河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月28日 2014年11月26日
 あからわ元気クラブの斉藤ゆうこです。あと51日で任期を終えられる西川区長に、4年間の区政を振り返り総括的な質問をいたします。
 今回の質問は、私たち元気クラブが区民各層の皆さんから御意見をいただき、議論を重ねてつくった『荒川区基本構想』の対案、『あらかわ元気クラブの荒川区基本構想』に基づき、考え方の違いや対立点をはっきりとさせながら、区長と当局の御見解を伺うことになります。私と西川区長とは政治的な立場も異なり、理念の隔たりもありますので、お心を静めて議論に臨んで頂くことをまず初めにお願いしておきたいと思います。

 さて、荒川区の将来にとって重要な区長選挙まであと51日となりましたが、折しも9月1日に福田総理が辞任。たった1年でふたりも首相が辞任するとは、いよいよ日本の政治も行き詰まってきた、と言う以外にありません。現在の連立政権も、もうこれまで、総選挙の後には新たな政治再編が待っているということでしょうか。
1993年の自民党単独政権崩壊以来、日本の財界は、経済と政治の分野での国際競争に耐え得る安定した政権を求めて「基本路線の違わない二大政党」をめざしてきました。昨年夏の参院選で民主党が大勝し、二大政党制に近づいたかに見えましたが、例の大連立問題で馬脚をあらわして失敗。民主党の現状も見えてまいりました。
一方、サブプライムローン問題で、資本主義の総元締めたるアメリカの金融経済が動揺を続ける中で景気は一気に冷え込みました。金融危機対策にアメリカ政府が投入したドルは投機マネーとなって穀物・原油に流入し、世界的な物価高・インフレが始まりました。欧州やアジアの漁民、労働者、農民が大規模な対政府行動を起こし、日本でも「もう限界だ!」と漁民や酪農民、トラック業者などが今相次いで補償を求め闘いを始めました。

 高まる国民の不満を抑えて選挙を乗り切るには、たった2兆円といえども緊急総合対策を打たねばならず、公明党が要求する定額減税にも応じざるを得ない。でも、これでは日本経団連が至上命題とする財政再建の目標は達成できず、『改革』は遠のいてしまう。福田総理は進退きわまったのだと思います。二代にわたる首相のギブアップを無責任だと怒りたいのはきっと財界でしょう。解散総選挙でどちらが勝っても、この不安定な状況は変わりません。求心力を失ったアメリカに追随し続け、この期に及んでも国民の苦悩をよそに、一部の多国籍企業や商社は利益を上げ続ける。こんな日本の政治の構造を根本から変える以外に日本国民を幸せにするシステムはないと確信しております。これこそサンフランシスコ講和条約以来の戦後政治の総決算ではないでしょうか。

 さて、このような情勢激動の下で、我が荒川区の区長選挙は行われます。そこで私は、『荒川区政はこれでいいのか。西川区政の四年間を問う』と題して一般質問を行います。
赤塚不二夫さんなら、さしずめ「これでいいのだ!」でしょうが、議会がみんなそろって「これでいいのだ!」と言ってるわけにはいきませんので、私の西川区長と異なる立場を明らかにして質問をし、問題点を明らかにしてこの区長選挙を闘い、荒川区の将来をどうしていくのかを争いたいと思っています。それが、小なりといえども荒川区の政治にかかわってきた者の責任だと思っております。

 この本会議終了後には、私の長年の友人であり、議会の同僚でもあった今村まゆみが区長選挙に立候補する意思を表明し、記者会見をいたします。自民党、公明党、民主党、連合が政策協定を結んで相乗りするこの選挙、そして革新政党を標榜する共産党さんも今日まで候補者をお出しにならない中で、「もう黙っていられない!」との強い思いからの立候補です。この気持ちを受け止めて私も全力で応援をいたします。『一寸の虫にも五分の魂』の喩えもあります。区民の皆さんに荒川区の将来構想をお示しして、正々堂々と区政を争いますので、皆さんの陰ながらの応援をどうぞよろしくお願いいたします。では、質問に入ります。

● 第1番目にまちづくりについて伺います。

 ここ数年、荒川区は目に見えてその姿を変えてきました。20年の歳月を経て現在のような町を形成した南千住の汐入大規模再開発をはじめ、隅田川沿いに増加した民間マンション群は、荒川区の人口増加とともに、集合住宅に住む人が人口の半分を占めるようになるという変化をもたらしました。また、町屋4地区での駅前再開発、最近の日暮里駅前再開発、計画中の三河島駅前再開発と、小さな面積の中にあるJRや地下鉄の駅という駅で再開発が行われてきました。新交通も導入されました。つくばエクスプレスが人の流れを変え、日暮里・舎人線が11年の工事を経て、ことし3月末に開通しました。
都心に近接している割に地価が安く交通アクセスのよい荒川区は、近年、集合住宅建設・販売の適地として注目され、既存の市街地や路地の中まで、土地さえあれば中規模のマンションが建設されることになり、そのために近隣との建築紛争もふえてきました。

 そのような中で、昨年頻発したのがワンルームマンション建築紛争でした。工場の閉鎖や転廃業、相続などによる土地の売却がふえ、購入した業者が狭い土地にぎりぎりいっぱいのボリュームで集合住宅を建てようとするため、近隣住民との間に頻繁に紛争が起きるようになったのです。区の要綱は条例じゃないから従う必要はないと公然と指導に従わない業者もあらわれ、区の現行ルールには限界が生じてきました。そこで、荒川区は、救いを求める住民の切実な声と区議会の超党派の要望でこの事態に腰を上げ、昨年三定で条例を制定しました。しかし、当初この問題の発端となった東日暮里3丁目南町会のワンルームマンションには条例が遡及適用されず、要綱の3倍の89戸の違反マンションが堂々と建設されております。この過程で近隣住民は二度にわたって相手方企業から仮処分の訴えを起こされ、裁判所に通って争うという苦痛を味わいました。 しかも、このマンションは、相手方企業が資金繰り不能に陥ったため、ゼネコンから引き渡されずに居住者の募集も行わないままの状態が数カ月続いております。近隣に大きな被害を及ぼし、学校の壁面をふさいで建てられた89戸の違反建築物はこのまま立ち腐れになっていくのでしょうか。何と腹立たしいことかと私は思います。

 こうしたマンション紛争は尾久地区にも飛び火しました。尾久橋通りにほんの少し接地したファミリータイプのマンションは15階建てですが、その界隈では高さもボリュームも大きく、後背地の静かな環境になれ親しんだ住民にとってはショック以外の何物でもなかったことがわかりました。
「土地さえあれば、私たちの町にも外部の業者がこういう建物をどんどん建てるようになるのだろうか。」「日暮里・舎人線の開通を前後して地上げのようなことが東尾久地域のあちこちに起きている。出ていかざるを得なくなった人が嘆いていた」と、新交通の影響による開発ラッシュと見る向きもあります。東尾久には、中高層住宅紛争条例の基準に満たないため、集合住宅ができるとは思わずにびっくりした、という商店街の真っただ中の事例もあります。さらに、条例による規制との追いかけっこだったワンルームマンションは、果たして住宅供給の理念を持った商売だったのかという問題もあります。

 ここに月刊「エコノミスト」の「不動産深刻」と銘打った特集号があります。アーバンコーポの倒産に顕著なように、サブプライムローン問題以降の金融引き締めで、これまで事業拡大、事業拡大でやってきた新興不動産業界が瀬戸際だというのです。新規参入が容易で拡大を続けてきたこの業界の特色は、建物を建ててはファンドなどに転売し、ファンドは不動産投資の対象として扱って利益を得るといった投機的要素が強いことです。誰かが「金の延べ棒と同じだ」と言っていました。荒川区の住宅政策のパートナーとなり得る代物ではなかったということが見てとれると思います。

 我々議会と行政はこの問題から何を学ぶのでしょうか。西川区長はこの問題に触れて、「まちづくりに規制はなじまない」との基本的考えを委員会で表明されました。しかし、このような生き馬の目を抜く現在の状況を見ると、「市場に任せる」「民間企業の自由を尊重する」では、とても地域特性を生かした町の主体的な将来計画は描けないのではないかと思います。私は、「区政の各分野における必要な規制が、地方自治体として地域を守り、住民を守る対抗策である」との考えから、これまで幾度も総合的なまちづくり条例制定を提案してきました。西川区長はこの点をどうお考えなのか、お伺いします。またあわせて、現在策定中の「都市計画マスタープラン」で、荒川区のまちづくりの将来像をどのように描くのか、当局のお考えを伺います。

● 第2に産業振興について伺います。

 まちづくりでは、問題の背景に区内の中小規模の工場の閉鎖や転廃業、そして店舗の閉鎖と転売など、厳しい経済環境の中で経営難に陥った中小事業者の深刻な現状があることを申し上げました。まちづくり行政と産業振興はこのように表裏一体の問題であります。4年前、私は、上野和彦・前荒川区基本構想審議会会長を候補者として、ともに区長選挙を闘いました。その中でのまちづくり政策には、『生活の安定と安心のまちづくり』として、「産業振興と一体化したまちづくりで企業に元気、商売繁盛」という一項がありますが、まさにこうした考え方に立った政策だと言えます。

 『元気クラブの荒川区基本構想』は、荒川区の将来像として「地域の産業と暮らしやすい住環境が調和した街」「ものづくり・地域商店街・住宅が共存する活気ある下町・荒川区」を描きました。しかし、これまで長く荒川区に住み、働き、地域経済はもとより、日本の経済を下支えしてきた多くの区民、中小事業者の状況は大変厳しいものがあります。この目標は容易ではありません。区内の中小企業、零細企業が存亡の危機にあるという認識は、議会でも共通のものです。昨日の自民党小坂眞三議員の代表質問でも同様の表現が用いられておりました。では、その存亡の危機の中にある区内事業者に区政は何をしてきたのでしょうか。果たして効果はあったのでしょうか。

 23区の2006年事業所企業統計を見てみました。2001年から2006年まで5年間の事業所数、事業所従業者数の推移が出ております。これによれば、荒川区の事業所数は、この5年間で9万8千342人から8万9千461人に減少しています。人数にして8881人が荒川区の事業所から去っていったか、仕事をなくしたということになります。率にして9.5パーセント、1割近いですね。残念ながら23区第1位であります。何だかほかにも第1位というのがありましたね。きのうも言っていましたけど。
ちなみに23区平均はプラス1.1パーセント。増えているんですよ。情報産業が集中する渋谷区はプラス3615人、8.8パーセントの増です。このように、事業所数でも荒川区は5年間に1960件が減少し、倒産・廃業・移転などで2千件近い事業所がなくなったということも出ております。こちらの減少率は14.1パーセント、これも23区1位です。これが荒川区の産業の現状というわけです。

 荒川区の産業振興策はこれでいいのでしょうか。当局はこの数字を痛みを持って受けとめられるのでしょうか。「仕方がない」というのが本音ですか? どのように受けとめるのか、私は本当にお伺いしたいです。西川区長の荒川区基本構想では、現実の厳しさに負けて産業振興に対する意気込みが後退していると思いますが、改めて当局はこの点についてどのようにお考えになるのか伺いたいと思います。「淘汰されるのは仕方がないからもうあきらめた」というなら、正直にそうおっしゃってください。もし区内商工業の衰退に手をこまねくのであれば、区民から無策とのそしりを免れません。一握りの多国籍企業の要求には何でも応じ、日本の経済を支えてきた荒川区のような大多数の中小零細企業に対しては「つぶれても仕方ない」と言わんばかりの国の産業政策に追随するのか、それとも、その変更を求めつつ、荒川区の産業集積をこれ以上衰退させないために、独自の産業振興策に取り組むのか、どっちでしょうか。私はそうあるべきで、方法もあると考えますが、当局には積極策があるのか、お伺いします。

 区政も、やはり区民をどうやって食べさせていくのか、その方策こそが最大の課題だと私は考えています。荒川区最大の地場産業となった印刷業においても事態は深刻です。零細印刷業者は仕事不足、後継者不在、騒音・振動による近隣とのあつれきにさらされ、常に廃業の瀬戸際にあります。中堅企業であり、荒川区の御三家と言われる壮光舎印刷、富士美術印刷、三美印刷においても、資材の高騰、コスト削減の圧力、大手との競争にさらされ、最終的には従業員に対する削減、賃金カットに行き着かざるを得ないという厳しい現状があります。当局の本気での対応を求めたいと思います。

● 第3番目に、医療・介護・福祉について伺います。

 この間、給付の抑制を目的とした介護保険法の改正や後期高齢者医療制度の制定が行われました。これは政府が財界から財政赤字解消という要求を受け、社会保障費の削減を目標として行ったものであり、その結果、医療機関や介護保険事業所には矛盾が集中し、国民には負担が激増しています。

 一例を挙げたいと思います。東京都福祉保健局の「平成18年度指導検査報告書」を見てみました。平成17年、18年の2年間に行った指導検査・監査による返還金等実績一覧表というのがあります。法改正後の給付の抑制を目標とした適正化と称する指導で、介護保険施設と事業所に介護報酬を返金させた実績が示されております。17年度が約7億9千2百万円、18年度が約7億2千6百万円、締めて15億円に上ります。これを不正請求摘発の成果だとおっしゃいますか? 実情に合わない法とその運用の中で、利用者の自立を助けても、「不正請求だ」との指摘がこの荒川区の窓口からも返ってくる、と多くのケアマネや事業者は泣いていますよ。私たち超党派の地方議員は、こうした問題で昨年、今年と二度にわたり、全国地方議員交流会で議論し、厚生労働省との直接交渉も行ってきました。それくらい国のやり方が地方自治体と住民を苦しめているからです。厚生労働省の若いお役人さんは、「地方の意見を聞きまして、法改正、介護報酬改定に反映させてまいります」と、私たちにお答えになりました。

 そこで、この間何度も論争してきましたので端的に伺いますが、地方自治体として、社会保障制度についてこれは矛盾だと感じていることや、実態にそぐわないことが本当はあるんだと思います。そうした点について国に積極的に意見を述べるときだと考えますが、いかがお考えでしょうか。ここで争わないなら、地方自治体は単に厚生労働省の手先にすぎません。また、社会保障関連の悪法に対して区民の不満はかつてなく高まっていますが、区は区民の最も身近な自治体として、今後国といかに戦って制度の変更を求めるのか。並大抵のことではありません。今後の展望についてお伺いします。

● 四番目に、子育て支援について伺います。

 昨年は、区が提示した金額が低過ぎたために契約が成立せず、ことしいきなり6園も拡大すると発表された区立保育園の給食民間委託は、さらに来年度、ゼロ歳児2園の委託が提案されました。当局は、経費削減効果と栄養士の配置でサービス向上をうたい文句にしましたが、食育を進める役割の非常勤栄養士は、待遇が悪いせいかすぐ辞める人が続出しています。一昨年民間委託した2園について、こうした検証も十分に行わないまま強行しようという当局に対して、保護者は、「ただ安上がりにしたいだけなわけ!?」と不信感を抱き、反対という声が大きくなっています。

 予算委員会では、1園170万円の削減効果という答弁でしたが、栄養士の人件費をふやせば、削減効果はさらに小さくなります。食品偽装が相次ぎ、危険な輸入食品が給食の食材にも及ぶ昨今、この程度の金額を効果と言い張り、既定方針にこだわり続ける当局の政策判断は誤っています。改めて伺いますが、これでも荒川区は小さな赤ちゃんの給食まで残らず民間委託するのでしょうか。食の安全に関心が高まる中、たった170万円のコスト削減で民間委託を進める真意はなんですか? 私はあえて、たった170万円だと申し上げたいと思います。区の財政規模が8百億、特別会計含めて1千億の中の170万円だということを保育園の保護者はよく知っております。真意をお伺いしたいと思います。また、新たに提案されたゼロ歳児2園での委託の後、区はどのような方策をお考えなのか、お伺いしたいと思います。

● 最後に、行財政改革と財政健全化について伺います。

 荒川区は、昭和58年度から昨年までの25年間に853人の職員を削減しました。「良くやった!」と拍手する区民もいらっしゃるのかもしれませんが、この「削る、減らす」行革の穴埋めは、結局安い賃金の非常勤職員の採用と民間委託で賄われてきました。 現在480名を超える数となった非常勤職員は、補助的な仕事どころか、だんだんに職員と変わらぬ仕事をせざるを得なくなり、専門性の高い図書館司書や栄養士、幼稚園教員などの職種でもその数はふえるばかりです。勤続年数の長い人も多くなりました。

 現行法では非常勤職員の給与は、年齢や勤続年数で加算されません。年収2百万円台、主任でも3百万円超えの30代非常勤職員が60歳の定年を迎えるときもこのままの年収だとしたら、果たして西川区長が常日ごろ言われるように、誇りを持って荒川区職員の仕事を終えることができるのでしょうか。例えば、区内の図書館では常勤職員はひとりで、あとは全員が非常勤です。区民サービスの最前線に立ち、専門性の高い仕事をこなしていますが、長く区民のため、地域のために働いても、このままの待遇では仕事にふさわしく報われるものとはなりません。

 西川区長はまた、「働く貧困層を増やすことには加担しない」とおっしゃいますが、それでは、この現状をどうお変えになるおつもりなのでしょうか。幼稚園の3歳児保育の全園実施も結局は非常勤でした。非常勤にしたことで人件費は1600万円削減され、一方で私立幼稚園への補助金は2400万円の大幅増額であることもわかりました。
「ただ削る、減らすだけの行革はやらない」と西川区長は再三表明されていますが、これまでと一体どこが違うのでしょうか、見解をお聞かせください。また、大多数の区民が豊かになり、結果として区財政が潤うということが真の財政健全化策だと思います。これ以外の特効薬はない。このことこそ特効薬だと私は考えておりますが、当局の基本的な考えをお伺いしたいと思います。以上で質問を終わります。

(西川太一郎区長 答弁)

 特別心を休める必要のないやさしい御質問であったというふうに思います。ただ、やはり見解の相違というものは民主主義のシステムの中であるわけでございまして、また同時に、私は狭量な人間であってはならないということを絶えず自らにも言い聞かせて、自分と対立するようなお立場の方の中の御主張にも真理はあるということを常々、それを認めること、すなわち価値の多様化を認めることが民主主義の基本であると考えて30数年間議会活動をして参りましたので、ただいまの斉藤ゆうこ議員の御指摘の中にも、なるほどなという点も率直に言ってございます。
 しかし、斉藤議員がおっしゃった中に、それならば、なぜそのような御提案を私に対してもっと具体的にしてくださらなかったのかな、と。そういうお知恵があり、そういう対案をお持ちであるなら、なぜそのように御提案を下さらなかったのかなと。私を貶めるために、最後に何かまとめておいて、「お前はここがだめだ、お前はこれがいけない」というのでは、これは議会人としてのお立場として何か違うのではないのかな、と率直に感じた次第であります。
 さて、その色々な御主張の中で、二つの点を私からお答えを申し上げたいと思います。 まず、まちづくりに関する御質問にお答えをいたします。区のまちづくりは、都市計画マスタープランで示した将来像を実現するため、用途地域の指定や地区計画、あるいは指導要綱など、さまざまな規制・誘導策を行っているところであります。これらの規制・誘導策の効果により、白鬚西の再開発事業をはじめ、日暮里などの駅前再開発や都市計画道路、防災まちづくりなどの整備も進み、荒川の町は大きく変わりました。御指摘のまちづくりに規制はなじまないということにつきましては、既にさまざまな規制をかけている中で、さらに過度の規制をかけることは、まちづくりを進めていく上で欠かせない民間の活力を阻害させる危惧があるという趣旨でお話をしたものであります。
 当然私は、必要なときには適切な規制をかけながらまちづくりを進めていくべきと考えております。昨年のケースがそのひとつの例であります。経済性のみを追求し、区の指導要綱を全く無視する開発事業者が出現したため、私は規制の条例を早急に制定するよう所管部に下命し、昨年9月、区議会へお諮りして、全会派の皆様から力強い御支持をいただき、わずか3カ月という異例のスピードで制定をいたしました。私は、今後も適切な規制や誘導により、民間の活力を十分に活用しながら、「幸福実感都市 あらかわ」の実現を目指してまちづくりに全力で取り組んでまいる所存でございます。
この点について申し上げれば、斉藤議員からも、私に対してよくやったと感謝のお言葉をいただいたような記憶がありますが、もう年のせいかもしれません。間違っていたらお詫びをいたします。また、斉藤議員には、いろいろな問題で私のところに直接お見えになって御要求があったことも、精いっぱい私としてはお答えしてまいりましたけれども、何かそのようなことについては何も触れていただけないのは、まことに残念だなと思っております。
(「言ってもいいのかしら」と斉藤ゆうこ)

(西川太一郎区長)

 どうぞおっしゃって下さい。
 次に、行政改革に関する御質問についてお答えいたします。
 私は区長就任以来、「区政は区民を幸せにするシステムである」というのをドメインに掲げ、事業の見直しや経費の削減のみを目指した従来型の行政改革ではなく、区民サービスの向上や施策の充実を図るという視点から、新たな手法を積極的に導入し、区政の改革を着実に進めてまいりました。
例えば、すべての事務事業を対象に行政評価制度を導入し、客観的な成果指標を用いて事業効果を検証することにより施策の優先度を明確化し、限られた人的資源や財源を重点配分しております。さらに、公会計制度の改革では、区政全体の財務分析はもとより、財務書類を活用し、より客観的、定量的に事務事業を分析することを計画しております。また、人事戦略構想を策定し、人財──人の財と書かせていただいておりますが──がその持てる力を十分に発揮できる創造的人事行政への転換を図るとともに、いわゆる企業内大学である荒川区職員ビジネスカレッジを開校することにより、職員全体のレベルアップを図っております。さらには、多様な人財を活用するために着手した非常勤職員制度の改革が全国の自治体へ波及したことは御記憶に新しいことであります。
 このように、経営を行うという視点から導入した行政の枠組みを超えた新たな手法を実施した結果、数多くの新規施策を展開するとともに、経常収支比率の改善、起債残高の減少、基金残高の増加に見られるように、区の財政状況は着実に改善してきております。今後もこうした成果を踏まえ、区の有する限られた経営資源を最大限に活用し、区民の幸福という共通目標を目指し、区民サービスの一層のレベルアップを進めてまいります。
 次に、財政健全化の基本的な認識についての御質問にお答えを申し上げます。私は就任当初から、MACCプロジェクトや商店街ルネッサンス推進事業などの産業振興施策、JOBコーナー町屋の開設などの雇用促進事業、ジョブあらかわ開設や特例子会社誘致などの障害者の就労支援、また奨学金、貸付金の充実などさまざまな施策を実施してまいりました。これらは区民の皆様に豊かにお暮らしいただくためのものであり、財政健全化につながるものでありますので、今後、さらに施策の充実を図ってまいりたいと考えております。
 先ほど統計を用いられて、荒川区の就業者数の減少、また荒川区の事業所の数の減少、倒産件数の増加、大変大きなマクロ的な要因によって、ミクロの荒川でそういう結果が出ているということは、ロビンソン・クルーソー経済学ではありませんので、やむを得ざる面も多々あるのは全国の自治体全体がそういう苦労をいたしているわけでありまして、そういう中で、私どもにすれば、例えば原料高、ガソリン高の融資制度でも、昨日も御答弁申し上げましたとおり、もうあっせん額が10億円を超すようなことも、短期間の中で保証料を全額区が持つ。金利もわずか御本人負担は0.5で、残りは全部区が持つと。これらの原資は税金であります。しかし、そういうようなことをお許しいただく区民の皆様のお気持ちを酌みながら、私としては精いっぱいのことをしているつもりでございます。
 どうか大きな問題を身近な入れ物の中で全部私の責任で解決をしろとおっしゃるなら、それができるなら、私は内閣総理大臣になりたいぐらいだというふうに本気で思っております。限られた権限の中で、限られた財源の中で、与えられた所与の条件の中でこの4年間、わずか10日ぐらいしか休まずに真剣にやってまいりました。その成果について全部間違っているというふうにおっしゃられるならば、それは来るべき、先ほどおっしゃいました50数日後の区民の審判にゆだねて、その結果、どちらの論議が区民にとって正しかったか明確にさせていただく以外にないなと。こういうことをこの場で申し上げるのはまことに残念でありますけれども、おっしゃられたことに対するお答えとして申し上げさせていただきました。どうぞ御理解をいただきたいと思います。

(山本和夫・都市整備担当部長 答弁)

 都市計画マスタープランに関する御質問にお答えします。
 これまで区では、駅前等の拠点整備に重点を置きまちづくりを進めてまいりましたが、新たな都市計画マスタープラン策定委員会の中では、一定の成果を得た拠点整備を継続しつつも、区民の生活に直結する町なかの住環境整備へと力を入れていくべきとの方向で検討されております。これは、区民の暮らしの視点に立ち、安全性、利便性、快適性など、生活の質の向上に重点を置いたまちづくりを区民参加のもとで進めていこうとするものです。具体的には、区の約六割の地域を占める密集市街地の改善に向けた重点的な取り組みや今後の土地利用のあり方、水や緑との触れ合いなど、「幸福実感都市 あらかわ」の実現に向けたまちづくり方針を検討しているところであります。また、近年のマンション建設におけるさまざまな紛争に対して、区の基本的な考え方を明らかにし、高層建築物に対応した高さ規制の導入を図っていくことを目指しておりますので、よろしくお願いいたします。

(和気 剛・福祉部長 答弁)

 医療・介護・福祉制度についての御質問にお答えいたします。
 我が国の社会保障制度は、少子・高齢化の急速な進展に伴う財源の確保と人々の暮らし方、価値観の多様化に伴う需要の拡大という大きな課題に直面しております。このため、社会保障制度の持続可能性を確保するための構造改革が進められてきたところでございます。この間、区といたしましては、障害者自立支援法施行時に区独自の負担激変緩和策を実施するなど、区民負担の軽減に努めるとともに、後期高齢者医療制度につきましても、国や東京都に対し制度改革に伴う課題や問題点の解決に向けて積極的に働きかけを行ってまいりました。
 しかしながら、こうした構造改革の過程で新たに生じた問題など、社会保障制度は引き続きさまざまな課題に直面していることも事実でございます。国においても、社会保障制度に関して議論が行われているところでありますが、区といたしましては、社会保障制度は、区民が必要とするサービスを必要なときに適正な負担で受けられることが基本であるという観点から、制度の改善や是正についての意見や要望をさまざまな場やルートを活用し、国や東京都に申し入れてまいる所存でございます。

(北川嘉昭・総務企画部長 答弁)

 基本構想における産業振興の考え方に関する御質問についてお答えいたします。
 平成19年3月に策定した現行の基本構想では、産業活力を再生し、町のにぎわいを取り戻すことを区政の重要課題として今後実現すべき6つの都市像の一つに産業革新都市を位置づけております。産業革新という新たな視点に立ち、これまでの基本構想にない新たな発想により、区内産業のさらなる活性化を図っていくことを明らかにしております。
現行の基本構想は、区を取り巻く状況や社会経済情勢の変化等を踏まえて、基本構想審議会各委員の卓越した見識と区政改革懇談会の皆様のしっかりした議論の積み重ねのもとに策定されたものです。今後とも基本構想で描かれた高邁な区の将来像の実現に向けて、産業振興を含むすべての分野において、引き続き全力で区政運営に取り組んでまいる所存でございます。

(高野政義・産業経済部長 答弁)

 区内商工業の振興策に関する御質問にお答えいたします。
 区内の商工業は、長引く景気低迷や流通構造の変化等により大変厳しい状況に置かれていると認識しておりますが、無為無策のまま手をこまねいているわけではないことは、斉藤議員はじめ議会の皆様、そして多くの商工業者の皆様御存じのとおりでございます。
 このような状況だからこそ、この困難な状況を切り開くため、区内商工業者と手を携えてさまざまな施策を積極的に推進しているところでございます。具体的な施策につきましては、先ほど区長が申し上げましたので、あえて重ねては申しません。一昨日も首都大学東京でMACCプロジェクトフォーラムが開催され、積極的に事業革新に取り組んでいる多くの企業がその事例を発表して下さいました。斉藤議員も、ぜひ今後こうした場にも御参加を頂きたいというふうに存じます。
 国の中小企業施策に関する言及もございましたが、独立行政法人中小企業基盤整備機構も含め、国は中小企業振興策を積極的に推進しているものと基本的に受けとめております。また、西川区長も、国の中小企業政策審議会経営資源部会の委員として積極的に提言をしているところでございます。区といたしましては、現在の閉塞感を打ち破るためにも、今後もさらに積極的に区内商工業の振興策を推進してまいる所存でございます。

(高梨博和・子育て支援部長 答弁)

 保育園給食調理業務の民間委託に関する御質問にお答えいたします。
 給食調理業務の民間委託につきましては、食育の推進やアレルギー対応の強化と保育園における給食サービスの充実を効率的・効果的に実施することを目的として開始いたしたものでございまして、民間委託実施園におきましては、事業目的に沿って食育の充実等に大きな効果を上げており、保護者から大変喜ばれているところであります。
今後につきましては、現在委託を実施している園につきまして、専門家による審査など、詳細な検証を実施しているところでありまして、その結果を踏まえて保育園の給食調理委託の今後の整備計画を定めてまいりたいと考えてございます。