斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は、あらかわ元気クラブとして、1994年度荒川区一般会計予算に反対の討論を行います。
 来年度の予算編成については、国、地方自治体ともに厳しい経済・政治環境の中で自主性が問われるものでしたが、国においては越年予算編成の体制となり、また、現在の情勢を反映して、我が国のあり方を象徴する内容となりました。
 年金の負担率引き上げ、優美な料金値上げなどの公共料金引き上げラッシュ、こんなふうに不況下の国民にとって打撃になることばかりです。
 そんな中で、軍備増強は着々と進められ、アメリカが要求したAWACS、パトリオットの購入を行うことになっています。一方で、金融機関への特別支援は相変わらずで、国民にとっては、数字を見れば見るほど腹立たしい予算となりました。
 さて、今回の予算で、国との関係の最も大きな焦点は減税問題です。私が、予算委員会の冒頭の総括質疑で明らかにしたように、住民税減税が含まれているため、荒川区にとっても約20億円の財政欠陥をもたらすことが予測されています。
 区は、補正予算で減額措置をとってこれに対処するようです。また、国は、特別債の起債で補てんをすることができるとしているようですが、いずれにしろ、厳しい財政事情の中での20億、これが一体自治体と区民にとって有効有用なものなのかどうか、そこが問題であると私は考えて見解を伺いました。
 総額6兆円の減税は、全国の民間企業労働者の4割近くに上ると言われている課税最低限を下回る人々には、全く何の恩恵もないばかりか、課税最低限の引き上げや税率の引き下げを行わないため、年収500万円以下の労働者もほとんど減税とならない代物です。
 構造的な税制の改革を行うのでなく、一律20%、しかも1年限りといったこの減税の性格は、まさに金持ち減税、ばらまき減税であります。
 荒川区民にとって、この減税額がどのようになるか試算した資料を税務課からいただきましたが、概算で800万円未満の年収、夫婦子供2人の世帯は区民の85%を占めておりますが、1200円から6万2300円の幅での減税額。ちなみに、年収400万円の世帯では8200円、500万円では1万5400円の減税額となっています。これに比べて、1000万円以上の区民、区民の7.9%ですが、この方たちが9万5900円の減税を受けるということにすぎません。
 この減税の性格が大衆減税でないことは明らかです。これでは景気効果も何もあったものではない。こんな減税のために、荒川区が今20億の歳入欠陥をこうむり、さらに、不況に追い打ちをかける新たな大型間接税増税が計画されていることに対し、自治体はもっと大きな関心を払い、国に対してはっきり意見を述べてもらいたいものだ、黙認できることではないと私は思います。この問題こそ、区民にとって不況対策の一環なんですから。
 さて、私たちのまち荒川区の予算編成はどうなったのか。我が区は、歳入に占める区税収入の割合が約19%、807億円の予算の中で153億円となっています。これに比べて、特別区交付金は279億、34.5%です。
 特別区交付金に依存した財政を自主財源で自立できる財政に変えることが望ましいことは、一般的に言うまでもありません。しかし、東京の産業構造の歴史的経過の中で住み分けが進んできた現状の中では、この構造を一挙に変えることは簡単ではなく、したがって、財源依存の問題も、希望はともあれ、きょうあす急激な変化をつくり出すことは困難であることをしっかり踏まえなければならないと思います。
 むしろ、こういう構造の中で、我が区の人々は日本の経済と地域社会に貢献してきたのだということを大切にしつつ、中小零細企業支援、地域経済の活性化と若年層の定住化など、荒川区らしい生き生きとした街づくりを目指して、長期にしっかりと取り組むべきであると思います。この問題は(仮称)荒川区行財政問題懇談会の議論の一つの前提とすべきであると私は考えています。
 このような制約条件、そして、現在の不況という状況下での財政運営が厳しく問われた荒川区の今年度予算でしたが、私は、総額で0.6%の伸び、蓄えてきた基金を積極的に活用して、不況下の諸政策、区民に必要なサービスの確保に振り向けた予算編成の姿勢に対しては、一定の評価をしたいと思います。
 今後も厳しい環境が続くこと、さまざまな問題に対応を迫られる中で、財源確保、財政運営が問われ続けると思いますが、ぜひともプロの腕前を発揮し、行政としての責任を果たしていただきたいと考えます。
 それでは、政策面ではどうか。私がこの予算に反対する理由は、荒川区の福祉・医療・保健政策は本当にこのままでよいのか、とてもこの予算の背景にある考え方を容認することはできないという点にあります。
 私は、今回の予算で、藤枝区長が示された政策的な柱、不況対策、高齢者福祉、住宅政策、そしてリサイクル推進という観点には基本的に賛成であると冒頭の総括質疑で申し上げました。私は、藤枝区政の2期目の変化のあらわれだというふうに受けとめています。
 民生費、衛生費の予算特別委員会で行われる質疑全体を見てこの予算を判断したいと考えておりました。しかし、残念ながら、この質疑を通じて、私は深刻な危機感を持ったというのが結論であります。
 4年前、町田区政から引き継がれたときの荒川区の福祉の実態は、目を覆わんばかりのものがありました。中小企業支援、住宅政策、そして福祉、この3つの大きなおくれをどう取り戻すつもりなのかと当時私はこの場で述べました。また、福祉については、メニューをそろえることにきゅうきゅうとし、数字に追われるのではなく、新しい理念をまず示すべきだと再三申し上げてまいりました。
 確かに、あの時点から今日まで、曲がりなりにも他区と遜色のない施策、メニューを確保するには、それだけでも大変な努力を要しただろうということは、想像にかたくありません。職員の皆さんの日々の仕事、努力には敬意を表したいと思います。
 でも、今日までかかって新しい理念を示すことはできたのか。荒川区の産業構造や人口構成などの特性に基づいた、荒川区の福祉と医療をこうするといった構想を持って、戦略的に仕事をする姿勢に変わったのかといえばノーであります。
 本年度予算への反対討論の中で、私は、福祉の中身、人の問題や行政の系列を超えた連携、民間との協力のあり方をもっと考えるべきだ。職員の中には、相当の経験の蓄積と知恵があるはずだ。なぜこれを正しく評価し、ここに頼って政策づくりをしようとしないのか。定数削減のしばりを受けた福祉ではもう限界だという点をはっきりさせない限り、私はいくら施設をつくっても、予算に賛成することはできないと申し上げました。
 施設づくりの状況はどうでしょうか。待機者が膨れ上がる中での特養建設は、まさに追われる福祉の姿です。相変わらずベッド周りのきゅうきゅうとしたスペースしか確保できない特養ホーム、ベッド数をふやし、何とか待機者をクリアさせたいという思いが第2特養、法人立特養にはありありとあらわれています。かつての福祉部長の「質より量にならざるを得ない」といった答弁が、正直にその実態を物語っています。
 私たち議員は、この数年間、各地の特別養護老人ホームを視察する機会に恵まれてまいりました。そうした中でも、つくづく荒川区の特養建設のあり方がこれでよいのかという疑問を持たざるを得ませんでした。このままでは、将来に悔いを残すのではないでしょうか。
 高齢者の通所施設についても同じです。中学校区に1つとにかくつくればいいと、そういうものではありません。私たち議会も、ただただ施設づくりを急げ、他区より幾つ少ない、こういった追求を避けなければならないと思いますが、今求められているのは、密着した小さな規模のデイケア、託老のできる施設、ショートステイでお預かりのできる施設ではないか、私はそう思います。
 特に、この間感じるのは、メニューのそろってきた今、ちょっと立ちどまって荒川区のお年寄りの暮らし方、何が問題になっているのか、その特徴をしっかりとらえて、どう解決していくのかの戦略を持ち、そこに関連させて施設づくりを見直すべき時期に来ているのではないかと切実に感じます。
 基本計画の見直し、地域福祉計画の実行に当たって、もうこれまでのようなやり方を改めるべきと考えていますが、手ごたえがない。まことに残念です。
 荒川区のお年寄りは、独居と昼間独居が多い。調べて数字を挙げてみてください。家庭の介護力がどんどんなくなっています。共働きの家庭や自営業の御家庭のお年寄りの実情を調べてみてください。在宅福祉をかけ声にしても、地域によって在宅の条件というのは著しく違っているはずなんです。
 中途半端な施設づくりや優先順位の違った施設建設になっては、元も子もないと思います。理念の確立、構想を持って戦略的に仕事をすることを福祉、保健衛生部に求めます。
 私たち元気クラブは、昨年開いた「荒川区の福祉、医療をこうしたい」と銘打ったシンポジウムを通じて、福祉、保健衛生、医療にかかわる現場で働く人々と利用者の方々とともにこのテーマを追求しております。
 私たちの側から、いずれ構想を提案して、大いに議論をしてまいりたいと考えていますが、行政としても、真剣に現状把握に努め、熱心にさまざまな垣根を超えて仕事をしていただきたいと要望します。
 各款の細かい事業、荒川区行財政懇談会、区民保養所調査、清掃事業基礎調査などについては予算委員会で申し上げたとおりです。
 とりわけ、荒川区行財政懇談会の2年間にわたる議論が、区民の力に頼り、十分な行政による支援で行われ、成果を上げることを期待いたします。また、真剣な姿勢で取り組まれてきた不況対策は、さらに大胆な発想で支援を進めてほしいと思います。
 さらに、旭電化跡地の区立住宅について一言申し上げます。
 私は、いかに住宅確保策とはいえ、超高層に暮らす人、子供やお年寄りなどへの影響が問題視されている中、風害や公園への日陰などの問題がわかっていながら、なぜ超高層の22階を建設するのか、このことには反対であるということを一言申し上げておきたいと思います。
 最期に、2期目の藤枝区政が特定の人々との結びつきに終始する区政ではなく、大多数の住民の利益を大切にする区政へと一層転換を進められることを希望して、私の反対討論を終わります。