強化をはかるため』の3つが上げられておりますが、果たして、この組織改正で3つの目的が達成されるのか。私は大変疑問を感じざるを得ません。むしろ、今回の組織改正の弊害の方が大きいのではないか、とさえ思われます。

●第一に危惧されるのは権限の一極集中であります。
 これまでの組織は、管理統括部門である総務部と、区の経営的戦略を司る政策経営部が別個に存在し相互に機能していました。この全く性格の異なるふたつの部門が中枢機能を形成し、仕事を展開することで大きな組織を機能させてきたと言えます。これをひとつに統合して、果たしてチェック・アンド・バランスが働くのでしょうか。新設の総合企画部にはそうした面で無理があり、かえって区政と組織の停滞を招く恐れがあります。 昨年の不祥事解明の中で、私は「なぜ助役というひとりの人間に権限が集中したのか。またなぜ、みんなでそれを許したのか」という問いを発しました。それは膠着した幹部職員同士の人間関係の問題でもあり、同時に組織のチェック機能のあり方の問題でした。今回の統合による総合企画部の設置は、こうしたチェック機能の健全な働きに逆行するものではないでしょうか。
 結局、この統合は、権限の一極集中を生み、したがって機能の低下を引き起こすことになりはしないか。今からそのことが心配されます。また、一部のエリート集団による区長官房をつくることは密室政治のそしりもまぬがれません。もっと職員全体を信頼されたらいかがでしょうか。

●第二の問題は、契約をめぐる事業系部門との関係であります。
 今回の組織改正で、各事業部門と新たにつくられる経理部との契約に関する仕事上の関係がどのようになるのかは、まだ正確には見えてきませんが、契約のチェックを厳重にするとは言うものの、お互いに仕事の量だけが無用に増大する非効率を生む可能性も否定できません。
 予算に関する討論でも述べたいと思いますが、私は、昨年の事件の再発防止の本質は入札改革にはない、と思っております。事業系の部門と業者との関係には、癒着などよりも、むしろ良い面が多いと言えます。契約相手方の企業を良く知り、仕事の質の見極めもつき、区民サービスの向上につながるにはどの業者を選んだら良いか、という視点を持っているからです。
 こうした視点が生き、かつ公正で公平性の高い契約となることが、いま区民から最も求められているのではないか。こうした角度から見て、新たに別部門として経理部を独立させ、設置することの意味は甚だ不明としか思えません。

●第三に、不正防止監の位置づけであります。
 不正防止監は、すべての組織に対して独立した存在でなければ、その意味はありません。 しかし、今回設置される不正防止監は、組織上独立しているとはいうものの、事務局スタッフは経理部ということになっています。この位置づけと体制で、契約などに対する監視の機能が果たせるのでしょうか。疑問を禁じ得ません。

●さらに、これで産業振興の推進体制強化と言えるのか、という問題であります。
 地域経済の活性化が喫緊の課題、待ったなし、というならば、これで体制強化と言えるようなものではありません。

 区政の健全な発展は区民の誰もが望むことです。それには、区役所という組織が全体として生き生きと活性化し、機能していくことが欠かせません。
 残念ながら、今回の組織改正は、区役所全体の活力という点から見て、好ましくない組織改正であると判断致します。職員の士気を高めることにもならないと思います。
 このような反対意見があることも充分考慮に入れていただき、いずれ再考される事を願って、私の反対討論と致します。