斉藤ゆうこのあらかわ日和

区民が抱える問題に応えた予算の策定を

 平成27年3月13日、荒川元気クラブ斉藤ゆうこは、議案第90号「平成27年度荒川区一般会計予算」に反対の討論をしました。

■平成27年度荒川区一般会計予算 反対討論

 私は、あらかわ元気クラブとして、議案第90号「平成27年度荒川区一般会計予算」に反対の討論をいたします。
 西川区政は満10年を超えました。私は就任から11年目となる今回の予算に以下の理由で反対いたします。
 西川区政のこの6年間の普通建設事業費632億円中、再開発事業への補助金は実に172億円です。日暮里駅前再開発の3事業には133億が支出されました。その後も、ふれあい館建設などで普通建設事業費は200億近くふくらみました。
 1986年以来、歴代の区政が区内11ヶ所の再開発事業に投入してきた補助金は計308億円。ゼネコンは荒川区を舞台に利益を得ましたが、その陰で区民生活は豊かになったとは言えません。西川区政になってからもこの流れは変わっておらず、むしろ、100億円にのぼる土地購入と箱モノ建設に多くの区財政がつぎ込まれました。
 問題なのは、就任以来、この10年の間に区民を取り巻く経済環境や社会保障、税などの負担、子育てや教育の問題はより困難になり、さまざまな問題を抱えて困っている区民が目に見えて増えていることです。私たち議員への相談の中にも、問題の深刻化、複雑化が見えます。
 地域社会を支えてきた層の体力が弱まり、仕事があり、商売もあり、回っていた地域経済も回らなくなった、というのが、リーマンショックを含むこの10年ではないのか。
 こうした現状を直視し、これまで地域社会を支えてきた層が復活できるような底上げ支援、困っている区民や、その区民を助ける活動をする区民団体等に、大きく予算をさくことが、かつてなく必要になっている。
 にも関わらず、来年度予算にはそのような気配さえ見えません。これでは、将来に向けた荒川区の活力が戻るとは思えず、危機感をもって反対をいたします。

 予算に関連して、いくつかの事業について意見を申し上げたいと思います。

 まず着工した荒川2丁目複合施設について
 吉村昭文学館は、出身地である日暮里につくるべきで、縁もゆかりもない荒川2丁目に複合化することには反対であること、財源について、土地代金は国庫補助5,740万円に対して区の単費負担が15億7,000万円、建設費は一般財源に対する都区財調の裏付けが確定しておらず、この74億円を投入する箱モノが今後の荒川区にとって大きな財政負担となることが予想されることから、改めて荒川2丁目複合施設への反対を表明します。

次に大改正される介護保険の運用について
 今回の法改正で、年収280万円以上の利用者は9月から自己負担が2割となります。国は「要支援」の高齢者を保険制度から除外し、自治体が管轄する「地域包括ケアシステム」に移行すると決めましたが、各自治体では手を挙げる事業者が整わず前途は多難です。
 これに加え、介護報酬▲2.27%引下げで中小の事業所は利益が圧縮され、経営困難になることは火を見るより明らかです。
 処遇改善交付金は継続されても報酬引き下げで機能せず、介護労働者の流出は止まらないでしょう。
 まさに、介護崩壊です。
 「経済財政諮問会議」では「非効率な中小事業所は淘汰すべきだ。特養等の施設の7%利益率は高過ぎる」との発言が堂々とまかり通っています。このような考え方こそが介護保険制度の崩壊に輪をかける元凶です。
 こうした方向ですすめられる今回の改正には反対で、地域密着型サービスなる苦し紛れの対策を地方自治体に押し付ける事にも反対です。
 すでに介護保険制度は破綻しています。
 破綻した制度を維持しようとあがき、取り繕うのではなく、きっぱりと税でまかなう制度への転換を決断すべきです。

次に、隅田川永久水利について
 私も、訓練で傷にばい菌が入り、手が腫れ上がった尾久消防団の方から直接話を聞きました。汚れた隅田川の水による消火活動は不衛生極まりなく、災害後に感染症が発生する恐れが大です。また、発災時のすばやい稼働にも疑問が残ります。区の単費ですすめる隅田川永久水利事業には反対です。

 さらに、区内産業、中小商工業についてですが、その苦境は依然変わっていないと私は思います。経済環境や国の中小企業淘汰策は同じでも、自治体の政策いかんで衰退の度合いは違うことはすでに証明済みされています。荒川区の産業振興策は適切か? 効果は? 歯止めはかかったのか?…一般質問で問いましたが、中小企業支援センター設置による支援の強化、「滞在型商店街」を拠点となる商店街で実行することなど、かねてから元気クラブが提案した施策を急いで実行することを求めたいと思います。

 荒川区の子育て支援事業についてですが、
 元気クラブが会派として開催した、「荒川区の子育て支援事業に関する広聴会」では、母親がうつ病などの精神疾患になるケースが増えていること、保育園入所など相談を受け止める地域の体制づくりが切実に必要なこと、また「保活」という言葉があるくらいに保育園への入園競争が激化し、情報を持っている人と持っていない人の格差があり、ここで「勝敗」が決まる、と言われているのが現状だが、こんなことで良いのか…など生々しい地域の課題が出されました。
 区の子育て支援策は果たしてこうした現状に追いついているのか、かゆい所どころか痛い所に手が届いているのか…現行の施策の妥当性や助成金のあり方などに再検討が必要だと考えます。
 ひとり親家庭や貧困家庭への支援は待ったなしです。地域のきめ細かな子育て支援事業が急務ですが、いかんせん予算が少なすぎます。もっと現場に近づき、汗を流して支援に取り組んでいる区民団体と同じ視線に立ち、大きな規模の実際に使える予算を組んで支援すべきです。この点を強く申し上げます。

さいごに予算委員会にみる区政の問題点について申し上げたいと思います。
 まず第1に、宮の前・女子医大東医療センターについてですが、この移転は荒川区の地域医療にとって大問題です。足立区への都有地売却による誘致が進んでいたにも関わらず、区は手をこまねいていたと言われても仕方ないと思います。
 宮の前商店街や尾久地域の衰退につながらないような打開策が必要で、先日、区議会が反対表明したのを契機に、東京都に対し、足立区に都有地を売却しないよう要請することは今後を決する大事なポイントであると思います。
 一方、旭電化跡地も都有地ですが、予算委員会では「数百億円かけてダイオキシン汚染土の除去をしない限り、施設等の建設は未来永劫無理だ」との答弁がありました。では、都の東尾久浄化センター建設に対する地元還元施設の約束はホゴになるということなのでしょうか? 荒川区には汚染された都有地が残り、女子医大は足立区の都有地に移転?
これで黙っていては、東京都に対して弱腰とのそしりは免れません。荒川区と東京都の関係はどうなっているか。しっかりして頂きたいと思います。
 補助90号線を荒川1~7丁目の都電の線路脇拡幅で都が一方的な計画変更した件も同じことが言えます。計画変更を認めず、都に返上すると言いますが、特別区区長会会長がないがしろにされる事態とは何なのか、疑問を禁じざるを得ません。

 第2に、東尾久2丁目の外国人向け簡易宿所建設について
 荒川区は、旅館業法上は合法だが、建築基準法に違反する建築物に許可を出しました。予算委員会では、民主党の清水委員が「判断がつかない場合は許可を見送る、との国の通知があるのに、なぜ許可を出したのか」と追及しましたが、「出さなければ区が訴えられる」と担当部局は答弁しました。
 訴えられたら良いんじゃないですか?
 区民の迷惑に対応できないような行政では区民は幸福など実感できません。こうした判断を下す背景には、最近の許認可等の行政処分、行政指導をめぐる修正の動きがあります。今議会にも行政手続き条例の改正として自治体による行政指導の中止や処分の求めをつけ加える改正が出されていますが、これはTPPを意識した改正です。
 行政手続法や行政手続条例が、日米構造協議の結果作られ、トイザらスの日本進出に対して地域住民の反対を受けて行政である地方自治体、都道府県が抵抗したことに対するアメリカの内政干渉の産物であることを思い出して頂きたい。
 いままた、TPP協定を意識し、ISD条項による訴訟を避けるため、地方自治体が自らの権限を放棄していく流れになっています。こうした圧力の下で、まさに誰の利益を守るのかが地方自治体に問われています。「訴えられないようにすることを第一とする」荒川区では区民の利益を守ることはできません。この問題は今後の区政のあり方を示唆するものでした。
 狭小な規模の3階建て住宅が区内に激増していますが、建築基準法違反の業者に補助金を出していた町屋のケースもありました。
 不可解な区の許認可業務が目立って来ましたが、背景は何なのでしょうか? 乱開発に規制なしの街づくり行政は止めるべきです。

 第3に、荒川区は第7期計画で一般会計からの持ち出しによって介護保険料を引き下げました。すえおきではなく、23区で唯一引下げた動機は何なのでしょうか。「23区一高い保険料」と言われる状態を脱却したいのなら、その本質に迫る改善策を検討すべきで、結局、第8期に財政的なシワ寄せが来ることは目に見えているのではないでしょうか。

 第4に、危険な空家対策については、防災不燃化特区に指定された町屋・荒川地域のみに先行して撤去補助金を出すのではなく、撤去と活用を全域で思い切って展開すべきと思います。
 
 この10年、荒川区は大きく変貌し、地域の盛衰にも町ごとにちがいが出てきました。区民が抱える問題の中にも、さまざまな難しい事情が内在し、地域社会の複雑化を反映しています。来年度予算はこのような状況に応えたものとは言い難く、私は危機感をもって反対をいたします。