河内ひとみのあらかわ日和

2018年1月22日 2018年1月17日
11月議会 一般質問

◎質問項目◎
1.関東大震災と同じデマが熊本でも。区民への啓発が必要ではないか。
2.地方公務員法の改正を機に、非正規職員の処遇改善と現業職員採用で 区民サービスの向上を
3.介護の現場で働く人たちの訴えに 区はどう対応するのか。

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 あらかわ元気クラブの斉藤ゆうこです。
 今年も、はやお酉様の季節となりました。3点にわたって質問いたしますので、当局の真心のこもったお答えをお願いいたします。

1.ネット社会の今日、震災などの災害時に人心を惑わすデマ、流言蜚語への情報対策は益々大事な課題になってきました。最近の事例も踏まえ、当局のお考えを伺います。
■ネット社会の拡大が止まりません。かのアメリカでは「自分の信じたいことが真実だ」というフェイクニュースが大統領選挙などでも平然と横行しています。事実と異なる情報を打ち消すのは本当に厄介な課題になりました。震災などの災害時に人心を惑わすデマ、流言蜚語に対する対策は喫緊の課題と捉える必要がありますが、災害対策の担当部局はそうした問題意識をお持ちでしょうか。

■具体例を挙げて質問します。昨年6月の熊本大地震では「朝鮮人が毒を入れた」とのツイートが流れました。かつて1923年の関東大震災で経験した事件と同様です。ヘイトスピーチなどに見られる昨今の排外主義の台頭も背景にあると危惧されます。当局はこの事実関係を把握しているか、伺います。

関東大震災

吉村昭先生の著書「関東大震災」(文春文庫)には、朝鮮人虐殺の震撼とする状況が描き出されています。吉村先生らしく、綿密な取材と調査にもとづき、事実をリアルに示した歴史的な価値のある記述です。
 吉村先生はあとがきに「私の両親は東京で関東大震災に遭い、幼児から両親の体験談になじんだ。殊に私は、両親の口からもれる人心の混乱に戦慄した。そうした災害時の人間に対する恐怖感が、私に筆をとらせた最大の動機である」と書いています。
 私の質問時間で多くを紹介することは叶いませんが、吉村先生は「第二の悲劇 人心の錯乱」と題した部分で「朝鮮人来襲説」「自警団」「列車輸送」「新聞報道」と各章に、実に多くの頁を割いてこの事件を書いています。とくに、当時の時代背景に関して、「日露戦争勃発後、日本は大陸からの軍事的脅威を緩和させるため朝鮮を重視し、明治37年2月に日韓議定書を締結した。この議定書は日本が朝鮮を従属させる第一歩となったが、強圧的な日本の態度に朝鮮国内の日本に対する反感はたかまった。さらに日本政府は、強大な武力を背景に朝鮮を保護国とすることを企て、伊藤博文を初代統監とする統監府を設けて内政をすべて掌握してしまった。そして、明治43年8月には、最後の手段として強引に朝鮮を日本領土として併合したのである。このような日本政府の行為は、朝鮮国民を憤激させ、朝鮮各地に暴動が発生したが、日本政府は軍を派遣してその鎮圧につとめさせた。日本政府は朝鮮を領有することに成功したが、朝鮮人の憎悪はつのるばかりで伊藤博文がハルビン駅で安重根(アンジュングン)に射殺される等各種の事件か続発した。日本の為政者も軍部もそして一般庶民も、日韓議定書の締結以来その併合までの経過が朝鮮国民の意志を完全に無視したものであることを十分に知っていた。また統監府の苛酷な経済政策によって生活の資を得られず日本内地へ流れ込んできていた朝鮮人労働者が、平穏な表情を保ちながらもその内部に激しい憤りと憎しみを秘めていることにも気づいていた。そして、そのことに同情しながらも、それは被圧迫民族の宿命として見過ごそうとする傾向があった。つまり、日本人の内部には朝鮮人に対して一種の罪の意識がひそんでいたと言っていい」と書いています。たいへん鋭い洞察ではないでしょうか。
 当時、政府が行った調査によれば、このとき殺された朝鮮人は東京、埼玉、神奈川、千葉、群馬、栃木、茨城の1府6県で6,000名以上、東京だけでも約1,700名以上に上ると記されています。
 ところが、この問題で東京都の小池知事は「朝鮮人虐殺の事実については、歴史家の判断にゆだねたい」として、今年9月に墨田区の都立横網公園での朝鮮人犠牲者追悼式典に追悼文を送りませんでした。事実は事実であって歴史家が判断するものではありません。東京を中心に起きた歴史の事実を認めない態度は政治家としても行政のトップとしても相応しくないと私は思います。
 荒川区は吉村文学の真価を今日に生かす立場で、西川区長から小池知事にこの本を進呈して、是非お読みいただくよう注意を喚起してはいかがでしょうか。当局の具体的な対応を求めます。
 ところで、私は今から14年前、関東大震災から80年の節目に当たる2003年(平成15年)の第4回定例会で今回と同じ質問をいたしました。吉村昭先生の「関東大震災」を紹介し、「建物の安全性や耐震補強といったハード面での取り組みに加えて、流言飛語の防止といったソフトの面でも、この関東大震災を教訓にする必要がある。関東大震災時は、新聞などもデマを広める役割を果たし、住民は自警団と化して罪もない人々を引き立て、殺りくする側に回った。しかし、中には命がけで災難に遭った人々を助けた日本人もいた。私は尾久のある方から同様の体験談を聞いた。こうした非常時の経験をかみしめておくことが大切ではないか」して、「常日ごろから、住民のリーダーとなって活動する地域の方々と一緒に研修や啓発を行うことも大切ではないか」と質問しました。
 しかし、当時の柳澤・地域振興部長は、「関東大震災時に発生したパニックの背景には、情報を伝えるラジオがなく…うわさが拡散したが、現在は、テレビやラジオ、インターネット等、さまざまなマスコミ手段により、瞬時に正しい情報が世界の隅々まで行き渡る状況になった。パニックなどが起きないよう万全を期す」と答弁し、「かつてのような流言飛語は流れることはないと信じているところでございます」とお答えになりました。 
 私はしつこく、「現代の流言飛語も、21世紀の流言飛語も残念ながらあるだろう。住民の中の不安を払拭する取り組みをお願いしたい」と押し問答しましたが、予想通り、ネット社会となった現代にも流言飛語はありました。
 そこで重ねてお願いしますが、区が行う防災訓練や、日ごろ区と連携して活動している消防団、防災団体、町会などの団体と懇談する機会をとらえ、デマや流言蜚語に対する情報対策として、抽象的ではなく、関東大震災での朝鮮人虐殺を例にあげて具体的な研修や啓発を行い、区民に対し、再発防止の働きかけを行って頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

【五味智子 総務企画部長 答弁】

 熊本地震における情報発信に関するご質問にお答えいたします。
 熊本地震の発生後、ツイッター上に、外国人に関する多くの差別的言動が確認されたことは把握しております。
 今回の事案は、特定の外国籍の人々に対する差別的言動であると同時に、匿名性等、インターネットの特性を利用した、重大な人権侵害であります。
 区はこれまで、人権問題の正しい理解のため講演会やパネル展示などを行ってまいりました。今後も、人権意識の更なる普及啓発活動等に取り組んで参ります。

【三枝直樹 区民生活部長答弁】

 災害時における情報対策についてお答えいたします。
 災害時において、区ではあらゆる手段を活用し、区民に対し情報を発信していくこととしています。また、近年の地震や水害等の災害時には、一般市民により、時々刻々と変化する情報がツイッターなどのSNSを通じて数多く発信されていますが、その中には、デマ、流言や不正確な情報が含まれることがあり、議員ご指摘のとおり、熊本地震において、こうした誤った情報が発信されていたことについても把握しているところです。
 一般市民から発信される情報については、その情報が正しいものであれば、被災現場やその近辺の状況を把握する上において、臨場感や即時性を有する貴重な情報である反面、その情報が誤っていた場合には、それを受け取った膨大な情報を迅速に収集・選別し、どのように修正していくかなどの課題もございます。
 区としても引き続き正確かつ迅速な情報発信の徹底に努めてまいります。また、区民に対しても、区報や各種の防災訓練等、様々な媒体や機会を活用して、関東大震災や熊本地震の事例なども紹介しながら、信頼できる正しい情報に基づいて行動することの大切さ等について啓発を進めてまいります。

【池田洋子 地域文化スポーツ部長答弁】

 吉村昭先生の文学館を所管する立場から、ご質問にお答えいたします。
 吉村昭記念文学館では、人間の本質と時代の真実を探究し続けた作品を紹介するとともに、「ふるさと荒川区」を生涯忘れず、東京人としての矜持を持った「人間・吉村昭」に迫っております。
 自筆メモには、「史実に忠実・・・私のゆるぎない姿勢」とあり、それは吉村文学の根幹をなす大きな魅力のひとつです。また、津村先生は「彼は余白を空想で埋めるということをしなかったので、書いた内容は絶対に信用している。」ともおっしゃっています。
ご質問の「関東大震災」は極限状態における集団の疑心暗鬼が狂気となって襲いかかる、「人間」そのものに対する恐ろしさを描いた作品でもあります。
 都知事に関する件につきましては、都政の問題であり申し上げる立場にないと認識しております。
 区といたしましては、引き続き、ふるさと荒川区を愛した小説家・吉村昭先生の作品が、末永く読み継がれるよう功績を顕彰するとともに、吉村先生が遺した「事実を見極める視点」の大切さを多くの方々に広く伝えてまいります。
2.次に、荒川区の区民サービスを良くするために、非正規職員の処遇改善と現業職員採用に関する国の政策や見解にどう対処していくつもりか、伺います。
■5月11日、地方公務員法と地方自治法の一部改正法が成立しました。2020年4月には「会計年度任用職員制度」が導入されます。
この間、荒川区でも正規職員の退職不補充の方針をすすめた結果、多くの非常勤職員が採用され、日々の職務を担っていますが…

まず、現在在籍する全臨時・非常勤職員の人数は何人か伺います。

■この法改正は社会問題となってきた非常勤職員の処遇改善につなげることが可能です。「会計年度任用職員」の導入について、荒川区として現時点でどのように受け止め、日程を含めてどう対応しようとお考えですか。

■また、今回の法改正で、現在の非常勤職員の任用が法律上明確化されました。今後は勤務実態や職務内容を判断し、6層の非常勤給与体系を持つ荒川区として、現在の処遇を低下させない方法で、希望する非常勤職員についてはフルタイムで任用するお考えはありませんか。
 現在、非常勤職員の退職手当はフルタイム勤務者にしか支給されません。ゆいの森をはじめ区立図書館のサービスを一手に担う非常勤職員は週4日勤務の非フルタイムという規定です。フルタイム任用となれば退職手当を支給することが可能となります。
 また、今回の法改正は一時金についても条例を制定すれば非常勤職員にも、常勤と同等ではありませんが、一定額の支給が可能となりました。
 全世代での深刻な所得の減少を食い止め、日本を「生活できる賃金の国」にするための転換点となるよう、現場での運用を心がけてほしいと思います。そのことが職員のやる気を上げ、さらなる区民サービスにつながることは言うまでもありません。
 この間、行財政改革は一定の役割を果たしてきました。しかし、「行革!」と言えば区民の支持が得られ、「職員削減!」と叫べば票が増える時代は過去のものとなり、今は官民を問わない非正規労働が生み出した全世代の貧困化という弊害を克服することが課題になってきました。
 区民サービスの最前線で常勤職員同様に働く非常勤職員の処遇改善に荒川区の予算を割くことは、必ずや区民に支持されるものと思います。新たな時代認識のもとで、知恵を使って法改正を運用し、荒川区の人材に適切な投資をお願いします。


■さて、10月23日、東京都区政課は「総務省からの指摘事項」として、技能労務職(現業職員)の採用について「清掃職員など新規採用が増加しているが、引き続き退職不補充を基本とし…民間活力導入などで業務の見直しを進める…」よう指示を出しました。
 この文書には「地方公務員に対する住民の厳しい目が注がれている中、総務省の指導事項にご対応頂くとともに、引き続き適切な人事行政の執行をお願いいたします」とあります。住民の厳しい目なら私たち地方議員にも注がれていますが、現場のやってることが如何にも不適切だと言わんばかりの国の態度はどうなんでしょうか。地方自治体のやることに、いちいちクチバシを入れ、指図する国のやり方をどう思いますか?
 コストの面と、民間事業者が雇用する派遣が中心の労働者の非定着性や、技量に問題があるサービス面を合わせて考えると、かたくなに直営職員不採用の方針を変えないことには疑問が残ります。また、多様化する区民サービスへの対応や震災時、オリンピック等で直営職員の力が再評価されてきました。熊本地震のガレキ処理では、直営の地域と民間事業者の地域では、直営職員が応援入ってもなお1ヶ月の差がつき、市長は職員に感謝を表明した、との現地報告を聞きましたが、もともと偽装請負が問題視されてきた指揮命令系統が、非常時には決定的に機能しなくなることが解ります。
 総務省は退職不補充をいまだに金科玉条にしているようですが、時代の要請の変化に加えて、行き過ぎた民営化の中で、再度、直営職員を必要とするようになった現場での変化を知っているのでしょうか?
 国の認識は、現場での状況変化などの実情を踏まえないものだと思いますが、当局はどうお考えですか?

【梅原一彦 管理部長答弁】

 法改正に伴う非常勤職員制度等の対応に関するご質問にお答えします。
 区では、業務の性質や内容等を踏まえて、多様な人的資源を積極的に活用し、より効果的で効率的な執行体制を構築してまいりました。その結果、現在、725名の非常勤職員を配置しているほか、年間延べ300名程度の臨時職員を活用しております。
 「会計年度任用職員」制度は、任用、服務規律、手当支給等の環境整備を図るものです。この間、他自治体に先駆け、現行法の範囲内において各種の処遇改善を行ってきた本区の取組が、法改正に少なからず寄与したものと認識しております。
 区といたしましても、平成32年に向けて、鋭意準備を進めてまいります。
 技能労務職の採用に関しましては、各自治体の実態に即して自律的に判断すべきものと認識しております。区においては、技能労務職は退職者不補充を原則に、事務事業の見直しと民間活力の導入を図っているところです。引き続き効率的で効果的なサービス提供の視点から、業務実態を踏まえつつ、最適な執行体制を確保してまいります。
3.最後に変質する介護保険の現場で問題となっているいくつかの点について当局の見解を伺います。
 来年は介護報酬改定の年に当たります。いったん始まった介護業界の人手不足は止まるところを知らず、依然として低賃金と人手不足の悪循環が続いています。
 現場には様々な問題も山積しているようで、私は会派の広聴会で高齢者、障碍者の在宅生活を支えて働く訪問介護ヘルパー、訪問看護師等から実情の一端を聞きました。

まず、24時間型の定期巡回サービスの現状と問題点について伺います。
 2012年4月から24時間の訪問介護・看護を行う「定期巡回・随時対応サービス」が導入されました。サービス提供時間は20分未満、20分以上30分未満、30分以上1時間未満と短く区分され、早朝や夜間のサービス提供も可能です。ヘルパーや看護師が利用者の自宅を定期的に短時間巡回訪問する様は、まさに地域の病院化、病室化です。
 「定期的な短時間訪問で、薬を飲んだり、排せつをサポートしてもらえるので助かる」と歓迎する利用者がいる一方で、こうした形態のサービスで夜間・早朝を乗り切ることが困難な利用者もいます。病院ではなく自宅での看取りを望む終末期の高齢者が増え、医療的ケアも在宅でやる、と言いますが、これを可能にするには、医療的なケアに熟練したヘルパーや、緊急時の判断を下すことができるスキルの高い看護師の人材確保が欠かせません。ましてや20分、30分では十分な対応が出来ないケースが多いのが現状です。
 「経験不足のヘルパーからSOSが入り、応援に入ったが、医療的なスキルが無ければ危険な状態だった。時間不足で十分なケアが出来ず、利用者さんにご免なさいと伝え、後ろ髪を引かれながら帰ったこともある。終末期の利用者さんこそ、在宅で時間をかけて手厚いケアをしてあげるのが本当じゃないのかと悩む毎日だ」…。このサービスを売り物にする或る大手事業所の訪問ヘルパーからは、プロとしてのやるせない思いと、こうしたサービスが主流になることを危惧する悲痛な意見がありました。当局はこうした現状をどうごらんになりますか?

介護保険制度に対する利用者の誤った認識やモラルの問題も依然としてあるようです。訪問するヘルパー、看護師に対するトンデモナイ態度もあり、これだから耐えられなくて仕事を辞める人が増えて、人手不足に輪がかかるのだな、と思わされました。
 「両手が使えるのに、ココを洗え、アソコを洗え、と要求する利用者。私は『ご自分で出来ますよね』と拒否するけれど、新米のヘルパーやおとなしそうな人には強要してやらせる。私はアナタの妻でも愛人でも使用人でもない!と言ってやりたい」と或るヘルパーは怒り心頭でした。
 また、他の利用者の訪問の最中に何度も電話をかけて来るので「必ず伺うので少しお待ちください」と伝えると、『オマエ、金もらってやってんだろ』と怒鳴る。『私はアナタからお金は頂いていません。介護保険という制度の中で仕事をし、給料をもらっているので』と思わず言い返した。訪問先の利用者さんに『お聞き苦しくてスミマセン』と謝ると『あなたの言う通りですよ、ご苦労さま』と言ってくれて、ちょっと気が休まった」という話もありました。彼女たちはこういう日常の中で働いているわけです。
 改めて利用者に対する、介護保険制度の主旨説明、トンデモ勘違いに対する啓発が必要ではないかと思いますが、当局はどう思われますか。見解を伺います。

■さらに、小池知事の地元・豊島区で国家戦略特区を使って突然実施することになった「混合介護」についても疑問と異論が出ました。
 これは介護保険制度に位置付けたヘルパーさんを使用人かお手伝いさんにする話でもあり、こういうことが豊島区をモデルに広がるとトンデモナイことになるので、今のうちに当局の見解を質したいと思います。
 介護保険サービスと保険外サービスを同時一体的に提供する「混合介護」については問題が多く、安易にすすめるべきではない、と言うのがこれまでの標準的な見解です。現在は、保険内の時間と保険外の時間とがきっちり区分けされていますが、混合介護はこれを弾力化して条件を緩やかにする規制改革です。混合介護では、介護保険を受けている本人以外の家族の分についても、洗濯・掃除・買い物・調理等を行うことができるようになり、介護保険の主旨から大きく逸脱します。家族全体の家事を依頼するなら、家政婦を雇うのが筋でしょう。
 介護保険外の「指名料」や集中時間帯の「割増料金」等を上乗せして収入増を見込む狙いですが、同居人が元気でも家政婦がわりに保険外サービスを利用するのではないか、という懸念や、指名料が払える利用者に偏り、指名料が払えない要介護高齢者にはヘルパーが派遣できなくなる可能性もあります。本当にヘルパーの賃金が上がるのかは全く不透明です。「混合介護の弾力化」を許せば所得の再配分にも反します。
 豊島区でのモデル事業については、都の担当部局でも、充分な検討は行われていなかったようです。問題点が解決されないまま進めれば、お金を払える人だけが利益を享受する不平等なサービスになることが懸念されます。様々な問題点を考慮し、慎重に検討するよう東京都に申し入れて頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

【片岡孝 福祉部長答弁】

 まず、24時間巡回サービスに関するご質問にお答えいたします。
 夜間に訪問介護を利用される方は、主に介護度の重い方が多く、区では、これまで介護事業者に対し、ターミナルケアや医療連携に関する研修等を実施しているところですが、引き続き様々な機会を捉えて、本人や家族に寄り添った、より適切な支援ができるよう指導してまいります。
 次に、介護保険制度の周知等に関するご質問にお答えします。
 介護保険制度の適正な運営にあたっては、利用者がサービスの目的や社会的良識を含めた利用にあたっての留意点を理解することが重要であり、介護職員に対する対応も含め引き続き周知啓発に努めてまいります。
 最後に、混合介護に関するご質問にお答えします。
「混合介護」のモデル事業について、豊島区が来年8月の開始を目指して準備を進めており、区としては、その状況を注視してまいります。