斉藤ゆうこのあらかわ日和

 あらかわ元気クラブとして荒川区の来年度予算に反対の討論を致します。
 802億円の来年度予算は、「4年連続で特別な財源対策を取らずに収支の均衡を図ることができた」という財政好転の下、その財政を各方面へ様々に配分したものです。一時期の行革一辺倒の予算と比べれば、その配分具合はかなりのものである、という印象を持ちました。
 非常勤制度の見直し、企業内大学としての荒川ビジネスカレッジ、国との連携の下にすすめるマックプロジェクトなどを挙げて、西川区長が「これまでの自治体の常識にとらわれない、思い切った施策が数多く含まれる」と自負される今回の予算ですが、果たして、その効果はいかがなものでしょうか。戦略を持って荒川区を本質的に改革する一貫となる予算なのでしょうか。
 私は、2つの点において、異論と疑問を差し挟みたいと思います。
 ひとつは、これまで長年にわたって培われ、形作られてきた、言わば『荒川区特有』とも言える行財政体質の変革という点。もうひとつは、これまで荒川区を支えて働いてきた大多数の区民にとって、長期的な目で見たとき、希望が持てる荒川区の未来が描けるのか、という点であります。
 この予算が、たとえ「当面」区民から喜ばれる面を持つ予算であったとしても、そのことに止まらず荒川区の構造的な問題点は変わっておらず、深刻であることを指摘したいと思います。

 それは、予算特別委員会で質疑したいくつかの問題、とりわけ以下の点について現れています。
 まず、充分な検証もなく、一挙に6園に拡大する保育園給食の民間委託。
 「荒川区は、小さな赤ちゃんの給食まで民間委託するのか」、それが食の安全・安心が注視されるいま、最良の方法と言えるのか。多くの保護者から「NO!」という答えが返ってきていますが、それを押し切って一挙に強行するだけの価値があるのか。まったく理解に苦しみます、財政削減効果は一園あたり170万円と試算されましたが、この程度の金額にこだわり、規定方針にこだわり続ける当局の判断は誤っていると思います。
 さらに、区立幼稚園3歳児保育の全園実施を非常勤職員で行う事になった問題であります。
 10年の試行期間を経て行われた『全園での3歳児保育実施』は大きな政策転換でした。それだけに、職員体制が非常勤となった事は、多くの保護者や区民の期待を裏切るものではないでしょうか。これだけの事を決断するのであれば、当然人件費や体制について充分な吟味があってしかるべきですが、出て来た結論は、とにかく実施、早く実施、人数も施行以上に受け入れ、体制は非常勤。本当に良いのか、これも納得がいきません。
 ことほど然様に、「新たな人事戦略」を掲げても、この現状を見る限り、一向に歯止めのない非常勤職員の採用、指定管理の増大、以外の何物でもありません。
 西川区長は「ただ削る、減らすだけの行革はやらない」とおっしゃいますが、これまでとどこが違うのでしょうか。
 25年にわたる苛酷な行革は、退職不補充による職員の年齢構成の歪みを生み、第一線にありながら年収200万円台の多くの非常勤職員を生み、職員の中に緊張感以上のあつれきを生んで来ました。これが「荒川区特有の行財政体質」です。
 増え続ける非常勤職員、増え続ける指定管理者に対して、当局として再度原点に帰って実行ある対処を打ち出す時と考えます。

 さらに、荒川区に住み続けてきた区民が将来に希望を持てる予算なのか、という問題についても、若干申し上げたいと思います。
 この問題の根幹は「中小・零細企業の多い我が区の地域経済を活性化し、そのことを持って真に区財政を健全化する」ということに尽きます。やはり、荒川区の体質改善に直結した問題なのですが、この間の産業振興策は多くの区民や事業者にとって実効あるものとは言えず、『商店街ルネッサンス』を掲げた産業経済費についても、事業者の評判は芳しくありません。今回の予算においても目新しい変化は見られませんでした。

 一時的に好転した財政をあちこちに配分しているものの、こうした荒川区の体質改善に取り組むために戦略的に編成されたとは感じられない予算であると考え、私は来年度予算に反対を致します。
 現在、荒川区をとりまく経済情勢はがぜん厳しいものになってきました。先日は、1ドル99円の円高となりました。対米輸出に依存してきた日本経済は、景気の減速にとどまらず、景気後退に陥ることが明白になってきました。1兆ドルを超えた外貨準備高は、ドルが1円安くなるたびに円換算で1兆円目減りすることになります。
 ドル資産の目減りは、わが国の財政に大きな影響を与え、財政収支の黒字化を至上命題とする財界からの更なる『改革』の要求は強まることでしょう。今後、消費税の増税や厳しい国から地方への圧力も予想されます。こうした中で西川区政の区民を守るかじ取りと国との闘いがいっそう問われることを申し上げて、反対討論を終わります。