河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月27日 2014年11月27日

 私は、あらかわ元気クラブとして、議員提出議案第8号、荒川区大型小売店舗出店計画の事前協議に関する条例制定に賛成の討論を行います。
 荒川区においてこの種の条例または要綱が必要になってきた背景は、言うまでもなく大店法の規制緩和による荒川区への相次ぐ大型店の出店であります。荒川区でも昨年のオリンピックに続き、ライフ、マルエツが今年に入って相次いで出店を表明し、大型店出店ラッシュにさらされることになり、私たち議会も、そして行政も、この問題の渦中に身を置くことになりました。藤枝区長はオリンピック出店反対を表明し、また、私たち議会も昨年第2回定例会で全会一致の反対決議を行いましたが、相次ぐ大型店出店は現に地域社会に混乱を引き起こしており、無秩序な出店に対する何らかの歯どめとなるルールづくりが今、緊急に我々に求められていることは、だれもが認める事実であると思います。
 大型店の出店に当たって、商業活動の面からの調整を行う法律、いわゆる大店法は日米構造協議のやり玉に上げられ、1992年から3回にわたる見直し、改正が進められました。現在この法律は、名前と枠組みだけが残っているだけで、法の精神はすっかり空洞化し、抜け殻状態となっております。3度にわたる見直しは、大型店の出店、増床・延刻などの手続の大幅な緩和、届け出や説明会開催義務の省略にまで及び、その結果、大型店の出店はまさに野放し状態となりました。
 最近では、大手スーパーは中小規模の店舗をリストラして閉鎖し、1万平米以上の大型店出店に絞り込むという戦略を打ち出しております。まさに法規制の緩和に乗じて、徹底的にコストを重視した戦略に出たということでしょうが、出店候補地にされた周辺地域にとっては大変な混乱が余儀なくされることだと思います。こうした状況のもとで、我々はどのような対抗策を持ち得るのかといえば、独自の条例、要綱を持つことであると思います。既に東京23区でも杉並区、お隣の川崎市、さらに全国でも幾つかの市がこうした対応をとっておりますが、それらの市町村ではどこも大型店の出店で、既に地域紛争が起きた、そうした経験をもとにこれらの要綱をつくっております。荒川区が大型店の相次ぐ出店と、それによる近隣住民、近隣商業者への影響に本当に心を寄せるというのであれば、なぜ現在、要綱整備一つできていないのか。議員提案の条例案を待たずして、素早く敏感な対応が世できてよかったはずと思います。この点で区当局は切実さに欠けていたと批判されても仕方がない。何をすべきかの積極性がなかったのではないでしょうか。私は、尾久本町通りと宮地に相次いで起こった斎場建設問題を思い出します。あの時も要綱設置に手間取って、実効性を欠いた面がありました。この点については、区当局の反省を求めておきたいと思います。
 さて、大店法の規制緩和は、大型店がいつでもどこでも、早いスピードで出店できるよう便宜を図ってきたわけですが、その一方で、地方自治体に対して独自規制はまかりならぬと不当な圧力をかけてまいりました。1992年から3度にわたる通達で地方自治体の行き過ぎた規制を問題にし、やり玉に上げ、これをやめるようにと再三介入をしているのであります。
 ここに法規集があります。平成4年から出店等にかかる地方公共団体の独自規制についての通達、同じく平成4年1月、出店等にかかる地方公共団体の独自規制について、そして平成6年にも、出店等にかかる地方公共団体の独自規制等に関する相談窓口の設置及び相談等の処理についてということで「適正化」という中身を求めております。行き過ぎた独自規制と考えられる具体的事例についても詳しく述べております。
 以下の様態のものは、これは法に違反するものであるというふうに述べています。出店凍結を基本方針とする案、大店法に基づく調整手続自体を否定するようなもの、また、届け出受理前に出店予定者と出店予定地の商工会議所または商工会、地元小売商業者との間で合意書・協定書を取り交わすように義務づけたりして、事前調整が実質的に義務づけられることになるよう地元小売業者の合意がなければ調整手続に入ることができないようなもの、そして3番目には、補助金の交付制限・返還や上下水道の停止等、いわゆる他事考慮による不利益処分の制裁条項を置く等により大店法の調整手続の趣旨を逸脱するもの、最後に、出店予定者が地元資本か否かにより調整手続に合理的とは認められない差を設けるもの、このような具体的事例を挙げて適正化を求めるという名のもとに介入をしているのであります。
 こうした国の圧力は、地域住民の利益と街づくりに責任を持つ地方自治体の権限を侵し、地方分権に逆行するものであることは言うまでもありません。区当局は、こうした状況のもとで国と闘い、地域の自主性を主張する精神をしっかり持たないと、要綱や条例をつくっても姿勢は貫けないということを改めて申し上げておきたいと思います。
 さて、共産党議員団が今回提出された議案ですが、条例案である以上、こうした国の動向とも整合性を持とうという適切な配慮を持ったものであると私どもは考えております。他事考慮によるという中身で、このことに抵触されるというふうな意見を述べた方もいらっしゃいますが、私が先ほど述べた4点、具体的に通産省が挙げた中身のどの点にも抵触しない、行き過ぎた独自規制の具体例にも抵触しない大変合法的なものであると考えております。よって、私たちはこの条例案の精神、そして、この条文そのものにも何ら問題はないと考えて賛成をしたものであります。
 最後に、この問題に関する会派としての意見をつけ加えておきたいと思います。
 まず、行政手続法との関連がありますので、行政が何らかの対抗策を持つとすれば、要綱が適当であるというふうに私どもは考えております。第1番目に、緊急に行政は要綱案をつくり、当該の委員会や議会と調査研究し、議論をして早急な制定を行うべきであると思います。第2番目に、土地利用計画を含めた街づくりの問題として、斎場や学校の日照問題などにも対応できる総合的な荒川区らしい要綱をつくるべきであると考えております。規制緩和は、大店法の問題一つとってみてもわかるように、豊かな国民経済をもたらしません。こうした影響のもとで、荒川区が受ける不利益に対して早急な対応をということで提案された共産党の議員提出議案に賛成をして討論を終わります。