斉藤ゆうこのあらかわ日和

 私は、あらかわ元気クラブとして、91年度一般会計決算の認定に反対の討論をいたします。
 この年、1991年は、前年8月から始まった中東湾岸危機のもとで米軍主導の多国籍軍がイラク制裁を掲げて公然と中東の内政に干渉し、武力介入を行うという中東湾岸戦争の開始で幕をあけました。年明け早々から戦争が始まり、そして、この年の予算が発表されて、予算委員会での議論が行われようとする2月末に戦闘行為は中断されましたが、91年のこの出来事は、先日の米軍によるソマリア上陸にも見られるように、冷戦後の世界秩序のあり方をめぐる問題として、その後の我が国にも大きな影響を与えた出来事でした。
 さて、この年の予算に対して、私は以下の3つの理由で反対をいたしました。
 区民生活の必要さ、緊急さにこたえ、また、荒川区の未来にとって本当に創造的なものになり得ているのかどうかという観点から見て、残念ながらどの点をとっても全く不十分としか言いようのない姿勢と私は区長の予算編成の姿勢を批判し、その理由として、第1に、基金積立の額が大きすぎること、予算の1.3%、30億にも上る基金を考えるとき、こうした積み立てに走るよりも、圧迫されている区民生活の基盤充実に予算を使うべきだと申し上げました。第2に、メニューばかり多くて哲学のない予算であるという点。そして、第3に、職員を減らすにももう限度があるという点でした。
 1年の予算執行が終わり、決算を概観して、私が予算への反対討論で述べたこの3点への意見は変わっておりません。それどころか、こうした政策的な問題についてばかりでなく、決算委員会の中で明らかになってきた昨年1年間の区政運営は、本当に荒川区政はこんなことでいいのかと言いたくなるような重大な問題をはらんでいると私は考えています。
 ことしの年頭、昨年1年を振り返って、私は「区議会レポート」の新年号に区政に対する懸念を書きました。これは、3年目に入った藤枝区政が、町田区政のもとでおくれてきた商工業振興、福祉、住宅政策、これらが真剣に取り組まれてきたのか。荒川区の真の活性化を目指した街づくりの方向は定まったのかといえば、ノーと言わざるを得ないこと。それどころか、分裂状態の荒川の自民党のもとで権力を持つ人への政治的配慮に左右される区政になっているのではないか。メニューばかりが先行して、理念のない区政になってしまったとさえ感じるといった内容を書きましたが、残念ながら、区政に対するこうした懸念は現実のものになってしまいました。そうしたことが今回の決算委員会を通して、私は切実に感じられたのです。
 まず、数々の批判を受けながら、現在も一向に実態に変化のない参与制度、この制度は91年7月から始められましたが、これは藤枝区政の性格を端的に示す象徴的とも言える制度です。都・区政に通じる者という肩書きであるからという理由で参与に登用している自民党、公明党の役員であり、議員経験者、「政党に関与するのはそんなに悪いことではない」という矛盾した答弁の中には、はっきりと政党や政治家との関係を意識してこの人事を行っていることがあらわれています。この制度の抜本的な改革、それができなければ廃止というのが私の意見です。
 区民保養所の候補地選定にかかわる問題でも、また、教育委員の任命にかかわる問題でも同様のことが言えるのではないでしょうか。議会を軽視し、特定の人々とのコンタクトで区政のかじ取りを左右し、原則的な運営を逸脱して区政を行うようであれば、もう行政は死に体であります。政治家や特定政党とつき合うなら、公費を使わず、公と絡まず、個人的にやっていただきたい。そうでなければ、行政の中立、大多数の区民のための区政など望むべくもありません。
 今後、区民の中からは厳しい批判や追求が起こってくることでしょう。信頼にこたえられるように改めるべき点を真摯に改めていくよう要求します。
 区民保養所の候補地選定をめぐる全くおかしな経過については、既に決算委員会で明らかになりました。今後、議会全体の同意を前提としつつ、所管委員会で慎重に検討していくことになると思います。ただし、調査委託料の1300万円については、成果物であるパンフレットを常任委員会に提出せずに議論を進めたなど論外で、こんなやり方は監査請求の対象になりますよと申し上げたい。
 さて、さらにこれらのこと以外で、各款についても少し意見を申し述べさせていただきます。
 福祉行政についてですが、これについては消極性というよりも、むしろ区民の皆さんの意識からの立ちおくれを感じてしまいます。
 高齢者や障害者、そして保育園児の父母、つまり、小さな子供を持って働く親たちなど、この間、区民の中での意識は急速に高まりを見せています。自分たちの切実な問題について支援を受ける側としてのさまざまな問題意識が高まってくる。こんなことは議員各位にも感じられていることではないでしょうか。
 また、各種の子供や親への支援など、国の機関委任事務となっている仕事についても、現状とのずれがあることにもかかわらず、それをわからずに放置している。わかって放置しているということもあるかもしれません。
 こんなふうな福祉部の姿勢、区民の皆さんが意識を高め、積極的に福祉に対して問題意識を持ち、発言をしていることと考えあわせると、大きなギャップを感じざるを得ません。ふえてきたメニューに青息吐息なのではないでしょうか。もっと福祉行政によって支援を受ける人々との交流を行い、現状を把握して問題意識を持った支援を行ってほしいというふうに感じます。
 産業経済費にかかわる産業振興の問題では、私は、決算委員会の議論に根本的な問題を感じました。それは、商店街振興の問題、商店街の衰退や中小企業、零細企業の苦境、これらはもうだれもが認める行政や議会の共通認識になってきました。
 ところが、こうした問題に対して、区としては解決できない問題であるというようなことが区の最後の結論であるとすれば、一体区民はどうしたらいいのでしょうか。今後ますます見えてくる現状と、国の政策との溝の深まり、こうした中で、政治の問題として、例えば大店法の改悪のように実際に商店を苦しめているような問題が存在することを感じるのであれば、それを一体どうするのか。区行政として対国、こうした国の政策や整備に対する対決の姿勢を明確にしてもらわない限り、区民を救うことはできないと思います。
 まさに産業振興がうまくいかない、これは政治の問題であります。商店街が衰退する、それも政治の問題であります。こうしたもとで犠牲を受けている人々の立場に立って、区が国に対しもっとはっきりとした姿勢を持つこと、このことなくして産業振興はあり得ないということを申し上げておきたいと思います。
 さらに、リサイクル条例についてですが、やっと日程に上ってきたかに見えます。しかし、私は、現在のモデル回収事業のあり方は間違っているというふうに申し上げなければならない。今後、リサイクル懇話会などで徹底的に議論していただきたいと思いますが、再三申し上げてきたアルミ缶を対象から除外している問題、売上金を町会への還元金として取り扱っている問題など、基本的な姿勢が間違っています。こうしたことを一刻も早く解決すべきだというふうに要求しておきます。
 最後に、教育行政の問題です。
 今回、決算委員会の中でも議論されましたけれども、教育行政の問題は、教育委員会のあり方の問題が非常に大きいと思います。退職校長の天下り、特定政党の退職議員、特定団体の利益代理人からなるような教育委員会などもうたくさんだと私は言いたい。区民の中の教育への思いや悩みと全くかけ離れたあり方ではないでしょうか。まず、現実を直視することから始めよと申し上げたいと思います。事実をありのままに認めることからしか解決の方法は見出せません。今、教育行政には闘う姿勢が必要なのです。決算委員会における業者テストの問題、この質疑にあらわれたような不透明さでは困ります。区民の代表が議論する教育委員会につくりかえるべきであり、そして、教育委員会の準公選制を目指して、区民参加の教育委員会へとつくりかえていくべきときに来ているのではないでしょうか。
 最後に、繰り返し引き起こされる政治家や官僚、大企業との利権をめぐった癒着、腐敗した政治に対する人々の怒りと失望が国じゅうに広がっている今、地方政治や地方自治体にかかわる私たちは姿勢を正さなければならないということを、再度申し上げたいと思います。
 決算委員会の中で私が感じた区側の不統一、結束のなさの原因は一体どこにあるのでしょうか。これもまた、区長を中心とする行政に対する一貫した姿勢の欠如ではないのでしょうか。
 不況が長期化、深刻化する中で、私たちの身近にもあるこうした人々の批判に対して、真に大多数の区民の信頼にこたえる公平で公正な一貫性のある区政をつくり上げなければならないと思います。
 行政と議会が今後も馴れ合いを廃して厳しくチェックし合うこと、そのことを前提として、そのためにも予算、決算の委員会が十分な機能を果たすこと、住民を代表して区政に対する徹底した監視や提言を行う役割を果たすことが不可欠であると申し述べて、私の反対討論を終わります。