河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月26日 2014年11月26日

斉藤ゆうこ

あらかわ元気クラブの斉藤裕子です。4期目最後の一般質問ということになりますが、私は1987年以来15年間、区議会で仕事をしてまいりまして、これほどまでに人々が厳しい経済状況と社会問題とに直面しているときはないと痛感しています。これを解決する政治が必要とされているにもかかわらず、その政治への失望も大きい、そんな状況ではないでしょうか。生活していくこと、事業を維持していくことが困難な状況を抱え、これに何とか打ちかとうと日々葛藤している区民に対して、今、荒川区政はどのような支援をすべきなのか、4点について藤澤区長と区当局のお考えを伺います。
 まず、他区に先駆けて実現してほしい荒川区としての失業対策事業、雇用創出事業についてお伺いします。
 私は、ことし3月から「職と生活保障を求める失業者・都民ネットワーク」をつくり、そのサポーターとして、失業に苦しむ人たちと行動を共にしてきました。職安前での署名活動、都議会への請願、厚生労働省との交渉、国会議員との話し合い、さまざまな行動を重ねてきましたが、その中で、東京のあらゆる産業の現場から、これを支えて日夜働き続けてきた人たちが放り出され、再就職もままならない状況に置かれていることを痛切に感じてきました。とりわけ、東部・下町地域の製造業は、大田区と並んで壊滅的といえる状態で、東部地域の職安にはおしなべて求人がありません。足立の職安前では、仕事を求める多くの荒川区民の方たちと出会いました。
 従来、「失業対策、雇用創出は国の専管」とされてきましたが、身近な地方自治体として区民の窮状に手をこまねいてはいられない状況です。国の交付金による事業は、その性格から「一瞬の雇用機会をつくる」ものにすぎず、失業中の人たちが真に望む安定的再就職とはほど遠いことは、既に決算委員会で申し上げました。交付金にしろ、職業訓練制度にしろ、国の施策は深刻な失業問題の打開からはるかに立ちおくれて実効性がないというのがこの間の私の感想です。
 そこで、区民に最も近い自治体である荒川区として、失業という切実な問題に直面する多くの区民に何ができるのか。これまでの就職面接会などより、一歩踏み込んだ事業で答えを出すときではないでしょうか。
 2000年4月から「雇用対策法」が改正され、地方公共団体への努力義務が位置づけられ、これに伴って地方での失業対策も活性化してきました。地域経済が深刻に疲弊している鳥取県や秋田県などの地方都市では、自治体の労働組合が行革でカットされたみずからの手当を、失業対策事業に振り向ける要求をし、自治体自身の雇用拡大に充てる施策を推進した例もあります。
 私は、今後荒川区でも、区が地元の事業者や自治体の労働組合、また失業に直面している区民とも協力し、一緒になって「地域の雇用を考える」という取り組みが必要だと思います。荒川区自身の雇用創出と、区内民間事業所の雇用拡大への支援という両面から何ができるのかを探ってみることです。まず地域で一緒に議論し、荒川区でできる有効な施策を考えることが大事です。地域における雇用創出は、みんなで深刻な失業問題に取り組んでいく機運を醸成することから始めたらよいのではないでしょうか。
 私は、こうした中で、今問題になっている「雇用のミスマッチ」の解消、地域産業が新たに必要としている技術の習得と、有効な助成金制度のあり方など、国が現在解決できないでいる問題解決の糸口が見つかると思っています。財源についての合意形成や、東京都や国に対する財源措置や政策的要請も含め、区による有効な失業対策の入り口となると確信しますが、いかがでしょうか。

 第2に、区内中小事業者の苦境に追い打ちをかける政府の経済金融政策を変更する必要があると思いますが、藤澤区長は自治体の長としてどのようにお考えか、見解をお伺いいたします。
 まず地方税である「法人事業税の外形標準化」について。
 政府税調が早期導入を目指す外形標準化税は、法人の人件費、支払い利子、支払い貸借料や、資本金・準備金に課税をするものです。日本商工会議所の調査によれば、法人企業の約7割を占める赤字法人への課税により、赤字中小企業では約六千億円もの大増税、また黒字中小企業でも八割を超える法人で、現行の1.6倍もの大幅な負担増となる反面、高収益を上げている一部の大企業にとっては、現行9.6%の税率が2分の1となるため、大幅減税となること。賃金などに課税することは企業の雇用や投資を抑制し、固定費負担が重くなるため、経済活力を損なうことなどが挙げられております。

 また、赤字法人は行政サービスを受けながら税を負担していないではないかという批判に対して、「法人企業は既に外形課税として、法人住民税の均等割、固定資産税、事業所税など、年間6.3兆円、赤字法人でもこのうち4.5兆円の地方税を負担している」と反論しております。
 区内の法人や事業者の大多数は、もうあとがないぎりぎりのところで日々企業の存続と雇用の維持のための努力を続けています。金融危機が言われ、景気もますます深刻化する中での外形標準課税導入は、区内法人の苦境に追い打ちをかけ、産業振興に逆行するものと思いますが、影響についてどのようにお考えか伺います。
 次に、不良再建処理にかかわる問題についてお伺いします。
 新たに160万人とも200万人とも推定される失業者を生むと言われる不良再建処理。それでも小泉首相と竹中金融経済財政担当相は「不退転の決意で不良債権処理に取り組む」と言っております。「冗談じゃない、首をくくれというのか」「小泉は何を考えているんだ」「これじゃ会社も従業員も共倒れだ」と、これは私が言っているんじゃございません。日に日に高まる自民党支持層の事業者の声なのでございます。
 都心では、バブル期に「相続税対策になる」と銀行が借金による自社ビル建設を唆し、70%から90%も地下が下落すると、今度は「担保割れで超過債務だ」と貸しはがしや強行な返済計画を迫る。自殺者まで出している東京のど真ん中の商店主たちの怒りは、ずばり政府の金融政策に向けられております。
 先日深夜に再放送されたNHKの番組では、日興信用金庫の墨田支店がモデルになっていましたが、金融庁の指導による「金融検査マニュアル」と、古くからつき合ってきた地元の中小企業との板挟みになる信用金庫の苦悩、そして金融機関の破綻によって存亡の危機にさらされる事業者や過酷なコストダウンによる「経営再建計画」に追い込まれた中小製造業の一家の様子が克明に描かれておりました。題して「お金が回らない」。まさに中小企業の血液であるお金が回らないのです。
 額に汗して働いたことも、商売で苦労したこともない竹中さんや、我が国有数の大金持ちと言われ、銀行に頭を下げてお金を借りる苦労などしたこともないであろう最大野党の党首にはわかるまいと私は思いますが、しかし、この人たちが実際の政治を動かし、構造改革を推進しているのであります。国民にこれだけの犠牲が出るとわかっていて政策を曲げないとは、まさに「確信犯」のしわざと言うべきではないか。
 私たち元気クラブの持論は「小泉構造改革は決して国民を幸せにしない」ですが、藤澤区長に百歩譲ってお尋ねしたいと思います。「不良債権処理」という入り口を入った結果、出口でどんな過酷なことが起こっているのか、経験と想像力の不足した人たちに伝えていただきたい。区長は就任以来、「国に対しても言うべきことははっきり言う」とおっしゃってきました。下町の中小企業とそこで働く人の苦しみに追い打ちをかける国の経済金融政策に対しては荒川区の長としてぜひとも政策変更を求めていただきたい、いかがでしょうか。
 さて、質問の第3番目に、昨年6月議会で質問いたしました3種の区内民間団体、いずれも社会的必要さに迫られ、財政的な困難を抱えながら自力で活動していますが、これに対して区がその後どのような支援をなさったのかをお聞きしたいと思います。
 昨年6月議会で、薬物依存症からの社会復帰施設「東京ダルク」については活動が広域的なことから「東京都もしくは23区全体での助成をすすめたい」との見解が出されました。また、DVいわゆる夫婦間暴力の根絶と被害者支援に取り組む「女性ネット・サヤサヤ」については、「夫婦間暴力はこれまで個人や家庭の問題とされてきたが、女性のみならず子供にも影響の及ぶ重大な社会問題である」との認識が示され、「専門的知識などを持った民間団体との連携も視野に、女性に対する暴力の根絶に取り組む」との答弁がありました。さらに、低年齢児保育を担ってきた4つの未認可保育室については「ゼロ歳から2歳児の保育における保育室の役割は重要であり、都の認証保育所制度の活用なども検討する」との答弁でございました。
 その後1年半が経過いたしましたが、区がどのような支援をなさったのか具体的に伺います。また私の質問時間の関係で後先になって恐縮ですが、今後の支援についても提案をさせていただきますので、御検討いただきたいと思います。
 東京ダルクについては、区長御自身の働きかけもあり、順調に進んでいるようですが、女性ネット・サヤサヤとの連携と支援については、苦言を呈せざるを得ません。区が講演会を企画したものの、参加者は6名と10名。他区では1けた違うそうです。現在の関心の高さから見て広報不足としか言いようがなく、もったいない限りです。社会問題であり、根絶のために努力するという認識を区がお持ちならば、区として対象を考え、目標をもった企画で地域社会に働きかけるような講演会に取り組んでいただきたい。また、弁護士、警察、福祉関係の窓口、保健所、保護施設、民間支援団体などによるDVネットワーク会議が開催されている自治体もあります。現在、民間に管理委託された南千*荘(注:利用者の方の希望により、一部を伏せてあります)ではDV被害女性を受け入れており、女性ネット・サヤサヤが相談を受け持っていることから、区内関係機関とのネットワークがぜひ必要と思われます。練馬区などで実施している電話相談、品川区で実施したアンケートによる実態調査、区民への啓発パンフレットの積極活用など、できることはたくさんあるのではないでしょうか。一段の努力を求めたいと思います。
 また、ある未認可保育室は、木造2階建てが都の認可基準に合わないため移転の必要に迫られておりましたが、区の情報提供と指導により、めでたく移転の運びとなり、認証Aの駅前型として助成を受け、リニューアルができる見通しが出てきました。この保育室では、1歳児の待機児が多い中で、毎月1日が受け付け、低年齢児の長時間保育枠がないなど、公立保育園からはみ出さざるを得ない子供たちの受け入れや、産褥期のお母さんのサポートや緊急のお迎えなど、また虐待に至る危険性がある母子関係の行き詰まりや子育て相談などなど、本当にさまざまに多様化する地域の保育要求にこたえています。こういうのを「はざま保育」とか「すき間保育」というのだそうですが、何でもやりたいけど体制を保障する人件費の財源がないのが悩みの種です。もし公立ならば当然予算化される事業だと思いますが、未認可にも少子化対策の国庫補助などが活用できないでしょうか。ぜひ検討していただきたいと思います。さらに、この保育室は抜群のアクセスを誇るホームページで情報提供を行っています。最近では親の8割はホームページを見て来園するそうです。いいお医者さん情報、アトピー対策、遊び場情報などのほかに、メールによる相談も行っています。これを頼って荒川区に引っ越してきたという親もいるそうです。生まれたばかりの赤ちゃんがいて身動きのとれない若いお母さんが、片手に赤ちゃんをだっこしながら、片手でマウスを動かして情報を求めている姿が目に浮かぶようです。まさにITを活用した子育て支援活動ですが、これらは保育士たちが時間外にボランティアでやっているそうです。IT先進区を目指す荒川区といたましては、こういう活動こそ支援してほしいものです。大いに区民の支持が得られると思いますが、いかがでしょうか、藤澤区長。
 以上、私の提案として、あらかわ元気クラブ会派としての来年度予算要望でも議論したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

最後に、アジアでの新たな姉妹都市提携を目指して、荒川区と済州(チェジュ)市との深くて広い交流を進める考えはないか、お伺いいたします。
 済州島(チェジュド)は、朝鮮半島の最南端に位置し、ハルラ山を中心部に擁する島です。行政区分としては、かつての「全羅南道済州島」から「済州道」に格上げされ、島全体が1つの県となっています。済州(チェジュ)市はその中心都市として北部に位置する人口28万人の市であります。市としては、南部に西帰浦(ソキポ)市があり、他に2つの郡部を持っています。島の全体の人口は55万人ということであります。
 ここに済州島の地図があります、ここが済州市(チェジュ市)です。
 現在荒川区に定住する韓国・朝鮮系の区民は、韓国籍であるか、朝鮮籍であるか、また日本国籍を取得なさっているかにかかわらず、済州島(チェジュド)を故郷に持つ人々が圧倒的に多く、約9割とも言われております。これは大阪の生野区と並んで全国に例を見ない珍しい状況と言われています。日本全国では、約6割が慶尚道(キョンサンド)の出身、次いで全羅道(チョラド)の出身であることから見ても、荒川区に済州島出身の人々が定住してきたことは大変特色あることと言えます。

 区内の2つの民族団体から伺ったお話を総合いたしますと、戦前、朝鮮半島が日本の植民地支配をされていた時代に働くために渡日し、荒川区で生計で営んでいた人たちが1945年の終戦直前に危険を感じて帰国はしたものの、戦後悪化していた韓国経済のもとで、再び親戚や血縁を頼って荒川区に戻ってきたというケースも多いそうです。外国人登録や言葉の問題もあり、資本がかからず六畳一間でやっていけるかばんや洋服などを縫製する家内工業が主流となり、産業を形成していったようです。ほかにも内蔵(ホルモン)やどぶろく(マッコリ)、みんな好きですね、こういった独特の食文化を発展させたり、日暮里地域などで、ウェス屋さんやスクラップ屋さんといった産業に従事した人も多いようです。このあたりの歴史、産業の経過は、荒川区教育委員会が発刊した『三河島の民俗』に詳しく書かれております。これですね、『荒川(旧三河島)の民俗』この本に詳しく書かれております。
 さて、荒川区の在日のルーツが済州島にあることは、今申し上げたとおりですが、それではこの間、どのような交流が行われてきたのでしょうか。荒川区にあります日韓親善協会は近年活発に活動し、昨年6月には済州島訪問が企画されておりましたが、残念ながら区長選挙などの事情から延期になっているそうです。しかし、藤澤区長を名誉顧問として親しい交流が続いていると伺っております。
 一方で、朝鮮籍を有する区民の方々は、御自分たちの故郷である済州島を訪問することに大変な障害を抱えてきました。1945年の段階で日本国籍だった朝鮮半島出身者は、1947年の外国人登録法ですべて朝鮮籍となり、1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約発効によって法的にも日本国籍を喪失いたしました。1965年の日韓条約で、韓国との国交正常化が行われて以降、法的地位協定による協定永住が認められ、韓国籍を優遇する措置の中で、国籍切りかえが進みましたが、このような施策にもかかわらず朝鮮籍を保持している方々は依然として荒川区にも、そして全国にも多数存在しているというのが現状です。故郷への自由往来がままならないまま、日本で長い歳月を過ごした人たちの望郷の思いはいかばかりであったことでしょうか。
 私は、ことし6月のワールドカップで緩やかになった規制のもと、60年ぶりに済州島の故郷の土を踏んだ朝鮮籍の在日1世のおばあちゃまのお話を伺って、何とも言われない思いに駆られました。荒川からはこのとき9名の方たちが初めて故郷の済州島を訪問し、それぞれに家族や親戚との涙の出会いがあったと言います。
 このようなさまざまな歴史経過のある中で、荒川区内に暮らす圧倒的多数の韓国・朝鮮系区民のふるさと・済州島(チェジュド)との交流は、必ず日本と朝鮮半島との親善と相互理解に役立つものと思います。区当局のお考えはいかがでしょうか。お伺いいたします。
 以上4項目、私の質問を終わります。

区長(藤澤志光)
 斉藤裕子議員の質問にお答えをいたします。
 外形標準課税の導入についての御質問についてお答えをします。私は国の税制のあり方は、国や地方自治体の財政に影響を及ぼすのみではなく、社会経済のありさまや方向性を誘導する極めて政策的な課題であると認識をいたしておるところでございます。
 したがいまして、私は社会経済の実情やあるべき姿を十分に踏まえた上で、税制についての論議を行うべきであると考えております。そして、現在、日本経済の置かれた厳しい状況を考えたとき、今最も求められている税制は当面の景気回復と着実な構造改革の実現に資するものでなければならないと考えております。
 現在、国において検討がなされております法人事業税への外形標準課税につきましては、応益負担を基本とする地方税の性格や税負担の公平性の確保、地方財政を支える税収の安定化等の観点から、区にとっても必要な税制の一つと考えているところでございます。
 しかしながら、現在区内の大多数を占める中小企業が置かれている極めて困難な状況を考えますとき、新たな負担を伴う外形標準課税を現時点で導入することには適当でないと考えるところでございます。
 他の質問につきましては、関係理事者をもって答弁をさせます。

産業活性化推進室長(緒方清)
 私から2点の御質問にお答えをいたします。
 まず区の失業対策事業、雇用創出事業についての御質問にお答えいたします。
 我が国の完全失業率は依然として5%以上の高い率で推移をしており、区といたしましても雇用施策の重要性を十分認識しているところであります。地方自治体の雇用施策につきましては、雇用対策法で「地域の実情に応じ、必要な施策を講じるように努めなければならない」と規定されております。
 この雇用に関する必要な施策とは、雇用機会の創出、能力訓練、情報の提供、企業支援など、非常に広範囲な施策を意味していると考えております。このため、区におきましては、国の緊急地域雇用創出特別補助金を活用した事業や内職相談、ハローワーク足立、東京商工会議所荒川支部と共催している就職面接会など、雇用機会の創出に努めているところでございます。

また、このほか求職者向けIT講習会などの能力訓練、ホームページなどによる情報提供、さらには起業操業支援など、幅広く雇用対策に取り組んでいるところであります。とりわけ就職面接会につきましては、13年度2回、本年度は3回実施することとしております。多数の求職者が参加され、成果を上げております。なお、本日も日暮里サニーホールで実施をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、雇用環境の悪化が懸念される中で、雇用創出につながる施策の実施につきましては、国や東京都、商工会議所などと緊密な連携をとり、さらに取り組みを強化していく所存でございます。
 次に不良債権処理にかかわる問題についての御質問にお答えいたします。
 10月30日に不良債権の処理と産業企業の再生を図ること、中小企業対策や雇用対策を推進すること、また経済活性化に向けた構造改革を加速することを3本柱とする、政府の総合デフレ対策が発表されました。この総合デフレ対策は、日本の金融及び産業の早期再生を図ることを目的としていますが、一方で中小企業への貸し渋り等が発生し、また再生可能な企業が倒産に追い込まれるのではないかという指摘があります。
 区といたしましても、不況が長引く中で、売り上げの減少や資金繰りの悪化など、極めて厳しい経営環境に置かれている区内中小企業が不良債権処理の加速に伴い、さらに厳しい状況に直面することがないようデフレ対策を進めなければならないと考えているところでございます。
 また地域経済を支えてきた区内の金融機関が不良債権処理の加速策によって中小企業に対する融資を抑制することも懸念しております。したがいまして、区といたしましては、国が進めようとしている、中小企業対策が信用保証協会による保証の拡大や緩和、再生可能な企業の支援、さらには地域金融機関に対する緩和措置などの面で実効性が高いものとなるよう関係機関に要請してまいる所存でございます。

保健福祉部長(高野政義)
 民間団体への支援に関する御質問のうち、まず東京ダルクについてお答えいたします。
 東京ダルクは区内に拠点を置き、薬物依存症者の社会復帰に向けて十五年以上活動しております。当団体は他区の利用者も多く、23区内のみならず、広域で活動している国内有数の団体であることから、区といたしましては、従来より東京都で助成すべき団体であると考え、都に対して要望してまいりました。
 また東京ダルクは、区が青少年等を対象に実施する薬物乱用予防活動等にも積極的に参加、協力しており、地元の方々からも、その活動が評価され、支援の動きが高まっておりました。このような状況を受けて、昨年7月の特別区長会において藤澤区長から問題提起をし、特別区長会会長名で都知事に対し、要望書を提出することを提案いたしましたところ、全会一致の賛成を得られ、8月2日に藤澤区長も同行して、特別区長会として東京都へ要望書を提出いたしました。
 一方、東京ダルクとしても都への働きかけを行っており、こうした動きの中で平成13年10月に精神障害者社会復帰施設である福祉ホームの設置が既存の施設において認可され、東京都より補助金が交付されるようになっております。
 次に保育室についてでございます。未認可保育室、すなわち認可外保育室では小規模という利点を生かして、産休明けから2歳児までの低年齢児を対象に施設ごとに特色のあるきめ細かな保育を実施しております。
 また東京都では、平成13年度から多様な保育ニーズにこたえるため、認証保育所制度を開始したところであり、今年度は区内の保育室2施設がB型の認証保育所に移行したところでございます。
 この2施設を含め、現在区内の施設は4施設であり、認可保育園を補完する役割を担っております。現在、保育室に対して、ゼロ歳児については、1人当たり月額約9万円、1、2歳児については約5万円の児童補助、さらに施設管理費等の財政支援をしております。なお、定員30名以下の認証保育所につきましては、ゼロ歳児には約12万円、1、2歳児には約8万円の補助がございます。
 また施設面で基準に満たないことで認証保育所への移行が困難な保育室につきましても必要な助言や情報提供などを行っているところでございます。

地域振興部長(柳澤孝志)
 私からは最初に民間団体への支援についての御質問のうち、サヤサヤに関する質問にお答えいたします。
サヤサヤは、区内で夫婦間暴力や児童虐待、対親暴力、離婚、アルコールや薬物依存などに関する相談活動や夫婦間暴力による被害者の女性たちの自立支援などを行っているグループでございます。
 昨年6月に行われました街かど対話集会に、このグループの方が参加され、自分たちの運動の趣旨を話されるとともに、講演会等を区も一緒にやってほしいとの要請がありました。
 女性に対する暴力は区としても人権の尊重と男女平等の取り組みを推進する上から重要な課題でもあり、専門的な活動を行っている、このグループとの連携が図れないか、検討を進めてまいりました。
 アクト21で本年1月より5回にわたり開催いたしました夫婦間暴力に関する啓発のための講座において、このグループから講師の派遣をしてもらうとともに、アクト21フェスティバルでの相談コーナーの協力や情報提供事業などの連携を図ってまいりました。区といたしましては、今後、このような講座や事業を実施する場合には、専門的な知識を持った民間団体との連携をしてまいるとともに、PRに努めて実施をしていきたいというふうに考えております。

地域振興部長(柳澤孝志)
 続きまして、済州市との交流についての御質問にお答えいたします。
 韓国は、地理的にも我が国に極めて近い存在であり、古くから文化、経済面での親密な交流を続けてまいりました。さらに、ことし6月の日本と韓国の共同開催によるサッカーのワールドカップを契機に、韓国はさらに近い国となってまいりました。
 荒川区におきましては、在日韓国・朝鮮人の方々も多いことから、これまでにもこれらの方々との親睦を図るため、荒川区日韓親善協会や在日本大韓民国民団荒川支部の活動を支援し、講演会や研修会などを開催するとともに、川の手荒川まつりや区の芸術、文化事業などで音楽や舞踊を中心に、韓国朝鮮の文化に触れる機会を設けるほか、焼き肉フェスティバルなどで食文化への接触など、さまざまな交流を深めてまいりました。
 一方、日本の文化や生活習慣になじめず、地域の方々とのあつれきが生じている場合などもあり、同じ地域に暮らす住民として、さらなる相互理解のもと、一層の交流を深めてまいりたいと考えております。
 区内には韓国、朝鮮籍とを問わず、済州島出身の方が多いことから、済州市と姉妹都市提携を目指した交流をとの御提案につきましては、国際姉妹都市交流を進めるためには、双方の自治体の財政状況やそれぞれどのようなメリットがあるかなどの点について、時間をかけて総合的に検討する必要があると考えております。当面、区内の民間における草の根交流などを見守ってまいりたいと考えております。

斉藤ゆうこ
 藤澤区長初め理事者の皆さんの御答弁ありがとうございました。
 荒川区が地方自治体として、失業対策、雇用創出事業にどのような新たな挑戦をするのかについては、まず地域みんなで取り組んでいく機運の醸成から始めて、来年度予算ではぜひ具体的な事業化を目指していただきたい。私たちの会派も予算委員会などを通じまして議論を続けていきたいと思います。また、国の経済金融政策の変更を求める問題については、ぜひとも区内事業者と共通の気持ちを持って行動をともにしていただきたいと、重ねて藤澤区長にお願いをしておきます。
 3つの団体、それぞれへの支援については、先ほどの質問の中に既に要望を申し上げました。大切な活動が困難に直面することのないよう活動を助ける予算措置をしっかりお願いしたいと思います。
 また、ただいまの済州市(チェジュ市)との姉妹都市提携を目指した交流につきましては、荒川区と済州市(チェジュ市)という行政単位で島全体も視野に入れながら進めることが可能であると思います。私が問題提起をいたしましたが、超党派で進め、じっくりと実現できれば何よりと考えております。
 さて、最後になりましたが、私たち元気クラブは、本日午前11時より記者会見を行い、地域政治団体あらかわ元気クラブとして来年四月の荒川区議会議員選挙の候補者を発表いたしました。2期8年、区議会で私とともに活動してまいりました今村真弓は今期限りで引退し、医療・福祉の専門職として区民の皆さんに貢献する道に専念することになりました。任期満了後はこの分野の専門家として地域で元気クラブと一緒に活動してまいります。かわりまして15年来、私たち2人と一緒に地域で活動してきました元気クラブの事務局長、中原純子が4月の選挙を闘います。
 あらかわ元気クラブは、勤労区民の皆さんとともに「地域経済を立て直そう」「生活できる仕事を」をスローガンに掲げて来年の選挙に挑戦し、必ずこの荒川区議会に2議席を闘いとる決意でございます。この政治のもとで行動を余儀なくされる人々はますますふえ、政局も流動化が避けられない情勢になってきました。「生きられる町、暮らせる政治」は、私たち元気クラブの目標です。私も15年を経て、現状にとどまることなく、果敢に闘い続けていくことを表明いたしまして、私の一般質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。