斉藤ゆうこのあらかわ日和

 あらかわ元気クラブとして、自民党・自由党両区議団提出の議案第28号、東京都荒川区議会議員の報酬等の特例に関する条例、そして共産党区議団提出の東京都荒川区議会議員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例、この2つの条例案に反対の討論を行います。
 まず、討論の冒頭に、今回の議員報酬削減条例と職員給与引き下げ条例に対する態度は、切り離すことのできない一対の問題であるということを申し上げておきたい。
 10月の決算特別委員会での質疑、10月26日の自民・自由両党区議団による記者会見、さらには11月議会2日目の崎山議員による条例提案理由の趣旨説明等において明確に述べられているとおり、この一連の流れは、議員報酬削減を引き金に職員の給与を抑える。さらには、これをもって行革の痛みを区民にも我慢してもらうというシナリオに沿ったものであります。このことは、提案者である自民・自由両党が最もよく御承知のことであり、今回の議員報酬条例提案の隠そうともしない意図であります。私たちあらかわ元気クラブは、議員報酬削減を突破口に職員給与削減、ひいては区民に痛みを伴う行革へと連動されるこのシナリオそのものに真っ向から反対であることを、まず明確に申し上げておきます。
 第3回定例会決算特別委員会において、自民党の斉藤泰紀幹事長は「さらに徹底的な行政改革を我慢してやっていく時期なんだということを想定したとすれば、やはり職員の皆さんにも一定の痛みを分かち合っていただくということを、私たちは遠くない将来に御提案させていただかざるを得ない時期に来ている」と述べ、これに対し藤枝区長は「大変感動的なお話をいただきまして、ありがたく思っております」と前置きした上で、「さらなる行政改革を進めるためには、私ども行政側も痛みを分かち合わなくちゃいけない。また、区民の皆さんにも我慢していただくところは我慢していただくと。そういったことで議会の皆様方と私どもが一体にならなければ、決してこれは成功するものではない」と述べ、さらに、「これからも議会の皆さん方と意思疎通をよくして、一緒にこの仕事を仕上げていきたいということでご指導賜りたい」と述べております。さらに、10月26日に行われた記者会見でも、「行政も議会もともに一定以上の痛みを共有してこそ、初めて区民の皆様に対して改革に伴う御迷惑への御理解をお願いできるものではないでしょうか」と、議員報酬削減、職員給与問題への重大決意の根拠を述べておられます。
 つまり、議員報酬削減は職員給与引き下げの引き金、そして職員給与引き下げは、区民に犠牲を押しつける行革の露払いというわけであります。私たちはこの問題が議会で語られるようになった10月以来、折に触れて区民の皆さんに意見を求めてまいりました。ある子育て世代のお母さんは「えっ、議員さんたちが報酬を下げて、行政も給料を抑えて、私たち区民に影響が出ないように配慮してくれるっていうんじゃないんですか。区民サービス低下にならないよう守ってくれるために、議員さんと行政が自分たちの給料を下げるというならわかるけど」と言いました。大変わかりやすい意見だと思います。私たちはこの意見に賛成です。また、ある年配の男性は、「区長や区の幹部と一般職員を一緒くたにするのもおかしい。職員は巻き添えみたいなもんだな」と言いました。どちらももっともな意見ではないでしょうか。いずれにしろ、最後のねらいは行革路線の影響が区民に相当に及ぶことを我慢してもらうということが最終的なねらいであり、議員報酬引き下げの動機であることは間違いありません。区民に犠牲を押しつける行革路線へのそしりを免れるために、職員を道連れにして、その道を掃き清めたとでもいいましょうか。私たちはこうした流れには決して与しないということを再度申し上げておきます。
 さて、区民に痛みを我慢してもらうまでになった行革路線の背景、財政問題の責任論についても述べたいと思います。
 最近では、提案者は「財政悪化」という言葉を避け、「区を取り巻く厳しい経済環境」という言葉を選んで使われております。今回の一連の問題の背景は、区財政の環境悪化、長期不況、そしてそのもとでの区民感情ということが言われてきた。こうしたことを理由として挙げているわけであります。では、財政環境の悪化や長期不況の原因はどこにあるのでしょうか。財政悪化を理由に削減を云々するのであれば、原因をつくった順に責任をとるというのが筋でしょう。これこそ区民に納得を得る道であると考えます。
 まず第1に、対米公約の640兆円公共投資を10年間にわたって地方に押しつけてきた国に責任があることは、もう申すまでもありません。起債をし、借金を増やしてでも事業を拡大せよと支持した国に、まず責任があります。第2番目は、この国の指導に諾々と従ってきた首長の責任であります。箱モノ建設で後年度負担を負った例は、この荒川区にも幾つも存在しております。荒川遊園の地下駐車場が赤字だ、負担が大きいなどと、今さら聞きたくもない議論であります。そして、このような財政運営を充分チェックできず、事業と予算を承認してきた私たち議会にも、それ相当の責任があることは言うまでもありません。区長の財政執行を支え推進してきた側、いわゆる議会与党と、反対してきた私たち野党とでは責任の度合いは異なりますが、それは言わないでおきましょう。私たちの力が小さくて止められなかったことも責任の一つだからです。
 私たち元気クラブは、財政環境悪化の原因はどこに、だれにあるのかを明確にし、その度合いに応じた責任をとることには全くやぶさかではありません。議員としての応分の責任をとることは、区民に対する当然の責務であると考えております。しかし、今回のような動機による報酬削減なら到底賛成できない。区民に財政事情を公開し、環境悪化の責任を明らかにして順次その責任をとるというのが、責任与党としてのあり方というものではないでしょうか。
 さらに、この問題と関連して議員提案がなされる過程の問題にも一言触れておきたいと思います。仮に議会全体が応分の責任をとろうというのであれば、その合意形成というものが必要であります。そうして初めて報酬削減は根拠があり、説得力のあるものとなり得るのではないでしょうか。今回の過程の中では、与党内において削減率、そして職員給与への波及をめぐって考え方に違いが生じ、結果、自・自2会派による提案になったように聞き及んでおりますが、職員給与問題への波及・連動という趣旨を問題だとし、合意できる削減率についても慎重に検討された公明党区議団の態度は一つの見識であろうと思います。与党内のリーダーシップをとり、また議会全体のリーダーシップを自認する最大会派であれば、この合意形成に重きを置いてこそ評価されるのではないでしょうか。一時は10月20日とも噂された記者会見の実施が先行された「記者会見ありき」のやり方は、党利党略の感を否めず評価できがたいものであります。当面、議員定数には手をつけないとしているのも、またその感を強くいたします。
 今回、自・自・共が議員提案という形でそれぞれ削減を主張しておりますが、議会全体、議員全員の報酬に及ぶ問題であるにもかかわらず、このようなやり方では、区民の目を意識した「削減競争」の感を否めません。区民におもねる議員意識では区政は向上いたしません。共産党区議団の態度にも疑問が残ります。独自案を出しながら、なぜ提案趣旨に職員給与への波及を明記した自・自案に賛成なさったのでしょうか。自・自の削減を評価するとして賛同したのは筋が違うと言わざるを得ません。委員会での質疑も見ておりましたが、納得できません。独自案の存在意義も示せなかったのではないでしょうか。
 最後に、私たちあらかわ元気クラブは会派結成以来12年間、「斉藤ゆうこの区議会レポート」、そして「今村まゆみの地域レポート」の中で、報酬、費用弁償の額を公開し、「生活白書」という形で議員の生活、活動にかかわる報酬の使い道を明らかにして、区民の皆さんの意見を求めてきました。区民の皆さんからは「真っ先にここを見るよ」と言われるほど注目度も高く、さまざまな意見をいただいてまいりましたが、私たちは自分たちの活動のあり方と報酬を受けることに姿勢を正され、その結果、仕事に邁進してきたと自負しております。企業・団体等のスポンサーもおらず、また企業・団体献金を受ける政党にも所属せず、推薦も受けていない私たちにとって、議員報酬はみずからの生活と活動に直結した問題であります。削減競争であるかのごとき軽々な議論は、みずからを低めるものであると認識いたします。
 以上申し上げて、あらかわ元気クラブとして自・自並びに共産党の提案する条例案に反対の討論といたします。