斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は、あらかわ元気クラブとして、議案第52号、荒川区議員定数条例の一部改正に反対の討論をいたします。
 荒川区議会における議員定数に関するこれまでの状況を見てみますと、83年の統一地方選挙において、人口減に伴い44名から40名へと法定議員が4名減となり、翌84年には3会派の議員提案で38名へと2名削減を行った経過があり、そして、この後、90年には、当時の自由民主クラブが提案者となって2名の削減を行おうとしましたが、このときは賛成少数で否決されております。
 私は、常に地方議会が自主性を持って議員定数について議論し、決めていくべきであると考え、必要な定数削減は状況に応じ適宜進めていくべきと考えて、このときの36名への削減に賛成をいたしました。現在も36名への削減は、むだな議員報酬の支出を抑え、9名の委員による4つの常任委員会の構成という点からも、議会運営に支障なく、また、民意の反映という点から見ても、特別な問題はなかろうという考えに変わりはありません。私は、今後もその時々の背景を踏まえ、是々非々で判断を行っていくつもりです。
 さて、今回ですが、なぜいきなり4名もの削減が提案され、思い切った削減が声高に宣伝されているのか。その背景には、極めて危険で誤った考え方、そして党派的意図があると感じます。主観的意図に基づいて区民のためと称するこうしたやり方には、到底賛成することはできません。
 まず第1に、議会の改革としてあるべき議員定数削減の問題を区民生活に直接かかわりのある区の職員削減、ひいては第2次行革と称する行財政体質改善計画推進と連動させて考える、極めて乱暴な発想です。
 議員定数削減は、あくまで議員自身がみずからの議会を自主的に改革するという性格の問題であり、それ以上ではありません。範を示すと言ったって示しようがない。もとより、区の職員削減や区の行財政のあり方全般とは全く別次元の問題なのであります。
 このような次元の異なった問題を一緒くたにして強引に行革を進めようという考えがそもそも間違いであります。
 議会の改革ならば、他にただすべき点が多くあるのではありませんか。まず第1に、繰り返し行われる議員報酬のお手盛り引き上げ、第2に、区政への具体的な反映が明らかでないにもかかわらず、毎年多額の費用をかけて行われてきた議員の海外視察、第3に、少数意見を封殺し、質問時間を大会派に有利に一方的に変更し、また、常に大会派の御都合で行われている議会運営、議会費を使った特定会派幹事長の飲食などとんでもありません。第4に、荒川区と大田区でしか行われていない選挙への公費助成の拡大、何が行政改革ですか。みずから正すというのなら、まずこれらを改めてから言っていただきたい。
 区民の批判はこうした点に集中しているということを肝に銘じるべきであると思います。
 第2に、提案者の一部、とりわけ自民党荒川区議団の皆さんが議員定数削減を突破口として連動させて進めようと考えている第2次行財政体質改善計画について申し上げます。
 議員を減らしたんだから職員も減らせというのは別次元の問題であることは、先に述べました。不況の深刻化、長期化で行政の財政基盤も厳しくなること、そして、区民生活が苦しくなる中での行革の必要性と理由が挙げられていますが、今のような情勢のもとで、行政改革のあり方は、一歩誤れば区民生活をより一層困難にし、区の活力を低下させ、景気をより冷え込ませることになりかねない。これは国の政策も同様です。議員定数削減を行革一般と連動させることは別次元であるだけでなく、こうした危険性もはらんでいる。
 民間が苦しんでいるんだから公務員も一緒に苦しむべきだなどという精神論まがいの議論は問題になりません。民間が苦しいときこそ、公は持てるお金と人と力を十二分に発揮していくことが必要です。こうした見地から見れば、職員の削減方針に終止符を打ち、積極的な新規採用と配置を図り、必要な部署には人をふやして区民サービスを手厚くして、窮状にある区民のために積極的に仕事をしてもらうべきです。
 公務員の年間手当の圧縮や財政事情悪化を口実にした行革は、景気対策から見れば逆効果だという声が、地域商店街などからも上がっているのを御存じないのでしょうか。「行革110番」の電話には、そうした声は聞こえてまいりませんでしたでしょうか。
 さて、第3番目に、それでは、今回の提案の根拠である不況下の区財政の落ち込み、必要な区民サービスの確保が困難になるという点はどうなのか、厳密に検討しなければなりません。
 財政に占める特別区民税収入は、特別区交付金の約2分の1というのが我が区の実態であることは、御承知のとおりです。自主財源が乏しいのは、残念ですが事実であり、特別恥ずかしいことでもありません。東京の産業構造、分業、住み分けが進んできた結果であり、これを一挙に変えることは不可能だからです。
 特別区制度改革が進んでも財調制度の根幹が維持されるのは、こうした理由によるものであります。したがって、不況下、厳しい営業を余儀なくされている区内の小さな自営業者の皆さんの現状から見ても、今後、特別区民税の減収が続くことは否めないとしても、大枠で特別区交付金を軸とする財政運営が区政に決定的な支障を来すほど困難になるとは、到底考えられないのであります。
 バブルの恩恵で都税収入が膨大に膨れ上がり、財調交付金が年々ふえ、それを各区とも基金に積み立てていったここ数年の財政運営とは、もちろん異なった展開になっていくでしょうが、むしろ当たり前の姿に戻ると考える方が自然ではないでしょうか。
 この全国的な不況の中、とりわけ荒川区だけが財政難に陥り、食えなくなるというような極端な事実は存在しておりません。不況下の財政運営を根拠に、これまでにないような大規模な行革の推進を唱えるのであれば、もう少し厳密で正確な話をしていただきたい。極めて根拠に乏しい提案理由であると思います。
 さて、ここまで来ると、行革推進についての極めて党派的な意図を感じるのは、私だけではないと思います。「やります行革を」をスローガンにした「荒川自民」210号は、「議員定数4名削減(案)決定す」の大見出しのもと、「行革・燃える自民党区議団」の文字が踊っております。火事にならないように気をつけていただきたいと思います。
 12月9日、サンパール荒川で開かれた「再生のための自由民主党大会」でも、「今までできなかった積極的な行革」を唱え、これまでの数字を示して職員削減を一層進める、北城幹事長の党務報告が行われています。つまり、今回の共同提案の仕掛け人である自民党区議団、自民党荒川支部にとって、行革は唯一大きな目玉商品であると言えるでしょう。もちろん、党派が固有の戦略的な政策目標を掲げて闘うのは当然のことであります。がしかし、そのようなものであればこそ、区民に対して責任を持って区財政の仕組み、成り立ちをしっかりと説明でき、根拠を明確にする必要が一層強くあります。
 私はよく区民の方から、「ゆうこさん、荒川区は税収が少なくて貧乏なんでしょう、大丈夫なんですか」と質問されます。「だから区民サービスも我慢しなきゃならないのかもね」などと言う御意見に対しては、国、都、特別区の財政の仕組みをわかりやすく説明させていただいております。誤解はきちんと解く必要があるのです。区民の中に存在する反お役所意識、議会批判、むだ遣いはやめろというような素朴な感情にのっとって表層的にこれをスローガン化し、政策の目玉とする姿勢には、大いに疑問を感じます。
 最後に、今回の提案の経過についても一言申し上げたい。
 不況で区財政が大変だ、生活保護費も多くなる、行革が必要だと、国の財源の問題も、都区の問題も混同して議論し、反対すれば区民から批判されるとばかりに提案に同調してきた姿は、まさにあの政治改革論議と同じであります。反対すれば、やれ、保守派だの、守旧派だのとレッテルを貼られることを恐れ、進んでいった結末は、政治腐敗批判をすりかえた民意を一層反映しない小選挙区比例並立制とお手盛りの政党助成、こんなことにならないようにしていただかなければなりません。
 私は、今後、不況下での行財政体質改善改革の議論は、区民の中にも国、都、区の財源区分を明確に説明し、いたずらに区民感情におもねり、危機感をあおるようなやり方には絶対反対であることを申し上げます。このような区民を欺く行革論議とは断固闘わざるを得ません。
 また、荒川区議会と行政の真の改革に向けては、区民の中での論議を徹底的に起こし、何が必要なのかの合意形成をつくって進めていくべきであることを述べ、私の討論を終わります。