斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は、あらかわ元気クラブとして、認定第1号、昭和63年度東京都荒川区一般会計歳出歳入決算の認定に反対の討論を行います。時間制限なしの討論です。
 まず初めに、決算委員会の時間管理について一言申し上げておきたいと思います。これは、いわゆる与党も野党もなく、ひとしく議員としてはその仕事を制限されるということでありまして、私たちの荒川区のような決算委員会での時間制限というのは他区に例を見ないものです。仕事をしないで報酬をもらっていいというふうに思っている区民もいなければ、議員もいないでしょうから、しっかりとこの1年間の歳出歳入について質疑をする時間を保障してほしいものです。これは別にその会派に関係なく、議員として等しい権利ですから、当然のこととして私はここで怒りを込めて一言言っておきたいと思います。
 この63年度は、今となっては町田前区長の任期最後の年度ということになります。前区長がそのことを意識されて1年間を過ごされたかどうか、私は知るすべもありませんけれども、10年間続いた町田区政の大変特徴的な最後の1年のあり方がこの決算の中にはっきりとあらわれております。
 この数年間、区の財政運営はどのように行われてきたのか、58年度からの決算を眺めてみました。58年の歳出総額は387億ですが、59年度、444億、60年度、463億、61年度、510億、そして62年度、539億、この63年度は604億と、この6年間で約56%も決算額は膨れ上がっています。区税収入そのものも伸びてはいますけれども、地価高騰による固定資産税つまり都税収入の急増で東京都がお金持ちになり、その恩恵が23区にも及んで予算が膨張したことが、財調交付金が58年度164億から63年度には259億へと58%も大幅に増えていることが、それを明白に証明していると思います。このことが最大の原因です。こうして膨れ上がった予算をどこにどのように使ったのか、そのことが問題であります。
 目的別歳出の構成比を見比べてみました。58年度40.8%だった民生費は、59年には36.8%、60年、39.2%、61年になると34.8%、62年が33.6%、63年は32.1%と、40%台から8%も減少しています。一方、土木費の方は、58年、8.5%だったのが、59年には10.4%、60年には15.4%、61から63年は12%台で推移しておりますが、60年にはたったの2億円、たったということはないですけど、2億円積み立てたのみの基金が、61年には施設運営などに55億、62年には街づくりに46億と施設建設に13億で計59億、そして63年には、学校施設建設に52億というふうに、この3年間多額の積み立てをしています。減少する民生費と急増する土木費、そして建設街づくりの基金が対比して数字にあらわれております。
 これらを総合しますと、この数年間、財調交付金で潤った区財政を大規模再開発や施設建設につぎ込んできたことは間違いのない流れです。程度の差こそあれ、23区ほぼ共通に財調交付金で潤い、街づくりへお金を積み立てるという傾向があることは事実のようですが、しかし、この荒川区においては、一方で、生活保護費を中心とする民生費の減少、そして、対照的に街づくりの中身として極端な民間活力導入による再開発事業の推進が特徴であります。
 さて、冒頭に述べましたように、この63年度は、このような特徴的流れを持った町田区政の例外ではない最後の1年でありました。剰余金28億は総予算の4%にすぎないと区は述べていますが、歳出だけで見ると、不用額の合計は43億、去年、62年の36億をまた上回っています。こんなに余らせていいのでしょうか。民生費の不用額19億7000万、62年度も20億余らせていましたけれども、これが何といってもけた違いの余りようです。もちろん引き続いて63年度も行われた「適正化」の名のもとでの生活保護打ち切りや、締めつけが主たる原因であります。土木費では、昨年の62年度決算に関する特別委員会で大きな問題となった優良再開発建築物整備促進事業、つまり南千住6丁目におけるリクルートコスモス社へのマンションへの補助金支出が行われているわけですが、これが5億8000万円の予算に対して、支出は2億4000万と、どうも数字にためらいと良心の呵責がうかがわれるのは大変おもしろいところであります。風当たりが強くて事業がおくれたのでしょうか。それとも、補助金を減らすべく出来高を抑えたのでしょうか。いずれにしろ、都市整備費全体で執行率76.3%と、土木費総体での不用額6億6000万円の大きな要因となっております。
 63年度新たに始められた事業で情報公開制度、そして待望の施設としての特別養護老人ホームの建設が、ことしの4月に向けて進められてまいりました。他区におくれて着手したこうした事業の内容を見ても、必ずしも先人に学んだとは言えないものがあります。予算は執行しているが、仕事の仕方に問題があるわけです。制度や施設はつくればいいというものではありません。非公開度の極めて高い情報公開のあり方を改めない限り、住民参加だとか、開かれた区政だとか言っても、絵に描いた餅にすぎません。住民の力で区政を大多数の区民のものにしていくことはできないと思います。
 63年度の区長交際費について、私は決算委員会で質疑をいたしました。実はきょう、情報公開の審査会というのがありまして、午前中情報公開請求が出ているこの63年度の区長交際費570万の内訳について部分公開の決定がされたことに対する異議申し立て、そして陳述に対する補佐人というのをやってまいりました。荒川区のような確定払い、もうどこの区にもないんですよね。この確定払いをこの63年度はやっていたわけなんです。ほかの区が前渡金という方法に改めて、領収書を添え、そして精算をしていたというやり方をとっていたにもかかわらず、このトータルの決算の中から言えばたったの570万かもしれませんけれども、570万を下回る収入で生活している区民はたくさんいるわけなんです。この570万の区長交際費を、まさに領収書もなく、精算もせずに、確定払いという方法で、いわば信頼関係だけによって立ったようなやり方で支出をしていた、こういうことは全く信じられないと言わなければならないと思います。
 そして、特養の問題にしても、医療機関との連携が非常に不十分、そして入所者が薬づけの実態があります。人手不足でお年寄りとのコミュニケーションどころではないなど、特別養護老人ホームの本当に大切とすべきところにまだまだ到達はしておりません。
 また、この年は、63年3月議会で地元の反対を押し切って採決した小中学校統廃合が開校に向けて進められた年でもありますが、附帯決議も生かされず、校地拡張もいまだにできず、とうとう今日まで来てしまいました。エレベーターは外すわ、南中の改修工事への国庫補助は返還するということで、今日まで汚点をさらけ出し続けております。12月9日の朝日新聞では、教育委員会が100人も生徒のいる学校を廃校にし前例はないので云々というふうに言っていると報道されていますけれども、まさにこういう前例をつくってはいけなかったのであります。
 さて、もう一方で、63年度は地域振興公社が設立されました。そして町屋文化センターがオープンした年です。そこでは民間との契約による文化教養講座なるものが行われています。そして日暮里文化施設の取得等に20億3000万円、問題の、区民が使えないスポーツ施設取得に12億4000万円のお金が区財政から支出されています。締めて32億7000万円、そのサニーホールのあり方は、会派を超えて決算委員会で長々と問題になりました。いわんやマリアックスにおいてをやであります。当初、民間委託に毛の生えたくらいにしか考えていなかった人も、区財政で取得した施設を半ば永久的に賃貸するということの大きな誤りに気づいているのではないでしょうか。だれのための施設建設、だれのための街づくりなのかです、問題は。このまちを愛し、このまちに住み続けたいと思う大多数の区民のための財政運営ではないここ数年の区政、この63年度決算、私はこのことをはっきりと申し上げておきたいと思います。
 しかも、取り返しのつかないのがこの街づくりです。特住総なども含め、63年度はレールが敷かれ、既に実行段階に入ってきております。民活導入でつくった施設や運営を軌道修正していくのは容易ではありません。美しい高層建築物を建てたけれどもお化けが出そうだというのでは、つくり方が間違っていたとしか言いようがありません。日本のODAで海外に建てられた、その国の人にとっての必要とは全くかけ離れた施設、フィリピンで私の友人が見てきた人っ子一人いないさびついたショッピングセンターの話を思い出しますが、人ごとではありません。本質は全く同じことです。リクルート問題は我々の区にも警鐘を発したのではないでしょうか。自治体の持つ権限と財政とを企業のほしいままにさせ、公共事業の名のもとに予算を大企業に分配するような行政、法律を変え、要綱をつくってまで補助金を出すような行政のあり方は、大多数の区民の利益に反するものであり、民活による街づくり路線は、今後根本的な転換が必要なときだと痛感します。
 立ちおくれた福祉や教育は、もちろん取り戻さなければなりません。当たり前のことであり、額が低すぎるから否決するなどという茶番は、まさにここから発生しているのです。そのことは行政自身ももうわかっているはずです。63年の決算の中にあらわれた福祉・教育後進区の実態を返上すると同時に、この間繰り返されている温かいとか、冷たいとか、体温のようなそういうレベルでない、根本的な区政の転換を求めて、私の討論を終わりたいと思います。