河内ひとみのあらかわ日和

2015年1月11日 2014年11月24日
斉藤ゆうこの区議会レポート 2013年11月第79号
アベノミクスで荒川区民は豊かになれるか。荒川区の震災対策は大丈夫か。

 今年もお酉様の季節になりました。皆さんいかがお過ごしでいらっしゃいますか。
 荒川区議会は10月に決算議会を終えました。3月の予算議会以来、3期目に入った西川区長の政策をめぐって、争点となる課題がいくつか見えてきました。今号の区議会レポートではその辺りをお伝えしていきます。2・3面をご覧ください。
 さて、リーマンショックから5年。危機は収まるどころか、日々のニュースは米政府のデフォルト問題、破綻すれすれの欧州財政危機、中国の『影の銀行』の存在といった出来事を伝えています。世界はかなりアブナイ綱渡り状態です。
 そんな中、安倍首相は『日米同盟強化』を掲げて沖縄を米軍に提供し、TPPで日本の国益を売り渡しながら、一方でアメリカの国力低下と緊迫する東アジア情勢をにらんで、トルコに原発を輸出したり、ロシアと北方領土問題を協議したり…と『独自外交』も展開しているかに見えます。
 私は安倍首相の政策が日本の真の独立と東アジアの安定に寄与するとは思えません。この辺りのことは4面でご覧ください。
 寒さに向かう折、どうぞご自愛ください。

あらかわ元気クラブ 区議会議員 斉藤ゆうこ

3期目の西川区政 予算、決算の争点
震災対策都内の地域危険度で荒川区が1位、2位に荒川区の震災対策はなぜ立ち遅れたのか。再開発依存を止め、隅田川水利は見直しを

■「総合的に安全」と主張した区
 9月17日に東京都が公表した「地震に関する地域危険度測定調査」で、荒川区の町屋4丁目が第1位、荒川6丁目が第2位となりました。荒川区は、積極的な街の改善策に踏み込んだ墨田区などの他区に遅れを取ったと思います。
 私は東日本大震災直後の議会で、「安全な荒川区のために街づくり政策の見直しは必至だ」と質問しました。弱点を直視し、木造密集地域の改造計画や隅田川の津波や液状化の可能性をきちんと調査・検証して、安全な荒川区にしていく必要があり、危険個所の解消は従来の政策を変えて取り組むべき荒川区第1級の課題でした。
 しかし、当局は『地域コミュニティの強さなど、総合的な安全性では評価が高い』との主張を繰り返し、従来の政策から大きな転換を行いませんでした。西川区長が「ひとりの犠牲も出さない」というのであれば、結果を真摯に受け止めるべきではないでしょうか。

■建築基準法違反の密集3階建ても
 確かにこの一年半、小中学校などの耐震補強は進み、区民の危機感で、自主的な建て替えもある程度は進んだと思います。
 しかし、その一方で、建築基準法を逸脱した密集3階建て住宅も増えました。首都直下型地震等で荒川区が最も重視すべきは火災の延焼防止です。これに逆行する新たな密集建築を止められないのは一体何故なんでしょうね?

■再開発依存、隅田川利用を見直せ
 さらに、再開発にこだわり、消防車が入れない状態が一向に解消しない西日暮里1丁目などの問題もあります。国土強靭化対策の大規模予算を期待する前に、区が打ち出した計画の再点検をすべきじゃないでしょうか。
 隅田川の水利活用は委員会に何の報告もなく、唐突に1億7000万円の投入が予算発表されました(怒)。区が単独で費用負担すべきか否かの検討もありません。他区では深井戸やスタンドパイプなど有効な施策がどんどん展開されてるのに。
 関東大震災から90年。オリンピックまでの7年間に首都直下型地震が来ないという保証はどこにもありません。

複合施設吉村昭文学館は日暮里が相応しい。荒川2丁目複合施設には幼稚園復活を

■拡張を続ける荒川2丁目複合施設用地
 土地開発公社は、隣地、その隣の工場と複合施設用地を買い足しています。
 私は老朽化し、現在地で建て替えることが困難な荒川図書館(荒川4丁目)を地域図書館としてこの地に建設することに何の依存もありません。工場跡地を全て買わずに、図書館だけで良かったのです。
 しかし、土地を買ってしまったので、それなら、この地域にもともとあったにもかかわらず区が廃園にしてしまった峡田幼稚園に替わる幼稚園を併設すべきと提案しています。
 財政が厳しくなることが予測される今日、これなら区民も納得できるという複合施設の組み合わせに変更し、限られた財源を有効に使っていくべきだと思います。

■吉村昭文学館は、いずれ日暮里に
 日暮里生まれ(当時は荒川区ではありません)の吉村昭先生ゆかりの文学館は、日暮里にあることに意義があり、価値があると何度も主張してきましたが、聞き入れられません。
 日暮里駅に近い再開発ビルの中に区がスペースを取得し、史跡・観光案内とともに置けば地域文化の面からも望ましい。最近は、いっそ日暮里図書館と日暮里ひろば館を合築し、そこに吉村文学館を、などと妄想しています。
 皆さんはどうお考えですか?

子ども高齢者小学生へのタブレットPC配布に異論続出子育て支援策、高齢者政策は現状で良いのか。

■読み書きソロバンの基礎が大事
 今年度予算で、3校に実験的に児童にタブレットPCを配る「全国初の目玉事業」として5000万円が計上され、「全校に数億円かけて拡大する予定」との提案がありましたが、自民党から「全校拡大は効果の検証を踏まえて行うと確約せよ」との強い意見が出されました。
 私たち大人が、物を考える道具としてタブレットPCを駆使することは有意義だと思いますが、小学生の子どもに一律学校教育の場でタブレットPCを配布する必然性はありません。辞書を引いたり、文字を書いたり、暗算で計算する基礎の上のIT化だと思います。再評価されている日本の伝統的な学力養成に逆行するものではないか、と考え、導入に反対しました。全国に先駆けてIT産業の市場として荒川区の学校を提供する、ということでしょうか。区民からも批判の声があります。

■子育て世代の切実な悩みを解決して
 学童クラブの親子をお弁当持参の苦痛から解放し、衛生的で栄養ある学校給食を提供してほしい、と9月議会で質問しました。委託業者と別契約を結び、保護者から昼食代を徴収すれば実現できることです。長期休暇の期間の保育時間繰り上げも決断してほしい。

■介護も市場。区は注意を
 昨年度、区が8億円の財政支援をして開設した法人立特養ホームで、介護の内容に問題があり、入居者が5ヶ月足らずで亡くなるという問題がおきました。施設に熟練した人材が不足しており、力量不足だったことは否めません。
 また、区内の高齢者住宅併設の施設をファンドが売買していると新聞報道されました。
 現在、この業界には「介護バブル」と言われる状況がおきており、Jリート市場(不動産投資信託市場)で有料老人ホームなどの施設が丸ごと売り買いされています。区民の定住や暮らしに影響がないよう、区に情報収集を求めました。

地域施設地域の拠点となる日暮里遷移街の区民事務所建て替えを急げ!残された東尾久ふれあい館建設

 西川区政は2期にわたり約百億円にのぼる区政で土地を購入し、施設建設をすすめてきました。しかし、土地は購入したものの一向に利用構想が明らかにならない場所や、計画はあるものの進展が見えてこない施設もあります。どう進めるのか、3月の予算委員会で聞きました。

■期待される日暮里区民事務所建て替え
 東日暮里6丁目の日暮里区民事務所周辺は2008(平成20)年と2009(平成21)年に裏の土地2件を取得して以来5年が経過しました。日暮里駅にほど近いこの場所は、区外から多くの人が訪れる日暮里繊維街活性化の拠点として、休憩場所や関連施設が期待されています。
 あわせて、現在活用されている集会室の充実、身近な防災拠点などの地元要望もあり、建て替えが期待されます。
 質問後の5月に初めて委員会に構想が示され、耐震に問題がある現在の区民事務所を年度内に閉鎖、近くの防災広場に5年間仮移転することも決まりました。5年後には新施設が完成ということになります。

■区が東尾久ふれあい館の位置を約束
 東尾久地域のふれあい館は、東尾久3丁目・尾久本町通りに面した場所を建設予定地としてきました。2002(平成14)年に計画が策定されて早11年。他のふれあい館が次々に建設されましたが、ここは区有地である広場を種地にした用地拡張が進まず、向かい側の用地確保を模索しています。
 私はこの件を長いこと追究してきましたが、今回の質問に対し、区は「東尾久ふれあい館の適地はここを置いてほかになく、広場と公園という近接した2つの区有地を生かして用地を確保すべく努力している」と初めて公式に答弁しました。早くしないと、オバサンからオバアサンになっちゃうよ~。

4月 あらかわ元気クラブ春のつどい 玉城義和沖縄県議とのトーク

■4月 あらかわ元気クラブ春のつどい
   玉城義和 沖縄県議とのトーク

安倍首相は『日本を取り戻す』のか?

■売国か「自主・独立のポーズ」か。
 世界経済の危機を反映した財界の意向と安倍外交

 安倍首相は「日米同盟強化」をめざして沖縄の米軍基地移設・武器輸出三原則の解消・集団的自衛権行使・秘密保護法などの政策を打ち出しました。TPP交渉では、これまでの制度を取っ払い、日本の市場をアメリカに提供する役割を率先して担っています。
 まら、アジア、アフリカ、ユーラシア、中東、はては中南米にも足を伸ばし、アメリカの国力低下の下で中国をにらんだ「積極外交」を展開しています。
 アベさんの顔が大写しになった街角のポスターには「日本を取り戻す」とあります。私は「アメリカから日本の主権を取り戻したい」と常日頃から思っていますが、アベさんは、いったい誰から何を取り戻すのでしょうか?
 ある時は「中国や韓国、北朝鮮の脅威があるから『米軍に日本を守ってもらう』。だから沖縄の基地はガマンしてくれ」と言い、TPPではアメリカの州知事かと見まがう従属ぶりを発揮するアベさん。
 他方で世界中を歴訪する「独自外交もどき」を展開し、原発や新幹線の売り込みだけでなく、対中国でも役割が大きい「アジアの大国」を印象づけようとする行動が目立ちます。
 忠犬のようでいて「独自性」もよそおう安倍総理。世界経済の危機を背景に各国企業の市場争奪戦が激しくなり、日本の財界もオチオチしてはいられません。いざという時に、膨張を続ける海外権益を自国の軍隊で守りたい、という衝動にも駆られるでしょう。こうした財界の意向も意識した安倍外交ではないでしょうか。

■農作物の関税撤廃ばかりじゃないTPP
 保険・医療・食の安全基準・公契約…。
 身近なくらしや仕事が米企業の餌食に

 TPPはアメリカの国家戦略です。つまり、米国企業の利益拡大のジャマになる加盟国の制度や慣行は壊す、ということです。
 試算では農林水産物は3兆円、関連産業を含めると11.7兆円の減少、事業所得、家計所得は総額4.3兆円減少するけれど、安い輸入品が出回り、消費者の家計負担は2.5兆円低下。差引き国民経済全体では1.8兆円減少するとの見通しで、どうしても国民生活に利益はありません。
 人口1%に過ぎない米国の巨大企業が40%の富を握り、「99%の人々が損害を被っても、1%の人の富が増えれば総計の数字が上がる」とウソぶく米国企業を丁重に「おもてなし」するなんて、日本を「取り戻す」より「売り渡す」方が差引き大じゃないでしょうか、安倍総理。

■真の独立によって、国民の暮らしを守る政権をつくる

 日本は1858年の日米修好通商条約以降に欧米諸国と結んだ不平等条約の改正に苦労し、50年以上かかって1911年にやっと関税自主権を「取り戻した」という過去があります。関税自主権は独立国の証しです。TPPを脱退して米国企業やグローバリズムに負けない気概と愛国心を育むチャンスではないでしょうか、安倍総理。
 欧州諸国は自国の農業や食について対米自主性があり、関税や制度は独立国の安全保障の問題だととらえています。世界的な経済危機と緊張する国際関係。真の独立と近隣諸国との対等な共生をめざす政権を実現する以外に、国民の暮らしは成り立たなくなってきました。

(次号につづく)

10月 決算委員会で

ゆうこのひとりごと
●ようやく秋の深まりを感じる今日この頃、カレンダーは残り1枚となった。去年の11月の区長選挙に始まり、都知事選、解散総選挙で政権交代、都議選、参院選と5つもの選挙があった1年だったが、政治は、暮らしは、良くなっただろうか。
●アベノミクスという博打は、輸出大企業やメガバンクに高収益をもたらすのが狙いだ。一般国民の生活と営業にとっては、恩恵どころか円安で輸入原料高騰ばかりだ。そこへTPPと消費税増税が追い打ちをかける。夏の全国地方議員交流会で東北の議員は「アメリカの経済植民地になりたくない」と悲痛な声を上げた。
●12月7日、広範な国民連合の神奈川総会で「永続敗戦論」の著者、白井聡氏が講演。太平洋戦争の開戦から72年。戦後の日米関係を清算する時が来ている。
●ところで「誤表示」は今年の流行語大賞になるかしら。ちょっと前に老舗の料理屋の偽装事件があったけど、ザリガニを伊勢海老って書いても「誤表示」と言い張るのかね。アベさんの「主権回復」や「日本を取り戻す」もひょっとして「誤表示」?
●2期目の西川区政で、100億の土地購入と箱モノ建設がすすんだ。建設がすすむ荒川2丁目複合施設は、今後評価が問われるだろう。図書館だけでよかったのに、余計に土地を買ってしまったのだから。
●年の暮れは慌ただしいけれど風情もある。今年もまた、新しい年に希望を託す年の暮れです。

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