河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月26日 2014年11月26日

 私は、あらかわ元気クラブとして議案第63号「荒川区介護保険条例の一部改正」に反対の討論を致します。
 この条例改正は、自民、公明、民主の賛成多数により、国会で成立した介護保険法改正にともなう条例改正であります。

 今回の法改正は、2000年4月の介護保険発足以来、初めての大幅見直しですが、これまで行われた単位数の変更や調整とは異なり、制度自体の方向性を変える内容を含んでいます。そしてその動機は当初から予測された保険給付の増大を押さえることに他なりません。利用者の負担増とサービスの削減に矛盾を転嫁する制度の改悪そのものです。
 デイサービスは食事が自己負担となり、施設入居者は全国平均で一人当たり3万円強の負担増が予測されました。減免制度の適用は全体の36%しかなく、このままだと減免制度を利用しても81%が負担増になると推定され、実際その通りになっているようです。
 少ない年金のあらかたをつぎ込んできた人も、もう賄うことは不可能になると思いますし、当然、生活保護の増加にもつながります。

 今日から3日後の10月1日に条例改正が行われると、施設入所をなさっている1049名の区民が受ける影響は、生活保護と世帯非課税で老齢福祉年金受給されている114名の方は負担のプラスマイナスはなし、世帯非課税で本人収入が80万円以下の308名の方は3000円の負担減、次の所得階層の117名の方が15000円の負担増、その次以降の所得階層の510名が25000円の負担増で、この方たちは年間にして30万円の負担増ということになります。
 また、デイサービスに通う区民の食事代は全額自己負担となりますが、今回荒川区は、
その25%を区財政で肩代わりし、補助することになりました。

 国が、給付を減らす今回のような場合、荒川区が介護保険財政の悪化を防ごうとすれば、利用者の負担を増やす以外にありません。荒川区が区民の負担を肩代わりしようとすれば区財政を持ち出すしか方法はありません。私は、国の制度改悪のたびに区財政で補填するようなことは筋ちがいな話だと思います。
 「持続可能な制度にするための措置だ」などと言いますが、そもそも税でまかなってきた福祉に保険を導入し、複雑な制度にした上に、保険者を地方に押し付けたのがまちがいです。財源として目的税をおくのか、消費税を増税するのか、はたまた歳出見直しや応能負担強化で税収を増やすのか、は意見が別れるでしょうが、それはその次の問題として、まず、保険制度をやめ、税でまかなう制度に戻すべきであると考えます。
 あらかわ元気クラブは、改めてこの介護保険制度そのものに反対であり、破綻しないうちに介護保険制度をやめるべきだ、と申し上げておきます。

 そもそも、介護保険は1995年(平成7年)に大蔵省の諮問機関である財政制度審議会答申の中で示されたもので、高齢者の福祉向上のためではなく、財政問題解決のために出された制度です。また、福祉分野への企業の参入、市場開放をすすめたい財界の意向もありました。構造改革の典型的政策であり、これは「福祉の民営化」であります。
 見直しの論議が始まった昨年4月に経団連がまとめた意見の概要、というのがありますが、今回の改正法案とそっくりの内容です。厚生労働省が経団連の主張を口写しにしているとしか思えません。
 介護保険の導入は、当初、医療費の抑制も大きな目的でした。医療費はねらい通り減少しているのだから、介護費用が少し位上がったからといって、介護保険給付を減らす!と騒ぐような問題ではありません。また、給付の上限を設け、超えれば自己負担なのだから、人数だけが問題であり、高齢者の増加にともなう介護費用の増加なら想定の範囲内のはずです。
 今回の法改正にもとづく条例改正は、介護保険制度の矛盾を拡大するものであります。区は条例改正でこれに追随せず、制度そのものを変える提案を積極的に国に対してしていただきたい。
 以上、申し上げてあらかわ元気クラブの反対討論と致します。