河内ひとみのあらかわ日和

2014年12月3日 2014年11月26日
●2009決算 認定反対討論●
2010年10月13日  あらかわ元気クラブ 斉藤ゆうこ

 私はあらかわ元気クラブとして、議案第15号「平成22年度 荒川区一般会計決算」の認定に反対する討論を行います。

空と木

 この予算を決定するに当たり、あらかわ元気クラブは「行き詰まった経済・産業の下で地域経済を再生できる展望があり、現下の厳しい区民生活に応えられるものなのか疑問である」として3点にわたり反対の理由を申し上げました。

第1に、『荒川版ニューディール』と西川区長自身がおっしゃる財政出動が果たして誰を潤すことになるのだろうか、という点。
第2に、雇用や生活を守り、区民生活を豊かにすることに逆行する『荒川版行革』をきっぱりお止めになったらどうか、という点。
第3に、「戦後最大の経済危機」にふさわしく、雇用や地域経済対策はこれまでと違った思い切った措置が必要だが、そうなっていない、という点。

 決算の認定に当たり、私はこの3点を改めて振り返ってみました。

 まず、この年度の財政出動はどのように行われたのか。教育施設に36億円、保育園・学童クラブに補正を含む11億円、ふれあい館に同じく補正を含む11億円、そして障害者施設に2億円。こうした用地取得と公共施設建設に今年度の補正を含んで60億円という予算がつけられ、執行されました。また、議会から「検証が必要だ」と超党派で意見が続出している再開発事業。この推進には40億円の予算が付き、合わせて100億円でした。800数十億円の予算のうち、100億円がここに付けられた訳で、「この予算の目玉とも言える」と私は指摘しました。

 また、老朽化した公共施設の建て替えにも12億円の予算がつきましたが、これらのいわゆる公共投資が最終的にだれを潤わせるものなのか。私はこの点に着目して今後も調査し、推移を見守りたいと申し上げました。予算委員会の総括質疑でも述べたように、荒川区のこの6年間の普通建設事業費は632億円です。普通建設事業費とは、道路や橋や、いわゆる「箱モノ」と言われる施設を建設する費用ですが、このうち学校建設費が91億円、ふれあい館建設費が7館で21億円かかっています。

 では、再開発事業への補助金はいくらか。6年間で172億円。他と比べて大変大きな額であることがはっきりしています。中でも日暮里の3地区には133億円の補助金が投入されました。さらに、昭和61年(1986年)以来、南千住2地区・町屋4地区・日暮里3地区など区内10ケ所で展開された再開発事業に投入された補助金は、しめて276億円にのぼります。

 日暮里駅前3地区の再開発を中心的に担ったのは、与野党の政治家に非合法なものも含む政治献金を行って摘発された西松建設でした。大手ゼネコンにとって荒川区は格好のビジネスの舞台であり、大いに潤ったと思いますが、果たして荒川区民は豊かになったのでしょうか?

 これだけのお金をかけた日暮里駅前再開発、そして区内の再開発事業が本当に区民の懐を潤し、区民経済、区民生活を豊かにしたものなのか。この検証のもとに、私たち議会は今後の再開発事業のチェックをする責任を負っています。こうした点から私はこの決算の認定に反対するものです。

 総括質疑で申し上げた通り、巨額の補助金を投入して区内10カ所に展開してきた再開発事業をこれ以上続けるのか。「活性化」とか「にぎわい」とか言っているけど、ゼネコンばかりでなく区民に真の利益はあったのか。検証は不十分であり、今後の計画には見直しが必要であると思います。

 第2、第3の問題については、長期化する経済危機の下で、区民税や財政調整交付金の先行き不安を抱えながら、どのように自治体財政を維持していくのかが問われ、反対に、区民の窮状を支援するためにどのように財政出動を行わなければならないか、が問われました。しかし、色々とメニューのある産業支援策の多くは不十分であり、地域経済はこの1年衰退の度を増しました。また、昭和62年以来の職員定数削減は23区一であり、この結果、40歳代の職員が極端に減少してバランスを欠き、その弊害も明らかになりました。こうした点からも決算認定に反対せざるを得ません。

 決算の各款については、決算委員会の質疑で申し上げた通りですが、いくつかの点について重ねて申し上げておきます。

集中・安値の契約

 区の契約のあり方について、6月におこなわれた学校設備関係のある契約について、ひとつの企業への集中と予定価格の6割を切る低価格の落札があったことを指摘し、改善を求めました。この点について、今後、公正・公平であると同時に中小事業者にとって「適性利益」があり、事業の破綻や労働者の賃金不払いなどにつながることのないよう、改めて契約の改善を求めます。

大学奨学金制度と学童クラブ夏休み給食の実施

 教育費では、区として大学進学のための奨学金制度を設けてほしい。学童クラブの子どもたちへの夏休み給食を実施してほしい。この2点を質疑、要望しました。日本では戦後、教育を受ける機会の均等、それと結びついて仕事に就けることが、努力すれば貧困から脱け出せるカギでした。ところが近年、子どもたち、そして親たちの現状は大変厳しくなっています。食べることや勉強できる環境、進学への経済的支援は再び「公」が受け持って強力にバックアップせざるを得ない所にきています。問題提起し、今後取り組んで頂くことを要望致します。

介護保険の弾力運用

 介護保険事業については、保険者として弾力運用に努め、指針を公表して頂くよう求めました。

自治総合研究所

 さらに、この年度に設立された自治総合研究所についてですが、私は昨年の第2回定例会に提案された財団法人「荒川区自治総合研究所」に対する助成等に関する条例にめずらしく賛成をしております。かつて庁内組織としてプロジェクトチームがあったことを踏まえ、財団法人として研究の成果を区の政策や事業に生かすのみならず、それを根拠に国の制度・政策に対しても進言してほしい、と要望しました。これに対し、西川区長は「国に向かって提案をすることは当然出てくる。その場合、まず私は23区の区長会の同意を、多数を味方につけて迫りたい」「短期的にも緊急的にも事に当たらなければならないものは沢山あるので、シンクタンクに全てを委ねるのではなく、シンクタンクの成果を各部が受けて、各部の実践をシンクタンクが参考にするという相互関係をしながら、議会にももちろんチェックをして頂く。この三つの作用が大事名のではないか」と答弁されました。

このような経緯を踏まえて、『幸福度』の指標化は大変難しく、そのことに精力を裂くよりも、『子どもの貧困』の調査・研究成果を区の事業・施策に生かす方向づけをしっかりして頂きたいと申し上げたのですが、理解を頂けず誠に残念でした。

 以上申し上げて、あらかわ元気クラブの決算認定に反対の討論と致します。