河内ひとみのあらかわ日和

2014年11月25日 2014年11月24日

『日暮里・舎人ライナー』来年3月末開業。
■尾久の地域活性化に課題残る。 ■

●総事業費1320億円をかけた新交通『日暮里・舎人ライナー』の工事が、来年3月開業をめざして進んでいます。平成8(1996)年に都市計画決定、翌年工事に着工したものの、平成13(2001)年11月に開業が4年間延期され、来年となりました。
●沿線の尾久地区では平成2(1990)年から『一部地下化』を求める署名運動が取り組まれ、区議会に請願が出されましたが、その後も、日照や景観の問題、通りに面した建物へのプライバシー対策、交通渋滞の解消など、数多くの要望が区に寄せられました。
●工事がすすんだ現在、やはり街の景観の悪化や圧迫感は否めません。交通渋滞も悩ましい状態です。
 現在も街の中では「この事業はやらない方が良かった」「自分は消極的賛成だった」という声が聞かれます。「尾久のまちは単なる通過点になるのでは? プラスはあるのか」という声に区はきちんと応え、地域活性化を支援していく必要があります。
●沿線の熊野前・おぐぎんざ・川の手もとまち・尾久本町・冠新道の5商店街は、新線開通を視野に『おぐコム商店街活性化協議会』を結成し、毎月『星の市』を開催してきました。商店街を始め、尾久地域の活性化に取り組むことが今後の課題です。地域の皆さんと一緒にしっかり取り組んでいきます。

■無人走行、無人駅で乗客の安全は大丈夫?■

●『日暮里・舎人ライナー』は東京都の事業ですが、荒川区は10億円(足立区は30億円)を負担、開通後は東京都交通局が運営します。全駅にエレベータ・エスカレータを設置、運賃は未定、バス路線の縮小は不明、というのが現況ですが、問題は事故のあった『ゆりかもめ』と同機種で無人走行、駅も起・終点の日暮里駅、舎人駅以外は無人であることです。転落事故や犯罪への対策は大丈夫でしょうか。
●私は、昨年度の交通体系・拠点開発特別委員会で「地上15メートルもの高さ(建物の5階位)にある駅が無人で本当に大丈夫だと思うのか」と区の考えを質しました。
 赤土小学校PTAは児童の安全対策を求め、教育委員会が東京都交通局と交渉中です。開会中の予算委員会で、区内の熊野前・赤土・西日暮里3駅の『有人化』と防災・防犯対策を要望していきます。

■ふれあい館建設計画■
尾久地区のすすみ具合は?

 区は、37館あった『ひろば館』を『ふれあい館』19館に建て替え、区民活動の拠点として充実させる計画に取り組んでいます。でも「適地がない」「用地の広さが足りない」などの理由から、まだ5館が開設しただけで、工事中1館、開設のメドが立った5館を合わせても、11館という状況です。
 尾久地区では、西尾久ふれあい館が開設し、尾久ふれあい館が計画中ですが、尾久本町にある区有地は『千平米』という区の基準に満たないため、足踏み状態が続いています。
 地域活性化に欠かせない施設ですから、基準をゆるめても早く建設した方が良い、と思います。皆さんはいかがお考えでしょうか?

立地や業態はこれで良いのか。
■熊野前へのオリンピック出店を考える。■

●平成16(2004)年12月に出店表明された大規模商業施設・オリンピックは、翌年9月に計画変更の申し出があり、昨年10月、区に変更届出が提出されました。内容は下の表の通りです。
●「競争原理にまかせる」という考え方で大店法が廃止され、現在国には商業調整の法律がありません。地域で対策を講じないと、競争力の弱い地域商店街は淘汰されてしまいます。
●これは商店主の皆さんだけの問題ではありません。消費者としても、将来商店街がなくなったらどうなるか、良く考えなければならない時に来ました。

(変更のある事項)
項目 変更前 変更後
1 店舗名称 オリンピック荒川熊野前店 ホームピック荒川熊野前店
2 構造 鉄骨造、2階建て 鉄骨造、平屋建て
3 建築面積 1,358.87㎡ 1,173.06㎡
4 延床面積 1,498.77㎡ 1,138.83㎡
5 店舗面積 987.83㎡ 998.78㎡
6 開店予定日 平成17年12月2日 平成19年4月1日
7 営業時間 10:00~23:00 9:00~23:00
8 年間休業日数 2日 なし
9 取扱品目 食料品(生鮮3品他) 日用雑貨、園芸用品他
10 年間販売予定額 10億円 5億円
11 来店人数 平日2,500、休日2,300 平日600、休日1,000
商店街がさびれれば荒川区はつまらない街になる。
大型店を規制する区の条例を本気で考えよう。
(2月23日の予算委員会総括質疑です。ケーブルテレビでも放映されます。)

(斉藤ゆうこ 質問)
●私は、『地域商店街を残す荒川区のまちづくり』のためには大型店などに対する立地の規制を行なう条例が必要、と再三提案をしてきました。区当局は「そんなことはハナから無理だ」とお考えなのか、それとも「何とか法律に違反しない条例が作れないものか」とお考えなのか、本音を伺います。
●大型店の相次ぐ区内進出で地域商店街の衰退が加速しています。最近では面積が大きい大型店ばかりでなく、深夜営業のコンビニやお米から食料品まで何でも売ってるドラッグストアがあちこちに進出撤退をくり返しています。
 こういう状況の中で、区内の商店の中には仕入れもままならなくなってきた本屋さん、雑貨屋さんなどの業種もあります。大型店やコンビニ、ドラッグストアなどの業態の店が大量に仕入れを押さえ、価格を支配してしまうからです。
 また、魚屋さんや肉屋さん、八百屋さんは、安い外国の産地からの流通ルートを確保している大型店と日々競争させられています。
●区内商店街も決して泣き寝入りし、手をこまねいている訳ではありません。『あらかわTMO』や『おぐコム星の市』などで一所懸命頑張っています。この20年、荒川区の歴代区長は「地域商店街を守る!」と表明してきました。しかし最近は「我々にだけ『頑張れ』と言われてももう限界だ」という商店主の声があちこちで聞かれます。区長は「施政方針説明」で『希望格差社会』を引用されました。商店街の後継者問題はまさにこの事ではないでしょうか。
 『下町らしい良さを残す』と言っても、地域商店街がなくなったら荒川区は本当につまらない町になってしまいます。まちづくり3法改正を受け、国の法律をにらみながら条例をつくること、街づくりマスタープランも活用して一定の規制をすることは可能です。一緒に研究したいと思いますが、区の見解を伺います。

(高野産業経済部長 答弁)
●区内商店街の衰退がすすんでいますが、消費の冷え込み、消費者ニーズの多様化など、様々な原因があり、相次ぐ大型店の出店による影響もそのひとつと考えられます。
●まちづくり3法改正とあいまって、全国的にも、いくつかの地方都市や福島県などで条例が制定されたことは承知していますが、地方都市と荒川区とは置かれた状況が違うため、研究が必要です。
●また、需要調整を行うことは現在の法の趣旨からは困難、という面もありますので、今後の検討課題であると考えております。

【編集後記】
●日頃の皆さんからのご質問にこたえて『尾久のまち情報』をつくってみました。いかがでしょうか。選挙が近づくと区民の皆さんとの接点が増え、質問やご意見をいただく事が多くなります。区政への関心が高まるこの機会に『双方向』で意見を交換し、より良い街づくりに生かしていきたいと思います。また、ご意見をお寄せ下さい。
●私たち議員もこの時期、区政や街づくりの進展をふりかえり、「自分の判断はどうだったのか」「議会としてこれで良かったのか」と反省する事しきりです。私は当時の区議会で『日暮里・舎人線一部地下化』に唯一賛成の立場でしたが、力が足りませんでした。この問題に限らず、地域の将来を左右する事案について、正しい情報を伝え、地域世論を反映させていく議員の責任は重いと痛感します。これを教訓として精進していきます。
●『格差の拡大』を是正しようとすれば、大きいもの、強いものを抑えることも必要になります。小さいもの、弱いものに「頑張れ、頑張れ」と言うだけでは無理なことも多い。大型店に対する規制条例もそのひとつ、と考えています。
●私は『零細な会派』ですけど、区民の皆さんの応援を頼りにヤセ我慢で頑張りマス。今年から、川の手もとまち商店街に「元気クラブ尾久事務所」を開設致しました。今後とも、どうぞよろしくお付き合い下さい。
(斉藤ゆうこ)