斉藤ゆうこのあらかわ日和

議案第55号「荒川区立清里少年自然の家」指定管理条例 反対討論

2011年10月12日  あらかわ元気クラブ 斉藤ゆうこ

入居者看板

 この条例は、清里高原ロッジと同じく、これらの施設の指定管理者に、これまでの事業者であるニッコクトラストに加え、共同プロジェクトを組む東京電力の100%子会社・尾瀬林業を指定するものです。

 私は、この指定管理について、文教・子育て支援委員会で質疑を致しました。まず、2社による共同企業体を指定管理者の候補者とした経過について伺いましたが、いずれも今年になってから、3月の福島原発事故以降の5月から7月の間に選定作業を行ったとのことでした。また、4社から選んだ理由と評価について伺いましたが、「自然観察会に実績があることを評価した」とのことでした。

 尾瀬林業についても伺いました。この会社は2年前に日暮里再開発ビルに入居しています。空きが目立つ日暮里再開発ビルですが、荒川区との接触の経過、接点はどこにあったのか? また、ニッコクトラストとの共同企業体形成に区は関与しているのか? と伺いましたところ、西川区長はじめ区の幹部職員は、紹介や関与はないと否定されました。

 まったく不思議な事であると私は思います。東京電力のグループ企業がこの時期、参入して来ることは、果たして単なる偶然なのでしょうか。

 さらに、指定管理者への参入でどのような効果を期待しているのか、という問いに対しては、「小・中学校移動教室での自然体験メニューなどが提案されている」との事でしたが、私は東京電力のグループ企業が行う『環境教育』とは如何なるものなのか疑念があり、到底納得がいきません。

 「原子力発電こそ最もクリーンで、最も低コストなエネルギー」と主張してきたのは東京電力でしたが、福島原発の事故によって、それとは全く逆の事実が示されました。東京電力は尾瀬の土地の1/3程を所有し、尾瀬林業が管理をしていますが、もともとはダム開発の水源地として所有していた土地でした。自然保護運動の高まりによってダム開発計画を断念したのは最近の事です。また、尾瀬林業は大変幅広い事業を行っていますが、火力発電の周辺に植樹をする事業も受け持っています。水力発電は自然保護と対立し、火力発電は環境負荷が高いと言われ、やはり、原子力発電が大事だ、ということなのでしょうか。

 さて、東京電力はほかにも荒川区に登場しています。先日の決算委員会で、この「東日本大震災から学ぶ中学生講座」について伺いました。表紙をめくると、東京荒川西ライオンズクラブ次年度会長候補、4月の時点ですからそうなっていますが、今は会長になられた西川千恵子さんのお名前で要請文が掲載されています。提案された講座への中学生の派遣と教師の派遣を要請しています。結局、この講座は教育委員会が主催する形で行われました。

 この講座では、「原子力エネルギーをエネルギー資源の一つとして利用していることを理解するとともに、環境放射線等の風評被害に惑わされない、正しく、安全な原子力エネルギーの利用方法と生活との関わりについて理解する」とする、首都大学東京の福士政広教授の講座が設けられ、さらに「電力の需給状況について」として東京電力を講師に呼んでいます。

 偏っていませんか? 西川区長は決算委員会で「私はなんら政治的意図を持っていない。そのような下品な意図はない」と主張されましたが、この冊子のつくりを見ますと、そう上品なものとも言えません。

 子どもたち、特に中学生たちは、大震災と福島原発の事故、その後の状況の中に身を置きながら、今までのやり方のどこが間違っていたのか? これまで通りでいいのだろうか? これから自分たちはどうしたら良いのか?-自分たちの頭で考え、自分で判断する力を培う大事なときです。このように「原発は安全である」との理念で事業を推進してきた事業者や学者の一方的な主張だけを区が取り上げ、同調することは不適切であり、区民の信頼を得られるとは思えません。

 この時期、あえて東京電力の100%グループ企業を指定管理者として導入することに反対をし、教育委員会の責任で、荒川区の子どもたちに適切で偏りのない教育が行われることを強く求めて、反対討論と致します。