斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は、あらかわ元気クラブとして、議員提出議案第15号、荒川区就学援助条例に反対の討論をいたします。
 まず、提出者は、今回この条例を提出する理由として、大きく2つの理由を挙げられました。その理由が適当であるのかどうかを検証いたしたいと思います。
 第1番目には、教育費の増大や不況による影響があるため、父母負担を軽減する必要があるという点、そして、2番目には、23区水準から見ても、どう見ても最低の水準にある、この荒川区の水準を引き上げることが必要であること。委員会の審議の中で質疑を申し上げましたが、大きくはこの2つの理由であるというふうに私どもは受けとめさせていただきました。
 では、その理由が妥当であるのかどうか、検証してみたいと思います。
 第1の理由を挙げられたその背景については、だれも異論を唱えるものではありません。長期不況、円高という厳しい経済環境の変化は、現在区民の皆さんに大変大きな打撃と精神的な苦痛を与えています。子供を持つ家庭ももちろん例外ではなく、収入の激減は子供の教育にも影響を及ぼしている、これは異論がありません。
 事業者の家庭では倒産や転廃業、サラリーマンの家庭でも解雇、一時帰休、減給など、過酷な状況が家計を圧迫、崩壊させているという現実があります。失業率の急激な増加に見られるように、再就職もままならない現状の中で、家庭の事情で子供たちが進学を諦めざるを得ないというような状態も実際に出てきております。
 バブルの時代、好況の状況とは大違いの状態、こんな苦しい状況が義務教育の子供を持つ家庭にもあらわれていることは間違いのない事実であります。
 このような中で、就学援助金が必要なところに手が届く制度として機能しているのかどうか。義務教育児童・生徒の就学保障に役立つことができるのか、この点こそまさに問題であります。もし、現行の制度や基準で必要な救済ができないというのであれば、提案者のおっしゃるように基準の改正が妥当であろうと思います。このことは、水準を高くとるか、低くとるかとは全く別の次元の問題であります。
 しかし、一定の水準を定めているのであれば、不況などの影響で世帯の収入が減少したケースでは、当然、これまで就学援助金の対象にならなかった世帯も、年度がわりでは援助金を受けられることになるはずですから、この点で、水準を問題にする議論は妥当ではない。つまり、経済環境の変化を理由に援助金の水準が高くなったり低くなったりということはあり得ないのであります。
 現に、若干ではあるが、5年度から認定率の上昇が認められる、そういう状況があります。これは、委員会質疑の中で資料を提出していただいた数字の中にもあらわれておりますが、恐らく、今後こうした傾向は強まるのではないか、受給者は増える傾向になるのではないかと思われます。
 ここでの問題は制度の運用であります。
 年度途中の収入が激減したようなケースに対応することができるようになっているのかどうか、この点、現場の対応はどうなっているのか。その点について、現在では比較的緩やかに申請が行われ、また、年度途中での認定についても、平成6年度には6件行われているというふうに伺っております。
 私は、さらにこの点については、経済環境の厳しさが依然として続いていく中で、学校現場での弾力的な運用を教育委員会に求めたいと思います。
 また、不況下の区民生活に対する支援という点から考えれば、この就学援助金という制度にとどまらず、他の施策で実質的な支援を行っていくことを、区としてもっともっとトータルに考えていく必要があると考えております。
 それでは、現在の水準、生保基準の1.08倍という基準が適当な水準であるかどうかという点が、まさに議論の対象となってまいります。
 提案者は第2番目にこの理由を挙げられました。現在、荒川区の生保基準1.08倍は、子供2人の4人家族のモデルケースで年収約350万円までの層が対象となっております。提案の1.5倍では、収入で約700万円への引き上げということになります。
 他区の水準を見てみましょう。23区の比較、これは所得でとるか、収入でとるか、また地域的ないろいろな実情もありまして、極めて数字の出し方、難しい点があるということを認識しておりますが、一応の比較で見ますと、1.2未満というのが荒川区を含め4区、そして1.2以上1.3未満が12区、1.25から1.3が6区、1.4は港区の1区のみ、そして提案者が言われる1.5という水準をとっている区は、23区の中では皆無であります。
 提案者の皆さんが、条例提案という厳密な作業をされる中で、1.5倍という数字を根拠として挙げられたこと、私どもは、この点について、この条例提案の1.5という数字が妥当であるというふうにはどう見ても考えられません。
 確かに、おっしゃるように、1.2倍以下の4区に入る我が区が、到底他区並みの水準を保った、こういう姿勢をとっているとは思えません。引き上げに私たちも賛成であります。
 皆さんが賛同されるのであれば、1.2でも1.3でもよいという質疑の中での提案者の姿勢。それでは1.2ないしは1.3で提案なさったらよろしかろうと私は考えます。この点は、委員会の審議の中で、恐らくどの委員もが感じられたことではないかと思います。なぜ1.25ではいけないのか。なぜ1.3ではいけないのか。こうした状況の中で、この提案を通そうという姿勢があるのかどうか、最後にこの点が問題になってくると思います。
 共産党の皆さんは、議員提案の中で、ぜひ他会派の皆さんの賛同を得てこの条例を通していただきたいといつもおっしゃっています。
 確かに、これまでには、他区の中でも積極的な推進してこられたような施策、荒川区がどう見ても立ちおくれている、もうそろそろ行政も重い腰を上げたらいいのではないか、こうした問題を共産党さんが積極的に提案されてきた、こういう姿勢を私どもは評価してまいりました。
 しかし、本当にこれからの4年間、私はこの4年間の入り口に立って共産党議員団が権利としてお持ちになっていらっしゃるこの議員提案権というものをどう行使されるか、その姿勢について最後に申し上げたいと思います。
 議員提出議案の提案ということは、議員固有の権利であります。もちろん、皆さんのおっしゃっているとおりであると思います。しかし、それは、同時に政策実現の手段ではありません。議員提案を条例という形で提案されるのであれば、まさに今の1.5なのか、1.25なのか、1.3なのか。このことについて、相馬議員は先ほど「根回し」などという言葉をされましたが、「政策協議」というのが正しい。政策協議を他会派とされたらどうなのか。34分の5で条例が通るわけもありません。
 私どもあらかわ元気クラブは、この8年間、共産党さんの積極的な姿勢を評価して、議員提案の多くには賛成をしてまいりました。しかし、こうした数字を示されて、本当にこれを全会派の賛成を得て、または多数の賛成を得て区民のために条例を通そうと考えるのであれば、もう少しお考えになったらいかがか。私は、この4年間の冒頭に、このことをはっきりと申し上げておきたいと思います。「根回し」ではありません。「政策協議」。1.3か1.2か、こういう議論も、就学援助金のあり方について、他会派も交え、また理事者も交えて教育委員会と丁々発止議論したことがあるでしょうか。そういうことの呼びかけをなさるのであれば、私は大いにこれからも共産党さんの議員提出議案を出される姿勢を支持してまいりたいと思います。
 ぜひ最後に、固有の権利というふうに主張なさっている共産党議員団の皆さんが、区民の皆さんのために団として提案される条例案が可決されることを本当に目指すのであれば、こうした姿勢で論拠を明らかにし、条例として成立されるようなものを他会派との調整、そして行政との討論、こうした政策議論のもとに出されることを望んでおきたいと思います。
 議員提案については、私たちほかの会派、他の荒川区議会の議員にとっても重要な課題であると思います。私は、地方議会が行政に対して独立した立場、そして一定の主体性というものを持つのであれば、超党派の議員提案を行って、そして区民のために適切な条例をつくっていく、こういう試みがこれからされなければならないのではないか。私たち、あらかわ元気クラブは、これから4年間、他の会派の皆さんとともに、ぜひこうした試みをしてまいりたいと考えます。これを申し添えて反対の討論といたします。