河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月28日 2014年11月26日
 子育て支援部は、9月に区内保育園のネットワーク化による共同体制の構築という方針を打ち出されました。これはどのような考え方に裏打ちされたものなのか、まず伺いたいと思います。

(高梨・子育て支援部長)

 これは、区立保育園と私立保育園が地域にバランスのとれた配置になることによりまして、公と民がそれぞれの良さを生かしつつ、切磋琢磨し合いながら保育の質の向上を図るという観点から取りまとめたものでございます。

(斉藤ゆうこ)

 説明をいただいたんですけれど、行政が現場を持っているということは、適切な民間に対する指導の前提であるというような認識を示されていましたが、そういうお考えでしょうか。

(高梨・子育て支援部長)

 そのような側面もございます。

(斉藤ゆうこ)

 私は、その点を評価したいと思います。やはり現場を全部手放してしまったら、民間に対する対応も難しい。それが高齢者福祉についてあらわれていると思うので伺いたいと思うんですが、介護保険の導入から十年たちます。介護サービスはすべて民間の事業者によって賄われています。今、荒川区では約250の事業所が現場を担っています。いわば、「行政が頭で、民間事業者が手足」という状態なわけですけれども、ここでは公が現場をすべて手放して民間に任せたという状態になっています。介護保険の現場では、18年改正の給付抑制で仕事が大変不自由になりまして、行き過ぎたサービスだという指摘を受けて「これは不正請求だ」という扱いを受け、返還を命じられたケースも数多く出ました。これは全国的にそうですね。それから、21年改正では、終末ケアを在宅で介護保険の対象としたために、必要なサービス提供に支障を来すケースもあるというふうに伺っています。このあたりの状況はどんなふうにごらんになっていますか。

(和気・福祉部長)

 介護サービス事業者への指導につきましては、18年4月の制度改正により、区にも事業者への立ち入りの調査権限が付与されたところです。このため区では、介護現場でしか学ぶことのできないノウハウを普及するために、東京都の行う実地指導へ同行するなど、事業者への支援、指導力の強化に努めてきたところです。
 18年度当初においては、事業者の介護保険制度への理解、事務処理能力などの不足によって生じた手続上の誤りが多く見られたことも事実であります。こうした状況を改善するため、19年度から事業者との連絡会やサービス事業者ごとの情報交換会などを開催することなどによって、ケアマネジャーや現場のヘルパー等の実情や意見・要望を把握し、必要なサービスが適正に提供できるよう努めてきたところでございます。

(斉藤ゆうこ)

 区の担当課は実地指導であれこれ書類を見て言うよりも、現場を見てほしいというのが多くのケアマネジャーの声だと思います。区は、こういう形ではなくて、もっと直接仕事に携わる民との関係を改善するというつもりはないでしょうか。実情を制度に合わせることはもう無理ですから、実情に合った制度をつくるために、国に対して、自治体として民である事業所と共通の認識をつくるということが制度を変えていくための必要なスタンスだと思いますが、そのあたりをどうお考えになるのか、伺って終わりたいと思います。

(和気・福祉部長)

 そうした観点も含めまして、平成20年度からは専管の組織として、事業者支援係という組織を立ち上げました。事業者からの依頼に応じて訪問したり、現場を訪れたり、助言し、意見交換等を行って、事業者とのさらなる共通認識の醸成に努めておりますので、現場の把握等には一生懸命やって、指導もしますし、助言もしているという状況でございます。