河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月26日 2014年11月26日

 私は、あらかわ元気クラブとして認定第4号「平成16年度荒川区介護保険事業特別会計歳入歳出決算」に反対の討論を致します。
 あらかわ元気クラブは、介護保険制度そのものに反対でありますので、決算の認定には一貫して反対して参りました。今回、私はこの討論を通じて、3点の問題提起を致したいと思います。

 第1に、予算、決算の特別委員会に別枠の質疑時間を設け、区議会として我が区の介護保険会計の実態をつぶさに検討すべきだ、と考えます。
 先日、「介護保険の破綻」という特集番組がTVで報道されていました。今回の法改正によって、この制度の矛盾が表面化してきたことがきっかけだと思います。給付削減と保険料値上げが将来にわたって繰り返されるのではないか-これが国民の率直な不安であります。
 介護保険制度が発足し、特別会計がつくられて5年になりますが、予算、決算の委員会に時間制限がある中で、ほとんどの質問者の時間が一般会計に費やされ、じっくりとこの事業の実際と介護保険会計の実態を調査することができません。
 保険者である区と、先行き不安を抱える区民に対する議会の責任を果たすためにも、介護保険会計の集中審議を行うことを、この場をお借りして関係各位に提起致します。

 第2に、今回の法改正によって、保険者である荒川区は介護保険事業に様々な手直しを強いられ、新たな制度上と財政上の負担が発生することになります。時間的な問題を含めて、その備えは万全なのでしょうか。
 決算委員会の民生費で質問致しました通り、今回の法改正で来年の4月1日からは在宅系の給付見直しが行われます。去る8月5日、『指定市町村事務受託法人』新設にあたっての指定要件が厚生労働省より示されました。介護保険サービス給付のための認定調査は、そもそも区が行うべきものですが、ほとんどの自治体が委託を行っており、荒川区では約8割が委託です。厚労省の方針では、この認定事務を行う法人を新たに市区町村が50%出資して設立するか、または全国規模の大手企業などが別会社をつくることになるようです。また、『地域包括支援センター』も準備しなければなりません。
 こうした国の方針に対して、「まだ詳細は決まっていない」と区は答弁されましたが、対応について何らかの特別な措置が必要ではないかと思います。

 第3に、この制度をこのまま維持することが本当に正しいのか、という問題であります。
 国が給付を減らす今回のような場合、荒川区が介護保険財政の悪化を防ごうとすれば利用者の負担を増やす以外になく、荒川区が区民の負担を肩代わりしようとすれば区財政を持ち出す以外に方法はありません。国の制度改悪のたびに区財政で補填するようなことは筋違いな話だということは、すでに先日の討論で申し上げました。
 「持続可能な制度にするための措置だ」などと言いますが、そもそも税で賄ってきた日本の福祉に保険制度を導入し、複雑な制度にした上に、保険者を地方に押し付けたのがマチガイのもとです。財源として目的税を置くのか、消費税を増税するのか、それとも歳出の見直しや応能負担の強化で税収を増やすのか、それは次の問題として、まず保険制度をやめ、税で賄う制度に戻すべきであると考えます。
 今後荒川区は、法改正のたびに条例改正でこれに追随することを止め、制度そのものの抜本的な変更を国に対して果敢に求めるべきではないでしょうか。

 さらに、この制度の中には、高齢者とその家族の詳細な個人情報の掌握という国民のプライバシーの問題もあります。介護保険制度は多くの矛盾を抱える制度です。国民の大多数に豊かで安寧な老後がもたらされるよう改めていかなくてはならないと思います。
 以上、3つの提案を申し上げて、あらかわ元気クラブの反対討論と致します。