斉藤ゆうこのあらかわ日和

一般会計決算認定 反対討論
女子医大病院移転に区の打開策なし 指定管理者制度の是非を検証せよ 研究に時間を費やすより、目の前の子どもの貧困を救え

 私は、あらかわ元気クラブとして、平成27年度荒川区一般会計決算の認定に反対の討論をいたします。
 あらかわ元気クラブは、西川区政が満10年を迎えて編成したこの予算について、以下の理由で反対をいたしました。
 まず、予算編成の基本的な視点として、これまで地域社会を支えてきた層が復活できるような底上げ支援や、困っている区民を助ける活動を行う区民団体に大きく予算を割くことがかつてなく必要な情勢だが、そうした視点に欠け、将来に向けて荒川区の活力が戻るとは思えないこと、このことが反対の大きな理由でした。そして、予算に含まれる幾つかの事業についても反対であると申し上げました。
 第1に、荒川2丁目複合施設、吉村昭文学館は出身地である日暮里においてこそ価値があり、荒川2丁目に複合すべきではないこと、また、区の単費負担が過重であり、74億円を投入する箱モノが今後の財政負担となりかねないことが反対の理由です。
 第2に、介護保険の大改正について。
 自己負担割合を増やし、「要支援」高齢者を制度から除外して、自治体の「地域包括ケアシステム」に押しつける制度改正は、介護保険制度そのものの破綻を物語っていると思います。その上、介護報酬の引き下げで中小の事業所は経営が圧迫されて、処遇改善交付金は機能しなくなり、介護労働者の業界流出は止まりません。
 「経済財政諮問会議」が主張する「中小事業者は非効率だから淘汰すべきだ」との考え方こそ、制度崩壊の現況のひとつであり、地方自治体がこの改正に諾々と従うことは反対である。破綻した制度を取り繕うのではなく、現場として税で賄う制度への転換を国に促すべきだと申し上げました。
 さらに、区の単費で進める隅田川永久水利に反対であること、また、地域経済活性化支援のために、中小企業支援センター設置や「滞在型商店街」を実行してほしい。保育所の数にばかり気を取られず、保護者の精神疾患や発達障がいの支援など、直面する子育て支援の課題に積極的に対応してほしい。ひとり親家庭や貧困家庭支援の予算が少な過ぎるなどを申し上げて、『もっと現場に近づき、汗を流して支援に取り組む区民団体と同じ視点で、大きな規模の実際に使える予算を組んでほしい』と求めました。
 1年間の予算執行を経まして、ますます今、申し上げたような視点での予算の必要性は高まっていることを痛感し、この決算の認定に反対をいたします。
 以下、決算に関する特別委員会で課題となった3点について意見を申し上げたいと思います。
■まず、指定管理者制度をめぐる問題について
 「直営か指定管理か」の2者選択を期限つきで迫った国の政策によって始められたこの指定管理者制度でしたが、導入に当たり、さまざまな危惧を呈した私たち議会と区民に対し、区は財政効率だけでなく、区民サービス向上が目的だと再三再四、お念仏のようにと言った方もいらっしゃいますが、答弁してきました。13年を経て、外部監査の指摘などもあり、この検証が問われる局面となりました。
 まず、財政効率については、果たして本当に経費節減となっているのか、この検証が避けられません。区の常勤職員の賃金と指定管理者が人件費という科目で計上している経費との単純な比較について、区はこの年度、直営で59億6,000万円の算定、それに対し、指定管理では37億1,000万円であるとの試算を答弁しました。
 この数字は、非正規雇用を中心とする現在の指定管理者の賃金がいかに安いかを示す以外の何者でもありません。今日では、そのことをもって経費節減とすること自体に疑問が持たれ、社会問題となった情勢変化があります。13年過ぎたからね。行き過ぎた行財政改革がもたらしたひずみとして、食べていけない賃金が横行し、地方自治体がその片棒を担いだと指摘される今日の社会情勢から考えると、官と民との賃金差をもって財政効率がよくなったと軽々には論じられなくなりました。
 つまり、行革と財政効率一辺倒の風潮が生み出した新たな社会問題に対して、地方自治体も答えを出さなければならない情勢となった、そのことが前提にあると思います。
 しかし、さらにこの数字をもって、比較検討することが果たして妥当なのかという問題に踏み込んでいきますと、さまざまな問題が見えてきます。先ほどの人件費の比較は、指定管理の場合の人件費37億1,000万円、これは指定管理者自身が人件費という科目で支出に計上した数字の合計です。しかし、これ以外にも、「本社費」として計上された中に事実上の人件費が存在することがわかっています。こうした隠れた数字を加えなければ、真の人件費の比較はまず成り立ちません。
 また、こうした数字を加えると、ほとんどが人件費という指定管理の実態もありました。これでは、直営に変えたほうがいいんじゃないと思うのは、私ばかりではないと思います。
 区がこの年度に支払った指定管理料の総額を質問いたしましたところ、36億8,000万円との答弁でしたが、区が支払うさまざまな管理的経費を含んだこの契約総体の数字についても検討に加えなければ、「経費節減」の正しい比較にはなりません。
 さらに、事業者との契約には、当然のことながら消費税が乗っています。上昇を続け、ばかにならない額の消費税です。直営ならば、常勤であれ、非正規費用であれ、消費税は区の財政支出にはなりません。
また、指定管理では、これをチェックするために係る職員の膨大な仕事量も発生します。審査のための委員会やチェック項目ごとに点数をつけて報告書を作成する、だからといって、これまで指定管理者の契約が変更になった例はほとんどありません。多岐にわたる区民サービスの分野で指定管理者がふえ続ける中、こうした業務量の増大を直営の職員人件費に換算するとどうなるのか、幹部職員も含めて考えるべき課題です。
 さて、これらを総合して比較すると、「経費節減」、「財政効率」という命題が果たしてクリアできているのか。私がここで述べるまでもなく、各種の委員会、常任委員会や決算に関する特別委員会では、会派の違いを超えて多くの委員から疑問が提起されている問題です。
 第2に、「区民サービスの向上」という命題については、「公務員より民間のほうが区民サービス向上になる」と直営職員を代表する管理職が主張すること自体に忸怩たる思いがいたしましたが、当時の公務員攻撃は苛烈を極めておりましたので、叩かれ過ぎた結果なのかしらと推測する以外にありませんでした。
 今日、「民間事業者の管理部門」として存在するようになったこの区役所、地方自治体が現場を持たずして、区民のかゆいところ、痛いところに手が届く住民サービスができるのでしょうか。
 さらに、「区内事業者の活用や区民の雇用に資する」などの条件をつけておりますが、これが満たせるのかという問題もあります。そもそも、そんな状況にない企業に指定管理者を任せているケースがあるのではないでしょうか。具体例として、区民住宅、従前居住者住宅の指定管理者、東急コミュニティーの不適格性を挙げたいと思います。
 住居の修繕のみならず、冠婚葬祭から福祉介護用品のレンタルなど、いわば総合商社のように、あらゆる事業を関連の系列会社で賄っているこの事業者では、区内事業者の活用率が伸びるわけがありません。「区内でも実績が多くあるから」と丸投げして任せていると、区や議会が望む条件など実現するハズもない仕組みの企業が指定管理を受け続けることになると思います。
 佐藤副区長から、常任委員会でも決算に関する特別委員会でも、「検討を進めて新たなガイドラインをつくる」との答弁がありましたので、元気クラブはそれまでの間、一切の指定管理者の指定について反対することにいたしました。決算の認定にあたり、「このままではよくない」という少数会派の矜持として受け取っていただければと思います。
■さて、第2番目に、自治総合研究所の役割と費用対効果の検証について申し上げます。
 平成21年度から平成27年度までの決算額の合計は2億4,000万円、うち、人件費は1億8,000万円で75パーセントを占めます。平成25年度からは派遣職員の人件費が区からの直接支給に変更されているので、これを加えて割り返すと、さらに比率は上がります。「研究の成果を区の施策に生かすというけれど、この経費で直接貧困に陥った子どもを何人救えるのか」…そう考えざるを得ない数字ではないでしょうか。改めて今後の役割と存廃について、見直すべきときだと申し上げておきます。
■最後に、東京女子医科大学東医療センターの移転問題について申し上げます。
 区民からは「一体どうするつもりなの」という声が絶えません。足立区と東京女子医科大学が進める移転計画の建設予定地は、必ずしも都有地とは限らないということがだんだんにわかってきました。こうした中で、状況を注視するだけでなく、何らかの打開策を積極的に打ち出し、区民の医療ニーズを守る必要が区にはあります。どなたが区長になられても、避けて通れない問題だと思います。
 以上、申し上げまして、私の決算認定に反対の討論といたします。