斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は議案第24号「平成18年度荒川区一般会計予算」に反対の討論を致します。
 今日で就任481日目を迎える西川区政。来年度予算は、その西川区長の下で初めて全面的に編成された予算ということになります。
 では、その予算は西川区長が公約に掲げられた『荒川区政の刷新』を反映したものとなっているのか。また、元気クラブがめざす『大多数の勤労区民のための区政への転換』と方向を同じくするものなのか。私は、この2点を予算に対する賛否の判断基準と致しましたが、全体として相違点が多く、評価しがたい予算でありました。
 このふたつの基準からみた予算反対の理由は、大きく以下の3点であります。

 まず、『入札・契約改革』について。
 西川区長が『区政刷新』の第1の目標として掲げたのは、ご自身もおっしゃる通り『契約改革』ですが、この予算で果たして区民の大多数が納得する契約改革が実現できるのか。私は予算委員会の質疑を通じても、この点に確信は持てませんでした。
 私は「この1年の契約には低価格契約の弊害がある」として、事業者の適正利益の確保と労働者への適正な賃金の支払いができるように改善すべきだ、という視点から予算委員会で質疑を致しました。しかし、予定価格の設定や、最低制限価格制度を導入してもパーセンテージをどう掛けるのか、など根拠ある積算の指針が必要ですが、これらの点は依然として不明確でした。また、指定管理者に対しては、公益通報制度と通報者保護が適用されておりません。
 荒川区の契約の向こう側で多くの区民が仕事をし、生活をしています。契約担当者は、事業が継続でき、食べられる契約なのか、そういう切実な問題を伴っていることに想像力を働かせていただきたい。ダンピングの弊害は大きく、談合でかえって安定するという皮肉な結果もあるのです。
 西川区長は、入札・契約をめぐる超党派の質疑を受け、締めくくりの答弁として5項目の指針を述べられました。まず、公平・公正であること、そして働く人の立場に立つものであり、中小事業者の厳しい環境にも配慮があること、また納税者にも納得のいくものであること、さらに安全性が確保できること-と5項目にまとめられました。現在、さまざまな制度がありますが、有効に運用するには、こうした区としての理念の明記が必要と思います。西川区長が予算委員会の質疑を踏まえて示された『契約5原則』ともいえるこの内容は評価すべき総合的な内容であると思います。今後は、西川区長のこの『契約5原則』の実行を求めたいと思います。予算の執行についても必要なチェックを行ない、適宜意見を申し上げたいと思います。

 第2に、『理念なき組織改正』に反対であります。
 なぜ元の企画と総務に戻さないのか、『保健と福祉の一体化』はどこへ行ったのか、と思います。
 私は、企画と総務を一体化する昨年の組織改正に反対を致しました。議会では唯ひとりでしたが、多くの職員の声だったと確信しています。
 その後の状況を見ても、職務の一極集中、調整能力理の低下、業務の停滞、といった問題があったことは否定できない事実だと思います。元の二元的な組織に戻すことをせず、中途半端な組織へのあいまいな移行は、まさに「理念なき組織いじり」であります。また『保健と福祉の一体化』を掲げて統合した組織を、なぜ分割するのか。組織の肥大化は理由になりません。

 第3に、『改まらない行革路線』であります。
 こともあろうに担当者はこの予算は『財政構造改革』だと明言されました。なぜ保育園給食の民営化なのか。保育園給食委託に反対の討論で申し上げた通り、「荒川区は保育園の赤ちゃんの給食まで民営化するのか」ということにつきます。区長は方針変更が可能だったと思います。
 障害者施設の指定管理者移行も同様です。「公と民の理念ある線引き」は依然として不在。変わっておりません。

 以上3点、予算に反対の理由をのべましたが、その他の予算に関連する事業についても若干申し上げます。
 まず、介護保険事業と高齢者保健に関連する問題ですが、新たな法改正による介護予防事業は民生費で保健事業として行なうべきです。今後、介護保険事業との調整が必要ではないでしょうか。
 また、街づくり事業では、超高層建築物中心の再開発による街づくりに対して、新しい荒川区らしい街づくり条例やルールが必要となってきましたが、区はこの問題で総合的な見地がありません。積極策をのぞみたいと思います。
 さらに、国民保護計画についても若干申し上げます。
 荒川区はこの予算で国民保護法にもとづく国民保護計画の策定に着手します。今日、3月10日は折しも東京空襲から61年目のその日に当たります。戦意高揚で国民を戦争に動員した結果、非戦闘員が圧倒的な力で焼き殺された、それが東京空襲でした。
 いまも、アメリカは民主主義をかざして数千マイルも離れた国に空爆を行い、世界の各地で人々が焼き殺されています。「国民保護計画は、平時に仮想敵国に対する敵愾心を植え付けるのが目的で、有事に役立つものではない」と言われています。軍事のプロであれば、国民保護計画で空爆や、ミサイルや、いわゆるテロから国民を守れるとは信じていないだろうと思います。そのための法律、地域計画ではないからです。
 空襲や、被爆や、敗戦や、占領を経験した日本人に必要なのは、国民保護法ではなく、予防外交であります。アメリカの同盟国と言うのであれば、なおさらのことと思います。荒川区が韓国や中国の都市と結ぶ友好都市協定こそ、相互理解を通じた自治体としての予防外交とも言えるものであり、これと国民保護法のめざすものは矛盾しています。
 私自身は非武装中立の立場をとるものではありません。独立国として、他国に脅威を与えない程度の自衛力を有することは当然のことと考えますが、しかし、専守防衛が原則であります。3月末の米軍再編がすすめば、アメリカの『不安定の弧』戦略の最前線に立たされることになります。これでよいのでしょうか。
 国の命令によって、この議会で本部と協議会をつくる条例が制定されましたが、計画本体制定について、荒川区が一定の批判的態度を取ることを望みたいと思います。

 最後に、共産党提案の予算修正案についても一言申し上げます。共産党提出の高齢者、子ども、住宅リフォームなどの議員提案議案にはすべて賛成を致しましたが、修正案の原資として議長、副議長等の報酬減額が含まれています。これらは額が高すぎるとの批判も多く、検討すべきものですが、議員報酬と言えども他人の報酬に手をかけることは軽々に行うべきことではありません。幹事長会で引き続いて議論し、結論を出していただくよう、努力をお願いし、修正案に反対を致します。
 以上、予算に反対の理由を述べました。就任481日目の西川区長と行政組織、職員集団との関係はなかなか難しいところにある、というのが率直な感想です。職員集団のトップたる助役には、ぜひともしっかりしていただきたいものです。以上申し上げて、元気クラブの反対討論を終わります。