斉藤ゆうこのあらかわ日和

予算は疲弊する地域経済の改善に投入されるべき
2013年3月14日、あらかわ元気クラブ斉藤ゆうこは荒川区議会本会議で、
一般会計予算案への反対討論を行ないました。
議会発言を掲載します。

この討論に先立ちまして、竹内捷美議員のご逝去を悼み哀悼の意を表したいと思います。党派や政治的立場は異なっても、現職の同僚議員が亡くなることは本当に寂しいことです。竹内さんの死を悼み、みんなで一層仕事に励んでいきましょう。それでは質問に移ります。

 私は、あらかわ元気クラブとして、議案第26号「荒川区一般会計予算」に反対の討論をいたします。反対の理由は、西川区政が来年度予算で『区民の幸福実感』の目玉として打ち出し、新聞にも「全国先進例」として大きく取り上げられた幾つかの事業を予算化することに反対であること。また、この間変更を求めてきた事業が変わりなく進められていることにあります。

 まず第1番目に、隅田川の「永久水利」を活用した防災対策に1億7千万円。これについては、「都の事業として要望すべきものを、区が単独で経費をかける必要があるのか?」と藤澤議員が本会議質問・総括質疑で問題提起し、予算委員会では賛否の議論がさ様々出されました。

 私は震災対策特別委員会に所属していますが、そもそもこの委員会に経過報告もなく、唐突に目玉として1億7千万円が計上されたことに大変違和感を覚えます。議論を通じて、いま荒川区が単独の区費で行う事業ではなく、誰の負担でどのような対応をすべきか、検討が必要であると考えました。従って今回の予算措置には反対であります。

 第2番目に、3校で実験的に児童への「タブレットPC」使用に5千万円。「実験的な試行の後、全校へ数億円かけて拡大する」との提案に対して、「全校拡大は効果の検証を踏まえて行なうことを確約せよ」との意見も自民党などから出されました。

 私たち大人が、物を考える道具としてタブレットPCを駆使することは有意義なことだと思いますが、『IT化に対応する能力を身に付ける』と称して、小学生の子どもに一律学校教育の場でタブレットPCを配布する必然性はないと考えます。まず、辞書を引いたり、文字を書いたり、暗算で計算すること。基礎となるべき、読み書きソロバンの上にIT化があるべきと思います。小学校低学年から授業でタブレットPCを使用することは、こうした基本の省略につながりかねず、いま再評価されている日本の伝統的な学力養成に逆行するものではないかと考え、導入に反対を致します。

 この問題は、荒川区が職員ひとりに1台のパソコンをいち早く購入したときの事を想起させます。全国に先駆けてIT産業の市場として荒川区の学校を提供する、ということでしょうか。区民からも数多くの批判の声があることを付け加えておきます。

 第3番目に、来年度予算で荒川2丁目複合施設の実施設計費1億1千2百万円が計上されました。補正予算でさらに用地を拡張し、この地に吉村昭先生の文学館を含む複合施設建設がすすめられていますが、私は変更なく複合施設がこの地に建設されることに反対であることを改めて申し上げます。

 吉村昭先生の文学館は荒川2丁目ではなく、生誕地の日暮里に適地を見つけることが相応しいこと、廃園した区立幼稚園に代わる、この地域の幼稚園を建設又は誘致すること。この提案を改めて申し上げておきます。

 第4番目に、解決しない保育園不足は、適正人口の検討など、対応の遅れが否めません。今年も「保育園に入れなかったらどうしよう」という働く親たちの悲鳴と相談があり、何度も申し上げて恐縮ですが、とても『幸福実感』どころではございません。

 さらに5番目として、「学童クラブと『にこにこスクール』の一体的運営をめざす」との新放課後子どもプランが提案されました。しかし、当局と学童クラブ連絡協議会とはこれまで連携を取ってきた関係であるにも関わらず、おやつの廃止が事前の相談もなく唐突な提案であったことは理解できません。区民からはこの点で切実な要望が届いています。当局は誠意をもって保護者に対応し、妥協点を見出すようこの場で強く求めておきます。

 さらに、私は今回の予算委員会の限られた持ち時間の中で以下の問題を取り上げて当局の見解を質しました。

 答弁に異議があるもの、要望などについて、重ねてこの場で述べたいと思います。

●総務費では、遅れている日暮里繊維街の区民事務所建替えと東尾久ふれあい館の2ヶ所について質問し、「西川区政は2期にわたり約100億円の区財政を用いて土地を購入し、ふれあい館などの施設建設をすすめてきたが、土地は購入したものの一向に利用構想が明らかにならない場所や、計画はあるものの進展が見えてこない施設がある」として説明を求めました。

 東尾久ふれあい館については、「尾久本町通りの広場と向かい側の公園の二つの区有地を種地として建設する計画に変更はないか。用地確保の進捗状況はどうか」との質問に対して「建設予定地は尾久本町通りが適地であると考えており、現在、広場の向かいの公園側の用地確保をすすめている」と具体的な状況が公表されました。

 しかし、日暮里区民事務所建替えについては、裏の土地を取得してからすでに5年が経ち、繊維街の休憩所として、地域の防災拠点として、また現在の集会室の充実について、地元地域からも要望があり、期待されているにも関わらず、何が障害になっているのか、答弁では不明なままでした。

 当局は、「脇の道路が一方通行なことなど課題もある」と答弁しましたが、そんなことは買ったときから判っているハズです。

 この場所の開発については、私ばかりでなく日暮里の区民と議員は誰もが強い関心を持っておりますので、明日開催される土地開発公社評議員会でも、いつから着手するのか、はっきりした当局の意向を伺いたいと思います。

●また、日暮里サニーホールの駐輪場が閉鎖され、再開発ビルを使うように指示している問題について、条例による区民施設の駐輪場設置義務を適用して駐輪場を設置すべきだ、と求めました。「日暮里サニーホールには条例上41台の駐輪場が必置。ホテルラングウッドとも協議して設置を検討する」との答弁でしたが、こんなことは議会から言われるまでもなく、さっさと実行すべきことではないのかと思います。

 さらに、サンパール荒川は最も区民に親しまれている施設ですが、大ホールのトイレが老朽化して苦情があるし、サニーホールの会議室は床のカーペットが汚い。整備は誰の責任で行うのか、聞きました。 「既存施設の整備は区の責任であり、年次計画で順次すすめている」とのことですが、破損個所をガムテープで張っている区民事務所ひろば館など、既存施設のみすぼらしい有様が目につきます。とかく新しい施設建設が宣伝されがちですが、一方でいかにも予算をチビチビつけているが如き印象があるのはよろしくありません。私がくどくどと幾つかのま事例を上げて質問したのは、このような状況を変えるべきだ、と申し上げたかったからです。

 環境清掃費では、新江東清掃工場での死亡事故と大田新工場の委託に対する特別区長会会長の見解をうかがいました。荒川区は、来年度予算では9億4千800万円を計上し、23区でつくる「特別区清掃一部事務組合」にゴミの中間処理をお願いしていますが、この管理者は特別区長会会長である西川区長です。

 1月に新江東清掃工場で死亡事故が発生しましたが、委託後7人目となった犠牲者は荒川区東尾久8丁目の矢吹炉研(株)で働く41歳の区民でした。「事故は誠に遺憾であり、責任者として再発防止に努めていく」との西川区長の答弁がありましたが、文字通りそのようにお願いしたい。

 矢吹炉研の社屋には「日当1万円」の求人広告が貼り出されていました。運転を止めずに行う危険な作業で、下請け労働者が命を落とす労災事故が繰り返され、そのことが「区民生活に直接影響のないこと」などという理由で公表もされないことは、23区の議長で構成する清掃一組議会のみならず、23区のどの議会でも見過ごしにしてはならない問題です。

 また、大田新工場を操業当初から委託するとの方針は再検討すべきではないか、との質問に対し、西川区長は「特別区区長会会長として、また清掃一組管理者として、ご要望は確かにうけたまわった」と答弁されました。この件については、昨日、労使間の最終的な団体交渉が行われ、「大田新工場については操業当初から委託する」との回答が行われたようです。これまで瑕疵担保機関期間での不具合をプラントメーカーの責任で直して来た流れをどうするのでしょうか。

 私たち16区23名の区議会議員有志は、この問題を契機に超党派で「特別区の政策を調査・研究する会」をつくり、西川特別区長会会長あてに要望書を出しました。23区の区民生活に密接なつながりを持つ、特別区清掃一部事務組合の事業のあり方について、今後も荒川区議会としてチェック機能を果たしていく必要性を痛感していることも申し上げておきたいと思います。

 さらに教育費では、図書ステーションの設置条件を緩和し、空白地域の東尾久で商店街に設置を推進するよう要望しました。

 また「荒川区清里少年自然の家」「清里高原ロッジ」の指定管理者・尾瀬林業(日暮里再開発ビル内)が、国の福島県での除染作業で賃金・危険手当の不払いを問われている問題を質しました。尾瀬林業は国の認可を受けた特定建設業者の立場でこの事業に参加しており、建設業法24条-6の「指導監督責任」と同19条-3の「不当に低い請負代金の禁止」で責任を問われることになりました。

 除染作業に従事した多くの労働者の訴えで、これが明るみに出た訳ですが、厚生労働省の調査では、法令違反は108業者、全体の45%にのぼるとのことです。国は福島県下で大規模な除染事業を展開していますが、賃金ばかりか、国の財政から公金として支出された特殊勤務手当(危険手当)が作業に従事する労働者に支払われず、中間でピンハネされている事態は大きな社会問題だとして区の考えを質しました。

 この件について、区として尾瀬林業に直接事情を聞き、今後、法令違反が明確になった場合には指定管理から外す措置を執る旨回答がありました。除染作業には青森や沖縄などから出稼ぎの人たちが従事しています。東京電力が起こした原発事故で、その除染に関わる100%子会社には道義的責任も問われます。区としてきちんとした対応を重ねてお願いします。

 さらに、介護保険特別会計で、介護保険の適用を受けず、無法地帯となっている「お泊りデイサービス」の危険な実態と在宅サービス支援策を質問しました。当局は法外サービスの危うい実態を把握していると答弁され、23区課長会でも問題になっているとのことでしたので、是正のための対策を強く求めます。また、在宅から施設へ、通所サービスへ、という流れの中で、日中独居の高齢者が増える在宅サービスの充実をお願いします。民間介護事業者は包括支援センターの下請けではないことを明確にし、適切な関係づくりをすすめて頂きたいと思います。

 最後に、来年度予算の歳入の構成比は特別区民税17%に対して、都区財政調整交付金40%と自主財源比率は昨年に比べてさらに低下しています。区民のフトコロは依然として厳しく、地域経済の疲弊は改善していません。荒川区がどのようにして豊かになるのかは、今日も大きな課題と言えます。区の予算投入はもっぱら、ここのところに向けて行われるべきではないでしょうか?西川区政3期目の予算に対し、以上のように異議を申し上げて反対討論と致します。