河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月26日 2014年11月26日

斉藤ゆうこ
 あらかわ元気クラブの斉藤ゆうこです。私は、荒川区の信頼回復と区民の安心のために今何をすべきかをテーマに質問いたします。
 今回の高橋助役逮捕は、区民と区職員に大変大きな衝撃を与えました。藤澤区長は報道機関の取材に対して「寝耳に水」とおっしゃいました。信頼していた助役に裏切られたというお気持ちだったのかもしれませんが、本当に予測できないような状況だったのか。私は深夜に第一報を聞いて、ついに来るべきときが来たというのが偽らざるを思いでした。実際、庁内には契約をめぐるうわさや疑惑もありました。昨年の予算委員会では、契約をめぐってさまざまな問題がありましたが、にもかかわらず、まさか逮捕などという事態にはならないだろう、そんな甘い考えがどこかにありはしなかったか。大いに反省しなければなりません。
 助役の収賄事件と男女共同参画条例が連日新聞紙上を騒がせ、今、区民はよい気持ちがしておりません。新聞の切り抜きを持ってきた私の母が、「荒川区の記事が隣同士に並んでいてもう嫌だわ」と言いました。大方の区民の率直な気持ちではないでしょうか。区民に安心をもたらし、区政への信頼を回復するためにどうすべきか。この2つの問題について質問いたします。
昨日のやりとりでは、区長は何度も謝罪をなさっているのですが、幹部職員の答弁になぜか謙虚さが感じられません。どうぞ心して答弁をしていただきたいと思います。まず、高橋助役の収賄事件を教訓に根本的な再発防止策を求め、現在、調査検討委員会がどのような視点で検討されているのかを伺います。
 第1に、入札・契約制度の改革について。
 先日、23区の議員有志でつくる政策研究会へ23区民自治の会がこの問題をテーマに勉強会を開きました。ことしになって東京では、目黒区、荒川区と相次いで不祥事が起こり、入札・契約制度の改革は現在、地方自治体や議員、住民の高い関心事として各地で研究の対象となっております。また、昨年、4定の一般質問では、ただ安ければよいという契約ではなく、入札や契約を行うに当たって、相手方企業の雇用や労働安全衛生面での考え方、福祉や環境への配慮などの社会的評価も加味し、公平・公正な契約の基準とする公契約条例を提案いたしました。三ツ木総務部長は「自由な企業活動に影響を生じるおそれがあるので制定する考えはない」と答弁されましたが、今回の事件を経て振り返りますと、何とも片腹痛い思いがいたします。この公契約条例を含め、私たちの考え方は再度機会を改めて提案いたしますが、きょうは区の契約を預かる総務部長に、今回の問題の教訓として、入札と契約制度をどのような視点で改革しようとお考えなのかをお伺いいたします。
 第2に、政治倫理条例の制定について。
 私は、2000年(平成12年)の9月議会本会議で、荒川区政治倫理条例の制定について質問をいたしました。国会でのあっせん利得処罰法が制定された、そのことが背景でしたが、質問の中で、契約をめぐる不可解な動きが予算委員会で取り上げられ、この企業がある議員の紹介だと口にしている。また、契約をめぐってある幹部職員が○○万円受け取ったという怪文書が流れた。庁内のうわさが根も葉もなければよいが、火のないところに煙は立たないの例えもある。議員や幹部職員が日ごろのなれ合い、つまりいつも仲良く飲食したりとか麻雀をしたりとか、そういう中でやっていいことと悪いことの区別がつかなくなったり、政治倫理の感覚が鈍っている向きもあるのではないか。厳に戒めていく必要があるとして、荒川区独自の政治倫理条例をつくって姿勢を明確にすべきだと申し上げました。
 藤枝区長・荒井助役の時代、藤枝区長が辞任される半年前ですが、当時もこういう状況が存在していたのであります。私の質問に対し、当時、総務部長だった大渕現収入役は、「他の自治体で政治倫理条例を制定している例がございますが、その多くは具体的な不祥事の発生を踏まえての対応である」と答弁されました。あのとき、条例をつくってお互いに姿勢を正していれば、今回の事件は起きなかったかもしれません。甘かったですね。予防は病気や介護ばかりではありません。問題が起こってからでは遅いのです。
 藤澤区長が就任された直後の2001年、平成13年の6月議会で、私は再びこの問題を質問して新区長の姿勢を問いました。前年、当時の小室企画部長が職務中に抜け出して飲食し、戒告処分となったことも踏まえて質問いたしました。これに対し藤澤区長は、「議員はあっせん利得罪法適用を前提に、個人として自律的に行動するだろう。倫理条例が必要かは、議会で議論されるべき。職員については、国家公務員倫理法の制定を踏まえ、規定の整備等を研究している」という趣旨の答弁をされました。
 この2回の質問で私は、具体的な不祥事の発生を踏まえて条例をつくったお隣の北区を紹介いたしました。北区のように、議員提案で条例をつくることもやぶさかではありませんが、今回、手が後ろに回ったのは、私たち議員ではなく理事者の側ですので、この際、区として政治倫理条例を提案されて姿勢を示し、区民の信頼を回復されてはいかがかと思います。調査検討委員会は、ぜひそこまで踏み込んで具体的に再発防止策をお考えいただきたい。これで3度目ということになりますが、具体的な不祥事の発生を踏まえて、区当局のお考えを伺います。
 第3に、契約や事業などの決定に対して、行政内部のチェック機能は働いていたのか、お伺いいたします。
 私は、昨年3月の予算委員会で問題となったあらかわ遊園の見直し、クラーク高等学校の参入の経過、また学校給食の区内委託業者選考基準の緩和などの経過を振り返りまして、会議録を読み返してみました。そこで、改めて感じたのは、高橋助役という1人の幹部職員の判断や裁量でさまざまな契約の決定手続が行われ、基準の変更が行われている。それに対して何の歯どめもなく、チェック機能も働いていないということでした。これまで職員集団のトップである助役への極端な権限の集中があったのではないか。それに対して、チェック機能の働かない組織になってはいなかったか。現状に問題はないのかお伺いいたします。
 この問題の最後に贈収賄など腐敗の根を断ち、区政の健全化を進めるためには何が必要なのか。契約の改革や倫理条例などの制度づくりはもちろん必要だけれども、果たしてそれだけだろうか。お考えをお伺います。
 制度づくりや仕事のシステムを変えることは確かに必要で大事なことです。この決断が鈍いと改革は進みません。しかし、区政の健全化はそれだけだろうかと私は思います。肝心なのは、まじめに働く区内の中小零細事業者や雇用労働者、つまり区民の大多数を占める勤労区民が、日々何に悩み、苦しみ、また喜びを見出しているのか、いつも肌身で感じながら幹部や職員が仕事をしているのか、そのことではないでしょうか。
 助役の汚職事件を受けてあらかわ元気クラブは、6月9日と10日、会派として広聴会を開催し、区民の皆さんの意見を伺いました。その中である自営業者の方は、「区の幹部はもちろん、最近、職員の人たち全般に感じるのは自分たちとの生活感覚の違いだ。何で区の職員になったのと聞くと、安定しているからという答えが返ってくる。おれたち安定してないんだよね。地域のためとか区民のためとか言ってほしいと思う」と発言されました。生活が安定した区職員と安定していない区民。大変皮肉なことですが、この間の景気の悪化は、荒川区民とそこに働く区の職員にこうした乖離をもたらしました。寝ても覚めても資金繰りの苦しみから抜けられない中小事業者、毎日の売り上げに一喜一憂せざるを得ない商店主、会社の去就が自分の首に直結すると心配する労働者、パートで子供の教育費や年寄りの介護費用を賄う女性たち、こういう勤労区民のための区政であってほしい。それが健全さの物差しではないでしょうか。
 荒川区に働く職員の皆さんには、ぜひ元気を取り戻して頑張ってほしいと思います。幹部職員も一般職員も経歴にかかわらず、時々、地場産業や商店街に入って一緒に汗を流してみたらいかがでしょうか。区民の暮らしの現状や気持ちから離れずに仕事をすることこそ、区民を裏切らない区政と腐敗の一掃につながる最善の再発防止策かと思いますが、藤澤区長はいかがお考えでしょうか。お考えを伺います。

 さて、次に、荒川区民にとってよりよい男女共同参画社会基本条例をつくるために、区当局の考えをただしたいと思います。
 荒川区の男女共同参画条例は、昨年末の懇談会設置以来、全国の注目を集め、最近では、JA(農協)女性部、主婦連、地婦連から労働組合の連合、革新政党系の女性組織まで全国の女性団体43団体が横断的につくる国際婦人年連絡会から、抗議や要望書が届く事態に発展しました。これは荒川区にとって決して名誉なことではないと思います。半年に及ぶ議論を経て、懇談会の報告書がまとめられましたが、1人の委員が運営に抗議して辞任、6名の委員が報告書に異議を唱えられ、別に1名の方が区長あてに同様の意見を送ったと聞き及んでいます。報告書を尊重して条例をつくると担当部局がおっしゃいますが、17名の委員のうち8名が報告書に同意できないと意思表示されたことは見過ごしにできない事実ではないでしょうか。
 こうした経過を踏まえ、3点お伺いいたします。
 まず、この条例の根拠となる男女共同参画社会基本法との関係をどのように認識しているのか伺います。
 藤澤区長は、懇談会報告書が掲出された5月24日、マスコミ各社に対し、「区としてはこの報告を受け、今後、男女共同参画社会基本法を踏まえた、男女共同参画社会の推進に向けて、条例案の作成、行政計画の策定を進めていきたいと考えております」とのコメントを発表されました。また、懇談会の場におきましても、基本法の趣旨に基づいて条例を制定することがあらかじめ確認されています。
 その一方で、ちまたには、基本法は間違っているからこれを正す条例が必要だとの意見を殊さら表明される方々もいらっしゃる。では、荒川区としては、提案された条例と基本法との関係をどのように認識しているのか。条例文の中には、基本法に基づきとの文言が見当たりませんので、改めて見解を伺います。
 次に、今回、提案の条例案を人権推進の視点から見てどのように考えているのか、見解を伺います。
 逸脱の防止と是正と題した第18条ですが、逸脱したとか乱用したとか、一体だれが判定するのでしょうか。客観的な物差しはありません。判定委員会でもおつくりになるのでしょうか。「男女の区別を差別と見誤って否定の対象とする……」という18条の文言は、これまでの差別や人権をめぐる部落問題、外国人問題やハンディキャップのある人の問題など、過去の経緯から考えても解釈が難しく、かえって人権を損ないかねません。また、性に対する自己認識が違う子供が学校でいじめられ、生きていていいのと訴えているというお母さんの手紙を拝見いたしました。性の問題は、決して踏みにじってはならない人間の根幹の問題だと私は思います。逸脱の防止と是正、この中にこうした文言をわざわざ盛り込むことで、条例の運用上、混乱を招くと思うが、どのようにお考えかお伺いいたします。
 最後に、この条例制定が荒川区の全般的な施策の遂行に支障のないよう、十分に調整を図るべきと考えますが、その点について伺います。
 区民生活の基本にかかわる問題を定めることになるこの条例は、多岐にわたる現在の区の施策に影響を及ぼすことになります。一例を挙げれば、第7条、「母子の生命と健康の尊重には、胎児の生命を十分に尊重」との文言が入っています。この問題は、現行法である母体保護法との関連や、性と生殖にかかわる女性の健康と権利という視点から、今後、地域で行われる母子保健施策の展開に深い関係があります。また、第6条の「乳幼児期の母子関係の重要性」は、当然のことではありますけれども、もう一方では、現在、深刻化している育児ノイローゼや児童虐待と深くかかわる問題でもあります。
 これまで、条例をつくる過程でさまざまな分野での施策や事業を担当する各部との調整は行われてきたのでしょうか。また、今後、この条例の条文によって区の施策遂行に支障を来す懸念がありますが、どのように調整を行うつもりなのかお伺いいたします。
 これで、私の第1回目の質問を終わります。

区長(藤澤志光)
 斉藤ゆうこ議員の区政の健全化に対する御質問にお答えいたします。
 区政に携わる職員一人一人が、常に区民の気持ちを受けとめ、それぞれの職責を自覚し、区民の目線で職務を遂行することが必要なことは言うまでもありません。まして、基礎的自治体として、生活者である区民に一番身近な区にあってはなおさら重要なことであると私は思っております。こうした認識のもと、まず私自身が、毎週の対話集会や井戸端区長室、区政モニター会議や各種の審議会での議論など、あらゆる機会を通じて区民の皆様の意見を伺いながら区政を行ってまいりました。また、職員に対しても、区民の目線で仕事に取り組むよう繰り返し指導してきたところでございます。しかしながら、今回の助役の逮捕・起訴という事態は、この間、着実に築き上げてきた区民の皆様との信頼関係を裏切る形となったものであり、私を初め職員一同、大変重く受けとめております。
 公務員である区職員の身分に安定性が担保されているのは、全体の奉仕者として、公共の利益のために全力で職務を遂行しなければならないという重い責任があるからにほかなりません。今、改めて公務員としての本旨に立ち返り、みずからの職に恥じぬよう、私が先頭に立って区職員の意識改革と士気高揚に努めてまいる所存であります。朝の区長放送、職員に対する放送につきましても、そのような立場から前回に続いてお話をしたところでもあります。
 他の質問につきましては、関係の理事者に答弁をいたさせます。

総務部長(三ツ木晴雄)
 事件の再発防止の観点からの入札契約制度の改善に関する御質問にお答えいたします。
 区が契約を締結するに当たって最も重視すべきことは、事業者間の公正な競争を基本にして、契約手続のすべての過程を透明なものにすることであると考えております。入札・契約制度の改善に当たっては、こうした考え方を基本にして、事業者の適正な競争を促進すること、公正で透明な契約制度とすること、いかなる不正行為も行われないような仕組みとすることなどの観点を柱に制度の再構築を行いたいと考えており、現在、入札制度部会を中心に問題点の調査と再発防止策の検討を行っているところでございます。
 区は、これまで景気低迷の中で、厳しい経営状況に直面しておられる区内業者の方々に対しまして、産業振興の観点から優先発注を行ってまいりましたが、再発防止のための契約制度の検討に当たっては、この区内業者優先の方針をどのように位置づけるかについても大きな課題であると考えております。また、一連の契約手続の過程において、何段階ものチェック機能が働くような仕組みをつくることも重要であると考えております。区といたしましては、以上のような考え方のもとに、契約制度全般について見直しを行い、契約制度を再構築し、区政への信頼回復に全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、倫理条例制定についての御質問にお答えさせていただきます。
 いわゆる、あっせん利得罪法が平成13年3月より施行し、地方自治体の議員や市長も含め、行政機関の締結する契約あるいは特定なものに対する行政処分に関して、請託を受けて公務員にあっせんし、その報酬として財産上の利益を得たときは、3年以下の懲役で処罰するとの規定が設けられるなど、重い罰則を伴う法整備がなされているところでございます。
 したがいまして、議員及び首長につきましては、基本的には法の適用関係を前提として、個々人が自律的に行動すべきものと考えておりますが、現在、調査検討委員会において、職員の一層の倫理確立に向けた方策の検討を行っているところでございますので、法の規定の趣旨との整合性も勘案しつつ、改めて、総合的な視点に立って考えてまいりたいと思っております。
よろしくお願いいたします。

政策経営部長(鈴木尚志)
 事件に係るチェック機能に関する御質問にお答えいたします。
 区では、今回の事件につきまして、5月25日の前助役逮捕を受けまして、翌26日には、区長を委員長とする工事等の契約に関する調査検討委員会を設置いたしました。この調査検討委員会のもとに3つの部会を設け、事件に関する事実関係の調査、契約制度の改善、区職員の倫理の向上につきまして、現在、鋭意検討を行っているところでございます。
 現時点ではまとまった御報告をできる段階にはございませんが、事実関係の調査を進める中で、事務手続や御指摘のチェック機能などについて、幾つかの課題があったのではないかと考えております。とりわけ契約手続には、言うまでもなく透明性・公正性が求められており、契約に至るまでの意思決定過程等、プロセスを含めまして十分なチェックが必要であると考えております。現在、こうした観点から、チェック機能が十分に働いていたかどうかといった点を含めまして、調査を行っているところでございます。
 調査結果につきましては、今月中にも中間的なまとめを行いまして、議会会期中の総務区民委員会へ御報告することとしております。今後、区といたしましては、調査に全力を挙げるとともに、このような事件が再び起こることのないよう、外部の専門委員の力もお借りして検証を進め、チェック機能の強化や契約制度の改善など、再発防止に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、男女共同参画基本条例に係る区の全体調整に関する御質問にお答えいたします。
 男女共同参画基本条例につきましては、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念並びに区、区民及び事業者の責務を明らかにいたしますとともに、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的事項を定めるものでございます。したがいまして、保健・福祉、教育、産業、地域振興など、区政のさまざまな分野にかかわるものと認識しております。男女共同参画社会基本条例案の作成に至る過程におきましても、5月24日に懇談会の検討結果報告をいただき、これを受けまして、厳しい日程ではありましたが、所管で条例の原案を作成し、その後、関係各部との調整を経て、最終的に現在御提案している条例案になったものでございます。
 区といたしましては、今後とも条例の施行に当たりまして、区政の各分野におきまして、十分な調整と連携を図りながら取り組んでまいります。

地域振興部長(柳澤孝志)
荒川区民にとってよりよい条例をつくるための御質問のうち、まず初めに、基本法との関係の認識についてのお尋ねにお答えいたします。
自治体で制定しようとする条例が、憲法はもとより、基本法を初め、さまざまな法律に反するものであってはならないことは当然のことでございます。このたび、提案させていただく荒川区男女共同参画社会基本条例案につきましても、荒川区に住む男女が互いの特性を認め合い、尊重し合いながら、その個性と能力を十分に発揮できるように基本的な考え方を示したものであり、男女共同参画社会基本法を踏まえつつ、荒川区の実情に即した内容とさせていただいております。区といたしましては、条例に盛り込まれました理念に基づき、真の男女共同参画社会の実現を目指してまいる所存でございます。
 次に、人権推進の視点に関する御質問にお答えします。
 男女共同参画社会の形成に当たりましては、男女が社会における対等な構成員として尊重され、必要に応じて適切に役割分担しながら、互いに協力し合い、補完し合うことができるようにしていくことが求められます。男女は同権でありますが、決して同質ではございません。合理的な区別までも一律に否定することなく、お互いの人権を尊重しつつ、男女共同参画の趣旨をはき違えることなく、正しい理解のもとに日ごろから努力していくことが何よりも重要と考えます。
 本条例案に定めました18条についてはそのような趣旨で規定をしたものであり、区といたしましては、荒川区において真の男女共同参画社会が実現されるよう、男女の人権を尊重しつつ、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。したがいまして、混乱を招くというようなことは考えておりません。

斉藤ゆうこ
 再質問をいたします。
 藤澤区長と3人の理事者の皆さんからの御答弁ありがとうございました。まず、再質問の第1に、助役の収賄事件についてお尋ねしたいと思います。
 藤澤区長は、昨日、「これまで得た区政への評価や信頼が大きく揺らいだ」と述べられました。そうお考えになるのでしたら、これを機会に、長い間に体質化した幹部職員や議員の中にある腐敗の根を断つ決意を示し、実行していただきたいと思います。そのためにも、みずからを厳しく律して事に当たるべきではないでしょうか。区長の責任は決して道義的責任だけではありません。政治的責任、そして組織的責任をとっていただくことが大事かと思います。調査検討委員会の委員長として、荒川区の再生と区組織の再生に御自身の政治生命をかけて当たられることを要望いたします。区民の審判は殊のほか厳しいとお心得ください。
 いずれにしろ、起訴後30日程度で第1回目の公判が開かれ、新たな事実も明るみに出るかもしれません。長い公務員生活の最後に高橋助役が収賄に手を染めた真の動機は何だったのか。自身の借金返済のためと報道されておりますが、それは一体どのような内容なのか。そして、議員や政治家の関与はなかったのか。真相究明はこれからが本番だと思います。
 さて、この問題に関連して1点お伺いします。
 区立公園やひろば館など、公共施設20カ所に清涼飲料水の自動販売機を設置する事業が議会に何の報告もなく進行しております。この事業の条件にあるイベントへの寄附が入っていることから、関係者に御迷惑がかからないように私からあらかじめ申し上げておきたいと思いますが、私の聞き取り調査によれば、この不可解な契約とイベントを熱心に推進していらっしゃる実行委員会や、協力している議員の方々とは無関係であるということを念のために申し上げておきたいと思います。今後、常任委員会でも調査が行われるかと思いますが、民間イベントへの寄附とタイアップした意向調査、たった1週間の期限で選ばれた業者だけがけた違いの寄付金額を回答していることなど、これまでに前例のない契約であると考えます。私たちがこの問題を調査している最中に高橋助役の逮捕という事件が起こり、そこここに不透明な契約があるという印象を強く持ちました。
 三ツ木総務部長に伺いたいと思います。
 私は先ほど組織のチェック機能が本当に働いていたのかというふうに質問をし、答弁をいただきました。この自動販売機設置事業を行うに当たって、土木部、地域振興部、環境清掃部、政策経営部など、関係部局と政策上の調整を行ったのか、区の事業として総務部が単独で決定されたのか、明確にお答え願いたいと思います。
 次に、男女共同参画条例について質問いたします。
 私は、先日、荒川区の男女共同参画懇談会会長であった林道義氏のホームページを拝見して大変驚きました。「見えた!フェミニストの汚い戦略・戦術の全貌」という、私が言うのも何ですけれども、余り品のよくないタイトルの中に「公明党による骨抜き工作」として、「荒川区議会の公明党議員が与党間の協定を破って18条を削除する修正案に賛成するかもしれない。そもそも……」などと、ここで私が言うのもはばかられるような公明党批判が政治的に展開されております。そればかりか、自民党以外の保守会派が、これはほかにありませんから尚志会のことなんでしょうけれども、「自民党に対する恨みつらみを捨てて協力してくれたらこんなことにならない」などと書いてありました。恨みつらみだそうです。区議会が御自分のとおりにいかないからといって、ホームページで天下の公明党にけんかを売り、保守系会派の過去にまで言及するなど、全く大きなお世話であります。なぜ、私たち荒川区議会がこの方にこのような干渉を受けなければならないのか。私は、公明党でも尚志会でもありませんけれども、大変失礼だ、荒川区議会がばかにされているんだと、そう思いませんか。全くそう思います。全国に発信された林さんのホームページによって、荒川区は大変みっともない目に遭わされました。地域振興部はこのような事態に責任を感じていらっしゃるのでしょうか。柳澤部長に伺いたいと思います。
 高橋助役は収賄問題のみならず大変政治的な動きもあった人物で、3年前の教科書採択問題の折には、扶桑社の歴史・公民教科書の採択を進めようとして積極的に動かれました。そして、今回の男女共同参画懇談会の委員選任にも深くかかわったと聞いております。荒川区と議会がこんな騒ぎの舞台にされるのはもうたくさんです。区民にとってよいことではありません。区民生活が困難なとき、ましてや助役収賄問題の最中に、この方たちの思惑で男女共同参画条例問題がいつまでも政争の具にされ続けることは避けなければならないと思っております。いずれにしろ、特定の人たちの思惑でつくられ、区内外の批判にさらされているこの条例案をこのまま通すわけにはいかないと私は思っております。柳澤部長に今後どうなさるのか。そしてまた、このホームページ問題が荒川区に大変な被害を及ぼしていると私は感じておりますが、どのようにお考えなのか、責任ある答弁を求めたいと思います。

総務部長(三ツ木晴雄)
 公園及びひろば館への自動販売機の設置の件でございますけれども、この件につきましては、設置料を納めていただくことを前提に、広告料あるいは荒川区が後援いたしました荒川よさこい実行委員会への寄附について、公平性・透明性を確保するために清涼飲料水の会社に提案をお願いし、その中で最も区にとって有意な提案をしていただいた業者さんに設置を認め、なおかつ、広告料の納付あるいは寄附をお願いしたところではございます。いずれも、施設利用者の利便の向上あるいは財産の有効活用、さらには観光施策の推進という観点から実施したものでございまして、何らやましいものでございません。また、庁内的にも各部との調整を行い、区の公有財産管理運用委員会での審議も経て実施したものでございまして、憶測に基づく御質問は大変遺憾であるというふうに思っております。
 昨日も御答弁いたしましたように、今後とも必要が生じた場合につきましては、議会の理解も求めた上、適切・的確な方法によって歳入の確保や区民サービスの向上に努めてまいりたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

地域振興部長(柳澤孝志)
 再度の御質問にお答えいたします。
 林前会長のホームページは、基本的には個人の資格で書かれたものではあります。しかし、私も内容を見たと同時に、林会長の方に強い申し入れをいたしました。直ちに、この内容については削除してほしいというような申し入れをしたところでもございます。
 また、もう1点の条例案につきましてはという話ですが、条例案につきましては、御可決賜りますようお願い申し上げます。

斉藤ゆうこ
 残余時間1分ですので簡単に申し上げますが、自動販売機の設置問題ですが、寄附に係る問題がありますので、善意でイベントにかかわっている方々を傷つけることになって大変申しわけなく思っています。しかし、一体だれが自動販売機をつけようという動機を持たれて、どこで組織の中で調整されて決められたのか。委員会に一言の報告もない。そのまま着々と設置が進んでいます。自動販売機は御存じのように、大変な電力を消費しますし空き缶の問題もある。いろんな部局での調整が必要だと思います。区民の求める必要さ、要望から発したことなのか。そうではないでしょう。契約ありき、そして憶測だと言われましたが、最初に業者ありきではなかったのか。私はそんなふうに思っております。この問題は常任委員会でも検討していくと思いますが、ぬれ衣や、またそのイベントにかかわる方たちに対する御迷惑のないように配慮しつつ、きちんと問題を解明しなければならないと思っております。

 男女共同参画条例ですが、残念ながら、これまでにも全庁的な調整をしてきたとは思えません。このようなホームページ問題のような経過がありまして、一体だれがあの会長を選んだのか。それもまた、議会に関与はなかったのか。こういう問題も心して今後追及しつつ、条例の採決に向かっていきたいと思います。終わります。