河内ひとみのあらかわ日和

2014年12月3日 2014年11月23日
職員退職手当の引き下げは自治体の自主権放棄
平成25年3月14日、あらかわ元気クラブ斉藤ゆうこは、第1回定例会で職員の退職手当に関する条例に反対する討論を行ないました。

■ 議案第31号「職員の退職手当に関する条例」への反対討論

 私はあらかわ元気クラブとして、この条例による職員退職手当の引き下げに反対し、討論を致します。この条例改正によって、本年4月1日から、定年退職での最高支給率が52.2カ月から49.55カ月に普通退職では50カ月から41.25カ月に引き下げになるというもので、激変緩和のための一定の経過措置はあるものの、23区全体として一人当たり平均300万円の減額という大きな退職手当のカットを行うものです。

 私は、この数年間、職員給与引き下げの条例に、荒川区議会でただひとり反対してきました。それは、もはや人事院勧告制度が絶対ではなく、デフレスパイラルの中での、この制度の機能には極めて大きな疑問が生じているということ。また、職員団体との交渉が妥結したからといって、概算10年間で70万円もの給与引き下げが職員大多数にとって果たして納得のいくものなのかどうか、給料を下げられてモチベーションが上がる人はまれである、ということ。この2点からあえて反対をして来た訳です。

 とりわけ今日では、安倍政権が掲げるインフレターゲット政策との矛盾という問題もあります。本当にデフレスパイラルを転換しようという決意があるなら、もういい加減にこういうことをやめなければならない。地方自治体議会の態度も大いに問われていると思います。

 こうしたベースの問題に加えて、今回は国主導で地方公務員の退職手当削減が行われたという非常に許し難い問題があります。国は、地方公務員給与にくちばしを入れ、地方財政対策の中で地方公務員の給与削減を前提として給与関係費を削減するという挙に出ました。

 これまで地方自治体は国と比べて、はるかに給与の削減や定数削減などをすすめてきた。それなのに、国がこのように地方財政費を減額して、地方公務員の地方自治体に退職金カットを行わざるを得ないようし向けるのは地方自治体の自主権を犯す暴挙です。

 1月27日に、地方6団体が共同声明を発し、「極めて遺憾であり、地方公務員給与に関わる地方交付税を一方的に削減する今回のような措置を二度と行わないよう」強く求めています。全国の地方議会、また23区の議会でも同様の意見書が発せられる中、わが荒川区議会でも、今回の条例が地方自治体の自主権に関わるものであることを切実に感じて、多数の議員が反対に回られるよう、討論で呼び掛けるものです。

 最後に、特別区区長会会長である西川区長は、今回の退職金条例について、「結果的には不発に終わったが、反対の決議を取りまとめた。一方的に国が決めてくるのはけしからん、と言った」と委員会質疑で述べておられます。23区の区長さんたちが、そろって地方自治体が侵害されたとの気持ちをお持ちであるなら、「不発」は大変不本意と思います。

 西川区長は「納税者の圧力もある」とかねてから仰っていますが、私は「地方公務員の給与を下げても、溜飲は下がるかもしれないけど民間給与は上がらない。区民の中にはこれ以上公務員の給料・退職金まで下げて誰が商店街で買い物するのか」という世論もあります。また、意見を異にする納税者には説得も必要です。退職金を含む給与の引き下げは、地方としてもう限界にきており、特別区区長会としても決断の時であるという事を申し上げて反対討論と致します。