河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月28日 2014年11月26日
(斉藤ゆうこ)

 締めくくり総括質疑で、大型集客施設などの立地を規制する「まちづくり条例」の制定について伺います。
 冒頭の総括質疑では「地域商店街衰退の原因のひとつである大型店出店に歯止めをかけるために、規制条例をつくるつもりはないか」と高野産業経済部長に伺いましたので、締めくくりでは、「特別用途地区を活用した立地規制に取り組むつもりはないか」、街づくりの問題として荒川都市整備部長に伺います。
 まちづくり3法の改正は、地方自治体が「コンパクトシティへの政策転換」をすることを可能にしました。高齢者や子どもたちにとって暮らしやすい街とはどんな街なのか、地方自治体が自主条例によって特色ある街の姿を描いていく流れが出てきました。
 荒川区でも、「地域商店街は将来も必要で残すべきだ」という区民アンケートの結果が出ましたが、区民の将来像に対するこういう意見も街づくりに反映する必要があります。 また、今回の予算委員会の中では、大型商業施設に限らず、中小工場跡地などへのマンション建設など、建築物に対するルールの適用が問題になりました。これらは「どういう街をつくるのか」「将来、どういう荒川区にするのか」の将来像と深く関わってくる問題で、そのためには『一定の規制』も必要になってきます。
 西川区長はこの間、「区民の中の格差を拡大するようであってはならない」と表明されています。私も同感ですが、では、そのために荒川区は何をするのか。
 「なぜ、格差が拡大してきたのか」を考えれば、『弱い立場の人への底上げ支援』だけでなく、『大きいもの、強いものへの規制』も行わなければ効果は上がりません。『弱きを助け、強きを挫く』のであれば、弱いものに「頑張れ!頑張れ!」と言うだけでなく、強いものを抑えることも必要です。
 土地利用の観点から、建築物の適地性について区が指針を示し、区民の理解と合意の下で条例をつくる必要があると考えますが、ご見解を伺います。

(荒川都市整備部長)

 特定の用途の建築物を規制する都市計画法上の手法としましては、委員が言いました特別用途地区制度あるいは地区計画制度がこざいます。地区計画制度は数十ha程度、町丁目単位の地域におきまして、その地区の実情に即した道路や公園等の公共施設の配置や、建築物の用途・形態の制限を行う街づくり計画を定めまして都市計画決定することによって、実効性を担保するものでございます。特別用途地区につきましては、用途地域制度を補完するものでございまして、地区の実情に応じて規制する内容を条例で定めまして、都市計画で地域を指定するものでございます。荒川区内では特別工業地区と中高層階住居専用地区が指定されてございます。
 委員ご指摘のとおり、一定規模以上の面積の店舗の建築ができないようにするということであれば、例えば特別商業地区というような名称を定めまして、建築条令で規制する方法が考えられます。しかしながら商業地域や近隣商業地域でこのような地区を定めるということは、用途地域制度の考え方から適当でないという風に考えております。
 ただ、区内の6割を占めます準工業地域に定める場合でありましても、どのような用途の店舗を規制するのか、あるいは何平米以上と定めるのかということが問題となってまいります。面積要件だけに着目しましても、10,000平米以上なのか、5,000平米なのか3,000なのか、そういうことを定めなくてはいけないと思います。区内の商業に影響を与えているのは何平米以上なのかを検証する必要がございまして、その手法は確立されてございません。500平米程度の面積の店舗でありましても、周辺地区の商業に影響を与えているということは委員ご案内の通りでございます。更に、既に営業している店舗を、それが大きい店舗であれば店舗の建て替えを規制することにもなりかねません。
 今回のまちづくり3法の改正の契機となったのは、ご案内の通り、モータリゼーションの進展に伴いまして、地方都市において郊外に大規模商業施設が進出しまして、中心市街地が衰退したということがいろんな都市で起こったことが契機でございます。例えば、荒川区で一定規模以上の店舗の進出をまちづくり条例などで規制しましたとしましても、隣接する北区や台東区、足立区で、同様な規制が行われなければ、買い物客がそちらの方へ流れてしまいまして、荒川区の商業がますます衰退するような状況をまねきまして本末転倒の結果となってしまうのではないかと危惧します。
 従いまして、現状では都市整備部門で商業施設の進出を抑えるための条例制定や都市計画設定を行うことは、非常に難しいと思っております。これだけですと都市整備部長はまた冷たい答弁をしたと言われかねませんので、商業や工業の産業振興を区としてどう行っていくのか、そのためにハードの街づくりで土地利用計画をどのように定めるというのは、都市計画上の重要なファクターであると考えております。来年度から2カ年かけて都市計画マスタープランを策定する予定となっております。その検討の中で、産業振興を今後どういう風に考えていくのか、それに対してハード部門でどのような貢献ができるのかということを検討してまいりたいという風に考えております。

(高野産業経済部長)

 いろんな問題点については今、都市整備部長からお話のあった通りかという風に思います。我々も総括の際にご答弁いたしましたように、他団体の状況等についての研究・調査・検討を行っているところでございます。現時点ではいろいろな課題が多くて困難であるということで考えております。ただ、これまでもいろんな場で申し上げておりますように、商店街に対する思いというものについての基本的な部分では、斉藤委員はじめ、他の委員と我々の認識、思いというものは変わっていないという風にも存じております。
 これまでも申し上げておりますような、来年度、19年度行いますルネッサンス推進本部、そうしたところでの新たな取り組みも加えて、商店街振興に区としては努めてまいりたい、そういった方向での商店街への振興努力というものをこれまで以上にやってまいりたいという姿勢を改めて申し上げたいという風に存じます。

(斉藤ゆうこ)

 将来に禍根を遺さないようにみんなで挑戦してみましょうよ。首がつながったら私はまちづくり条例をつくるということを、議員のサイドからも皆に呼びかけてやっていきたいし、行政の皆さんともまたシビアに議論したいと思います。