河内ひとみのあらかわ日和

2020年11月4日 2020年6月5日

2020年2月17日 本会議 一般質問
 あらかわ元気クラブの河内ひとみです。よろしくお願いいたします。
 看護師として、無料健康相談にも携(たずさ)わっていますが、今年の1月に入り新型コロナウイルスに関する相談が圧倒的に増えてきました。予防策や発症時の連絡先などを伝えています。区も対策本部を設置しましたが、その周知が遅く、ホームページを見られない区民にどう知らせるの課題が残りました。しかし一方影響を受けた中小企業への支援対策は大事ですのでしっかりと支援していただきたいと思います。
 さて、本題に入ります。
 一昨年は、障害者の雇用水増しが問題になりました。内閣府や総務省、国土交通省など国の機関全体の約8割に当たる27の機関で水増しが発覚し、雇用率は公表の2.49%から1.19%に修正され、厚労相が謝罪会見をしました。荒川区の障害者雇用の状況については区の常勤の職員総数1618名中、令和元年6月1日時点で、障害者総数49人・雇用率2.83%と基準(2.5%)をクリアしていると聞いておりますが、今後退職補充等人口減少によって何らかの影響があるかもしれませんが、引き続き雇用の確保をお願いしたいと思います。
 また、昨年の消費税増税によって個人消費は落ち込み、すでに景気の後退が指摘されています。そもそも政府は、消費税は社会保障のための財源と説明してきました。しかし、実際はそうでないことがさらにハッキリしました。5%から8%へ上げた時の増収分14兆円の半分以上の7.3兆円は国の借金の返済。今回の増収分5.6兆円の半分の2.8兆円は、これまた国の借金返済に充てられます。いったい、消費税のどこが福祉目的なのでしょうか。これでは、体のいい借金返済のための財源です。
 一方、アベノミクスによる大企業への優遇税制によって企業の内部留保は、2019年には446兆円にもなりました。その大部分は資本金10億円以上の大企業のものです。優遇税制で税収が減った分を借金でまかない、その借金を消費税によって補填するというのでは、将来、消費税率がどこまで上がるのか、たまったものではありません。
 このような消費税の使われ方の中で、介護・福祉を担っている事業者は苦境に立っています。昨年の介護保険事業所の負債1000万円以上の倒産が全国で111件と過去最大になりました。それ以下の負債での倒産・休廃業を加えるとさらに多くなります。また、2017年の数字ですが、東京商工リサーチによると、障害者就労継続事業所などの倒産件数は全国で23件、休廃業や解散などで事業を停止した件数は39件、負債総額20億 2400万円となっています。この事実はこれら事業所の置かれている環境の厳しさを物語っています。
 介護の現場では介護労働者の不足がさらに深刻なものとなっており、5年後の2025年には34万人近く介護労働者が不足するといわれています。総合事業ではボランティアや無資格者に頼らざるをえなくなり、それが常態化しつつある事業所さえあります。こうしたことは利用者へのサービスの質の低下につながり、ただですら劣悪な介護労働者の労働条件のさらなる低下に拍車をかけることになります。これではますます人は集まりません。
 また、低単価の報酬では、訪問、通所介護系では撤退する事業所が予想され、ボランティアも担い手不足で総合事業が十分機能せず、高齢化によって要支援・要介護認定者が増える要因もあり、必要な介護が保障されない要介護者及び障害者が急増する状況が迫りつつあります。
 介護保険と障害者総合支援法とは、給付金方式と直接契約という点で共通した利用の仕組みをとっています。そして従来の高齢者・障害者の措置制度から給付金方式に移行した結果、区市町村が介護保険事業所・障害者事業所をいわば民営化したことによって行政の役割とは何なのかと問われかねない事態となってきました。こうした公的責任が後退のなか、介護保険料の値上げやサービス料金の自己負担増が繰り返され、さらに後期高齢者の保険料のかさ上げ、と多くの高齢者が悲鳴を上げています。そして様々な理由を付けての制度変更によって徹底した介護保険の給付抑制が進められています。介護保険は公的な制度として保険料を徴収しておきながら、今やお金が無ければ十分なサービスを受けられない制度となってきました。さらに厚労省は応益負担化を徹底し、障害者総合支援法と介護保険法の統合に踏み切るのではないかと推測します。

■就労支援に通う障害者の高齢化問題について
 全国の国保連の報告では就労継続支援A型B型ともに、40歳以上の年齢階層が年々増加してきています。荒川区においても、区が就労継続支援B型のサービス決定を行っている方で見た場合、平均年齢は46歳に上がってきております。
 先日、区内の就労継続支援B型の民間事業所を見学してきました。定員40名のところ1.5倍の60名の利用者さんがいました。この法人は昭和31年知的障害者の保護者の有志が中心となって設立したそうです。給与は月平均工賃1万4900円ということです。グループホームの運営も実施され、夜勤体制男女別のため手厚い2名体制をとっています。最高年齢は72歳の方が利用しているそうです。この事業所の利用者の背景として、一人暮らしは現在9~10名、一人で通所が基本ですが、保護者の方に介助されて連れてきてもらっている利用者がいます。しかし保護者の高齢化や病気を抱えている状況のなか、通所のための送迎ができないという問題が出てきました。
 区内の障害者の福祉作業所は、就労継続支援A型が3か所、就労継続支援B型が12か所の計15か所あります。就労支援に通っている障害者の方の、送迎問題についてお聞きします。自力通所していた方が加齢に伴う日常生活動作の低下や、家族介護者が病気や高齢化によって送迎介助できなくなったという困難な状況が始まっています。
 障害者が生きがいをもって生活するための支援が必要です。区では通えなくなった障害者に今までどのように対応していたのか、また、今後同じような理由で通えなくなる方が増えていった場合どうするのか、送迎体制を含めた継続支援についてお答えください。
 さて、全国の地域福祉集会での報告は、就労継続支援B型の基本報酬が「平均工賃額に応じた評価」に変更となったために経営が厳しくなったという内容でした。取り扱う業者からの注文の内容や、出荷数の変更や自然災害からの影響が大きくかかわり工賃が減収するということです。送迎加算も減額改定となり、送迎を必要とする対象者や事業所経営への負担もあります。荒川区として、障害者の就労支援の現状を知るために実態調査も併せて検討が必要と考えますが、答弁をお願いします。

【答弁 福祉部長】

 障がい者及び家族の高齢化に伴う福祉作業所の送迎体制に関するご質問にお答えいたします。
 障がいのある方が就労を希望された場合、特別支援学校等在校生については、学校や区を中心とした関係機関が連携し、また、学校卒業後地域で就労を希望される方については、じょぶ・あらかわやハローワークを中心とした関係機関が連携して、ご本人の健康状態や適性などを総合的に勘案した助言を行いながら、ご本人に就労場所の選択をしていただいております。その就労場所につきましては、一般就労と、障がいにより一般就労が困難な方が、知識の習得や能力向上のための必要な訓練を受けながら働く福祉的就労の大きく分けて二つの枠組みがあります。
 福祉的就労には、障害福祉サービスとして、雇用契約に基づき、給料を得ながら利用する就労継続支援A型と、通所して授産的な活動を行い、工賃を得ながら利用する就労継続支援B型がございます。
 現在区には、就労継続支援A型事業所が3か所、就労継続支援事業所B型事業所が12か所あり、これらの事業所がいわゆる「福祉作業所」でございますが、どちらの事業もご自身で通所し、作業が行えることを一般的に想定した就労となっている為、車両送迎を行っている事業所はございません。また、近隣区においても車両送迎を行っているという事業所の情報も現在のところ把握しておりません。
 現状では自力での通所が原則と考えておりますが、区立施設をはじめとした区内福祉作業所におけるご利用者の高齢化に伴い生じる生活所の困難は、障がいの重度化とともに、障がい福祉分野における重要な課題と認識しております。
 区といたしましては、今後の対応について、他区の状況等も注視しつつ、検討してまいります。

■西日暮里駅前開発より優先すべきは区民の生活と、災害に強い町づくり
 次に西日暮里駅前再開発と災害に強い町づくりについて質問します。  
 30年以内に発生確率70%といわれる「首都直下型地震」。それは明日かも知れないし、一年後かも知れません。30年後という話ではありません。しかし、そんなことはどこ吹く風とばかりに進められているのが超高層建築物を中心とする再開発です。そして、その一つが西日暮里駅前再開発です。その計画にある高さ180メートルの建築物は10階から47階に1000戸の住宅があるタワーマンションそのものです。タワーマンションの災害リスクは東日本大震災の際に、高層ビルが長時間大きく揺れる映像が放映されたことなどから震災リスクとして長周期地震動が注目され、さらに昨年の台風19号では、武蔵小杉のマンション で水害リスクまでも明らかになりました。浸水で地下の電気系統が壊れ、エレベーターや水道が停止しました。ここも同じ47階建てです。災害は震災や水害ばかりとは限りません。大地震の場合、エレベーターが止まり、停電になり、それが長引くことは、これまでの震災の教訓から容易に想像できますが、火災も心配です。果たしてスプリンクラーで対応出来るのでしょうか。現在、日本のはしご車 は高さ最大54メートル・18階まで、届く水の高さもプラス60メートル位です。とても最上階まで水は届きません。しかもそのはしご車すら東京にはありません。もちろん荒川区もです。こうしたことを考えると、180メートルのタワーマンションが果たして必要なのでしょうか。大地震や火災に対してどう想定しているのか疑問のあるところです。
 そこで質問の一つは、タワーマンション建設計画では地震・火災などに対してどのような対策を考えているのか、また、区はどう認識しているのでしょうか。
 二つ目は、再開発の対象地域には「私たちの場所は除外してくれ」という陳情があります。今後、この人たちにどう対応していくのでしょうか、無視してでも進めるのか対象から外していくのか、それをお聞かせください。
 再開発で町が生まれ変わることは悪いことではありませんが「災害に強い町づくり」 が第一であって、高層化が一番ではありません。これまで荒川区は密集住宅地整備促進事業や防災計画を立ててきました。しかし、東日本大震災以後の各地の地震や水害、昨年の台風による災害を考えると、まだまだ十分とはいえませんし、その備えは急務と思います。東京都が公表した地震危険度ランキング100位の中に1位の町屋4丁目をはじめ14地域が入っている荒川区ならなおさらです。また、最近は被災者への対応として、避難所生活での質と仮設住宅建設の用地確保の困難さが指摘されています。
 そこで三番目の質問です。再開発の対象地域には、区内でも貴重な空き地となりうる道灌山中学校跡地があり、その土地は、災害時の仮設住宅の用地や建築資材の置き場として活用することが、西日暮里駅周辺における災害対策として有効であると考えますが、区のお考えをお聞かせください。

【答弁 再開発担当部長】

ご質問の震災を含めた災害対策につきましては、発災時の再開発ビルの自立性に関する備えとして長周期地震動対策を含めた建物の耐震性能の確保を始め、住宅部分の備蓄倉庫の各階への設置、水害への備えとして電気室及び自家発電機室の上階への設置、約72時間以上稼働に必要な自家発電燃料の備蓄といった対策を準備組合において検討しております。
 また併せて地域防災の一端を担うべく、一時避難スペースや帰宅困難者の受けいれ対策、 防災用品の備蓄倉庫や、百トン規模の防火水槽の設置などを計画しております。
 さらに今後は水害時に置ける周辺住民の避難につきましても、準備組合と協議してまいります。
 火災対策につきましてはスプリンクラーをはじめ、地上から消防自動車により消火用水を送る連結送水設備、非常用エレバーター、防災センター、ヘリコプターのホバリングスペースの設置など、法令等に従って十分な安全性が確保される予定となっております。
 次に地権者から同意を得られない際の再開発区域に関するご質問にお答えします。
 西日暮里駅前地区では平成31年3月準備組合都市計画決定に向けた事業推進について8割以上の賛同を得たとして区に対し都市改革に関する手続きの開始を依頼されたところでございます。
 これを受け、区では都市計画原案の作成を行い、説明会等の手続きを進めてまいりました。その過程で一部の地権者等から反対意見や手続きの問題点が提起された為、現在準備組合において地権者に対し丁寧な説明を事業推進に関する意向の再確認を行っております。そのため都市計画には想定よりも時間を要するものと認識しており、現在スケジュールを見直ししているところでございます。
 区では西日暮里駅周辺の地域のまちづくりには現在検討を行っている区域での事業化が重要であると考えており、一部地域を除外しての施行は考えておりません。
 仮設住宅道灌山中学校跡地への建設につきましては想定しておりません。尚、災害救助法が適用された際に応急仮設住宅建設につきましては東京都が行うこととなっております。
 区としては再開発事業の駅前にふさわしい複合市街地を形成し、基盤の整備と賑わいを創出することは、西日暮里地域にとって重要であると考えておりこれを推進すべく引き続き準備組合と連携し早期の事業化に向けて取り組んでまいります。

■日暮里駅前開発は成功したのか?しっかり検証すべき!
 次に最後の質問になります。駅前再開発は町屋駅、日暮里駅、南千住、三河島駅が行われました。
 特に日暮里駅前再開発では、かつての名物の駄菓子問屋街がなくなり、ビルの中の一軒だけとなってしまい、「残念だ」という声をよく聞きます。また、初めて駅前ビルを訪れた人からは「飲食店はあるけれど魅力的な店があまりない」「閑散とした感じ」とも言われます。
 私は、再開発が失敗したということではなく、再開発後の具体的な検証の必要性とまだ手当するべきこともあるのではないかと感じますので、日暮里駅前再開発に対する評価、活性化への課題を区としてどのように考えているのかを伺いたいと思います。

【答弁 経済産業部長】

日暮里駅前の商店街を含めた活性化に関するご質問にお答えいたします。
 区では、日暮里・舎人ライナーの整備を契機として、市街地再開発事業と連携し、日暮里駅前広場の整備と、駅周辺の回遊性を高めるために駅と再開発ビルをつないだペデストリアンデッキの整備を行いました。この結果、区内でも貴重な駅前でのにぎわい創出が可能となるイベント広場や、車道と歩道の分離により休憩できるデッキスペースが生み出されております。
 現在、イベント広場では、地元商店街が独自に「にっぽりマルシェ」を毎月開催し、すでに実施回数が百回を超えたと伺っております。
 加えて、「にっぽりフレンドリーマーケット」も毎月開催されている上、炭坑節まつりや日暮里道灌まつりなどの多くの人が集まるイベントも開催されており、一定の賑わいが創出されているものと認識しております。
 また、区が鉄道事業者、バス事業者、道路管理者等に働きかけ、日暮里駅周辺における案内サインの一貫性、統一性を図る取り組みを実施しており、来訪者への利便性を考えた街並みが形成されつつあると考えております。
 さらに、本年2月には増加している観光客の渡航をより快適なものとするため、日暮里駅構内にある日暮里観光案内所及び日暮里繊維街の入り口付近にフリーWi-Fiを導入しております。そのほか、本年12月には、日暮里繊維街のほぼ中央に、地域の活性化や創業者への支援、外国人観光客への観光案内を目的とした日暮里地域活性化施設を開設いたします。本施設では、来館者が休憩や飲食ができるおもてなしスペース、日暮里繊維街の素材でワークショップが体験できる創作コーナーや工房スペース、英語での観光案内を行うコンシェルジュ、フリーWi-Fiを設置いたします。
 これらの施策により、日暮里地域に国内外の観光客を増加させ、日暮里駅前を含めた地域全体が、新たな魅力を発信していく街へ変化するものと期待しております。
 区といたしましては、地元商店街が開催するイベント等を引き続き支援し、魅力ある個店づくりに向けた店舗改修等の様々な個店支援メニューを用意するとともに、関係部署とより一層連携を図りながら、ハードとソフト両方の視点で日暮里駅前の活性化に繋がるよう支援してまいります。