斉藤ゆうこのあらかわ日和

●「尖閣諸島沖における中国漁船衝突事件に関する意見書」 賛成討論●
2010年10月13日  あらかわ元気クラブ 斉藤ゆうこ

 私は「あらかわ元気クラブ」として、議員提案議案第17号「尖閣諸島沖における中国漁船衝突事件に関する意見書」の提出に賛成の討論を致します。少数会派である、あらかわ元気クラブは、意見書の作成過程に参加することが出来ず、意見書の文言や内容について意見を加える子とが出来ませんので、あえて提出者にはならず、この討論で会派としての意見を述べさせていただき、意見書提出に賛成を致します。

尖閣諸島沖における中国漁船衝突事件

 尖閣諸島が日本領であることは明白です。わが国は1895年、10年余りの調査を経て尖閣諸島の領有を宣言しました。この手続きは国際法における「先占原則」に沿ったもので、当時の中国・清朝も含め、国際社会からの異議は何らありませんでした。第2次大戦後、尖閣諸島は沖縄県の一部として米軍の施政下に置かれ、1972年に日本に返還されています。
ところが、国連は1968年、同諸島海域に原油が埋蔵されている可能性を報告しました。すると、中国と台湾は1971年、突如として尖閣諸島の「領有権」を主張し始めました。中国は「同諸島が中国側の大陸棚に接続している」「中国のではなく古文書に尖閣諸島に関する記述がある」の二つを領有の理由にしていますが、「後付け」でしかありません。資源が欲しいから領有を宣言するとは何とも強欲な話です。1972年の日中首脳会談で、当時の中国の周恩来首相が田中首相に対して「石油が出るからこれが問題になった」と述べている通りです。
それ以前、中国は日本による領有やアメリカの施政にも何の異議も唱えませんでした。中国側の資料にも日本領であることが記されていることは明白な事実です。

 しかし、尖閣諸島の領有を主張する中国は、かつてない強さで今回の事態に反発し、理不尽な報復措置を行いました。東シナ海のガス田開発をめぐる交渉など、閣僚級の交流はすべて停止され、両国首脳が合意した「日本青年上海万博訪問団」の受け入れまでもが延期されました。民間の交流や経済活動も影響を受けました。ゼネコン社員が身柄を拘束され、資源・レアアースの対日輸出が止まるという事態も起きました。さらに中国は、日本との間で北方領土問題を抱えるロシアと連携し、事実上日本を対象とする「第2次大戦終結65周年を記念する共同声明」するという挙に出ました。

 中国側ここまで強硬な態度を取っているのはなぜでしょうか。1972年の日中共同声明で日中両国が国交を回復した際、尖閣諸島は問題になりませんでした。1978年の日中平和友好条約の際も同様で、主要に問題になったのは台湾の地位でした。平和友好条約の批准文書交換のために来日し当時の登小平・中国共産党副主席は、日中両国が尖閣諸島問題を「一時棚上げ」し、「解決を将来の世代に委ねるべき」と述べました。当時、中国は「改革開放」路線に踏み切る前後で、今とは比べものにならない小国でした。中国としては。「棚上げ」で時間を稼ぎ、「国力がつけば解決」、つまり領有できるという長期戦略だったのでしょう。 今日の中国の理屈は、この「棚上げ」論をタテに「平和友好条約に反する」というものですが、「棚上げ」に我が国が同意した訳ではなく、両国間のいかなる条約・協定にもそのような合意はありません。登小平氏や中国政府の意見がとうであれ、尖閣諸島が我が国固有の領土であることと関わりはありません。今回の対日対応で中国政府はいくらかのものを得たかもしれませんが、国際的な信頼など失ったものも多いと思われ、その先行きは平坦ではありません。

 さて、今回のような対応の責任は、これまでの歴代政府にもあります。台湾漁船が接近したり、中国人活動家が上陸するなどの問題が起きても、日本政府は「領海侵犯」「不法入国」などで処罰することはなく、常に「穏便な解決」を図ってきました。靖国神社への参拝で対中関係を悪化させた小泉政権でさえ、尖閣諸島に不法に上陸した中国人を逮捕せず、「国外退去処分」としただけでした。「我が国固有の領土」と言いつつ、当然あるべき実効支配を強める措置も取って来ませんでした。今回の事件でさえ、逮捕理由は「領海侵犯」ではなく「公務執行妨害」でした。

 このような態度は、尖閣諸島をめぐる「領土問題が存在する」こと、つまり中国と「係争中」であるということを暗に認めるようなものであり、中国に付け込まれる余地を自ら作り出していたのであります。中国との経済関係による利益欲しさに、戦略もなく、民族の利益の根幹に関わる領土の問題をあいまいにしてきた歴代政府の責任は厳しく問われなければなりません。

 さらに、今回の事件で日本は対米従属の中国包囲網に加わっています。事件を口実に、菅政権はアメリカの利益のための世界戦略に追随し、中国への包囲・牽制に加担を強めています。年内にも予定される「防衛計画大綱」の改定で、これまで以上にアメリカのお先棒を担ぐ役割を買って出ようとしています。そのアメリカは衰退を早めています。オバマ政権は「輸出倍増計画」を掲げてアジア市場により参入することで、経済危機の打開を図ろうとしています。1995年の「東アジア戦略」以来一貫したものですが、アジアでの権益確保のためにも、アメリカは米軍のプレゼンスを維持しようと画策しているのです。

 菅政権は、クリントン国務長官に「日米安保は尖閣諸島に及ぶ」と言われて有頂天になっています。しかし、アメリカは日本が尖閣諸島を実効支配していることは認めても、領有権が日中どちらにあるかについては中立の態度を取っています。日中間に火種が残ることはアメリカにとって好都合で利益になるからです。アメリカ自身も国債購入などで中国の助けなしには生きて行けないし、また中国残る巨大市場で儲けたいのが本心です。全てはアメリカの国益からの判断ということです。 アメリカの力に頼って中国に対抗しよう、などという奴隷根性では、激変する国際社会で生きてゆけません。他国と対等に渡り合おうとすれば、まず自らが自立しなければなりません。第一、アメリカが日本の国益を一貫して擁護するでしょうか。

 このようなことから、私は「政府として一貫した戦略ある自主外交をすすめること」を意見としてつけ加え、アメリカ頼みの安全保障や外交では国を守ることはできない、ということを申し上げておきたいと思います。

 さらに、今回の問題で、私は沖縄県議会と石垣市議会の決議と意見書を入手しました。
沖縄県議会の抗議決議には、「尖閣諸島は石垣市に属する我が国固有の領土および本県の行政区域であることは疑問の余地がないところである。今後、中国が尖閣諸島および周辺海域の領有権を強硬に主張し、中国漁船が尖閣諸島周辺海域で操業することが予測されるが、そうなった場合、本県及び我が国漁船と中国漁船との間で操業をめぐってのトラブルが発生したり、衝突事件が再発するなど、安全な航行が阻害されることが懸念され、県民は不安を感じている」とし、「よって、本県議会は、県民および国民の生命、安全および領土・領海を守る立場から、今回の政府の措置に抗議するとともに、下記の事項が速やかに実現されるよう強く要請する」とあり、「尖閣諸島周辺海域において、本県および我が国の漁業者が自由かつ安全に操業・航行できるよう適切な措置を講じること」を求めています。さらに「中国政府に対し、今回の事件に強く抗議するとともに、日中両国政府は冷静な外交を通じ、再発防止策を講じること」として、再発防止と冷静な外交による解決を求めています。

 石垣市議会の意見書はこのようになっています。「尖閣諸島は、日本政府が明治28年に沖縄県への所轄決定をして以来、かつお節工場を操業し、漁業や林業を営んだ。また、大正8年、魚釣島付近で遭難した中国福建省漁民31人が豊川善佐氏らによって救助され、翌大正9年9月20日、中華民国長崎領事の感謝状には、遭難した場所を『日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島』と記されており、中国の外交文書にも日本領土と明記されている。現に地籍も、『沖縄県石垣市字登野城(とのしろ)2390番地~2394番地』にあることは紛れもない事実である」「しかしながら、当該周辺海域においては、今年8月中旬に一日に最大で270隻の中国漁船が確認され、そのうち日本の領海内に70隻程度が侵入している。本市・本県の漁業者はもとより、我が国の漁業者が安心して操業できないという極めて憂慮すべき看過できない事態となっている」と、安全な操業に対する深刻な危機感が示されています。そして、他の項目は荒川区議会と同じですが、それに加えて「中国政府に再発防止策を求めること」と「本市・本県をはじめとする我が国の漁業者が同諸島海域において、安心して操業できるよう、適切な措置を取ること」を求めています。

 私は当該地域の地方自治体議会が切実に求めるこれらの問題ついて、同じ地方自治体議会として心を寄せ、「政府は近隣住民の安全と経済的利益を守るために全力を尽くすべきである」ことを意見として申し上げておきたいと思います。

 最後になりますが、東アジアに友好都市を持つ我が荒川区は、このような事態の中で地方自治体としての態度を問われることになります。中国とは、大連市中山区との友好交流を続けて来ました。国に対しては、アメリカに追随しない自主外交で中国と対応することを求めると同時に、このような時こそ、地方自治体として自主性を持ちつつ、相互理解に努力することが大切であるということも申し添えておきます。

 以上、申し上げて、あらかわ元気クラブの賛成討論と致します。