斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は議案第13号、昭和63年度東京都荒川区一般会計予算に反対の討論を行います。
 総予算で594億円、前年比約18%と、異例の伸び率を示したこの予算が、だれのために、どのように使われるか、前年より約18%伸びたこの予算が決して日々額に汗して働く勤労者や保育園に通う子供たち、そして福祉行政に支えられ、助けられてしか生きていくことのできない立場の人たちに十分充てられたものではないと私は感じざるを得ません。
 生活保護費について、予算委員会でも相当の議論がありましたが、適正化の名のもとで保護を受けざるを得ない人たちを苦しめ、鬼と言われるような行政はもうこれ以上許しておくことはできないと思います。荒川区のイメージアップといいますが、これこそまさに全国に悪名をとどろかせ、イメージダウンをしているということを、理事者は胸に刻むべきです。
 心身障害者福祉についても、他区に比べ不十分な施策しか実行されていないにもかかわらず、今年度の予算を見る限り、改善される見込みは持てません。電話ファクシミリ事業など障害者が生き生きと生活し、社会参加するための施策は、他区においては積極的に進められておりますが、私たちの区では見劣りがします。もっと積極的に予算を組み、実情に見合った障害者福祉の方策をとるべきではないでしょうか。
 今回新しく出された議員の海外研修についてですが、私は反対の立場を取ります。行政改革が進められ、さまざまなところで区民にとっても厳しい状況を生み出してきている中で、みんな行っているからといって、なぜ1人100万円もの予算をとって議員が海外へ行かなければならないのでしょうか。どこへ何をしにいくことが、区政にとって、議会にとってどのように有益かの議論でなく、海外視察がひとり歩きしています。私は反対ですから順番が回ってきても参加はいたしません。
 小中学校の適正配置計画に基づく統合校の建設については、先ほど反対の討論を行ったとおりで、これ以上申し上げることはありません。
 五日小跡地の文化施設建設は今回の予算の中でも大きなポイントですが、スポーツ施設づくりは区民のための施設づくりとはなっておらず、民間企業への安易な委託は大きな問題を残すと思います。
 がん予防検診センターは、23区初めての試みというキャッチフレーズのもとに出されてきた今回の予算の目玉とも言うべきものですが、医師会への説明、連携は不十分、精密検査が必要となった場合の対応、また誤診断があった場合の責任など重大な問題を課題として残したまま、大規模な予算を組むのは納得できません。なぜ、もっと前からあらかじめ委員会等にかけ、よく討議を深めないのでしょうか。基本計画、実施計画、予算の同時提出と同様、ここにも隅々まで検討を重ねて、十分審議をして予算をつくるという姿勢がないのではないでしょうか。
 川の手新都心構想は予算の中でもさまざまな形で大きな役割を占めています。区長はこれまでの議会の質疑の中でも、「人の住めないまちはつくらない」と言っておられますが、私は全く疑問です。企業を呼び込み、オフィスビルを建てる現在の構想を断念し、公的住宅建設を中心にした再開発事業へ大幅に変更すべきだと思います。
 区長は63年度の施政方針説明の中で、「自治体間の競争の時代であり、横並びではだめだ」というふうに言っています。自治体は企業ではありません。行政は利益追求とは異なったものです。自治体間競争などという言葉に私は嫌なものを感じます。
 零細企業が多く、景気が上向きと言われる中で、円高で疲弊している業者も多い我が区です。また高齢者や障害者、婦人などに対しても他区に比べておくれている感を否めない中で、今回の予算案は足元の区民生活をしっかり支えるのではなく、「街づくり」という形での施設の建設等に重点がいった予算ですが、オフィスビルが建ち並び、リニアモーターカーが走っている下で区民が暗い顔をしているのでは困ります。
 荒川区のイメージアップは、区民の生活や活動を援助し、区民の自主的な活力を引き出してこそ実現できるものだと思います。生活保護受給者を泣かせ、保育園や学校に子供を通わせている親たちを困らせ、働く女たちの元気をなくさせる区政では、いくらかけ声をかけてもイメージはアップしないでしょう。
 こうした姿勢を反映した63年度予算案に対し、私は反対を表明して討論を終わります。