河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月26日 2014年11月26日

 私は、あらかわ元気クラブとして、議案第26号「平成17年度荒川区一般会計予算」に反対の討論を致します。
 西川区長は、来年度予算の編成方針について、4点を上げられています。どの点も、現在の荒川区の抱える課題として重要なポイントであり、ここで上げられた課題自体に異存はございません。
 しかし、西川区長が就任間もない事を差し引いても、残念ながら、全体として「区政の転換」を印象づけるような、新味のある予算とは言えない。また、これから申し上げますように、4つの課題の解決方法には、会派として、西川区長や区当局とは異なる意見を持っております。
 予算への賛否は、あれやこれやの事業について要望が取り入れられたかどうか、というような次元の問題ではない、と心得ておりますので、32人の議会の中で、ただひとりではありますが、新区長の予算に反対を致します。

●まず、反対の第一の理由は『区政刷新と言うが、不祥事根絶に向けた矛先が違いはしないか』という点です。
 区政の刷新は、職員倫理の確立だけではありません。また、様々な契約制度の改革だけでもない、と私は考えております。これは昨年の事件を経験した生きた教訓です。
 職員倫理の確立は、荒川区に長く続いた構造的な癒着の片側の問題に過ぎません。予算委員会で紹介した職員アンケートをみるまでもなく、もう片側の問題は、私たち政治家の倫理問題です。ともすれば、事件を引き起こした幹部職員にだけ、目が向きがちですが、区民から選挙で選ばれた議員と区長、つまり政治家も同時に、やっていいことと悪いことの区別をはっきりさせる必要がある。この両方がそろってはじめて、お互い対等でフェアであり、「区政刷新」の決意を改めて区民に示せる、と私は思っておりますが、このてんで政治家である区長自身の姿勢も明確とは言えませんでした。
 また、入札制度の改革で不正防止を実現でき、公平・公正な契約が実現できる、と考えるのは、いかがなものでしょうか。低価格の契約を追求することだけが透明性ではない。弊害もあります。民間事業者にダンピング競争を強いれば、その果てにあるのは、人件費の抑制と生活できない賃金の増大、そして結局はそれを反映した税収の減少という堂々めぐりではないでしょうか。
 いずれにしろ、昨年の事件の再発防止、その本質は、このような入札改革にはない、と考えております。組織改正条例とあわせて反対を致します。
 最近の裁判で明るみに出た、新光ビルから荒井・元助役への500万円供与。この問題は、荒川区の中にある、歴史の長い癒着を物語るものと言えます。職員倫理と入札改革だけでない、総合的な区政の刷新を要望致します。

●第二の理由は『待ったなしの課題である地域経済活性化。そのための産業振興策に根本的な打開策が見られない』という点です。
 今日、全国各地に見られる地域経済の衰退は、国の経済・金融政策との関係を抜きにしては語れません。かつての経済産業副大臣として、この問題をどのように見ておられるのでしょうか。
 まちづくり三法が機能しない今、まちづくり条例で地域独自の規制をはかる試みが全国各地で行われています。こうした抜本策に足踏みして、何の地域経済活性化でしょうか。基金をはじめとする様々なメニューも空しく感じられます。
 今後、新たな事業を実行される中で、次のふたつの点を検討していただきたい。
 第一に、『ものづくりを残す町』を標榜されるのであれば、苦しい環境の中で頑張っている区内製造業について、徹底的に発展可能性を調査していただきたいこと。但し、この調査には、製造業の各分野に詳しい専門調査員を配置し、今後の条件をしっかり見極め、探っていただきたい。このような調査がなければ、あらゆる政策や事業も根拠がありません。
 第二に、『地域商店街を生かす』というのであれば、大型店出店などに対して、必要な規制措置を講じていただきたい。まず、全国のまちづくり条例の研究から始めていただきたいと思います。

●さて、反対の第三の理由は『荒川区の教育は、いま区民の最大の関心事のひとつ。これこそ問題解決に一歩踏み出してほしい』という点です。
 英語教育特区、学校選択制、習熟度別学習、幼稚園3才児保育などなど、子育て世代をはじめ、区民の声は百家争鳴の感があります。教育をめぐる課題こそ、解決に早く一歩を踏み出していただきたいと思います。

●各種の事業の改廃についても、いくつか申し上げたいと思います。
 荒川遊園の電子マネーは導入を延期、再検討し、中止に踏み切るべきであったと思いますが、実施する結果となったこと。また、評判の悪いフリーサイクル事業をやめたのは良いが、区民に評判の良かった「自転車の祭典」まで、なぜやめてしまったのか、など、この間、議会で議論になった事業の改廃に妥当な決断を下したとは言えません。

 討論の最後に、西川区長と議会との関係について一言申し上げたいと思います。
 西川区長は議会に対してきわめて丁重な姿勢をお持ちになり、今回の予算でも、政治枠とも言うべき枠を設け、復活折衝のような試みもされました。
 しかし、私は、議員の要望を「区民の代表」として尊重して下さるのはありがたいことですが、議員や会派を介さず、もっと直接、区民や区民団体と話し合ってと思うのです。
 また、予算委員会でのご発言の中からは、『行政 対 議会』という軸ではなく、『政治家 対 役人』という構図が散見されました。ご自分は『政治家の側』、ということでしょうか。健全な区政運営のため、この点もご一考をお願いしたいと思います。
 区政の転換、というとき、元気クラブはひとつの評価の基準をもっております。それは1999年に区民の皆さんと議論を闘わせながらつくった『元気クラブの荒川区基本構想』です。5年を経ましたが、この構想、政策は今も有効と考えております。がんセンターの見直しについても、この指標から評価、判断を致したいと思います。
 今後の区政運営の中では、介護保険の見直しと官民の役割分担の問題、事業評価制度の確立の問題など、様々に課題もあります。元気クラブは、荒川区議会の中にあって、小さくても健全な野党として役割を果たせるよう、ますます精進していくことを申し上げて、反対討論を終わります。