河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月27日 2014年11月27日

 私は、あらかわ元気クラブとして、議員提出議案第14号、世界都市博覧会開催に関する意見書の提出に反対の討論をいたします。
 まず、意見書にはなぜか全く触れられておりませんが、言うまでもなく、世界都市博は、臨海部開発の実践の中で世界に訴え、世界に広めようとするものとして、臨海部開発の起爆剤と位置づけられたものであります。
 当初の94年開催予定が96年に延期されたのもまた、本体の臨海部副都心開発計画について、91年3月の都議会で見直しの決議が行われた結果、都市博関連予算が一時凍結されたことによるものでした。
 さらに、91年4月の都知事選では、いわゆる保守分裂選挙となり、臨海部副都心開発をめぐる問題が一つの大きな争点になったことは、我々の記憶に新しいところでもあります。
 こうした経過を振り返るとき、今回の世界都市博開催が、臨海部副都心開発をこのまま進めるのかどうかと深く結びついた問題であり、本体をどうするかの議論を抜きに、世界都市博開催だけがひとり歩きすることはあり得ません。
 私は、日本全国で展開されてきた大企業のための街づくり、大規模開発の代表格であり、バブルの時代の象徴ともいえる臨海部副都心計画をこの際どうするのか、徹底した議論が都民の中で行われるべきであり、開発計画の進行を既成事実化する世界都市博開催には反対であります。
 もちろん、都市博というもの自体の意義や評価もさまざまあると思います。文化史から見ても、もう時代おくれで、歴史的使命をすっかり終えたという学者たちもおります。私も全くそのとおりだと思います。
 20から25の企業グループの出展を見込んでいたのが、実際には12グループしか参加しなかったことは当時も大きく報道されましたが、これもバブル崩壊の影響が大きく出展意欲に反映した結果であり、こうした都市博が、もう時代にはなじまないものであることを物語ったものともいえます。 ところが、このときも、ひたすら強気の鈴木前都知事は、補助金や融資でてこ入れし、何とか開催にこぎつけようと財政負担を増やしてきたのであります。
 都市博開催の是非については、税制財政的影響が最も大きくクローズアップされて議論をされておりますが、中止を決めたらどうなるのか。実施主体の東京フロンティア協会の試算によれば、既に執行した事業費が212億、出展予定の企業や内外の都市からの請求や、そして販売済みの入場券の精算などで約405億円。開催を前提に進出したホテルや交通施設などを経営する企業からの利用客減少による請求約365億円などで、ざっと930億から1030億程度の損害が出るとしていますが、アンケート調査によれば、外国の都市からは、仮に中止になっても損害についての請求はしないとの答えが返ってきております。
 では、開催した場合にはどうなのか。補助金が580億、都独自の出展費用など250億の計830億ですが、ただし、これは見込みどおりの2000万人の入場者を当て込んだ数字であり、仮に半数の1000万人しか入場者がないときには、事業収入の欠損は約200億円という砂上の楼閣のような数字であると言えます。つまり、この試算では、開催しても中止しても、財政負担はとんとんというわけです。
 現在、一部マスコミでは、あたかも中止した方が財政負担が大きく、都民の肩に税負担がのしかかるかのような意図的な宣伝も行われておりますが、これは、まじめな都民の不安をあおるもので、これまでの経過や見通しも含め、また、本体の臨海部開発への評価を含めた、もっと冷静な議論が必要であることを改めて申し上げておきたいと思います。
 私たち元気クラブは、都知事選前の政策論争、世論調査に大きな関心を持って注目をしてまいりましたが、都知事選前の朝日新聞の調査によれば、臨海部副都心開発に反対する階層別分布の中では、中小事業者が約6割を占めております。我々に何のメリットがあろうか、そんなことよりも不況や円高を何とかしてほしいという切実な気持ちのあらわれではないでしょうか。
 これにひきかえ、サラリーマン層では推進派が多い。企業の利益は私の利益という考え方が主流となった現在の大企業労働者の意識を、これまた反映しているものと思われます。
 つまり、多国籍企業のための国際情報金融都市づくりのために大切な都民の税金をつぎ込もうというこの臨海部副都心開発が、一体だれのための開発なのかが改めて問われているのだと思います。
 この際、まず都市博を中止し、鈴木都政が強行してきた臨海部開発を徹底的に検証し直す必要があると思います。東京湾の環境回復、環境保全のための種地にしていこうという提案も、市民団体などから何度も提案をされています。
 私は、この際、計画を凍結し、根本的な見直しの議論を徹底的に行うべきだと思いますが、いずれにしろ、都知事選挙で提起されたこの問題で、都民の中には議論が百出した。そのことは、この間民主主義が不在だった東京都政にとって大変よいことであると思います。
 きょう、私たち23区の無所属議員の有志は、朝9時に都庁へ行きまして、青島都知事に世界都市博覧会にかかわる要望書を提出してまいりました。この中で、私たちは、都議会選挙で選ばれた都議会議員の皆さん、100対20幾つという採決というふうに言われておりますが、このときには、一体都市博の開催は争点になっていたのか。そうではありません。
 直近の都知事選挙、そして私たち元気クラブが都市博の中止、臨海部副都心計画の徹底見直しを訴えた、こうしたことが審判としてあらわされている今回の統一地方選挙の結果を見るならば、23区の私たち無所属の議員の仲間の中から、青島都知事の今回の決定を全面的に支持して、そして信念を貫いていただきたいという切実な声が出てくるのも当然であります。私たちは、こうした要望を届けてまいりました。
 今回の意見書提出が、都民の広範な世論に反するものであることは明白であります。
 以上申し述べて、意見書提出に反対する元気クラブの討論といたします。