斉藤ゆうこのあらかわ日和

荒川区民が直面している三つの問題
平成25年9月9日、あらかわ元気クラブ斉藤ゆうこは、第3回定例会で、産業振興と雇用政策、保育園と学童クラブ、外国人区民に対する政策ついて質問をしました。

 私は、あらかわ元気クラブとして、いま区民が直面している三つの問題について質問をいたします。

■1■ 産業振興 雇用政策

 第1点目として、荒川区の産業振興と雇用政策はこれでいいのか、伺います。

 国全体で見ても就業人口が減り、苦境に立たされているものづくり。大型店との力の差の前に敗退を余儀なくされて空き店舗が目立つ商店街。私はここに携わる人たちが「生きられる荒川区、暮らせる荒川区政。」でなければならないと思います。まず初めに、当事者の力に頼り、区民の力を結集した商店街活性化と街づくりに対する支援について伺います。

 今から11年前の2002年(平成14年)9月6日に設立された(株)あらかわTMOの解散が、昨年8月30日の総務企画委員会に報告されました。今年5月20日に解散となり、現在すすめられている清算手続き完了を持って、民間会社による地域活性化をめざした荒川区初の試み・あらかわTMOは完全に姿を消すことになりました。
 大店法の規制緩和・廃止に伴い、中心市街地活性化のための新たにつくられた、まちづくり三法に基づき、地域活性化の中核をなす組織として位置付けられたTMOは全国各地で展開されました。もともとはロードサイドの大型店出店によって衰退した地方の中心市街地対策として考案されたものですが、東京のような大都市にもその主旨は適用可能であるとして積極的に取り組まれました。
 定款を見ると、鳥海隆・区商連会長、竹内一・商工会議所など今は亡き当時の産業界のリーダーが名を連ね、南千住の地域商店街や町会長をはじめ、東京商工会議所の山口信夫会頭のお名前もあります。当然、荒川区も出資をしており、当時の藤澤志光区長名で100株を保有する筆頭株主となっています。 商店街や町会に連なる区民自身が、苦境を打開し、地域活性化をめざしたこの試みが継続できず、解散に至ったことはまことに残念としか言いようがありません。
 安定した収益性のある事業を展開することが出来なかった点に問題があったと思いますが、果たして区の支援や対処は適切だったのだろうか、疑問が残ります。区の肝入りで始められたこの事業は、こうしてひっそりと幕を閉じることになった訳ですが、議会もかつては「これを起爆剤にしよう」と言い、応援した経緯があるのですから、責任もあるのではないかと思います。
 そこで、TMO解散の教訓を生かし、今後、区民が力を結集して会社を作り、商店街振興や地域振興に取り組むような事例が出てきた場合にどう対処するのか、TMOの総括を踏まえ、区の考え方を聞きたいと思います。
 荒川区は、たとえ当事者に力が不足していても、持てる力で自分たちの地域の将来を賭けた商店街振興や街づくりに挑戦しようとする区民には支援を惜しまないという考えがあるのか。それとも、大きい声じゃ言えないけど、荒川区民の力不足は否めないので、もう無理しないで地域振興や開発は資本力に勝る大手にお願いしよう(大手が来てくれればの話ですが)と内心思っているのか、どちらなのか、お考えを伺いたいと思います。区の考えが明らかになれば、自分たちの地域の将来を自分たちの手で切り拓いていこうと覚悟を決め、意を決して頑張る区民も現れてくるでしょう。

 次に、昨年区内で起きた印刷会社の「破産」と従業員の全員解雇事件を教訓として、荒川区が中小企業の経営支援と雇用維持に今後どう対処なさるのか、伺います。

 昨年9月14日、西日暮里1丁目の富士美術印刷(株)と同一の建物・同一のフロアにある子会社・フジ製版(株)で、突然の「破産」と従業員18名が全員解雇される事件が起きました。昨年の決算委員会でも質疑しましたが、フジ製版の経営者は億にのぼる資産を保有しており、破産法を悪用した計画的な「偽装破産」の疑いがあります。
 親会社の富士美術印刷は、壮光舎印刷、三美印刷と並んで「荒川区の印刷御三家」と言われますが、創業94年となるこの親会社と45年前に設立した子会社のフジ製版は完全な同族経営です。解雇された組合員は「人事や価格決定権など日常業務への強い関与からみて使用者と同一であり、親会社の責任は免れない」として、東京都労働委員会に申し立てを行い、現在も調査が継続されています。
 また、昨年10月26日には、解雇された組合員と荒川区内の労働組合のセンターである荒川区労評が区議会を訪れ、公明党・共産党・民主党市民の会・元気クラブの4会派の同席の下、西川区長宛の要望書を提出。石原産業経済部長に「何十年も会社を支えてきた労働者が退職金さえ支払われずに解雇されるような事がまかり通らないよう、ご尽力をお願いしたい」と訴えました。
 同席した議会の4会派は「経営側が話し合いの席に就くよう、環境づくりに努力してほしい」と区に要請しましたが、その後の情報によれば、親会社の富士美術印刷会長が話し合いの席に就き、6月から双方の主張を意見交換しながら、未払い賃金の支払い、雇用要求を持つ組合員の雇用回復などの課題解決について、交渉が続いているとのことです。
 この間、産業経済部には行政の立場から労使双方の事情を聞き、事態の把握に努めるなど、公平かつ誠実に対応して頂きました。この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。  年内、除夜の鐘が鳴るまでの解決をめざして、労使双方が真摯に交渉を続けていく、とのことですので、その行方を見守っていきたいと思いますが、この事件を通して様々な課題も見えてきました。
 破産したフジ製版は9割が労働債権であり、資金繰りの努力次第で破産は回避できたにも拘らず、その形跡は全く見られず、「法人格の濫用による破産だ」と労働側は主張しています。大手からの単価切り下げなどの厳しい環境下で、多くの中小企業経営者は何とか事業を継続し、雇用を守ろうと必死の努力を続けていますが、その一方で、経営者個人の資産温存を優先し、長年働いてきた労働者を顧みず、経営を放り出す行為が増えている現状があります。

 アベノミクス成長戦略の一つとして、「世界一ビジネスしやすい都市・東京」を掲げる「国家戦略特区」が東京に適用されるようですが、雇用の流動化と称して「世界一解雇しやすい環境づくり」がすすめば、社会的責任を果たさない企業が増え、破産法の悪用と相俟って雇用不安に拍車をかけることが心配されます。
 多国籍大企業や金融系の外国企業が闊歩し、「中小企業の町・東京」は先細ってきました。中小企業が「生きられる町、暮らせる政治」にするために、わが下町の荒川区行政も手をこまねいている訳にはいきません。対抗策として、雇用問題を所管する東京都と連携して、雇用の維持を軽視しないよう行政指導を実施して頂きたい。また、大手企業が中小企業の仕事の現場にまで容赦なく進出する昨今、区内の印刷会社の営業マンが得意先で某大手企業の営業と遭遇し、事を取るために利益を減らし、納期を短縮する、という笑えない現実があります。中小企業の仕事の分野を確保するための規制についても、東京都と連携して実施して頂きたい。そして、予算委員会でお願いしたように、印刷産業をはじめ、区内の中小企業が抱える困難の背景は様々です。困難にめげて経営を投げ出したい衝動に駆られる中小企業経営者を減らすためにも、実情に見合う支援策を実行してください。

 以上、荒川区が掲げてきた地域経済と地域雇用の維持・発展のため、『規制と支援』の両面から方策の実施を求めたいと思います。

 この問題の3番目に、荒川区の非常勤職員に対する更なる処遇改善に対する当局の見解をお尋ねします。

 4月1日現在、荒川区の非常勤職員は660名、職員全体の27.5%にまで増えました。勤続年数も最長で29年、平均6.57年と長くなりました。図書館の運営を一手に引き受ける非常勤職員の多くは司書の有資格者ですが、就職氷河期に常勤の仕事が見つからず、それならいっそ非常勤でもいいから自分の好きな仕事を選ぼう、と入職した人たちもいます。しかし、アルバイトなど別の仕事と複合就労しないと自立して食べていけない、結婚・出産・子育てを考える年齢になったが、生計が維持できないから無理、といった問題に突き当たっています。区内在住の図書館非常勤職員同士が結婚し、出産したけど認可保育園に入れない。なぜなら指数が20に満たないからだ、どうしましょう、という相談もありました。
 アラフォー世代では、夫婦そろって常勤労働者は少なくなり、どちらかが非正規、両方とも非正規という夫婦が多数になってきたといいます。これは民間企業の話ですが、育児休業が完備しているのに早々に職場復帰した女性がいた、なぜだろうといぶかしく思ったら、夫が非正規雇用で、3人で食べていくには彼女が育休返上で働かなければならない事情だったというのです。社会の中核を担うこの世代をこんな状態にしてしまった私たちの責任は大きいと思います。

 荒川区の過酷な行財政改革の結果生み出された非常勤職員がこのままボーナスも退職金もなく働き続け、定年を迎えた時、果たして幸福を実感できるのだろうか。ネックになっている夏季手当、年末手当、退職金などの諸手当支給を荒川区はどう考えるのか。また、せっかく実現した非常勤職員の職員住宅入居のハードルが高く、利用できない問題については、早急に実情に合わせて要件緩和に踏み切るべきと思いますが、伺います。

▼西川区長 答弁

 商店街活性化と街づくりの支援についてのご質問にお答えいたします。
 昨今の日本経済を見ますと、アベノミクスの効果から、株価の回復と円安という明るい兆しが見られるものの、輸入品の価格上昇等の不安要因もあり、消費税率の引上げが想定される中、商店街を取り巻く状況は依然予断を許さないものがあります。また、大規模小売店の出店、ネットショッピングの普及、商店経営者の高齢化等により、区内商店数は、年々減少しているのが実態であります。
 私は、就任以来常々申し上げておりますが、商店街は、区民の消費生活を支える場であるとともに、地域の人々が出会い集う場としての機能も果たしており、今後とも、地域社会の中核的役割を担わなければならないものと認識しております。
 すなわち、区民と商店街が相携えて、商店街を盛り上げ、ひいては地域社会の活性化、街の魅力の向上、「幸福実感都市 あらかわ」の実現に繋げていくことは、区政の重要な課題の一つであると考えております。地方都市では、郊外型大規模ショッピングモールに顧客が流出し、商店街の大部分がシャッター通りとなっている事例がありますが、荒川区には、今でも、地域住民に欠かせない消費生活の場として活躍している商店街がたくさんあります。荒川区におきましては、商店が、大型店にはない独自の商品やサービスを発見・開発して提供する一店逸品運動等、区民が身近な商店に興味を持って足を運ぶような機会を増やす事業を充実して、区民の力を結集した商店街活性化と街づくりをすすめて参りたいと存じます。

▼石原産業経済部長 答弁

 中小企業への支援、雇用問題への対処に関する質問にお答えいたします。
 区内企業が破産を宣告し、労働者を解雇したという件に関しましては、私も当該親企業に出向き、様々な問題について円満解決が図られるよう申し入れを行いましたので、現在、「東京都労働委員会」において調整が行われていることは承知しております。ご質問の印刷業をはじめ、各種製造事業者が厳しい経営環境におかれていることは、平成二十四年の経済センサス調査等により十分認識しており、各種支援を実施しているところであります。
 特に今年度は、区内製造業の現状を把握するために、「製造業実態調査・経営支援事業」を実施しており、中小企業診断士を訪問調査員として、六月二十一日から九月末日まで全件調査中であります。
 そして、職員も同行し単なる調査にとどまらず、各事業主が抱える経営課題への助言等を行うとともに、必要に応じて区の支援事業を紹介しております。さらには、その調査結果を踏まえ、業種ごとに共通する課題・問題点等を抽出し、その解決に向けた支援メニューを検討・実施するなど、きめの細かい継続的な支援を実施して参ります。

▼池田人事戦略担当部長 答弁

 非常勤職員に関するご質問のうち、はじめに職員寮についてのご質問にお答えいたします。  職員寮は、通勤時間が概ね2時間を超える若手職員の住居の対応といった福利厚生の側面と、災害時における初動体制の確保を目的に設置しております。非常勤職員の職員寮への 入寮につきましては、平成二十二年度から常勤職員と同じ要件で入居できるよう改正し、入寮の選考も、同一の基準により公平かつ適正に実施しております。
 次に手当等に関するご質問にお答えいたします。区では、非常勤職員の処遇を改善するため、その職責や能力に応じた職層制の導入や休暇制度の充実など、全国に先駆けて  取り組んできました。「荒川区方式」とも呼ばれるこの取組は、新聞や雑誌などに取り上げられ、東京都をはじめ多くの自治体にも注目されています。
 また、区では、二十三区に対し、経験者採用試験の受験要件を非常勤業務にも広げるよう働きかけ、その結果、非常勤職員から正規職員への道を拓くことができました。
 これら様々な取組を行っておりますが、非常勤職員への手当等の支給については、法令上支給できるのは報酬及び費用弁償のみとされており、現行の法体系では難しいと考えております。

■2■ 保育園・学童クラブ

 第2番目に、現場の要求に応えた、一歩踏み込んだ荒川区の子育て支援について伺います。
 さて、保育園や学童クラブの充実は荒川区の親子にとって、生活を左右する深刻な問題になっています。まず、認可保育園不足の現状を支える区内の認証保育所への支援はどのように進んでいるのか、伺います。

 東京都はかつての未認可保育室制度を経て、現在、認証保育所制度を実施しています。社会福祉法人のように、実績と資金力を備えた認可保育園でなくとも、現場経験が豊かで社会貢献の志のある保育士たちによって運営されている認証保育所は働く保護者たちの評価も高く、今日の保育園不足を支える区の佳きパートナーです。
 しかし、これまた先程来の話と同様、資金力が弱く、規模が小さく、地域の保育要求に応えようとすれば経営的限界に突き当たります。家賃助成がほしい、保育士たちの賃金や労働条件向上に支援がほしい。自力では解決できない厳しい問題を抱えているのも事実です。民主党政権の『置き土産』である「こども子育て新システム」によって、再来年度から認証保育所が認可保育園か、地域型かに振り分けられますが、都と区が底上げ支援し、振り分けになじまないが良質な認証保育所があれば生かす方向で連携して頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

 もう1点、目下の働く親子の悩み、学童クラブの「夏休み対策」について伺います。

 学童クラブを利用する親子にとって、夏休み、春休み、冬休みと、小学校の長期休みの際の最大の悩みは、保育時間の繰り上げとお昼の食事の事です。
 朝、こどもを家に置いて出勤する親たちの不安は並大抵ではありません。ちゃんと鍵をかけて出かけたか、何かトラブルはないか、学童クラブに着いたかしら?と心配の種は尽きません。昔と違って事件も多いのです。
 そして特に夏休み!この暑さの中で学童クラブに持たせなくてはならないお弁当は最大の悩みです。衛生面を考えた傷まないメニューには限りがあるし、毎日パンを買ってね、という訳にはいかず、いっそ休ませて自宅の冷蔵庫のものを食べてほしい、等々。私は「早く夏休みが終わってほしい」とうなづき合う親たちを見て、「ああ、これはダメだ。せっかく楽しい夏休みのハズなのに、これではいけない」と思いました。昔と違って、働く母親に対する職場の配慮も少ないのです。余裕がないというのか、優しくないというのか、いつからこんな風になったのでしょうね。
 育ち盛りの学童クラブの子どもたちの一食は医学的にも、栄養面での健康なからだづくりにとっても、とても大事です。特に夏、私たち中高年だって夏を乗り切るために食べ物に気を遣うでしょう。学童クラブの親子をお弁当持参の苦痛から解放し、大人向けの仕出し弁当を注文するのではなくて、学校給食の委託業者と別契約を結び、保護者から昼食代を徴収してお昼の給食を提供して上げてください。昔と違って、いまほとんどの学童クラブが調理設備の整った学校内にあるのですから。
 ここで一言議場の皆様にお願いしたいのは、この件について「お弁当は母親の愛情の印だ。お弁当づくりが面倒でそんなことを言うのはケシカラン」などという話を持ち出さないでほしいということです。危ない夏のお弁当で母親の愛情を試さなくても、ほかにいくらでも愛情の示し方はあります。議場には父親としてお弁当づくりに苦労した議員もいらっしゃいますが、やらない人が色々言わない事です。ぜひ納税者である学童クラブの親たちと未来ある子どもたちへの愛情あふれる思いやりをお願いします。
 区の担当部局は最近のアンケートなどもご覧になり、学童クラブの保護者の悩みを良くご存じだと思います。見過ごしにせず、「検討にお時間をください」と言わず、早く一歩踏み込んだ支援をして上げてください。こういうことを全国に先駆けてやれば、荒川区の子育て世代も『幸福実感』を叫ぶのではないでしようか。

▼黒川子育て支援部長 答弁

 認証保育所への支援についてのご質問にお答えいたします。
 認証保育所は、認可保育園だけでは対応しきれない保育需要に応じるために必要な施設であり、重要な地域の資源であると認識しております。これまで区では、認証保育所への運営費等の補助について、東京都からの補助に加え、区単独による補助制度の充実に努めてまいりました。また、二十七年度から実施予定の子ども・子育て支援新制度では、現行の認可制度に加え、小規模保育を対象とした地域型保育事業が開始されることとされており、認証保育所からの移行方法等について、現在検討が進められているところです。区といたしましては、移行に関して国や東京都と十分に連携を図るとともに、今後も、認証保育所が安定した経営を継続できるよう、各施設からの要望等も踏まえ、支援してまいります。
 引き続き、学童クラブの保育時間の繰り上げと給食の提供についてのご質問にお答えいたします。
夏休み期間中の学童クラブの利用時間は、午前九時から午後六時までであり、保護者が自宅を出る時間が午前八時前である場合には、午前八時三十分から特例的に受け入れております。利用時間の繰り上げについて、一定の需要があることは、把握しているところでございます。
 また、夏休み期間中の昼食につきましては、自宅から弁当を持参することとしております。保護者から、弁当を作ることは負担が重いという声を聞くこともあります。しかしながら、弁当が単なる食事の提供にとどまらず、保護者と子どもとのコミュニケーションの役割を果たしていることに加え、学校に併設していない学童クラブにおいては調理室を確保することができないことや、アレルギー児の対応等で職員を増やさなければならないなどの課題があり、学童クラブでの給食の提供については、慎重に検討する必要があると考えております。

■3■ 外国人区民に対する政策

 最後に外国人区民に対する荒川区の政策について伺います。

 最近のわが国は、歴史認識に対するブレが激しく、こうした動揺は国と地域の根幹を揺るがしかねない「悪しき傾向」だと感じます。
 なぜこのようなブレが生じているのか、その原因を辿ると、やはり敗戦後にアメリカなどの戦勝国によってではなく、自らの手によって、日本を敗戦に追い込み、多くの帰らぬ犠牲者を出した戦争指導者を裁くことができなかったことに帰結します。さらには、脱亜入欧を掲げ、アジアで帝国主義者としてふるまい、西欧列強と覇権を争う基礎を築いた明治政府の存立と政策の是非にまで遡ることになるでしょう。この点で、白井聡氏という若い研究者が書いた「永続敗戦論」は興味深く、戦後の55年体制の双方にも、唯一の革新政党の中にもある弱点を喝破して大変共感をおぼえました。
 国益に叶わないTPP交渉に踏み込み、アベノミクスの金融緩和さえも「QE3」収束の受け皿だと言われる昨今、日本の独立について真剣に考え、敗戦以来染みついた対米従属意識から脱却し、真剣に主権国家としての道を追求する時が来たと痛切に感じます。それは同時に、アジアの一員として互恵平等に豊かさを享受し、共生する日本の進路を選択することだと思います。

 歴史認識のブレの一例として、河野談話の見直しが上げられます。これについては河野洋平氏ご自身が日本の国益と近年のアジアの動向を踏まえた反論を展開されていますので、皆様も既にご存じのことと思います。こうしたブレに伴い、全国の自治体で中国や韓国の都市との国際交流事業の充実が問われていますが、地域の特性を生かした荒川区の取り組みについてのお考えも併せてお伺いします。

 次に、外国人区民に対する荒川区の事業や施策について伺います。

 先程、公明党の保坂幹事長が特別永住者に対する給付金について質問されましたが、こうした区の施策に対して事実に反する記事が区民に流布されました。日本人区民の外国人区民に対するいわれなき反感を煽るのが狙いでしょうか。この団体には、この議場にいる議員も顧問として名を連ねていますが、自身の関係団体が行政の施策について事実に反する記事を流布したことについて、議員として責任をお取りになる必要があると思います。多くの区民から議員としての責任を問う声があることも申し上げておきます。  私からは、朝鮮学校の保護者に対する補助金を支出する根拠について伺います。荒川区の事務事業分析シートの「外国人学校保護者補助」の項には、「外国人学校の授業料は、国公立小中学校が無料であることに比べかなり高額であり、保護者の負担が大きいため、負担の軽減が求められている。また、外国人であっても日本人と同様に納税しており、反対給付を受ける権利があることから考えて、初等教育については、過度な負担とならないよう一定の配慮が必要」と記載されています。
 念のため、日本の公私立学校との補助金、学費について調査しました。日本の公私立学校への公費負担と補助金は、外国人学校への補助金をはるかに上回っており、従って朝鮮学校の保護者の負担が日本人より重いことは明らかでした。チラシの記載は事実無根、そのような無認識でよろしいか、自らの事業に対する区の認識を伺います。誤った認識が区民に流布されたことへの対抗措置はどうしますか?事実を区報に掲載して誤った認識を否定するなどの措置を取りますか。今後の対処を伺います。
 最後に。現在、荒川区東日暮里3丁目の東京朝鮮第一幼初中学校で、子どもたちの安全のため、耐震基準をクリアした校舎への建て替え工事がすすんでいます。東京都は、この建設資金に対する5分の4の補助金を支出します。荒川区はこの朝鮮学校建て替えについてどのような関わりをもっているのでしょうか、伺います。

 去る、5月17日、国連社会権委員会は日本政府に対し、朝鮮高校にも無償化を適用するよう勧告しました。もし、外国に暮らす私たち日本人の子どもたちの民族教育が妨げられたらどうしますか?黙っていますか?どの民族にも等しく自分の民族の言語や文化を学ぶ権利があり、各国政府はどんな理由であれ、それを侵害してはならないというのが国際規約です。そうしなければ、戦争や紛争が絶えない中で、世界中のあらゆる民族の言語が、文化が、尊厳が守れないからです。
 オリンピック開催が決まった東京も日本政府もいずれこうした勧告を受け入れざるを得なくなるでしょう。以上で私の第一回目の質問を終わります。

▼北川総務企画部長 答弁

 区民等による区の施策に関する情報発信についてお答えいたします。
 表現の自由は、憲法で保障されている権利であり、最大限尊重しなくてはならないものであります。しかしながら、ご質問の件につきましては、先ほど保坂議員のご質問に答弁いたしましたとおり、ビラ等により発信された情報に誤った内容が含まれていただけでなく、誹謗中傷ととれる表現もあり、極めて遺憾であります。このように、事実と異なる情報を、特定の意図をもって発信されることは、区民との信頼関係を大きく損なうことにつながるため、必要と判断した場合には、訂正を求めるなど、毅然とした態度で臨んでまいります。

▼高岡区民生活部長 答弁

 朝鮮学校建て替えに関するご質問にお答えいたします。
 区では、切迫性が指摘される首都直下地震に備え、本年三月に区内三十七の小中学校等を地元町会の意向を踏まえ、一次避難所として指定いたしました。併せて、ふれあい館やひろば館を二次避難所、高齢者施設や障がい者施設を福祉避難所、荒川総合スポーツセンターや町屋文化センターなどをその他の避難所として、それぞれ指定したところでございます。朝鮮学校の新築校舎につきましても、地元町会の意向を聴いたうえで、区と学校側との間で協定を締結し、地域住民や帰宅困難者の避難所など地域防災の活動拠点として、活用する方向で検討してまいります。区といたしましては、今後とも防災対策の拡充に努め、区民の安全安心を一層図ってまいる所存であります。

●斉藤ゆうこ 再質問

 ここに1994年(平成6年)参議院外務委員会の会議録があります。先頃亡くなった清水澄子参議院議員が、戦時中の中国人強制連行について外務省が作成した資料が保管されていたことを示し、当時の柿沢弘治外務大臣に事実の確認と認識を質したものです。
 川島事務次官は「昭和18年4月から20年5月までに合計3万8千935名が移入され、疾病・伝染病等による死亡者は6830名で移入総数の17.5%にあたる。ちなみに21年2月末現在の残留者は188名」と答弁し、中国人の移入には行政供出、訓練生供出、自由募集、特別供出の四つの方法があるが、行政供出とは「行政命令に基づく割当に応じ、都市郷村より半強制的に供出せしめたるもの」との記述を紹介しています。
 これについて柿沢外務大臣は、「こうした記述に基づきますと、やはり半強制的であったという事実は否定できないものと思っております」と答弁し、「今後は、政府としては、このような認識を広く国民の間で共有するとともに、後世に伝えていくことが重要であると考えております」として外交資料館等での一般公開を約束しています。さらに「国民、企業も含めて客観的事実を認識するという点では、政府としてそうした方向を奨励するよう努力していきたい」と重ねて述べています。
 事実を確認しつつ示された、このような国会での歴史認識を否定し、覆すことが、特段日本の国益を利するとは思えません。昨日の新聞報道では、戦時中に日本各地の企業に動員され、働いた朝鮮人の未払い賃金の通帳数万冊が福岡貯金事務センターに保管されているとのこと。こうした問題を隠してもはじまりません。「歴史を直視し、真実を認める勇気が必要だ」とは後藤田正晴元副総理の言葉ですが、こうした日本の保守政治家の矜持は日本の独立とアジア諸国との共生にとって極めて大事であると思います。
 歴史認識のブレを正し、中国、韓国、朝鮮を敵視することが愛国者であるかの如き単純な思考や排外主義を排除していかなければ、地域の繁栄と発展もまた描けないことは自明です。西川区長は昨今の歴史認識をめぐるブレについてどのようにご覧になっているのでしょうか。お伺いします。

▼高岡区民生活部長 答弁

 歴史認識については国の問題 首長としては答弁できない。区といたしましては、国家間の動向に左右されることなく、今後とも引き続き、外国住民の方々に対する支援と相互理解を促進し、多文化共生社会の実現に取り組んでまいります。