斉藤ゆうこのあらかわ日和

予算反対討論
21万となった区民の生活は多様化し、格差も拡大。大多数の区民の豊かさにを払った予算なのか?

 私は、あらかわ元気クラブとして、議案第65号、平成29年度荒川区一般会計予算に反対の討論をいたします。
 21万人となった区民の生活は、かつてに比べて多様化し、生じた格差は次第に拡大していることを痛感いたします。
 区政の基本は、何といっても、区民がよりよく食べていくことですが、951億2,000万円になる来年度予算は果たして大多数の区民が幸福を実感できるものなのか。食べていくこと、生活していくことを応援する予算たり得るのか。
 南千住などの再開発で比較的所得の安定した層が増え、こうした区民の要求にも応えなければなりませんが、しかし、転廃業が続き、新たに職を求めれば収入が減っていくと嘆く多くの区民が豊かになることを第一義とすれば、今回の予算はそれに十分応えるものとは言いがたいと思います。
 さらに言えば、区政の関心がそこにあるのかさえ疑問に感じます。これが元気クラブの予算反対の理由です。
 政府の賃金上昇の『広報活動』にもかかわらず、依然として実質賃金は上がらず、収益が圧迫される多くの勤労者世帯の厳しい生活、営業実態、この改善に地方自治体としてでき得る最大の手を打った予算なのでしょうか。そう言うと、「豊かさというのは決して経済的な面ばかりではない。心の豊かにつながる文化や芸術が大事だ」という声が聞こえてきそうですが、確かに区民の多様化、格差拡大の中で、余裕のある区民にとってはそれもよいでしょう。
 しかし、議会が観光や文化、外国人観光客の誘致の議論に花を咲かせている間にも、「松尾芭蕉の銅像を建てるよりも、地域の不便の解消を早くやってほしい」(…これは具体的なある地域のあることについて言っているんですが)、「俳句のまちも結構だが、事業者の生活向上に直結する施策のほうを重視すべきじゃないのか」という直球を投げてくる区民がそこここにいることも十分考慮したほうがよいと思います。今の区政に対する「声なき声」であり、「サイレントマジョリティ」なのかもしれません。
 規制緩和や税制をはじめとするありとあらゆる優遇措置によって、力のあるものをさらに富ませ、貧しいものをさらに困窮させる国の政策に対して、一体、地方自治体がどれほど対抗できるのかという困難な課題であることも承知しておりますし、これが1つの理由かと思います。区民生活の底上げにつながる効果ある支援策は、確かに難しい。しかし、「区政への要望」のトップにはならないけれども、荒川区の地域経済の活性化は常に多くの区民の気にするところです。
 区内事業者の支援、産業振興については、地道な施策が提案され、担当部局の努力で進められていると思いますが、私たち議会も再度、区民が豊かになり、生活が向上することを大きな課題として押し上げていく必要があるということを自戒の念も込めて申し上げたいと思います。
 南千住汐入地区や日暮里地区を中心とする若年人口の流入で一見活気を呈しているかに見える荒川区ですが、こうした影の部分、困難になっている現状をもっと直視すべきだとこの間、この場で申し上げてきました。これまで長く税金を納め、地域社会を支えてきた層が復活できるような底上げ支援が目に見え、実感できるような予算にすべきだと再度申し上げます。
 2015年に『あらかわ元気クラブの荒川区基本構想』をつくるにあたり、私は、「地域ごとに人口の増減に違い」が出てきていることに着目し、衰退する傾向の地域に対する支援や「地域ごとのきめ細かな振興策が必要だ」と具体的な提案をいたしました。今後は、この構想の具体化に力を注いでいきたいと思います。
 さて、以下5つの点について述べたいと思います。
■第1に、ゆいの森あらかわの開館について
 吉村昭文学館は出身地である日暮里につくるべきで、縁もゆかりもない荒川2丁目に複合化することに反対であることは何度も申し上げたとおりです。今後は、吉村先生の出身地である日暮里の御実家にほど近い日暮里図書館でのコーナーを維持、充実し、ゆいの森文学館との連携を図っていただくことを要望いたします。

2017(平成29)年3月15日 予算反対討論

■第2に、保育園不足、保育士育成への対策について
 長く働き続けられる保育士を育成する基本は賃金です。来年度予算の目玉とされている保育士確保策についても、現場の保育士、とりわけ民間の保育園の保育士さんたちの意見を聞いて改善していただくよう要望いたします。
 また、保育園に入所基準について、所得の高い両親常勤の子どもが保育園に入れないのは不公平だとの議論がありましたが、働かなければ生活できない切実な事情の人を優先するのは当たり前で、保育サービスという概念に変わったからには、対価を払ってサービスを買うことと割り切り、負担できる方には応分の負担でサービスを買っていただくよう区別する考え方が必要になってきたのではないでしょうか。このことは、介護も医療も同様です。議論の整理、施策の整理が必要だと申し上げておきます。
 さらに、保育園の土地確保、定員拡大については、西日暮里2丁目の児童遊園廃止による拡大にとどまらず、東日暮里保育園跡地でのふれあい館に保育園を併設することを要望いたします。
■3番目に、介護保険制度の運営と地域密着型サービスについて
 介護保険事業を支える介護士を維持していく、流入を食いとめる基本もまた賃金です。一昨年は介護報酬が引き上げられ、処遇改善交付金は継続されましたが、機能せず、介護労働者の流出はとまらない現状が続いています。「介護崩壊」です。これを取り繕うような地域密着型サービスには私は反対です。
 この問題については、問題の性格上、国による抜本的な制度改正と人的にも人の措置についても公的な措置が必要だと考えています。反対した制度を維持しようとあがき、取り繕うのではなく、税で賄う制度に転換すべきだと再度申し上げます。
■さて4番目に、今後の再開発事業について申し上げます。
 日暮里地区の人口増の対策が手いっぱいという現状で、これと矛盾するような人口増につながる再開発にこだわるべきではありません。将来の街の見栄えをよくすること、権威づけにこだわりステータスを上げることばかりに熱中するような考え方はやめるべきだと思います。これでは区民生活は豊かになりません。
 三河島北地区における勉強会での意見を例にとって予算に関する特別委員会で質疑いたしましたが、これは特別なことではありません。一部の地権者ばかりでなく、再開発という手法を本当に大多数の当該地域の地権者が望んでいるのかも考慮すべきだと思います。再開発ありきの政策は荒川区を滅ぼす、転換を求めます。
 最後に、東京女子医科大学東医療センター移転問題への区の対応について申し上げます。
 総務費、衛生費で何回も質疑をいたしましたが、区の答弁は、東京都保健医療計画上の既存病床数の状況、これは昨年10月1日現在においてですが、区の東北部で不足数は9床しかなく、新たに整備できる病床の枠はほとんどない状況である。そして、足立区の病院整備の基本方針骨子案を仮定した場合には、現在、504床の東京女子医科大学東医療センターが400床ということになった場合、400床から500床の含みがあると書いてありますので、これが400床となった場合には、その差の104床が新たに整備できる病床の枠として生じることになる。しかし、この開設予定は平成33年以降の話ということになる。
 もう一方で、東京都の地域医療構想、これは平成28年7月策定ですが、ここでは平成37年、2025年の病床数の必要量が推計されています。これでは医療機関所在地ベースの推計で区東北部の必要病床数は9,715床、現在の東京都保健医療計画上の基準病床数は9,617床ですから、比較すると98床が不足することとなります。
 地域医療構想は平成30年に改定する次期の東京都保健医療計画と一体化することとなっています。その次期の東京都保健医療計画における基準病床数は、計画期間が平成30年から34年ということになっているため、この関連での設定がポイントとなるということでした。
 また、区としては、東京女子医科大学東医療センター移転反対の立場に変わりはなく、まずは東京女子医科大学東医療センターの移転を目的とした都有地の売却をしないよう東京都に強く要望していくけれども、いかなる事態にも対応できるように、災害拠点病院の要件となる200床の確保について、東京都に対して粘り強く要望していくということでございました。
 「荒川区はこれまで一体何をしてきたのか」という区民の率直な声は今も絶えません。区として、日常的な地域医療の安心確保と災害時の対応が可能な最低200床以上の病院確保を強く望みたいと思います。
 以上、申し上げましたが、広報が上手なだけではステータスは上がるかもしれませんが、区政は充実せず、区民は豊かになりません。来る4月28日は今日に至る日本の戦後を決したサンフランシスコ講和条約の発効から65周年に当たります。一般質問でも申し上げたとおり、世界の政治経済は大きく激動しており、日本は揺さぶられています。その影響は地域にも及んできます。こうした状況に耐えられる区政を求めまして、元気クラブの反対討論といたします。