寒さの中にも春の日ざしが感じられる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
3月11日の東日本大震災と福島原発の事故から早一年。政治は混迷を続け、辛酸をなめた被災地の人々を始め、多くの国民は失望を隠せません。
民主党政権三代目の野田首相は、『輸出倍増』を掲げるオバマ政権のアジア戦略の片棒を担いでTPPに参加。財界が自民党に託した案件を引き継いで「『税と社会保障の一体改革』に政治生命を賭ける」と表明しました。公約違反に政治生命を賭けるって、どういうこと?
あらかわ元気クラブは、荒川区民の生活と地域経済をおびやかす消費税の増税に反対です。今号は消費税増税特集を組みましたので、じっくりご覧下さい。
さて、昨年4月の区議会選挙以来、私は「荒川区政はこれでいいのか!?」と思うことしきりです。西川区長が自民党候補の応援演説で、私を含む3人の候補者を「当選させてはならない」と発言したのには呆れるほかありません。
福島原発の事故直後、金町浄水場の水が放射能で汚染されて乳幼児の摂取制限が行われ、東京都が飲料水を配布したのは記憶に新しい出来事です。危機感を感じた区民は数多く、特に小さな子どもやこれから生まれてくる子どものお母さん、お父さんたちは身近な区政に助けを求めました。しかし、荒川区は東京都で唯一、最後まで放射能の測定を拒み続けました。こうした西川区長の『信念』は区民感情を逆なでしました。
荒川区は今でも「市場に流通する食品は安全」との『信念』を変えていません。牛肉やコメなど、次々と流通した食材の汚染が見つかる中で、測定器を購入・設置して住民の不安解消をはかる自治体も多くなりましたが、荒川区はこの13日から給食の放射能測定を「一回限り」実施。『信念』にこだわるとこういうことになります。
福島原発事故は収束の見通しが立たず、情報隠しが後を断たない状況の下で、食べ物による内部被曝の先行きは深刻です。国に追随するばかりの荒川区政でいいのでしょうか。
また、荒川区は首都直下型地震に備えて『地域防災計画』を修正することになりましたが、火災の危険が大きい木造密集地域や細街路など、荒川区が抱える弱点をどうするのか、肝心な点が明確になっていません。被災地・釜石を視察して行政の責任の重さを改めて感じました。
11月は区長選挙です。私はこれまで、4年間で91億円の土地購入が誰の利益になったのか、地域の中小企業や商店街振興への際立った支援策が見られない、と批判してきました。荒川区政はこのままでいいのか?ご一緒に考えていきましょう。
あらかわ元気クラブ代表 荒川区議会議員 斉藤ゆうこ
『社会保障と税の一体改革』を掲げる民主党・野田内閣は、2015年までに消費税率を10%とする内容の「消費税増税関連法案」を今国会に提出することを決めました。堂々たる公約違反です。
赤ちゃんから高齢者まで、お金持ちも貧乏人も、総理大臣も失業者も、健康な人も病んでいる人も、大震災や原発事故の被災者も、生活必需品を含め、一律の税率で税を負担するニッポンの消費税。低所得者ほど負担が重く、富裕層ほど負担が軽い逆進税制です。税率を上げれば上げるほど、この逆進性は拡大します。
●税の逆進性とは?
消費税で同じ税額を払った場合、所得に対する税負担の割合は、所得の低い人ほど大きくなる。これが税の逆進性。日本では戦後、所得の高い人の税負担を多くする累進課税によって富の再配分を行ってきたが、グラフAのような「税制改革」の結果、今はすっかりその機能がなくなり、貧富の格差が拡大する原因のひとつになっている。
●価格転嫁
仕入れにかかった消費税を販売価格に上乗せすること。商工会議所などが昨年実施した調査では、売上高が500万円以下の事業者の51%が「ほとんど転嫁できていない」、55%が「10%になれば転嫁できない」と回答した。理由は取引業者からの値引き要請や価格上昇で商品が売れない可能性がある、など。中小事業者が1割の消費税分で自腹を切れば、利益率は悪化し、経営がますます厳しくなる。
●免税点の引き下げ、簡易課税制度の縮小
消費税は事業者が税を預かり、納税義務を負う制度だ。消費税導入時には、規模が小さく、競争力の弱い事業者のために納税義務を免除する制度があった。しかし、その免税点は年商3千万円以下から1千万円以下に引き下げられた。事務負担軽減のための簡易課税制度も、対象が5億円以下から5千万円以下に絞られた。商売を「たたみたくなる」ように仕向けている、といっても過言ではない。
長引くデフレ不況で景気が悪い上に東日本大震災と福島原発事故の悪影響が経済や雇用に及ぶ今、全ての国民に倍の税負担を求めれば、国民生活と中小事業者の営業に耐え難い苦難をもたらし、倒産や失業の増大に輪をかけることは目に見えています。
とりわけ、税の価格転嫁がままならない中小・零細企業や小さな商店が多い荒川区では、地域経済への打撃ははかり知れません。「消費税10%じゃ商売たたむしかない」と嘆く皆さん、ちょっと待って!それがネライかもしれませんよ。小さな商売を淘汰して『改革』だなんて、悔しいじゃありませんか。
1989年の消費税導入以来、たび重なる高額所得者減税と法人税減税によって、所得税と法人税は合計295兆円も減りました。税金を負けてもらい続けた結果、大企業を中心に企業の内部留保は400兆円を超えました。
おまけに、消費税は輸出を除外しているため、輸出大企業は国から国内の仕入れ分を「消費税還付金」としてもらっています。その額は上位10社で8千億円(2009年)に上ります。
消費税の導入と3%から5%への税率引き上げは、高額所得者・法人税減税と引き換えにすすめられました。二〇数年来の高額所得者・法人税減税を元に戻せば、消費税を増税しなくても財源は充分あります。
こうした負担の不公平に手をつけずに、安易に『打ち出のコヅチ』を振って消費税を増税するのを黙って認めるわけにはいきません。
今回10%を認めれば、将来15%、20%とだんだんに税率を吊り上げることは間違いありません。野田首相も経団連も財務省もそう考えています。「社会保障の財源」「国家財政の健全化」と言うのなら、政府はまず「国家財政の赤字」や「社会保障の破綻」は原因をつくった人たち(おかげで今とても豊か)に負担してもらえば解決します。
国家財政の赤字の原因はほかにもありました。元気クラブが昔から言っている「日米構造協議」です。アメリカが貿易摩擦解消を理由に日本に押しつけた『内需拡大』で、国内1991年から2007年迄の間に国債を発行し、借金を増やし、国と地方併せて671兆円の公共投資を行いました。地方財政の破綻も国の財政悪化もここに大きな原因があります。
皆さん、本当に「消費税10%は仕方ない」と思いますか?
「じょーだんじゃない!」と思ったら今日から反対の声を上げ、行動していきましょう。
●辰年の今年は激動の予感。アメリカに端を発した経済・財政危機の世界的な波及は年を越えても収まらず、金融筋の首相に交代したギリシアでは危機が再燃。一九三〇年代をはるかに凌ぐ金融恐慌の再来が囁かれる、世界資本主義の『終わりの始まり』の様相だ。 先進諸国は首脳会議で合意した危機回避策を自国に持ち帰って、年金などの社会保障切り下げ・公務員賃金カット・大衆増税、と判で押したように同じやり方で、負担を労働者や勤労国民に押し付けることで何とか危機を切り抜けようと必死だ。ちがいは、それぞれの国の国民が闘って政府を倒すのか、それとも泣き寝入りするのか、だけだ。
●さて、昨年は区政をめぐって区民世論が揺れ動いた。4千筆の署名が西川区長宛に出され、9月議会で「放射能測定を求める陳情」が趣旨採択された。東京新聞の記事を皮切りに連日テレビが「測定しない荒川区」を報道、区はついに「国の基準が出された」ことを理由に測定を発表した。
●10月には区内の小中学校保護者が連名で「学校給食の安全を求める要望書」を提出。12月には「食品の放射能測定を求める陳情」が趣旨採択された。この署名には子育て世代ばかりでなく、商店街や町会など地域の熟年層も協力した。
●区民は、西川区政は経済産業省や東京電力と結びつきが強い区政だ、という印象を持った。測定拒否で国に追随する区政は区民の不興を買った。
●私は「区民経済を潤さない偏った土地購入・施設建設。放射能測定をしない区長に方針変更を求める」と決算認定に反対した。4年間で91億円の土地購入。日暮里生まれの吉村昭氏文学館を荒川2丁目につくる必然性はなく、土地取得が先行した形だ。区長の『安全宣言』にもかかわらず、区民の不安は募っている、と西川区政に放射能対策での方針変更を求めた。
●この議会では、清里少年自然の家・高原ロッジの指定管理者に、東京電力の100%子会社・尾瀬林業が選ばれた。3月の福島原発事故後に選定していることに驚いた。2年前に日暮里再開発ビルに引っ越して来たが、西川区長はじめ区の幹部職員は紹介や関与を否定した。東京電力のグループ企業をこの時期に参入させることは偶然なのか。
●東京電力は教育委員会が主催する「東日本大震災から学ぶ中学生講座」にも登場。「正しく、安全な原子力エネルギーの利用方法」との首都大学東京・福士政広教授の講座も。「原発は安全である」との理念で事業を推進してきた事業者や学者の一方的な主張だけを区が取り上げ、同調するのは不適切だと反対した。
●原発事故で福島県民をはじめ多くの人々に甚大な被害をおよぼし、社会的責任が追及されている企業を荒川区はなぜ登用するのか。区民はその答えを知っている。