河内ひとみのあらかわ日和

2017年9月13日 2015年11月2日
消費税8%は区内の中小事業者の廃業の引き金になった。これまで進めてきた区の業務の民間移行を適切に見直す時期だ
 平成27年10月15日、あらかわ元気クラブ斉藤ゆうこは、平成26年度荒川区一般会計決算について反対討論を行いました。

■荒川区一般会計決算/反対討論

 私は、あらかわ元気クラブとして、平成26年度荒川区一般会計決算に反対の討論をいたします。

 あらかわ元気クラブは、この予算について以下の理由で反対しました。
 ・第一に、消費税8パーセントを歳入歳出に含む予算であること、消費税法によって、赤字でも
  いや応なく8パーセントの納税義務を負わされる区内事業者の悲痛な叫びに対して、根本的な
  対策をとることなく、そのことを肯定してこの予算を認めることはできないという点。
 ・第二番目に、荒川2二丁目複合施設のあり方に反対であり、25億の予算計上は認められない
  こと。
 ・そして第三番目に、タブレットPCの全校配布に8億円を計上しており、これに反対である
  こと。

 過ぎた一年の予算執行を経て、区民経済の推移、また区民生活の必要性から見て、決算の認定に当たり、あらかわ元気クラブは改めて予算に反対したと同様の理由で認定に反対するものです。

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 消費税を5%から8%に引き上げることに伴い、歳入では、国からの地方消費税交付金が5億6847万円増、歳出では、契約金額や物品購入が約6億1000万円増との試算で、荒川区の収支は差し引き5000万円ほどのマイナスでした。
 景気回復の実感がない中で、当時、荒川区内の中小事業者は、消費増税は事業の存続にかかわる問題だと大変な危機感を持っていました。消費税は消費者が負担する税金ではなく、法律上の納税義務者は事業者です。赤字でも年に一度納税しなければならないこの税を増税することで、どれほど荒川区内の中小事業者が苦境に陥るのか。平成17年度に免税点が年商3000万円から1000万円に引き下げられて以降は、区内の小規模な事業者も納税義務を負うことになり、それがまた廃業の引き金となりましたが、今年3月末、商店街のそこここに「3月一杯で閉店します」との貼り紙が見受けられたのは、4月に初めての8%での納税を控えてのことでした。
 明らかな輸出補助金政策である消費税の輸出還付金。その税率が上がれば輸出大企業が得る還付金も上がります。5%で3兆円なら10%で6兆円、20%なら12兆円です。荒川区の小さな事業者が存亡の危機に陥るというこの税率アップの一方で、輸出大企業が還付金を増額して潤うというのは、全く不公平だ、と機会をとらえて問題提起してきましたが、再来年4月の10%へのさらなる税率アップを控えた現時点でも、本質的な対策の手は打たれていません。この際、アベノミクスの恩恵のない中小事業者を多く抱える荒川区として、免税制度、簡易課税の復活、国家財政が赤字だというならば、輸出のゼロ税率を廃止するなどの根本的対策を国に求めることを強く要望します。
 荒川2丁目複合施設の建設がこの一年すすみました。老朽化した荒川図書館の建て替えが最初の動機であったものの、メッキ工場の全面取得、隣地の工場の購入、次第に計画が膨れ上がって複合施設となった経過は今でも納得できません。
 私は吉村昭文学館は、出身地である日暮里につくるべきで、何の縁もゆかりもない荒川2丁目に複合化することには反対だと言う意見を変えていません。子育て支援施設ではなく、この地域の区立保育園、峡田幼稚園を廃園にしてしまったことを踏まえ、この地に全体として不足している幼稚園を設置すべきではないかと提案しましたが、全く聞いていただけずに、工事がすすめられ、大変残念という以外にありません。財政上も大きな負担であり、この施設が後世に不要不急の箱物施設だったというそしりを受けない保障はありません。
 タブレットPCについても同様で、重複リースの問題を含め、全校配布は荒川区が率先して行うべき事業ではなかったと考えます。タブレットPC学習の弊害も必ずあらわれるものと思うと、極めて残念であることを、決算の認定にあたり改めて申し上げます。
 さらに、決算委員会の中で質疑された幾つかの点について意見を述べたいと思います。

■第一に再開発事業について
 「投資目的の地方在住オーナーや外国人オーナーが住戸を購入しているのではないか」という私の質問に対し、『三河島南では327戸のうち日本人世帯が264世帯、外国人世帯が26世帯、複合世帯が21世帯で、住民登録がなされているので必ずしも投資目的とは言えない』との答弁がありました。
 しかし、全体の5%にあたる残りの16戸については不明です。今後も巨額の補助金が投資目的に使われたということのないよう、対策を要望します。また、「権利変換による超高層住宅の販売」という従来通りの再開発ありき、ではなく、西日暮里では、ぜひとも転換をして頂きたいと強く要望します。

■第二に、この予算の執行において、グループホーム等各種の障害者施設、子どもの居場所づくり施設、認証保育所など、民間の力をお借りして地域で展開する事業への支援は不充分なものであった、という点です。
 民間事業者は行政の下請けではありません。都合の良い時だけ使おう、というのではダメです。今後は予算の拡充と充分な支援を求めます。

■第三に、ふれあい館、日暮里区民事務所建て替えの地域活性化施設については、ぜひとも未建設の東尾久本町通りを予定地とするふれあい館の整備を急いでいただきたい。日暮里の活性化施設については、繊維街を特徴とするこの地域の将来に寄与する悔いのない施設にしていただきたい、と要望します。

■第四に、この間の行政の仕事の民間への移行について、適切な見直しを求めたいと思います。
 決算委員会の質疑では「民間委託先、指定管理先の賃金にも関心を持つ必要がある。年収250万でWワーク=複合就労しないと食べていけない現状で、果たして責任ある区民サービスを全面的に任せられるのか。また、災害時の対応が地方自治体に問われるようになる中で、直営の職員の存在が見直されてきた、という環境の変化もある」と申し上げました。「区民サービスの向上に向け、よりよい運営体制について考えていく」と答弁されましたので、今後は様々な数字面の比較や積み上げをして適切な見直しを断行していただくことをお願いします。

 以上申し上げまして、私の決算認定に反対の討論といたします。

日暮里繊維街にて