河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月28日 2014年11月26日
 私は議案第23号、平成19(2007)年度荒川区一般会計予算に反対の討論をいたします。
 討論に先立ちまして、去る1月21日、8年間にわたるがんとの闘いの末、惜しまれつつ亡くなった故・遠矢徹元助役のご逝去を悼み、謹んで哀悼の意を表したいと思います。遠矢元助役は、平成5年から平成9年までの4年間、荒川区助役の職にあり、文字通り、職員集団のトップにふさわしい手腕を発揮されました。私たち少数会派とも公平に政策論議の機会をつくり、ご指導いただいたことを昨日のことのように思い出します。荒川ビジネスカレッジで若い職員に職員倫理について講演されましたが、それがお話を聞いた最後になりました。本当に残念な思いで一杯です。
 公務員として、また、荒川区をこよなく愛した区民のおひとりとして、真摯な姿勢を私たちに残された遠矢さんの志を受け継ぎ、精進することを誓いたいと思います。

 さて、来年度の予算でありますが、私は今回の予算について、大きく3つの点で異議があり、反対をいたします。
 第1は、歳入において、条例改正に反対をいたしました4月からの地方税増税が含まれている点であります。
 今回の地方税増税は、所得の低い区民に荒川区が倍額の区民税を負担させる、逆進税制によるものであります。また、国のいびつな三位一体改革を色濃く反映したものでもあります。税の問題は行政の基本であり、最重要の問題です。税制によって格差を二重に拡大するようなやり方はやめるべきですが、国も地方もこれに従ってきました。私は、財政運営の前提として、今年度予算に組み込まれる区民税の増税を認めることはできませんので、この予算に反対をいたします。
 第2に、この予算は、格差社会の渦中におかれる我が荒川区の区民生活に活力をもたらし、大多数の区民が豊かに暮らすことに寄与できるのか、という点であります。
 西川区長は、この間「区民の中に格差を拡大するようであってはならない」とくり返し表明されています。また、この議会の初日に行われた施政方針説明の中でも、グローバル化の進行で格差拡大がもたらされた、と『希望格差社会』を引用されて憂いを表明されました。私も同感であり、区政は格差拡大でゆがむ社会、苦しむ地域社会や区民生活に何ができるのか-この命題に取り組まなければならないと考えております。
 では、この予算の中に、そのような強い意志が示されているでしょうか? 私はきわめて不充分である、と評価をいたします。格差拡大は、強いもの、大きいものばかりを支援し続けた政治の、当然の結果であります。17年も18年もこれを続けていれば、特に小泉さんが一所懸命力を入れて推進しましたので、格差が拡大するのは当たり前であります。歯止めをかける、というのであれば、『弱い人への底上げ支援』に区財政を投入するのみならず、この大元である国の政策と、区民の目に見えるように争い、また、独自にできる『強いものへの規制』を行わないと効果は上がりません。『弱きを助け、強きを挫く』というのは日本人の美徳なんですが、小さいもの、弱いものに「頑張れ!頑張れ!」と叱咤激励するばかりでなく、強いものを抑えるという政策も必要です。
 国との問題について言えば、介護保険法や障害者自立支援法によって生じた区民負担を肩代わりするだけでは厚生労働省の思うツボでありまして、地方自治体がよってたかって国の政策を揺さぶるくらいのことが必要です。そういうお手伝いなら、いくらでもやりたいと思います。また、独自にできることとしては、大型店等の立地規制や、建築物への高度制限など、いろいろな方法があると思います。大きいもの、強いものを抑制することが地方自治体にも可能です。小さいものの代表、荒川区といたしましては、格差拡大に歯止めをかけるという気概を大いに示していただきたいものですが、残念ながらこの予算によって実行される産業振興や地域福祉の事業を見ましても、そのような気概がちょっと感じられません。もちろんこの問題は、将来にわたって、決して簡単なテーマではありません。新たな貧困の問題が現実となる中、区は格段の努力が必要と考えまして、荒川区基本構想にもあえて退席いたしました。
 さて第3に、公がやるべきことと民間に任せるものとの線引きについて、私は異議があります。
 今回の予算では、区立保育園2園について民間委託をする予算が組みこまれています。私はそもそも「小さな赤ちゃんの給食までどうしても民間委託するのか?」と申し上げたとおり、小さな子どもたちが通う保育園の給食は、安心・安全が最も関心事とされているこの時代、区が直営で責任をもって手間ヒマかけて、うーんと良いものを作って保護者である区民から感謝されるのが良いと思っていますが、いかがなものでしょうか。
 と言っている最中に、この4月からさつき保育園と原保育園の給食民間委託契約が、2度にわたる入札の不調によって履行できず、4月実施が不可能になったという情報が入ってきました。低価格契約の弊害がありますよ、価格の見積もりは本当に大丈夫なんですか、受ける業者がちゃんと安定して仕事ができるのか、2園実施から間もなくて検証はされているんですか、と私ばかりでなく、与党も含め、多くの議員が疑問を呈してきました。だから言ったじゃないの?!と言いたいのは、私ばかりではないと思います。
 区は6月実施と言っているようですが、時期も不適当!と保護者は訴えています。混乱はさけられません。いっそのこと今年度は見送りになさったらいかがですか? この際、保育園給食の委託は白紙に戻し、お考え直しになった方がよいのではないでしょうか。
 ことほど左様に、民間委託、指定管理者の指定と、荒川区での官から民への流れは一向に止まりません。民間委託や区の契約が格差拡大の引き金となってはならないと思います。「一般競争入札」「電子入札」「低価格入札」の弊害は、再三の議会からの要望にもかかわらず、まだ改まっていないとお見受けしました。また、非常勤職員の待遇改善という朗報の一方で、非常勤の外国人英語教員やスクールカウンセラーの処遇についても区の対応には問題があり、相談もきています。まだまだ区役所全体の中で、理念の確立が足りないのではないでしょうか。

 このようにただ文句を言っているばかりでは申し訳ありませんので、私たちあらかわ元気クラブは対案として、元気クラブの荒川区基本構想を作ってみました。区民の皆さんのご意見をいただきながら、議会各派や西川区政と政策論争を大いにしまして、区民が豊かに暮らせる荒川区をめざしていくことを申し上げて、あらかわ元気クラブの反対討論を終わります。