斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は、議員提出議案第1号、日本の代表としてイラク復興支援に協力する自衛隊の派遣を支持し、全隊員の無事帰国を願う決議に反対の討論を行います。
 イラク現地の情勢は、御存じのとおり、現在もなお混迷をきわめているといって過言ではありません。アメリカ主導の占領に武装した自衛隊を送った我が国政府の判断については、今もなお賛成、反対が国論を二分しております。国会の圧倒的多数であっても、国民の圧倒的支持とはなっていない。このような状況下で、荒川区議会の意思として決議を提案されること自体、地方議会の態度としても適当なものとは考えられません。イラク復興といいますが、そもそも自力で食べられる国を戦争で破壊しておいて、復興とはよく言ったものであります。戦争、復興、また戦争、そしてまた復興、コソボ、アフガニスタン、イラクと世界各地でこの繰り返しが行われてきました。資源泥棒と復興バブルは百年変わらない帝国主義の本領といったところでしょうか。
 作家の池澤夏樹さんは、「パンドラの時代」にこう書いています。2004年に文民政府によってイラクを統治するのに要する費用は200億ドル。これは、1年間に世界の途上国に与えられる開発援助金全体の3分の1を超える額です。石油資源において世界第2位のリッチな国になぜそれほどの金を投入しなければならないのか。本当に援助を必要としている貧しい国の怨嗟の声が聞こえます。これは、復興支援ということの本質を表していると私は考えております。
 私は、今回の自衛隊のイラク派遣について2つの点で反対であります。
 第1に、日本の自主外交という点からです。経済、安全保障と外交、これを一体として本当にアメリカとともに破綻する道、心中する道を日本は選ぶのでしょうか。
 そして第2に、多国籍企業が主導権を持つ日本経団連が主導するイラクへの自衛隊派遣は、本当に国益なのかという点です。この10年間、我が国の多国籍企業の海外権益は、数倍に膨れ上がってきました。その海外権益を軍隊で守る必要に迫られてきたということでしょうか。日本は、アメリカの戦争に兵隊を送って、イランのアザデガン油田の開発権をとったとも言われております。
 国論を二分するこの問題で、旧防衛庁の幹部や自民党の国会議員、旧国会議員の中に2つの意見があることも注目すべきであると思います。イラク派兵をめぐって我が国の保守層の中に生まれた亀裂、これは日本がこれからどういう道を進むのか、大きな分かれ道を感じさせます。敗戦以来、今日までまがいなりにも日本の青年を海外の戦争で死なせることはなかった。その道程を過去への戒めとともに歩んできた保守層の人たちの思いを私は重く受けとめています。
 昨年、相次いで2人の方のお話を聞く機会がありました。1人は、新潟県加茂市の現職市長で、元防衛庁の教育訓練局長を務めた小池清彦さんです。小池市長は、小泉首相あての書簡で、「さきの対戦において、祖国のため、戦火に散華された英霊が望まれたことは、祖国日本が再び国際武力紛争に巻き込まれることがないようにとのことであり、日本国民が再び戦場で幣れることのないようにということであったはずであります」と述べ、海外派遣中心の防衛政策から祖国防衛中心の防衛政策への転換、そしてアメリカの圧力から自衛隊員とその家族を守ることを訴えておられました。
 もう1人は野中広務さんです。野中広務氏は、イラク特措法が国会で採決されたときの退席について、自衛隊員が死ぬことが想定される事態に対して国会議員はその法律を通すのならば、記名をして責任をとるべきだと語りました。大変重い主張ではないでしょうか。
 私は、国の進路を誤らないため、いつか来た道にならないために、区民の皆さんと議論を続けることを申し添えまして、反対討論といたします。