斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は、あらかわ元気クラブとして、認定第1号「平成17年度荒川区一般会計決算」の認定に反対の討論を致します。
 この平成17年(2005)年度の予算は、西川区長就任後まもない予算でしたが、「そのことを差し引いても、残念ながら、全体として区政の転換を印象づけるような新味のある予算とは言えない」として、元気クラブは32人の議会の中で唯一この予算に反対を致しました。

 具体的な反対の理由として私は3点を上げました。それは-
第1に、不祥事の再発防止に『刷新』を掲げたが、議員・政治家の倫理については不問ではないか、という点。また、不正防止の目玉は『入札改革』だが、実態は安値契約の誘導であり、そこには弊害もある、という点。
第2に、地域経済活性化、産業振興というが、予算に根本的な打開策は見えない、という点。
第3に、区民の最大関心事のひとつである荒川区の教育をめぐる問題-小学校からの英語教育の是非や学校選択性、区立幼稚園の3歳児保育などの問題解決にこそ、一歩を踏み出して頂きたかったが、検討のための予算もつかないという点。
-この3点でありました。
 また、この年度に行われた理念なき組織改正にも反対を致しましたが、やはりこの年度の組織改正は職務の一極集中、調整処理能力の低下、業務の停滞、といった実情に合わない点も数多くあったようで、今年4月から行政組織はまた、改正が行われました。

 では、決算を行なってどうだったのか。区民の暮らしと地域の元気は、果たして良くなったのでしょうか。
 第1番目の問題では、議会の消極性という問題もありますが、不正防止は職員倫理ばかりが言われ、議員・政治家を含む『包括的な倫理条例』は結局制定されませんでした。「口利きの文書化」や「議員接触メモの共有化」などの規定整備が必要、との意見が管理職対象の調査でも目立つのに、制度化はされずじまいでした。
 そして、この年度に行った契約の中で、予測した通り、安値契約の弊害が明るみに出ました。区役所本庁舎の『警備・巡視委託契約』で相手先企業が労働基準法違反、最低賃金法違反を労働基準監督署から指摘され、今年5月29日に是正勧告を受けるという事態が発生しました。法令遵守の指導をしてきた荒川区当局として、重く受け止めるべき事件だと思います。
 区の契約のあり方は区民の仕事と賃金・工賃への影響も大きく、区内事業者を始めとする多くの事業者と、そこで働く人々の営業や生活を左右していると言っても過言ではありません。区の契約を歪める行為をなくし、入札や契約を公正にしていこう、という問題意識は当然だと思いますが、その一方で安値契約の結果、事業者の適正利益を損ない、そこで働くひとたちの生活できない賃金を生み出すことになりかねない。元気クラブは、かねてからこうした警告を発してきましたが、これが現実のものとなりました。
 この際、このような労働基準法違反事件の再発を防止するため、西川区長がこの3月の予算委員会で超党派の質疑を受けて示された『契約5原則』ともいえる内容-
1.公平・公正であること
2.働く人の立場に立つものであること
3.中小事業者の厳しい環境にも配慮があること
4.納税者にも納得のいくものであること
5.安全性が確保できること
-この5項目を理念として盛り込んだ総合評価制度を制定していただきたい。中小事業者の適正利益とそこで働く人たちの適正な賃金の確保はムダ遣いではありません。行革で『民』にお願いした仕事がただ安値一辺倒では、地域経済にも、税収にもプラスになりません。再発防止策としてこうした措置を要望致します。
 第2番目の商店街振興の問題では予算執行上も消極性が目立ちました。空き店舗対策費の執行ゼロは、商店街振興策についての当事者の意識とのズレがあり、施策の一人歩きではなかったかと思います。地域にとって、区民にとって、将来必要とされながらも、衰退を続け、危機に瀕している商店街を本当に底上げ支援することを、心から求めたいと思います。

 さて、昨年度決算全般の状況についてですが、大渕収入役は歳入について「都区財政調整交付金が好調であること、住民税も3億円の増収であること」を上げられました。歳出については「議会のご指導を得て、職員定数削減等に取り組んだこと」「補助金などの削減もすすめたこと」を上げられました。
 また、特別会計への繰り出しが70~80億円で800億の一般会計の一割を占める突出ぶりであることも特徴として上げられました。区財政の今後の見通しについて、大渕収入役は景気の動向について触れ、『格差ある好況』という言葉を使われました。また、締め括り総括質疑で申し上げましたように、昨年度で12年間続いた苛酷とも言える行革の象徴「予算のマイナスシーリング」も昨年度が最後となるようです。決算全般を振り返り、今後の荒川区財政を考えるとき、この辺りのことがポイントになってくるのではないか、と思いますので、この点についても少し意見を述べたいと思います。
 まず、自主財源の乏しい荒川区にとって、真の財政健全化をめざす努力を、予算を投入して行うべきと考えます。西川区長が日経新聞の記事にふれて語られた悔しい思いは、荒川区の歴史的な産業構造と区民の暮らしを反映した財政の本質問題です。荒川区に暮らす区民が豊かになり、その結果、区財政が潤うようにするためには、やはり、中小零細企業中心の地域経済を回復させる以外にありません。試行錯誤を続けてきましたが、まだ、その方向は定まっていないと言えます。
 さらに、予算のマイナスシーリングを12年間続けた行革路線にも、弊害や歪みが顕在化しており、契約や補助金やサンセット事業の見直しなど、改める点は改めていく必要を強く感じます。
 また、国の構造改革推進が、とりわけ社会保障の分野で区民生活に悪影響を及ぼしている今、これと闘いながら区民を助けていかなければならない、という課題も出てきました。国の政策と地方自治体財政の利害が直結している訳です。もう皆さん、耳にタコかと思いますが、介護保険制度はこのままで良いのか、荒川区を挙げて真剣に国に問題提起をしていこう、と皆さんに呼びかけたいと思います。

 最後に、昨年度決算は当初反対した通り、『刷新』不充分でありました。そればかりか結果として、法律に違反して、働く人を苦境に陥れるような問題を生むことになりました。今後、『生きられる町、暮らせる政治。』をすすめていくためには、国と闘いながら、区民の皆さんの力で町を良くする予算と施策が必要だろうと思います。今後の予算執行の本格的な転換を求めて、元気クラブの反対討論を終わります。