斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は、あらかわ元気クラブとして、議案第35号、荒川区区民ひろば館条例の一部を改正する条例に反対の討論をいたします。
 まず、ひろば館の管理運営を荒川区で初めて民間法人に委託するという今回のケースが、議会と地域でどう取り扱われてきたのか、この点について述べたいと思います。
 4月13日の旧区民衛生委員会の報告事項として明らかになったこの件について、委員会は大変な驚きを持って受けとめました。というのは、同じこの委員会の席上で、昨年10月14日、11月19日と2回にわたって学童クラブの増設、整備を求める陳情の審査が行われてきたにもかかわらず、その際、理事者は新設クラブに民間委託の計画があることを一言たりとも答弁しなかったからであります。
 4月13日、委員会構成が変更になる前の最後の委員会の席上で突然報告されたこの事実は、委員長をはじめ、誰ひとりとして委員は知らなかった。そして、いつから民間委託を決めたのかという私の質問に対し、担当課長は「区の内部に検討委員会を設け、10月に決定している」と答えたのです。それなら、なぜ、この2回にわたる学童クラブ関連の陳情審査の際、明らかにしなかったのか。理事者側は、委員会に対し、区の民間委託計画を秘密裏に行うことにどういうメリットがおありなのでしょうか。
 しかも、11月19日の陳情審査では、ある委員の「学童クラブ増設の際の管理運営方法について、今後民間委託を考えないのか」という質問に対し、当時の担当課長は「現在、今後の方針がこれであるというのは、今と違ったこれであるというのを出す段階まで検討は進んでいない」と答弁し、一般論として「行政の効率性というのを常に考えて検討していかなければなりません」と述べるにとどまっているのであります。
 私立保育園の園長に受託の意思があるという具体例を挙げ、しかも、さきの答弁に対し「それでは対応が遅くなる。もし意思があるのなら、今の時点から検討すべきだが、明確な答弁を」と再度追求した委員に対し、あくまで「国の制度化等の動きを見ながら今後を探っていく」という答弁に終始したのであります。
 10月に決定した事項であれば、民間委託についてこれほどまでに具体的な指摘があった中で、なぜ、実は近くオープンの東日暮里3丁目ひろば館と学童クラブについて民間委託を考えておりますという答弁が出てこないのか。私は、今回の件について、このような不明朗な経過を議会でたどり、しかも、現在在籍しているクラブから分離して新しいクラブへ移籍する児童の保護者や地域の関連クラブ、職員団体などに何ら事前の相談もなく行われたことを、理事者は深く反省し、今後の経過に責任を負うべきであるということをはっきりと申し上げておきます。
 この背景には、学童クラブ事業、児童館事業やひろば館事業の内容を充実させ、地域の開かれた事業にしていくという見直しの観点からではなく、ただ単に民間委託をすればよいという極めて安直な、議論抜きの民間委託至上論があることを指摘したいと思います。
 正々堂々と、この事業について民間委託をしたいがどうだろうかと問題を投げかけ、議論したらいかがなのですか。
 今回開かれた外郭団体に関する特別委員会の2日間の審議でも明らかなように、必ずしも公社や民間への委託がコスト面で効率的であるという保証はどこにもありません。今後、すべての分野について、民間委託さえすれば行財政改革であるというような安直な発想をやめ、一つ一つのケースについて大いに議論すべきであると申し上げておきます。
 納税者である区民は、区民サービスに直接かかわるこれらの事業が、民間委託によって一体どれくらいのコストダウンになるのかを知りたいと思っています。事業をよりよいものにするため、委託法人で働く方々の労働条件をよくすることは欠かせない問題です。
 例えば、福祉関係の法人の場合、私立保育園を初め、特別養護老人ホームや通所センターなどで働く人は、賃金の公私格差是正を受け、また、荒川区では、区内の医療・福祉機関に働く人に対して、家賃助成の特例の対象としています。
 このように、民間福祉法人などに働く人々を大切にし、区内の施設で気持ちよく働いていただこうという施策は高く評価できるものです。働く側にとっても、雇用する法人の側にとってもプラスになると思いますが、それではコスト面ではどうなのか。当然コストは高くなります。この点を考えれば、民間委託イコールコストダウンという単純な図式は成り立ちません。
 学童クラブ指導員についても、当然その待遇を保証し、子供たちに対してよりよい仕事をしていただきたい、そうあらねばなりません。今後、こうした角度から、民間委託について問題にしていかなければならないと思います。
 さて、さきに述べたような経過のために、6月になって突然新しいクラブの民間委託を知らされた父母には、大きく不安が広がっています。
 受託法人に学童クラブ事業の経験がなく、本当に大丈夫なのか。学童クラブ事業は、保育という福祉の角度から見るより、社会教育的要素も強く、保育園の受託経験があるからといって、学童クラブ事業にはなじまないのではないか、こんな意見も出ています。
 また、委託料や常勤2名と言われている法人職員の労働条件などの面についても、当然父母は知る権利があると思います。また、子供たちと同居する通所センター利用のお年寄りがMRSA感染などの問題はないのか。さらに、この施設を学童クラブ事業のみにとどめるのか。もっと地域に開かれ、幼児と親に利用される施設とすることはできないのかなど、問題はたくさんあります。
 今後、委託内容の具体的な検討の過程で、地域のクラブに所属する親たちとの丁寧な対応、話し合いの中で、再度改めて民間委託を根本的に見直すよう要望いたします。
 最後に、既に行われている学童クラブ事業、児童館事業を、さらに地域に広く利用してもらうための事業の見直し、その中で、常勤職員の全館、全クラブへの配置、非常勤職員とのコーディネートを考え、今後新設するクラブへの配置をきちんと考えていくべきだということを申し上げておきます。
 安易な法人への民間委託には何のメリットもありません。
 以上申し上げて、私の反対討論といたします。