斉藤ゆうこのあらかわ日和

 あらかわ元気クラブの斉藤ゆうこです。あと51日で任期を終えられる西川区長に、4年間の区政を振り返り、総括的な質問を致します。
 今回の質問は、私たち元気クラブが区民各層の皆さんからご意見をいただき、議論を重ねてつくった「荒川区基本構想」の対案、「あらかわ元気クラブの荒川区基本構想」に基づき、考え方の違や対立点をはっきりさせながら、区長と当局の見解を伺うことになります。私と西川区長とは、政治的立場も異なり、理念の隔たりもありますので、お心を静めて議論に臨んでいただくことを、まず初めに申し上げておきたいと思います。
 さて、荒川区の将来にとって重要な区長選挙まで後51日となりましたが、折しも、9月1日に福田総理が辞任。たった1年でふたりも首相が辞任するとは、いよいよ日本の政治も行き詰まってきたという以外にありません。現在の連立政権ももうこれまで、総選挙の後には新たな『政治再編』が待っている、という事でしょうか。
 1993年の自民党単独政権崩壊以来、日本の財界は、経済と政治の分野での国際競争に耐えうる「安定した政権」を求めて『基本路線の違わない二大政党』をめざしてきました。昨年夏の参院選で民主党が大勝し、『二大政党制』に近づいたかに見えましたが、例の『大連立』問題で馬脚を現して失敗。民主党の現状も見えてきました。
 一方、サブプライムローン問題で資本主義の総元締めたるアメリカの金融・経済が動揺を続ける中で景気は一気に冷え込みました。金融危機対策にアメリカ政府が投入したドルは投機マネーとなって穀物・原油に流入し、世界的な物価高・インフレが始まりました。欧州やアジアの漁民、労働者、農民が大規模な対政府行動をおこし、日本でも「もう限界だ!」と漁民や酪農民、トラック業者などが相次いで補償を求め、闘い始めました。
 高まる国民の不満を抑えて選挙を乗り切るには、たった2兆円でも「緊急総合対策」を打たねばならず、公明党が要求する「定額減税」にも応じざるを得ない。でも、これでは日本経団連が至上命題とする「財政再建」の目標は達成できず、「改革」は遠のいてしまう…。福田総理は進退きわまったのだと思います。二代にわたる首相のギブアップを「無責任だ!」と怒りたいのは、きっと財界でしょう。
 解散総選挙でどちらが勝っても、この不安定な状況は変わりません。求心力を失ったアメリカに追随し続け、この期に及んでも国民の苦悩をヨソに一部の多国籍企業や商社は利益を上げ続ける。こんな日本の政治の構造を根本から変える以外に、「日本国民をシアワセにするシステム」はないと確信しています。これこそ、サンフランシスコ講和条約以来の「戦後政治の総決算」ではないでしょうか。

 このような情勢激動の下で、わが荒川区の区長選挙は行われます。そこで、私は「荒川区政はこれでいいのか-西川区政の4年間を問う」と題して一般質問を行います。赤塚不二夫さんなら「これでいいのだ!」でしょうが、議会がみんな揃って「これでいいのだ!」と言っている訳にはいきませんので、私の西川区政とは異なる立場を明らかにして質問し、問題点を明らかにしてこの区長選挙を闘い、荒川区の将来をどうしていくのかを争いたいと思っています。それが、小なりと言えども、荒川区の政治に携わってきた者の責任だと思っております。
 本会議終了後には、私の長年の友人であり、議会の同僚でもあった今村まゆみが、区長選挙に立候補する意志を表明し、記者会見を致します。自民党・公明党・民主党・連合が政策協定を結んで『相乗り』するこの選挙、革新政党を標榜する共産党も今日まで候補者をお出しにならない中で「もう黙っていられない!」との強い思いからの立候補です。この気持ちを受け止めて、私も全力で応援致します。「一寸の虫にも五分の魂」のたとえもあります。区民の皆さんに「荒川区の将来構想」をお示しして正々堂々と区政を争いますので、皆さんの陰ながらの応援をどうぞよろしくお願い致します。

 では、質問に入ります。

●第1番目に、街づくりについて伺います。
 ここ数年、荒川区は目に見えてその姿を変えてきました。20年の年月を経て、現在のような街を形成した南千住・汐入の大規模再開発を始め、隅田川沿いに増加した民間マンション群は、荒川区の人口増加とともに集合住宅に住む人が人口の半分を占めるようになる、という変化をもたらしました。
 また、町屋4地区での駅前再開発、最近の日暮里駅前再開発、計画中の三河島駅前再開発と、小さな面積の中にあるJRや地下鉄の駅という駅で再開発が行われてきました。
 新交通も導入されました。つくばエクスプレスが人の流れを変え、日暮里舎人線が11年の工事を経て今年3月末に開通しました。
 都心に近接している割に地価が安く、交通アクセスの良い荒川区は、近年、集合住宅建設・販売の適地として注目され、既存の市街地や路地の中にまで、土地さえあれば中規模のマンションが建設されることとなり、そのために近隣との建築紛争も増えてきました。 そのような中で、昨年頻発したのが、ワンルームマンション建築紛争でした。
 工場の閉鎖や転廃業、相続などによる土地の売却が増え、購入した業者が狭い土地にギリギリ一杯のボリュームで集合住宅を建てようとするため、近隣住民との間に頻繁に紛争がおきるようになったものです。
 「区の要綱は条例じゃないから従う必要はない」と公然と指導に従わない業者も現れ、区の現行ルールには限界が生じてきました。そこで荒川区は、救いを求める住民の切実な声と区議会の超党派の要望でこの事態に腰を上げ、昨年3定で条例を制定しました。
 しかし、当初この問題の発端となった東日暮里3丁目南町会のワンルームマンションには条例が遡及適用されず、要綱の3倍の89戸の違反マンションが堂々と建設されてしまいました。この過程で近隣住民は二度にわたって相手方企業から仮処分の訴えを起こされ、裁判所に通って争う、という苦痛を味わいました。
 しかも、このマンションは相手方企業が資金繰り不能に陥ったため、ゼネコンから引き渡しされずに、居住者の募集も行わないままの状態が数カ月続いています。近隣に大きな被害を及ぼし、学校の壁面をふさいで建てられた89戸の違反建物はこのまま立ち腐れになっていくのでしょうか。何と腹立たしいことか、と私は思います。
 こうした、マンション紛争は尾久地域にも飛び火しました。尾久橋通りにほんの少し接地したファミリータイプのマンションは15階建てですが、その界隈では高さもボリュームも大きく、後背地の静かな環境に慣れ親しんだ住民にとってはショック以外の何物でもなかったことがわかりました。「土地さえあれば、私たちの街にも外部の業者がこういう建物をどんどん建てるようになるのだろうか」「日暮里舎人線の開通を前後して、地上げのような事が東尾久地域のあちこちにおきている。出て行かざるを得なくなった人が嘆いていた」と、新交通の影響による開発ラッシュと見る向きもあります。東尾久には、中高層住宅紛争条例の基準に満たないため、集合住宅ができるとは思わずびっくりした、という商店街の真っ只中の事例もあります。
 さらに、条例による規制との追いかけっこだったワンルームマンションは、果たして住宅供給の理念を持った商売だったのか、という問題もあります。ここに月刊「エコノミスト」の「不動産深刻」と銘打った特集号があります。アーバンコーポレーションの倒産に顕著なように、サブプライムローン問題以降の金融引き締めで、これまで事業拡大、事業拡大でやってきた新興不動産業界が「瀬戸際」だというのです。新規参入が容易で、拡大を続けてきたこの業界の特色は、建物を建ててはファンドなどに転売し、ファンドは不動産投資の対象として扱って利益を得る、といった投機的要素が強いことです。荒川区の住宅政策のパートナーとなり得る代物ではなかった、と言うことが見て取れると思います。われわれ議会と行政はこの問題から何を学ぶべきなのでしょうか。
 西川区長はこの問題に触れて、「街づくりに規制はなじまない」との基本的考えを表明されました。しかし、このような生き馬の目を抜く現在の状況を見ると、市場に任せる、民間企業の自由を尊重する!では、とても地域特性を生かした街の主体的な将来計画は描けないのではないか、と思います。私は区政の各分野における必要な規制が、地方自治体として地域を守り、住民を守る対抗策であるとの考えから、これまで幾度も総合的な「まちづくり条例」制定を提案してきました。西川区長はこの点をどうお考えなのか、伺います。
 また、あわせて現在策定中の都市計画マスタープランで、荒川区の街づくりの将来像をどのように描くのか、当局のお考えを伺います。

●第2に産業振興について伺います。
 街づくりでは、問題の背景に区内の中小規模の工場の閉鎖や転廃業、そして店舗の閉鎖と転売など、厳しい経済環境の中で経営難に陥った中小事業者の深刻な現状があることを申し上げました。街づくり行政と産業振興は、このように表裏一体の問題であります。
 4年前、私は上野和彦・前荒川区基本構想審議会会長を候補者として、ともに区長選挙を闘いました。その中の街づくり政策には「生活の安定と安心のまちづくり」として「産業振興と一体化したまちづくりで企業に元気、商売繁盛。」という一項がありますが、まさにこうした考え方に立った政策の考え方だと言えます。
 「元気クラブの荒川区基本構想」は「荒川区の将来像」として「地域の産業と暮らしやすい住環境が調和した街」「ものづくり・地域商店街・住宅が共存する活気ある下町・荒川区」です。
 しかし、これまで長く荒川区に住み、働き、地域経済は元より日本の経済を下支えしてきた多くの区民、中小事業者の現状は大変厳しい。この目標は容易ではありません。「区内の中小零細企業が存亡の危機にある」という認識は議会でも共通のものです。昨日の自民党・小坂真三議員の代表質問でも同様の表現が持ちいらりれておりました。
 では、その存亡の危機にある区内事業者に区政は何をしてきたのでしょうか。果たして効果はあったのでしょうか。
 23区の「2006年事業所企業統計」を見てみました。2001年から2006年まで5年間の事業所数、事業所従業者数の推移が出ております。これによれば、荒川区の事業所数は、この5年間で98342人から89461人に減少しています。人数にして8881人が荒川区の事業所から去って行ったか、仕事をなくしたという事になります。率にして 9.5%。残念ながら23区第1位であります。ほかにも第1位っていうの、ありましたね、行政サービスとか何とか。ちなみに、23区平均はプラス1.1%。増えているんですよ。情報産業が集中する渋谷区はプラス3615人、8.8%の増です。
 事業所数でも荒川区は5年間に1960軒の減少。倒産・廃業・移転などで、2000軒近い事業所がなくなっています。減少率は14.1%。これも23区1位です。これが現実です。
 荒川区の産業振興策はこれでいいのでしょうか。当局、この数字を痛みを持って受け止められるのでしょうか? 仕方がない、というのが本音ですか? どのように受け止めますか? 私は本当にお伺いしたいです。
 改めて、西川区長の『荒川区基本構想』では現実の厳しさに負けて、産業振興に対する意気込みが後退していると思いますが、当局はこの点についてどのような見解か、伺います。淘汰されるのはしかたがないから、もうあきらめた、というなら正直にそうおっしゃって下さい。
 もし、区内商工業の衰退に手をこまねくのであれば、区民から無策とのそしりをまぬがれません。一握りの多国籍企業の要求には何でも応じ、日本の経済を支えてきた荒川区のような大多数の中小零細企業に対しては、つぶれても仕方ないと言わんばかりの国の産業政策に追随するのか、それともその変更を求めつつ、荒川区の産業集積をこれ以上衰退させないために独自の産業振興策に取り組むのか。私はそうあるべき、方法もある、と考えるますが、当局に積極策はあるのか伺います。
 区政も「どうやって区民を食べさせていくのか」、その方策が最大の課題と私は考えます。荒川区最大の地場産業となった印刷業においても、事態は深刻です。零細印刷業者は「仕事不足」「後継者不在」「騒音・振動による近隣とのあつれき」にさらされ、つねにの廃業の瀬戸際にあります。中堅企業であり、荒川のご三家と言われる壮光舎印刷、富士美術印刷、三美印刷においても、資材の高騰、コスト削減圧力、大手との競争にさらされ、最終的には従業員に対する削減、賃金カットに行き着かざるを得ない現状があります。当局の本気の対応を求めます。

●第3番目に、医療・介護・福祉について伺います。
 この間、『給付の抑制』を目的とした介護保険法改正や後期高齢者医療制度の制定が行われました。これは、政府が財界から「財政赤字解消!」の要求を受け、社会保障費の削減を目標として行ったものであり、その結果、医療機関や介護保険事業所に矛盾が集中し、国民の負担は激増しています。
 一例を上げたいと思います。東京都福祉保険局の「平成18年度指導検査報告書」を見ました。平成17年度、18年度の2年間に行った指導検査・監査による「返還金等実績一覧表」というのがあります。法改正後の「給付の抑制」を目標とした「適正化」と称する指導で、介護保険施設と事業所に介護報酬に「返金」させた実績が示されています。
 17年度が約7億9千2百万円、18年度が約7億2千6百万円。これを不正請求摘発の成果だ、とおっしゃいますか? 実情に合わない法とその運用の中で利用者の自立を助けても、不正請求!との指摘が窓口から返ってくるとの多くのケアマネや事業者は泣いていますよ。
 私たち超党派の地方議員はこうした問題で昨年、今年と2年にわたり、「全国地方議員交流会」で議論し、厚生労働省との直接交渉をおこなってきました。それくらい、国のやり方が地方自治体と住民を苦しめているからです。厚生労働省の若い役人さんは「地方の意見を聞いて法改正、介護報酬改定に反映させる」とおこたえになっていました。
 この間、何度も論争してきましたので、端的にうかがいますが、地方自治体として、社会保障制度について矛盾と感じていることや実態にそぐわない事があるとして思います。そうした点について国に積極的に意見を述べるべきだと考えるが、いかがお考えですか。ここで争わないなら、自治体は単に厚生労働省の手先に過ぎません。
 また、社会保障関連の悪法に対して区民の不満はかつてなく高まっていますが、区は区民の最も身近な自治体として、今後国といかに闘って制度の変更を求めるのか。並大抵の事ではありません。今後の展望を伺います。

●4番目に、子育て支援について伺います。
 昨年は区が提示した金額が低すぎたために契約が成立せず、今年いきなり6園も拡大する、と発表された区立保育園の給食民間委託は、さらに来年度0歳児2園の委託が提案されました。
 当局は『経費削減効果』と『栄養士の配置でサービス向上』を謳い文句にしていますが、「食育」をすすめる役割の非常勤栄養士は待遇が悪いせいか、すぐ辞める人が続出しています。一昨年民間委託した2園について、こうした検証も十分に行わないまま強行しようという当局に対して、保護者は「ただ安上がりにしたいだけ?」と不信感を抱き、「反対!」の声が大きくなっています。
 予算委員会では「1園170万円の削減効果」という答弁でしたが、栄養士の人件費を増やせば削減効果はさらに小さくなります。食品偽装が相次ぎ、危険な輸入食品が給食の食材にも及ぶ昨今、この程度の金額を『効果』と言い張り、既定方針にこだわり続ける当局の政策判断は誤っています。予算規模800億円、特別会計含めて1000億円を超える荒川区財政にとって、たったの170万円だということを保育園の保護者はちゃんと認識していますよ。
 改めて伺いますが、これでも荒川区は小さな赤ちゃんの給食まで残らず民間委託するのですか。食の安全に関心が高まる中、たった170万円のコスト削減で民間委託をすすめる真意は何ですか。
 また、新たに提案された0歳児2園での委託の後、区はどのような方策を考えているのか。伺います。

●最後に、行財政改革と財政健全化について伺います。
 荒川区は昭和58年度から昨年度までの25年間に853人の職員を削減しました。「良くやった!」と拍手する区民もいらっしゃるかもしれませんが、この『削る、減らす』行革の穴埋めは安い賃金の非常勤職員の採用でまかなわれてきました。
 現在480人を超える数となった非常勤職員は、「補助的な仕事」どころか段々に職員と変わらぬ仕事をせざるを得なくなり、専門性の高い『図書館司書』や『栄養士』『幼稚園教員』などの職種でも、その数は増えるばかり。勤続年数の長い人も多くなりました。 現行法では、非常勤職員の給与は年齢や勤続年数で加算されません。年収200万円代、主任でも300万円超の30代の非常勤職員が60歳を迎える時もこのままの年収だとしたら、果たして西川区長が常日頃言われるように「誇りをもって」荒川区職員の仕事を終える事ができるでしょうか?
 例えば、区内の図書館では常勤職員はひとりで、あとは全員が非常勤です。区民サービスの最前線に立ち、専門性の高い仕事をこなしていますが、長く区民のため、地域のために働いても、このままの待遇では仕事にふさわしく、報われるものにはなりません。
 西川区長は「『働く貧困層』を増やすことには加担しない!」と言いますが、それでは現状をどう変えるつもりなのでしょうか。
 幼稚園の3歳児保育の全園実施も結局は非常勤でした。非常勤にした事で人件費は1600万円削減され、一方で私立幼稚園への補助金は2400万円の大幅増額である事もわかりました。
 「ただ削る、減らすだけの行革はやらない」と西川区長は表明しているが、これまでとどこが違うのでしょうか。見解を聞かせて下さい。
 また、大多数の区民が豊かになり、結果として区財政が潤う事が真の財政健全化だと考えるが、当局の基本的な考えを伺います。