斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は、あらかわ元気クラブとして、2万名以上の署名を添えて区民の皆さんから直接請求をされました議案第26号、荒川区学童保育クラブ条例に賛成の討論をいたします。
 まず、この討論を行う初めに、私は、新年度から導入される学童クラブの民間委託問題、この点で区民の皆さんがたくさんの不安を私のところへも、そして議会の皆さんのところへもお寄せくださった、そういうことに関係した委員会の委員の一人として自己批判をしたいと思います。
 私は、区にだまされたと言いましたけれども、だまされた方にも問題があるわけでして、民間委託についての計画を区が早くから持っていながら、このことを委員会審議の中で明らかにできなかった。そして、今回の東日暮里3丁目の学童クラブ、それから西尾久、南千住にも計画がありますけれども、こうした新しく、これまで直営で行ってきた事業を民間委託するという初めての経験、この中で引き起こされたさまざまな混乱に対しては、私も痛切に責任を感じています。そういう立場から、今回の条例について討論をしたいと思います。
 まず、私がこの条例に賛成する理由、それは、学童クラブの保護者の皆さん、つまり荒川区の子育て世代の多くの皆さんが持つ区政に対する危機感に心から賛同するからです。
 きのう、私は地元の第三日暮里小学校の謝恩会に出席をしました。その中で、PTAの役員の方たちの中から、今度の学童クラブの署名には、私は働いていないのでクラブに子供を預けていないけれども、協力して一生懸命署名を集めましたという声が聞かれました。
 「斉藤さん、どうして今度のような民間委託をするんですか」。私が、それはやはり区が財政効率を第一というふうに考えるからでしょうというふうに申しましたら、「そこなんですね、私たちが嫌だなと思うのは」というふうにそのお母さんたちはおっしゃいました。
 なぜ子供や学校にばかりしわ寄せを持ち込むのか。子育て支援というけれども、どうしてもそういう感じを持ってしまう。そういうふうにお母さんたちは口々に言っていました。この危機感、区は一体これにどうお答えになるのでしょうか。既に信頼感は失われていると私は思います。それが、この2万3000人の署名の大きな背景になっているのではないでしょうか。
 失われた信頼感をどう回復するのか、これは区にとって大きな課題であります。学童クラブの保護者、すなわち子育て世代の皆さんの持つこういう危機感に裏打ちされた今度の条例直接請求の動き、これを私は心から支持するものです。ぜひ、区はこうした不信感をぬぐい去るために一層の努力をしていただきたい。またすべきであると申し上げたいと思います。
 この区政に対する強い不信感。なぜなのでしょうか。ここが問題です。この10年来、私が初めて議員になってこの場所で討論をした荒川区の基本構想、この中には、荒川区で働く女性のこと、子供のこと、こういうことはほとんど述べられていませんでした。こんな区政が10年前には存在していたわけです。したがって、子育て支援策だって当然おくれました。
 こういう中で、荒川区のいわば子供に対する政策の歴史みたいなものがありまして、その中で醸成されてきた不信感が、今回の民間委託の中で大きく出てきたといってもそれは不思議ではありません。ここのところを転換するような真の子育て支援策、そして子育て世代の皆さんの信頼を回復する努力を重ねてお願いしたいと思います。
 さて、私は、この条例に賛成をするものですが、しかし、以下の点を条例に補足しなければならないというふうに考えております。
 まず、その第一、条例化を進める場合、ぜひとも含むべき内容として受益者負担の導入という問題があります。私は、この問題については、国の法制化、自治体の条例は望ましい方向であり、もしそれを実現するというのであれば、受益者負担の導入は、法制化、条例化の必要条件であるというふうに思います。
 受益者負担を導入してもいいから法制化、つまり学童クラブ事業の位置づけをきちんとしてほしいというふうに考えている親は多い。これは、私のこの20年間の子育ての経験の中で実感していることです。この基準は、保育料の徴収基準と同様のものであろうというふうに私は思います。現在のような所得階層別徴収基準、そして、この導入をすることによって徴収基準を決めるのであれば、生活保護世帯や非課税世帯は当然保育料ゼロであります。こういう考え方に基づいて、負担できる皆さんには負担をお願いして、しかし、事業の位置づけはきちんと行うというのが筋であろうと私は考えております。いかがでしょうか。
 そして、入会基準について。この問題も、再三議論になってきました。今回の条例の問題について言えば、保育措置基準に準じたものとする。そして、この間、とりわけ10年前、私が先ほど申し上げたような条件下では極めて狭くとられてきた保育に欠けるという要件を思い切って拡大するべきであると思います。この問題については条例の中に含まれておりますが、私は、ぜひともここのところは必要な問題だと思っています。
 さて、委託に関する問題です。民間委託を進めるというからには、民間に資源があり、活用すべきというような今回の区の主張、また、この条例に反対をする皆さんの主張、こういう理由を挙げられる以前に、これまでの直営の学童クラブ事業に対する検証、評価というものがなければならないと思います。
 果たして、これまでの直営の事業は十分だったのかどうか。多様化する子育て世代の要求、そして多様化する女性の労働、そこでの保育に欠ける子供の実情に果たして十分こたえられているのかどうか。そこら辺の検討も私はぜひとも必要だと考えています。
 子供の放課後を取り巻く状況が変化し、要求が多様化していることに対する新しい総合的な施策を区はどのように考えてきたのか。この点です。
 私は、学童保育クラブ事業を拡大するという方向、この方向が効率化と逆行しないものであると考えています。従来、私が主張してきたように、100の事業を70に削る、65にする、こういうことが行政改革ではありません。100の資源で120、130の仕事をしていただくことも、これまた行財政改革であります。人件費の削減と人件費活用、この2つの方向が効率化にはあるのです。仕事をふやすこと、つまり、多様な子供たちを取り巻くニーズにこたえる事業に学童クラブ事業を拡大していくことこそ、それを直営で行うことこそ検討されるべきではなかったのでしょうか。
 今後の学童クラブ事業はどうあるべきかという点についても一言申し上げたいと思います。
 荒川の子供たちの放課後の状況、どうなっているでしょうか。遊び場、塾の問題、ファミコン漬け、そして偏差値教育など、子供を取り巻く状況は本当に激しく変化しています。そんな中で、保育に欠ける、つまり保護者の就労だとか疾病だとかいう状況の有無にかかわらず、お母さんたちが働いていなくても広く子供たちの放課後の過ごし方に対する政策というものが必要だろうと思います。
 学校教育と同様に、学童クラブの事業の中でも、福祉教育や消費者としての教育、それから地域産業教育というような新しいカリキュラムを持った地域教育、こういうことができる場が欲しい。これは、児童館と学校の活用をもって既存の施設をもっと開放し、利用していくことで実現されるのではないでしょうか。そういう多様な子供たちの放課後に対する施策の一部として、その中に保育に欠ける子供、つまり学童クラブ事業の位置づけがあっていい、私はそんなふうに感じます。
 こういう総合的な施策に欠けて、子供の放課後、学童クラブ事業だけを民間委託にするかどうかを議論するのは極めて狭いことである、そんなふうに考えています。
 結論として、私は、今のような状態で区が直営の事業の検証も行わず、安直に民間委託を進める、こうした考え方には賛同しかねるということをはっきり申し上げておきたいと思います。委託先の法人についての検討、具体的に名前を挙げて申し上げることはできませんが、かなり問題のある、または問題を起こしている、そういう法人に委託をする、こんなことも計画がされています。果たして、地域の皆さんがこういうことを黙って承知なさるでしょうか。私はそうではないと思います。
 以上申し上げて、今回の区民の皆さんから出された請求をもとに制定を求められた学童保育クラブ条例に賛成の討論といたします。