斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は、あらかわ元気クラブとして、議案第19号、荒川区一般会計予算に反対の討論をいたします。
 今回の予算は、その編成方針に、「新たな行政改革を着実に推し進める中、『七つの安心社会』の実現に向けて積極的に取り組む予算」との位置づけを掲げております。事務事業の見直し、事務事業全般について改めて客観的な評価を行うことで施策を厳選、新たな財源確保などが基本方針とされておりますが、これまでとは異なった新たな行財政改革に行政が一歩踏み込もうとしていることを今回の予算審議を通じて改めて感じました。それは、行財政改革がこれまでの民間委託推進という段階から、公有財産の民間への貸与・売却という新たな段階に進もうとしている点です。つまりは、小さな政府ならぬ、小さな自治体を推進する方針がより明確に掲げられたということであります。国における小さな政府とは、多国籍企業の国際競争を支援するための社会的コストの削減を意味しておりますが、小さな自治体もそこに連なるのでしょうか。大変理解に苦しみます。まずこの問題の是非について、私たちの会派の考え方について申し上げたいと思います。
 第1に、東日暮里3丁目児童遊園の隣接マンション建設工事への貸与。これによる児童遊園の全面閉鎖の問題がありました。区有地である児童遊園を閉鎖して、一民間業者のマンション建設に便宜を図るからには、これ以外に方法がないのかどうかの慎重な検討、これによって生じるさまざまな問題についての調査、周辺住民や利用者との合意形成、そして、これらがどのように進んでいるのかについての議会への報告といった手順が必要であります。そして、区が公有地を閉鎖してまで便宜供与することの裏づけが必要でしょう。つまり、このマンション建設がこの地域のまちづくりと、区としての住宅政策に貢献するものかどうか、その位置づけがあって初めて、貸与や条件についての検討がされるべきと私は考えます。行政が行う施策とはそういうものでしょう。また、区民との信頼関係とはそういうものではないでしょうか。大変大きな考え違いがあったように思います。
 第2に、那須の保養所のビューホテルへの貸与。当初の利益の2分の1を区へ還元するという条件と違いまして、初年度は2割しか還元されておりません。甘いのではないでしょうか。
 第3に、あらかわ遊園の地下駐車場を区外の民間パーキング会社へ貸与する問題。そもそもこの地下駐車場は、建設計画の段階から、平日の利用は少なく採算がとれないのではないかと懸念されておりました。その予測どおりお荷物施設となりました。契約相手先も条件もあいまいなまま、使用許可の条例だけ通すとは随分乱暴なやり方があったものです。
 第4に、永久貸与、無期限・無償貸与を検討しているという3つの特養ホームと10カ所の通所センター。高齢者福祉の拠点という位置づけで建設されたこれらの施設の建設経費は占めて100億円に上っております。1991年からの国の指導で進めた箱物建設の一つですが、荒川区では、この高齢者施設と統廃合による学校建設での普通建設事業費の増大が突出しております。90年代後半、その4年間に173億円から363億円へと借金を2倍にした原因もここにあります。こうして多額の区財政を建設費としてつぎ込んだ区有施設を、次から次へと無償で民間にくれてやるとしたら、果たして区民は納得するでしょうか。施設をつくれば維持管理にもお金がかかり、そこで区民にサービス提供するのですから事業費や人件費がかかり続けるのは当たり前のことです。区財政を100億も200億も使って土地を買い、施設を建設し、借金をふやしておいて、そのあげく不採算だから、お金がかかるから、財政負担だから手放したい、区の責任から分離したい、これでは余りに安直かつ無責任です。こういうのを行財政改革とは言わないんじゃないでしょうか。
 私たち元気クラブは、今回の予算編成方針の中に描かれた新たな行革推進の流れ、公有財産の貸与・売却について、これを野放しにせず、ルールをつくって対処すべきであると考えます。地域活性化に役立ち、区の将来に貢献できるのか、区民サービスは拡大するのか、また、財政上の仕組みはどうなるのかなど基準をあらかじめ定める必要があります。また、貸与期間に目的に沿った成果があるのかを調査し、区民が参加する審査会をつくって評価を行い、問題があれば継続して貸与しない、返していただくなどのきちんとした歯どめが必要です。ましてや、どこの世界に永久貸与などという契約があるのでしょうか。特養の選定には基準もないというありさまでございます。私たち元気クラブは、絶対に区の土地を売ってはならない、絶対に区有財産を貸してはいけないと考えておりません。地域の中にある力に頼り、例えばNPO法人や社会的活動をしている団体、また、まちづくり会社などの民間団体に貸したり売ったりして有効活用するのであれば荒川区にとってプラスになりますが、このまま野放しに貸与・売却を進めれば、丸投げ・切り売りとのそしりは免れません。大きな流れとなりつつある歯どめなき公有財産の貸与・売却には反対であることを申し上げておきます。
 さて、今回の予算委員会は諸般の事情から、あらかわ遊園の見直しに関する集中審議などという異常事態を引き起こすことになりました。本来であれば、かつてなく地域経済が低迷し、区民生活が苦境に陥っているとき、最も身近な自治体である荒川区が、この予算を使ってどう支援できるのか、また、荒川区の発展を阻害しているものがあるとすれば、これをどう取り除いていくのか、区民の痛みと心を通じた厳しい議論が必要であったはずと思います。
 まず、深刻な雇用問題について。荒川区として、国任せにせず、直接雇用と地域雇用の促進のために具体的な手を打つべきと考えますが、予算に積極策は見られません。法改正を受けて地域雇用に取り組んでいる他の自治体から見て、また、荒川区民の仕事がない、失業に陥った人も多い、その一方で区内中小企業は、本当は将来のために人材が欲しい、だけど経営が厳しい、こういった状況を打開していく知恵と努力を求めたいと思います。
 さらに、藤澤区長はこの議会の初日の施政方針で、「経済の血液である金融が機能不全。企業倒産や失業率は過去最高」と述べられましたが、議会最終日を迎えまして、我が国は金融危機の様相を呈してまいりました。年度末を控えた区内事業者は不安を一層募らせております。政府の過酷な経済金融政策からどうやって区内事業者を防衛するのかが一段と問われてきました。「産業安心社会」を目指す荒川区を不安に陥れる政府の経済金融政策と闘いつつ、予算で地域経済立て直しを第一に推進していただくことを強く要望いたします。
 最後に、予算の執行体制について申し上げます。藤澤区政になって2年余。最近、行政の一方的な施策推進は、事ここにきわまってきた感があります。政策決定の方法や流れがおかしいと申し上げましたが、学校給食などの契約や新興教育産業の区内進出のいきさつを見ていると、このままでは藤澤区政そのものが批判を免れないと感じます。もちろん議会も、「何をやっているのか」との批判は甘んじて受けなければならないと思います。とりわけ、子ども教育支援財団とクラーク国際高校に関する事業については、改めて白紙撤回を求めます。これが教育改革では余りに安直です。高橋助役が、「私がよいと判断した」などと言って御理解願えるほど議会も区民も甘くはありません。この際、行政全体として区の事業の信頼にかけて再考されることを強く求めます。
 戦争への緊張が高まる国際情勢の中、我が国の経済は金融危機に直面し、政局も行き詰まってまいりました。国会は空転しております。このような状況の中で本日、来年度予算が採決され、私たちも任期最後の議会が終了します。かつてなく苦しい地域経済と区民生活に心を寄せ、痛みを共有する区政を、そして現状打開のために闘う区政を求め、また、みずからにも課題と課して、あらかわ元気クラブの反対討論といたします。