河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月27日 2014年11月27日

 私はあらかわ元気クラブとして、認定第1号、昭和61年度一般会計歳入歳出決算について、委員長報告に反対の討論を行います。
 この決算を見まして改めて感じたのは、繰越金の額の大きさということです。58年度26億、59年度18億、60年度21億と、ここ数年多額の繰越金が発生していますが、新記録とも言うべき約27億4000万円が繰越金となっているのには驚かされます。歳出の不用額の合計は何と28億3000万円であり、疑問を感じざるを得ません。私は組まれた予算に対し、お金を余らせることなく、区民のための施策を実行し、執行率を高めて、積極的な財政運営を行うべきではないかと考えます。
 歳出の各款についてですが、議会費について、議長交際費の使途は、質疑を行いましたが、慶弔費というお答えでしたが、大変不明確さを感じています。
 会議録の印刷について、速記者等人員の補充で速やかに行うことで、議員の活動をスムーズにし、開かれた議会を促進すべきであると考えます。
 民生費についてですが、生業資金、応急小口、生業資金の方は執行率が29.98%、応急小口は37%です。円高不況や地場産業の不振など大変厳しい状況の中で区民からの相談件数が多くなっているにもかかわらず、この執行率は他と比べてけた外れに低いものです。これは利用者の要求や現状とこの制度とが見合っていないことを示しているんじゃないでしょうか。金額や基準とも現状に見合い、区民を本当に救済できるものに改善すべきであると思います。
 そして、福祉作業所の支払い工賃の執行率の悪さは、円高不況や工場移転による受注の減少によるということですけれども、質疑の中でこれへの対策は十分であるとは言えず、改善の努力が見られません。
 そして、同和生業については、さまざまな質疑がありましたが、根強く残る差別の実態を直視して同和対策事業の本質に対する理解を深め、さらに自主性を持った荒川区の同和行政の充実こそ必要であると考えます。
 衛生費についてですが、インフルエンザ予防接種は、予防接種の委託料の半分以上を使って行われていますが、効果については全く疑わしく、即刻中止すべきものと考えます。
 産業経済費についてですが、この款については私は根本的改革が必要であると思います。この決算を通じて、産業経済費の余りの貧困さと各款の予算の構成比の偏りを感じました。何と、経済産業費ですが、59年からの構成比を見ますと、2.4%が60年2.3%、そして、この61年には2.2%の構成比になっています。少ないのがさらに0.1%ずつ減少しているわけなんですが、金額にしておよそ10億前後を推移しているという状況です。そして、土木費の方などを見ますと、これは59年の8.5%が60年には11.2%、そして61年には13.4%と、どんどん上っています。金額にして35億から48億、それが63億という、こんな状況になっています。
 私はかねてから、川の手開発よりも円高対策をと訴えてきましたが、この決算内容、ひいては予算の組まれ方について、私たちの区で最も求められている中小企業や零細企業対策に正面から着手して、実効ある予算の組み立てと執行が必要なのではないかという疑問を持ちました。
 教育費ですが、小中学校の統廃合はこの年度に初めて適正配置のための予算が組まれたものですが、現在、答申を経て計画案が出され、区民の反応を見ますと、ますますその疑問は深まっていきます。今後区民の声をよく聞き、誤った計画を強行しないように強く要望しておきます。
 全体に予算の使われ方を見ますと、防災訓練のように行事がセレモニー化、形式化したもの、また、健康フェスティバルや心身障害者運動会などは61年も同様の内容で行われていますが、私が参加してみたところ、区民や参加対象者の要求をもっと丁寧につかみ、お祭り的なものではなくする必要があると思います。また、1回限りの行事に予算を全部執行してしまうのではなく、きめ細かく通年的に施策を実行すべきだと考えます。
 以上、私は議員になってから初めての決算委員会を経験しました。日々、地域で働く区民の皆さんの税金を区としてどのように使っていくのか、また使われたのかをチェックする責任の重さを痛感いたしました。円高不況、地価の高騰などが区民生活に大きな打撃を与えている折から、この苦しい生活の中から納税している区民の皆さんの権利を充分保護できるような財政運営のあり方が必要だと感じます。
 61年度決算の内容は、こうした区民の求めるものに十分こたえたものでないと判断し、反対の立場での討論を終わりといたします。