斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は、あらかわ元気クラブとして「荒川区良好な生活環境確保に関する条例」の制定に反対する討論を致します。

 この条例制定の発端となったのは、一昨年2定での小坂英二議員の本会議質問であると認識しています。改めてこのときの質問の主旨と、それに対する西川区長の答弁を拝見しました。
 質問者は「迷惑行為への厳しい対応を区として示すべきという観点からの質問」として、「私有地内に廃棄物を大量にため込む行為」「区道を不法占拠し、建築廃材などを放置する行為」などの事例を上げ、自転車での携帯電話やメール使用と併せて罰則適用を含めて厳しく取り締まる条例の制定を求めています。倫理崩壊の背景として「戦後60年余り、義務を教えず権利の主張ばかりを偏重した教育が行われたこと」が上げられ、また「ゴネ得」などという、最近どこかで聞いた、元大臣のような言葉も散見されるのですが、それはそれとして、この質問が今回の条例制定のきっかけのひとつとなっているのであろうと思います。
 これに対する西川区長の答弁は「議員のご提案は、区民自らがルールやマナーを守るよう、区として啓発に取り組むことを基本としつつも、限度を越える悪質なルール違反に対しては、罰則の適用も辞さない姿勢、仕組みも必要ではないか、ということかと思う」として、「どういう対応をすべきかの検討を行うよう指示したい」とし、「仮に罰則規定を設ける場合には、その実効性や他法令との整合性の検討、関係機関との協議・調整などを十分に行うことが不可欠であります。また何よりも、広く区民のコンセンサスを得ることが重要である。そうした点をしっかり踏まえて取り組んでまいりたい」というものでありました。
 果たして、そうした検討がさまざまな角度から行われたのでしょうか。法令はもとより、荒川区の他の施策(例えば『地域猫』の取り組み)などとの整合性が担保されているのでしょうか。そして何よりも区民のコンセンサスは得られたのでしょうか。
 私はそうは思いません。引用したような経過を踏まえるならば、条例のあり方と内容をめぐって、多くの区民の中から異論や疑義が出される中で、あえてこの議会で条例を制定を行う当局の方針には反対であるということを、まず申し上げておきます。
 
 さらに、この条例制定に反対の理由を2点に要約して申し上げたいと思います。
 第1に、ほんの何人かの区民の極端な行為、逸脱した行為に対して、いちいち条例をつくって規制するのか、という基本的な問題です。
 この間の身近な経験を踏まえれば、ワンルームマンションに対する条例制定がありました。あれを「2、3の悪質な業者を規制するものだ」と考えたら、それは大きな事実誤認であります。荒川区におけるワンルームマンション紛争は、2000年の法改正、REIT市場という不動産投資信託市場がわざわざ作られ、不動産が住宅政策としてではなく、投機の対象となった情勢の反映として、おこるべくしておこった事態でした。むしろ、こうした情勢に対抗する条例による規制は遅きに失したのであります。
 いかに地方分権が不十分であれ、地方自治体の長はひとつの大きな権力である、と私は認識しています。強制的な処分を行う権限を持つことも当然あろうかと思います。条例は地方自治体の最高の取り決めであり、また、住民に最も身近な自治体が地域のあり方を示し、区民生活に対して取り得る有効な防衛策、対抗策でもあります。だからこそ、ほんの2、3の極端な事例に対して、いつもならば、なかなか作らないというのに、あえて条例をつくる、などという事は、厳に謹むべきであると考えます。住民に身近な自治体職員の専門性や有能な力量を生かした、粘り強い説得やケア、コミュニケーションの放棄だ、というそしりはまぬがれないと思います。

 第2点目は、この問題に巻き込まれて無理解な被害を受け、まさに迷惑をこうむっていると言える、地域猫活動をボランティアで行う区民をどう守るのか。始めたばかりの地域猫の取り組みへの支援という苦の事業との整合性に欠けた条例を強行すべきでない、という点です。
 「荒川地域猫の会」有志の皆さんと中川雅治参議院議員が3815名の署名を添えて陳情をお出しになっていますが、ここで述べられた疑義や危惧は、まったくもっともな事であると思います。
 陳情の主旨には「1、廃棄物と動物をひとつの条例において規制対象としないこと。2、異常な「えさのバラまき放置」と「動物愛護活動として行われる飼い主のいない愛護動物への餌やり行為」とが明確に区別され、前者のみを規制していることが一見して明らかとなるような条例とすること」とありますが、条例を現在の条文のまま制定することは、やはり適当ではない、と見るべきでしょう。「区の他の施策との整合性」からみて妥当な内容ではありません。
 動物がペットショップで安易に売り買いされ、飼い主の都合で捨てられるような現在の状況こそ規制の対象とされるべきで、その結果、飼い主を失った猫こそ迷惑してるのにニャーと思います。その猫たちの限りない繁殖を食い止め、地域の人々との共生をめざす活動をしている区民が、とばっちりや被害を受けている現状は本末転倒ではないでしょうか。 これ以上、住民同士の対立に発展しないよう、区も議会も心をくばらなければなりません。地域猫の活動をする区民に対してあれこれ注文をつけるなど、筋違いの思い上がりではないでしょうか。

 最後に、このことから生じる区民活動への軋轢に対する区の対応を求めたいと思います。区が支援する活動なのですから、責任をもって地域猫活動への区民の理解を促進し、条例に関わる態度表明をして、すでにおきている心ない事態の打開に全力を挙げるべきである事を申し上げ、反対討論と致します。