斉藤ゆうこのあらかわ日和

頑なに「独自測定を行わない」と孤塁を守っている荒川区 なぜ?

2011年10月12日  あらかわ元気クラブ 斉藤ゆうこ

 私は、あらかわ元気クラブとして「平成22年度 荒川区一般会計決」の認定に反対の討論を致します。

 この年度は、前年に政権交代した民主党・鳩山政権が打ち出した様々な政策、「コンクリートから人へ」の公共事業見直しや、こども手当などが、地方自治体の予算や政策にも影響を及ぼした年でした。鳩山首相の『こども手当』も話題になりましたが、劣化する今日の民主党政権を見るにつけ、何やらなつかしい気さえしてきます。
また、2007年のサブプライムローン破綻、2008年のリーマンショックと、いまにつながるアメリカ発の構造的な金融・経済破綻が世界に波及し、日本の経済、地域経済や雇用が大きな打撃を受けた年でした。

 このような中、荒川区は19年度(2007年度)から、この会計年度である22年度(2010年度)までの4年間に、総額91億円余の土地を取得しました。西川区政が標榜する『荒川版ニューディール』政策による財政出動の最たるものと言えます。

 私は初当選以来、4人の歴代区長による区政を拝見してきましたが、区が直接購入した土地、土地開発公社が購入した土地、併せて4年間で91億円余の公共用地取得は、これまででも突出したものであることは間違いありません。

 外郭団体調査特別委員会の席上でも資料配布をお願いして質疑を致しましたが、
■19年度に2件/7億2千万
■20年度に10件/20億7千万
■21年度にも同じく10件/55億1千万
■そして、この決算年度、22年度には12件/8億1千万円
の区財政を投入して、荒川2丁目の図書館・吉村文学館等複合施設用地、尾久八幡中等拡張用地、峡田小学校拡張用地などを購入しました。

 合計34件/91億3千万円の公共用地取得。財政運営の考え方は「緊縮財政」か「財政出動」かのどちらかですが、私は財政出動一般に反対をしている訳ではありません。問題は、血税を使ったこの財政出動が誰の利益になるのか、一部の特定の人の利益ではなく、大多数の区民に還元されるものなのか、広く区民経済を潤すものなのか、という点です。

 峡田小学校拡張用地については、かつて「誰から買ったのか」「どういう経緯の土地か」「適正価格か」に疑義があると申し上げましたが、区と不動産業者が納得づくで「地上げ」をし、その後、土地開発公社を経て転売されたという経過について、私は納得がいきません。また、荒川2丁目複合施設用地についても、日暮里のお生まれで、現在日暮里図書館にスペースを持つ吉村昭先生の記念文学館を荒川2丁目につくるという必然性がありません。土地取得が先行した、不要不急の「箱もの」建設との批判が区民の中に根強いのも当然です。さらに、日暮里区民事務所の隣地を取得しましたが、活用計画は一向に見えて来ません。ふれあい館建設については、老朽化したひろば館の土地を売却し、適地にふれあい館を建設する費用に充てるというのが当初の構想だったハズですが、早々と土地を購入して貸駐車場にしてきたケースもあるというのに、遅々としてすすまない予定地もあります。また、予定価格の60%、50%を下回る低価格落札が横行する中で、唯一ふれあい館の建設工事に限って、予定価格の99%、98%という高い落札率であり、固定した区内企業が受注してきたという事実も、今年3月の予算委員会で指摘されました。

 このようなことから、決算の認定に反対の第1の理由として、この決算年度を含む、数年にわたる公共用地取得は、特定の分野に偏った財政出動であると言わざるを得ず、大多数の区民の幸福は実感されていないという事を申し上げたいと思います。

 さらに、この年度も三河島駅前再開発事業は進展しました。20年以上の長きにわたって、区内10事業/総事業費1200億円/補助金260億つぎ込んだ駅前再開発事業は、日暮里再開発の残念な状況を契機に、区民から厳しい批判が相次ぐようになりました。
3月11日の東日本大震災以降、都市の安全性について様々な意見が続出していますが、十分な検証や計画見直しもなく、超高層の再開発計画が続行されることに大変な危機感を覚えます。

 反対の第2点目として、根本的な検証・見直しなどの対策なく進行する再開発事業のあり方に反対であることを改めて申し上げます。決算委員会においても、大震災を教訓とし、大震災に備える質問が相次ぎました。現実に3月の大震災では、日暮里再開発ビルの中層階のカベや床に亀裂、ヒビ割れが発生しました。また、落下物の危険や、人が歩けないような風害も起きています。

 超高層ビルが乱立し、すぐ後背地には木造住宅が密集する荒川区の街づくりについて、区民の生命と財産を守るために、もっと深刻な危機感を持ち、「これ迄とおり」ではない対応が必要だと思いますが、そうした構えは感じられませんでした。

 第3番目に、産業振興、商店街振興について申し上げます。イトーヨーカ堂開店時に4200平米だった大型店は13年間で5万平米になりました。「賞味期限の切れた缶詰を置いている店があった」と区長は3回にわたって区内商店のあり方を問題にされましたが、このような極端な例を繰り返し出されることについて、「心外だ!」と感じる商店主も多いことでしょう。自助努力は当然のことですが、それももう限界、という所まで来ている荒川区の商店街に対し、この年度も残念ながら際立った効果のある支援策は見られませんでした。地域商店街の存在は、荒川区にとって社会資本と言える役割があります。経済産業省のご指導に従うばかりでは地方自治体の存在意義はありません。

 最後に、3月11日の東日本大震災と福島原発事故は、防災と危機管理に関するこれまでの常識をくつがえし、国も地方自治体も、その態度を問われることになりました。放射能汚染問題について、荒川区議会は新たな特別委員会の中に明確な一項を入れて位置付けました。すでに「国や都まかせにできない」という都内の自治体は、何らかの形で地方自治体としての独自測定を開始しました。しかし、荒川区はただ一区、頑なに「独自測定を行わない」と孤塁を守っています。何のための危機管理なのでしょうか? 多くの区民から「理解できない」という声が上がっています。

 特に、最も将来の健康が心配される荒川区内の子どもたちの保護者からは厳しい批判の声があります。7月19日の区議会 健康・危機管理対策調査特別委員会では、独自測定を求める子育て世代の保護者たちの陳情が採決されましたが、同日、同じ内容の要望書が4千筆の署名を添えて西川区長に提出されました。

 8月1日には、荒川区PTA連合会長名で、同じく西川区長宛の要望書が出されましたが、区の方針の再検討も含めて、放射線対策を要望しています。また本日は、学校給食の安全を求める区内小・中学校、各校の保護者連名による要望書を携えた保護者の代表から川嵜教育長に手渡され、私たち4会派の議員も同席致しました。文京区根津小学校で、堆肥に使用する予定の落ち葉から、暫定基準値の3倍を上回るセシウムが検出されるなどの事件もあり、西川区長の『安全宣言』にもかかわらず、区民の不安はつのっています。 見近な自治体として、念のため、きめ細かく放射線の測定を行い、公表すべきではないでしょうか。「測らなければ安全かどうかはわからない」。この一言に尽きます。風評被害の影響を受けている区民の営業を守ることもできません。

 生産者も流通業者も、今後、測定と公表という対応を基本に消費者の信頼を得ることが必要になってきます。今後は、荒川区として、学校給食や区内に流通する食べ物の放射線測定を支援し、安全を確認して『安全宣言』を出すくらいの取り組みはできないものでしょうか。「測定値を公表すると地価が下がる。風評被害が出る」「大丈夫なんだから騒ぐ必要はない」、さらに北川部長は「マスコミはヒステリックだ」と答弁をされましたが、「安全だ」「いや、安全じゃない」との水かけ論に終止符を打って頂きたい。

 討論の最後に、こうした西川区政の方針を変更されることを強く求める、元気クラブの反対討論と致します。