斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私はあらかわ元気クラブとして、議員提出議案第25号「北朝鮮の弾道ミサイル発射に対する決議」を行うことに反対の討論をいたします。

●今回の隣国の行動は弾道ミサイル発射なのか、人工衛星なのか? まず事実認識について論じなければなりません。
 決議案には、「北朝鮮は人工衛星と称して事実上の弾道ミサイルを発射した」とありますが、当事国は「人工衛星の打ち上げ」としています。国際機関にも登録がされており、今回の人口衛星に対して、アメリカ戦略統合宇宙センターは、国際認識番号2016-009Aを与え、この衛星の周回軌道を確認しています。これは、当事国の発表した軌道とほぼ一致しているそうです。この認識番号の意味するところは、2016年に打ち上げられた9番目の人口飛行物体ということです。
 人工衛星の打ち上げであれば、我が国の内之浦でも始終行われていることであり、これが事実上の弾道ミサイルの能力に通じることはどの国とて同じことであることは、世界周知の事実です。
 人工衛星の打ち上げは、すべての主権国家に認められた正当な権利である、と国際法にはうたわれています。そして、決議案は「国連決議違反である」と非難していますが、米韓日の三国政府が今回の人工衛星打ち上げを非難する唯一の根拠としている国連安保理決議には、この国際法を制限したり、否定したりする権限はありません。
 このように、我々地方議員がちょっと勉強すればわかる程度の化学技術に関する規定にも関らず、特定の国の行為に対してのみ、「暴挙だ、制裁だ」と叫ぶ風潮は改めなければなりません。
 沖縄・石垣島、宮古島にPAC3を展開し、警報や避難準備まがいのことが行われた様子をテレビが報道していましたが、今回の騒ぎは、我が国のPAC3配備のためにことさら行われたものであった、という見解もあながち穿ったものとはいえません。

●さて、このような騒ぎに対して、国会では宇宙法に注意を喚起する議員もおらず、ほとんどの会派がこぞって非難と制裁にもろ手を挙げて賛成しました。
 わが荒川区議会では、日本共産党が唯一の提案者となり、非難決議をリードしました。
昨年は、安保法制に対して「戦争法制」と呼んで激しく抗議、反対し、その反対の論拠として「東アジアに特段の脅威は存在しない」と志位委員長は述べていました。
 東アジアに脅威は存在しないのに、朝鮮の人工衛星打ち上げは「弾道ミサイルで脅威」なのでしょうか。まさに大衆の遅れた感情に拝跪し、おもねることで平和勢力を演出する態度としか言いようがありません。こうした大衆の感情と政党のミスリードが二本足で歩き続けるとどういうことになるか。歴史の教訓に学ぶまでもありません。私は、決議を提案した日本共産党区議団の、きわめて矛盾した態度に対しても一言ご批判申し上げない訳には参りません。
 こうした矛盾した提案に対して、各会派の議員の皆さんは黙って賛同されるのでしょうか。私に賛成の方は、のちほどの採決にあたって、ぜひトイレに立つなり、色々していただきたいことをお願いいたします。

●さらに決議案は、「1月6日の核実験に続く行動は…国際の平和と安全に深刻な脅威を及ぼす行為」としています。「核実験もした朝鮮はケシカラン。制裁が必要だ」という見解について申し上げたいと思います。
 「いかなる国の核実験にも反対」は唯一の原爆被投下国として核兵器廃絶をめざす日本国と日本人の当然の気持ちです。しかし、一方で安倍政権は同じNPT条約非加盟で核保有国となった4か国(インド・パキスタン・イスラエル・北朝鮮)のうち、インドとの間で昨年、「原子力協定」を締結、原発の輸出と新幹線の輸出に道を拓きました。ダブルスタンダードもいいとこです。インドとは「商売」で隣国・朝鮮には「制裁」ですか?
 こうしたダブルスタンダードな対応は国際的信頼を失うだけだと私は思いますが、議場の皆さんはいかがお考えでしょうか。せめて、核実験は核実験、人工衛星の打ち上げは打ち上げ、と冷静に区別して考え、線を引く判断があってよかったと思いますがいかがでしょうか。

●最後に。政府は「制裁、制裁」と言いますが、その実態は在日朝鮮人に対する権利制限です。1952年まで「日本人」だった在日朝鮮人とは、戦争に負けた日本が、アメリカを筆頭とする西側諸国と敗戦処理を決めたサンフランシスコ講和条約によって、それまでの植民地支配の結果としての日本国籍を離れることなった「サンフランシスコ講和条約国籍離脱者」とその子孫にほかなりません。当時決められた国籍は「朝鮮籍」であり、これは民族の呼称と言えます。むろん「北朝鮮」という国籍はいまも存在しません。
 植民地支配から解放されたものの、冷戦下で南北に分かれ、南半分とは韓国政府と戦後20年もかかってやっと日韓条約によって国交正常化と戦後処理が行われましたが、北半分とは現在も国交も戦後処理も行われないままです。
 日本がかつて植民地支配した東アジアの隣国といまだに独自外交で不正常な関係を解決することもできず、戦後70年にわたり、太平洋の向こう側の宗主国の指図に従っている実態こそ、改めなければならない「戦後レジーム」です。
 済州市との友好都市10周年となる荒川区、荒川区議会として、こうした歴史的経過を踏まえ、長く地域の一員として納税し、暮らしてきた在日朝鮮人に対する事実に基づいた認識をしっかりと持つならば、朝鮮学校の補助金を制裁と連動させて打ち切るなどの行為は実に愚策というしかありません。
 太平洋戦争中、敵国・アメリカに暮らす多くの日本人同胞が収容所に入れられ、弾圧を受けたことを思い起こす必要があるでしょう。

●国会ではほとんどの政治勢力が「制裁」に右へ倣えしました。地方議員までが前述のような疑問も感じず、異論も唱えずに、右へ倣え、いや「上へ倣え」するようでは日本は危ないです。
 それよりも、東アジアの平和的環境づくりが必要です。荒川区議会の東アジア政治経済研究会は、間に合ううちに、研鑽を重ね、広くめを世界に開いて、東アジアの平和と安定や、日米関係のあり方、日本の進路について発信することを期待しています。
 以上申し上げて、私の反対討論といたします。