斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は、議案第26号、財団法人荒川区地域振興公社に対する助成等に関する条例に反対の討論をいたします。
 民法第34条に基づく公益法人として荒川区で初めて設立される地域振興公社ですが、必ずしも発足に当たって十分議論が尽くされたという感じは持てません。
 3月の第1回定例会で議決された63年度予算には、地域振興公社に対する出損金2億円と設立準備金が含まれていますが、予算特別委員会等の質疑の中で必ずしも地域振興公社の姿は明確に浮かび上がってきてはいません。助成等に関するこの条例を是とするか非とするか、まさに公社自体をどう評価するかと一体の問題であります。
 受託施設として町屋文化センター、日暮里サニーホールが挙げられていますが、既存の区有施設についても委託が進むことが見越されています。果たして公社の設立が本当に地域の振興という大きな目的に役立ち、区が行うより区民サービスの向上になるという保障があるのか、また、地方公共団体である区とは別の財団法人である公社が行う事業が本来の目的に沿った形で行われているかどうかをチェックする機能がきちんと整備されているのか、この2点において私は現在全国に5000近く存在し、しかも毎年増加の傾向にある公社そのもののあり方を容認することはできません。
 まず、第1に、公社の設立が地域振興という大目的にかない、区が行うより区民サービスの向上になるのかという点です。
 民法第34条の公益法人として設立される公社ですが、そもそもこの公益法人とは、民間企業や個人篤志家が私財を投じて設立することの可能性を示したもので、法の趣旨はそれを督励し、民間資本を営利を目的としない社会的、公的事業に還元させることにねらいがあったと言えます。そこに公益法人の公益たるゆえんがあるわけですが、元々営利を目的としていない自治体にとっては全く必要のない法律条項であったと思います。
 ところが、地方自治法や地方財政法の規制を外して、さまざまな制約を取り払って事業を行えば、より住民サービスの向上になるという発想で登場してきたのがこうした公社であると言えます。
 財政運営や人材の雇用などの面で、より柔軟に対応できるから区民サービスの向上、地域の活性化につながるというのが理事者側の主張のようですが、こうしたいわゆる民活が、公社が行う事業に参加する企業や公社が管理する施設を利用する企業にはメリットがあっても、利用者や受け手としての住民にとってはさしたる変化はないのではないでしょうか。むしろ、問題は、目的に沿って公社が運営されていない場合に、チェックする機能が全くと言っていいほど整備されていない分、住民サービスの低下であると思います。
 第2のチェック機能の問題ですが、特別法上の地方公社、例えば、公有地拡大法によって厳しく規制を受け、法的整備が一応整っている土地開発公社などと比べると、全体の6割以上に及ぶその他の地方公社、この地域振興公社はこれに当たるんですが、それには特別の法的整備がなく、唯一地方自治法第199条第6項の監査委員の監査権限を定めているだけです。まして、住民にとっては、地方公共団体であれば地方自治法上の直接請求やリコールの権利、また住民監査請求や住民訴訟という方法で、不適当な運営に異議を申し立て、意思を反映させるということができますが、こうした制度は公社には該当せず、住民のチェックの権限は全くないに等しい状態です。区民にとって利用者懇談会をというふうに言っていますが、制度として不整備であることには何ら変わりがありません。公社が民間企業と提携して事業を行うことが予測され、同時に公金を投資して企業的経営が行われるわけですから、目的に沿って事業が行われているのかのチェックは絶対に必要であり、こうした状態が放置される公社は全く危険と言わざるを得ません。
 また、議員に対しては、評議員会への参加が言われていますが、議会として運営をチェックするのは予算と決算の委員会くらいであり、財務的な面での議会への報告は義務づけられておらず、極めて不十分であると言えます。
 現在、準備が進められている情報公開制度についても、区の素案によれば公社は対象とはなっていません。
 以上のような点から、法的整備のない中での地域振興公社の発足は極めて問題の多いものと考え、反対をいたします。