●荒川区役所前の公園に、桜が咲き始めました。いつもながらの慌ただしい年度末。4月になるまで散らないでね、と祈る花の季節です。さて、2月17日に開会した予算議会は、3月17日閉会しました。私は、「戦後最大の経済危機」が地域経済と区民生活に大きな影を落とす中、西川区政はこの問題にどう取り組むのか、予算委員会を通して質疑しました(※総括質疑をご覧下さい)『自動車、電機など輸出産業の下請けの区内の小さな企業に仕事がない現状をどうするのか』『雇用や生活・営業の総合相談窓口について』『区役所の中にもある非常勤職員の食べられない賃金と待遇の改善』『学校で教えてほしい働く人の権利』『国や自治体の集合住宅を、派遣切りにあった人たちに一時開放できないのか』などと各款で質問しましたが結局、荒川区の中小零細企業が受注を回復するには、アメリカの市場とドルとに極端に依存した日本の経済構造、産業構造を転換する以外にない、と私は思います。でも、これだけの長きにわたるアメリカ依存を転換するのは簡単ではありません。そのためには、「借りた融資が返せない」状態の中小零細企業に対して直接資金投入するような今までとは違う政策がないと、日本中の小さな企業はみんな潰れてしまいます。
●そこで、「地方議員はもう黙っていられない!」(ん?どこかで聞いたな)とばかり、16日に国会で「雇用と生活を守り、経済産業政策の転換を求める地方議員集会」を開き、派遣・期間工切りの実態を訴えるために上京した愛知県の自動車産業労働者の人たちや、川崎の製造業の中小事業者の人たちなどと一緒に、4省庁に対する要望書を提出しました。(写真)全国からは、256名の超党派の地方議員たちが、自分の町に対する切実な思いでこの要望書に署名しました。東京では、54名の超党派の区議・市議が連名で東京都に要望書を出し、懇談会をつくって活動しています。区民の皆さん、派遣切りや解雇にあった方たち、中小事業者の方たちと話し合い、労働組合とも相談しながら有効な対策に取り組みますので、意見を聞かせて下さい。そうそう、締めくくり総括質疑では渦中の西松建設が手掛けた日暮里再開発について質問しました。こちらもご覧下さい。
●さて、来年度の「議会費」予算に対して事実と異なる報道があり、一部区民の皆さんには誤解が生じているようです。予算審議も始まらないうちから、特定の議員を情報源にした一部の報道が先行し、24日にはテレビ朝日「スーパーJチャンネル」が私たち4名の議員(自民2・民主市民・元気)の再三の抗議にもかかわらず、話し合いもせずに放映を強行しました。会派も政治的立場も違う私たちが連名で文書を出して抗議したのは、事実と異なる報道や手段を選ばぬ取材をこのまま見過ごしにすれば議会全体の信用が失われる、という思いからです。また、議員の中にも、マスコミを使って自己の主張を通そうとするあまり、これまた手段を選ばぬ行為に走るヒトがいます。ぜひ表層にとらわれずに見て下さい。
●まず、荒川区ではどのように「議会費」の予算を計上し、執行しているのか。
・これまで議会費については、予算要求の段階では幹事長会の意志決定を行っていません。それは、役所の他の部署とちがって『議員が議決権を背景に予算要望する』ことになり、区長の予算編成権を侵害することになる、という考えからです。
・この仕組みでは、予算議決後一年間にわたる運用次第で、執行されない費用は「決算剰余金」として翌年度に繰り入れられます。積算額は大きいけれど執行しなかった、という例は多々あります。予算は全員分取ったけれど使わない会派があったり、幹事長会で議論して費用が縮減されたり、というケースです。これが「議会費予算・決算」の実態です。
●人間ドックを含む議員健康診断のあり方については-
・昨年の決算委員会委員会での議員の質疑は、議員健診を受けていた鈴木堅之議員が病気で亡くなったのを契機に「これまでの健康診断の充実」を求めたものであり、「全額公費補助で行うこと」を主張した内容ではありません。会議録を見ればわかります。その後、どの議員からも「全額公費補助」を求める質疑や要望はありませんでした。こういうのを『議員のお手盛り』とは言いません。
・現在までの議員健診は「全額公費×議員全員分」を計上していますが、昨年も受診率は6割で、ひとつの選択肢に過ぎません。ちなみに私は医者嫌いでほとんど健診に行きません。別の医療機関で健診を受けている議員もいます。ちなみに『お手盛りの議員特権』と批判した2名の議員は「全額公費」で健康診断をしっかり受診しているそうです。
・むしろ、議員の中には「ある程度費用がかかっても良いから人間ドックなどのメニューを充実し、検診場所と日程を調整してほしい」という声が多く、補助のあり方は今後の課題でした。すでに民間企業でも人間ドックは健診メニューに盛り込まれており、「全額自己負担」ではなく、希望者には福利厚生の一環として「一定額を会社や健保組合が補助する」という方法が一般的になっています。
・多忙な議員の健診で肝心なのは、「機会の提供」と「メニューの充実」です。世間並にメニューが充実しており、応分の負担であれば、受けるかどうかは自分で選ぶ、それが当然だと私たちは考えています。したがって『議員特権』などというという批判は先走りです。「凍結」ではなく、こうした方向で早く改善をはかった方が良いと思います。
●老朽化した議長室・副議長室の応接セットの買い替えについては…
・今年の予算で各会派控室の応接セットを買い替えました。控室の備品も『行革』で老朽化がすすみ、ふたり会派の時には備品のソファがあまりにも汚いので自分たちでカバーをかけて使っていました。控室のソファに虫がいるのでは?という議員の声に対して、何とかしないと、と区長が予算をつけたことが発端です。
・議長室、副議長室の備品買い替えはこれに続くものです。応接セットは購入後すでに26年を経過し、耐用年数8年をはるかに超えていて、買い替えが必要な代物です。ダニが発生しているのは本当の話で、テレビ朝日のディレクターさんもしばらく座っていればお解りだったでしょうに。
・今回のような批判を避けるために、今後は「備品の買い替え基準」を設けて、必要な時期には買い替えられるようにすへきだ、という意見がありますが、私も賛成です。
長く使えるものは金額が高い傾向にありますが、贅沢とのそしりを受けないように値段の検討も必要でしょう。そんなこと当たり前だよね。
・ただし、区役所は最大の区内企業ですから、過度の「買い控え」による消費抑制はかえって景気の悪化につながることも考慮すべきだ、と思います。戦時中の「欲シガリマセン、勝ツマデハ」じゃないんだから、何でも「区民生活の非常時に…」という言葉を使えばいい、ってもんじゃありません。アメリカ発の経済恐慌に巻き込まれる区民生活は、もっと別の方法で助けないといけない本質的な問題です。
●友好都市ウィーン市ドナウ区への派遣について。
・ウィーン市ドナウシュタット区は最も古い荒川区の海外友好都市で、3年前にも友好都市提携10周年を記念して議会から公費の派遣を行っています。今回は「日墺(オーストリア)修好140周年」と国家間の記念事業ですから、「荒川区とドナウシュタット区との友好都市提携」を中心に適切な派遣を行う必要があります。
・先方からは3名の招請状が届いていますが、派遣の人数については意見が分かれています。今後の議論を経て、区民の理解を得られる範囲にすべきだ、というのが私の意見です。・世界が多極化する中で、将来の荒川区にとって、アメリカだけなく欧州やアジアの都市とチャンネルを持つことはとても有益です。海外友好都市提携は今後も大事な事業という位置づけですから、出来る限りの費用縮減しつつ、公費で派遣するのは当然だと思います。
●さて、テレビ朝日の報道については、ほかにも問題があります。テレビ朝日は3月24日の「スーパーJチャンネル」の中で、荒川区議会がホームページから配信している昨年の決算特別委員会の音声を使用しました。この音声は誰もが自由にダウンロードして聴く事ができますが、皆さんもご存じの通り、著作権法というものがあります。個人が聴く事は自由ですが、報道番組の音声として使用する場合には、著作権を持つ荒川区の許可を得なければなりません。テレビ朝日は3月6日に「音声使用の申請」をしていますが、区は許可を出していません。音声使用は明らかに著作権法に抵触する行為です。「議員や政治家は悪」「お手盛りの議員特権」という主張の番組づくりのためには手段を選ばず、法を犯すことも辞さない、ということでしょうか。日本テレビの「真相報道バンキシャ!」の虚偽証言がテレビ朝日の「スーパーモーニング」にも波及していますが、「ヤラセ」問題と同根のマスコミの体質が見え隠れします。
●もうひとつ、議長応接室のソファの映像はどのような撮影されたものか。若林議長が「何のために使うの?」と撮影を許可していないのに、ふたりの議員が昼休みに勝手に議長室に入り込み、制止を振り切って撮影したのが、『議員提供』として放映された応接セットの画像です。議員は探偵やスパイじゃありません。そこまで彼らを駆り立てるのは何なのか、皆さんはどう思われますか? さらに、このうちひとりの議員は、かつて自らが最大会派の自民党に所属して議長を務めた際に、「特別委員会が海外まで視察する必要があるのか」との批判もあった震災対策特別委員会の台湾視察の際、委員ではないのに議長として特別に同行を申し出て、公費で視察を行っています。自分の過去は棚に上げ、他人の事は口をきわめて大声で罵る。こういう態度は議員として、というより人として誉められません。
こんな議会に誰がしたのでしょうか。私は本会議の予算反対討論でさんざん怒ってしまいました。区議会ホームページの動画配信で見て下さい。(2009.3.27)